深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ

文字の大きさ
上 下
76 / 113
安い時に買って高くなったら売る。それが出来れば金持ちだ

軍の縮小

しおりを挟む
 鉄問題が解決し、ダンジョンは1つ消滅された。
 目標である最後1つの中級ダンジョンを残したが、問題が発生した。
 俺はグレスの居る中級ダンジョンに向かった。

「グレス、今話しをしたいけどいいか?」
「大丈夫です」
「最後のダンジョンはきついだろ?」
「そうですね。街から距離が遠いです」

「それだけじゃなく魔物の発生数も多いだろ?ダンジョンは瘴気を吸い取って魔物を発生させる仕組みだが、周りのダンジョンが無くなった影響で瘴気が集まりやすくなっているはずだ」
「その通りです」

「更に最近領地周辺の魔物狩りがおろそかになっている。貴族から魔物狩りの要望も出ている」
「ダンジョン討伐の軍は解散でしょうか?」

「王と話をしてきたが、解散はしない。引き続きダンジョンの魔物狩りを続けて欲しい。だが、軍の縮小は行う。領地の魔物狩りは各貴族に行ってもらう予定だ。3000の軍を2000に縮小する」

「分かりました。すぐに準備を始めます」
「グレス」

「何でしょう?」
「無理はしなくていい。長い戦いになるからな。また様子を見て軍を縮小すると思う」
「分かりました」
 
 こうして俺は王への連絡の為ダンジョンを出た。



 ◇



 俺はまたグレスの元を訪れる。
「また軍の縮小が決まった」
「今度はどの程度でしょう?」
「1000に縮小して欲しい。そして、グレスの信頼できる者だけを選んで残して欲しい」

「分かりました」
「何度も言うが信頼できる者だけを残してくれ」
「何かあるのですね。分かりました」 

「俺は用事があるから帰る」
「はい」
「グレス、王は時間がかかる事を分かっている。兵は消耗させず兵の疲労が溜まりすぎないようにして欲しい」

「何かの作戦ですか?」
「そうとも言えるが、皆には疲れすぎないようにとだけ伝えて欲しい」
「分かりました」

 こうして俺は帰路についた。



 ◇




「グレス、元気でやっているか?」
「ええ、また軍の縮小ですか?」
「そうだ、次は500にしてくれ」

「分かりました」
「物資はどうなっている?」
「今紙を、これですね」

 グレスから渡された紙を見た。

「……分かった」

 足りそうなのは食料だけだ。
 と言っても余裕があるわけではない。

 インサイダーに供給されていたポーションは途中で無くなる。
 各領地で魔物狩りを行う事でポーションの消費はさらに増えた。

 更に各領の魔物狩りによって鉄の需要が上がった。
 鉄の値段は高騰している。

「今から帰って王とインサイダーで会議がある」
「それは、大変ですね」
「ま、行って来るよ。この紙の写しを欲しい」

「すぐに用意させます」




【王都の会議室】

 俺が会議室に入ると王とインサイダーが座っていた。

「内政の英雄よ。最期のダンジョンに苦戦しているようだな。なんでも兵の数を1000に縮小したと聞いた」
「さっき500に減らした」

「ははははは!大変ではないか。更に各地の魔物討伐を貴族に任せているようだな」
「仕方あるまい。女神の力が落ちているのだ。我々全員で一丸となり対処するほかあるまい」

「インサイダー。もっとポーションを送ってくれないか?」

 俺の言葉にインサイダーは口角を釣り上げた。

「わしも協力したいのはやまやまではある。だが今までワシは破格の値段でポーションを供給してきた。これ以上はワシの領地の経営が厳しいのだ」

「だが、もう一息でダンジョンを消滅できるのだ」
「もう約束は果たした。これからは低価格でポーションを売ることは出来ん。今ワシが我が領地を魔物から守る必要がある。鉄も高騰しておる。物資の値段も上がった。ポーションだけ安く出すのは無理があるだろう」

「それは残念だ。所でグレスの500の軍の物資の状況だ。目を通してくれ」

 インサイダーは紙に目を通して笑い出す。

「はははははは!ボロボロではないか!このままではすべての物資が枯渇する!内政の英雄にはさらに頑張ってもらわねばな!!」




【インサイダー視点】

 やっとポーションが底をつく。
 待ちに待った。

 王都のポーションの在庫も時期尽きる事は確認済みだ。
 グレスの軍のポーションが枯渇するのも時間の問題。
 ワシはもう公爵の地位を取り戻した。
 
 もうポーションを安値で渡す約束も果たしてある。
 ロングスパン領からポーションは入ってきていない。
  
 更に安くポーションを流したことで王都の錬金術師がポーション工房を閉めつつある。
 半分以上の工房主が賃料を払えず出て行きおった。
 ポーション作りをする者が工房を手放しつつある。
 後は仕上げにワシが支度金を握らせてポーション工房を借り上げる。
 金に困った工房主はワシの要望を飲む。

 王都だけではない。
 ロングスパン領の錬金術師もだ。
 ポーションの値段が暴落した事でポーションを作るものは減った。
 ポーションを作る多くの者がロングスパン領や王都の住宅の建設を行っておる。
 更に鉄の供給不足により多くの錬金術師が鉱山に向かった。

 ロングスパン領にもポーションを作るものは減っておる。


 多くの錬金術師が工房を失ったタイミングでワシがポーションを高く売る。

 ワシは女神に愛されておる。
 魔物との戦いで鉄が不足した。
 王都とロングスパン領に民が流れた結果住宅も不足した。

 これによりポーションを作る錬金術師は多く職を変えおった。

 これでワシはポーションの価格をコントロールできる。
 ワシの逆襲が始まる!



 インサイダーは気づいていない。
 ジュンの作戦に。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

処理中です...