深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ

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安い時に買って高くなったら売る。それが出来れば金持ちだ

女神の逆風

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 俺以外の全員が女神に跪く。

「今、私の力が弱まっています。ダンジョンを消滅させるのです」

 そう言って女神の映像は消えた。
 その瞬間インサイダーは口角を釣り上げた。
 その顔を俺と王は見逃さない。

「そうか、内政の英雄には頑張ってダンジョンを消滅させてもらわねばな。ワシは失礼する」

 そう言ってインサイダーは部下を連れて帰って行った。

「ジュン殿、女神が消えた後のインサイダーの顔を見ただろうか?」
「見た。フィル、何か分かるか?」

「インサイダーは、女神の言葉を都合がいいと思っているようです」
「王とグレス、入ってくれ、会議室で話をしよう」




【会議室】

 中央の席に5幹部・王・グレスと座って話をする。

「ジュン殿、何か分かる事はあるか?」
「なんとなく分かる。インサイダーにとってダンジョンの攻略は都合がいい。ダンジョン攻略はポーションを大量に消費する。そうなればインサイダーのポーション利権の力が高まる」

「うむ、そうか。このロングスパン領と王都のポーションを一気に消費させて、その後で高値でポーションを販売すればインサイダーの資産は大きく増える。更にこちらのポーションを失った状態ではインサイダーの有利となるように交渉を進められるか」

「今までしつこくこの領に入ろうとしてきたが、女神の話を聞いた途端帰って行った。インサイダーの武器はポーションの販売しかないのかもしれない」

「でもこれじゃインサイダーがポーションでやりたい放題にゃあ」

「そうだな。インサイダーを弱らせるにはポーションを多く流通させる必要がある。だが、ダンジョンの消滅は魔物との連戦になる。結果ポーションを消費する。インサイダーを弱らせることとダンジョンの消滅を同時に進めるのは難しい」

「今は出来るだけポーションを作りつつダンジョンの魔物を狩るしかないのだろうか?」
「俺もそれ以外の案が浮かばない。それにダンジョンの消滅はポーション以外の物資も消耗する。今から他の物資の用意も必要だ」


 会議の結果国の外にある放置状態のダンジョンも消滅させることになった。
 会議が終わった後、俺達はダンジョン消滅の為の物資の準備を進めた。
 ラビイにはゴーレム作りをストップしてもらい、物資の準備に協力してもらった。

 ラビイがパン工房を作り、多くの料理人がそこで働く。

 大量にパンの生地をこねて大きなオーブンで大量に焼く。
 焼きあがったパンはストレージで保存する。

「ラビイ、協力してもらって助かる」
「いいですよ。それにインサイダーはむかつくです。悪い投資家は嫌いなのです」

 インサイダーと話す前に何度もずっと控えているように念を押しておいてよかった。

「今回はラビイの働きがカギになると思う」
「任せるですよ!」


 更にラビイに頼んでポーション工房も拡張した。
 材料の薬草はたくさんある。
 どんどん量産してもらうのだ。

 そして武具も量産して貰っている。

「どのくらいの物資が必要なのです?」
「分からない。グレスに聞いて大体の数で作ってもらっている。正確な予想が出るのは初心者ダンジョンと中級ダンジョンを1つずつ消滅させてからだな」
「ふっふっふ、頑張るですよ!」
 
 ラビイは大量の物資を作成した。

 ウサットは農地をクワで耕してもらった。

「ふぉおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 ウサットが収穫の終わった畑を耕す。

 その後ろからファーマーが種を撒いて土を被せ、ドリアード族と協力して野菜や穀物を量産する。

 俺とリースはダンジョンで魔石を集めた。
 集めた魔石はラビイに渡す。

 俺は隙を見てフィルの元に向かった。

「なあ、聞きたいんだけど、女神ってインサイダーの問題を分かってるんだよな?」
「分かっていると思います」
「女神の出てくるタイミングが悪すぎないか?あと数か月でインサイダーを弱らせることが出来た」

「タイミングが悪いように見えても、結果良い結果をもたらす事もあります。それか、本当に余裕が無い可能性もあります」
「深刻な女神力不足か」
「はい」

 確かにダンジョンの消滅は放置してきた。
 だが、インサイダーを何とかしてからの方が効率がいいと思った。
 だから後回しにした。

 ……今はダンジョンの消滅に集中しよう。

 王は形だけでもインサイダーに物資の献上を呼びかけるらしい。
 呼びかけに応じることは無いだろうがそれによりインサイダーの立場を少しでも悪くすることは出来る。

 インサイダーとの決着は後回しか。
 
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