深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ

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安い時に買って高くなったら売る。それが出来れば金持ちだ

マナ

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「マナ、扉で立ってないで入ってくれ」

 マナは俺の膝の上に座る。
 マナの柔らかい体の感触が伝わって来る。
 しかも俺を背もたれにしてもたれかかって来る。

「マナ、ウッドゴーレムはどうした?」
「ウッドゴーレムならダンジョンに行っているにゃあ」

 マナが俺のアイスコーヒーを見つめる。

「私も、甘いの、飲む」

 マナは苦い物は飲まない。
 メイドがすぐに飲物を準備する。
 フルーツジュースを味わいながら飲んでいく。

「ジュン様、私から提案があるのですが」
「何だ?」
「マナを幹部に引き入れては?」

 マナが反応する。

「幹部、する」

 確かに種族の多様性はあった方が良い。
 だが、マナは発言が得意ではない。
 今まで幹部は実力で選んできた。
 マナの植物魔法の能力はドリアード族の中でも1番だが、報告には向かない気がする。

「私も賛成なのです。マナには魔石をたまに貰っているのです」
「私も賛成にゃあ。マナの育てたフルーツはおいしいにゃあ」
「私も賛成です。マナの発言力を気にしているようですが、そこは他の者に任せれば問題無いと思います」
「ドリアード族はマナの発言は聞き、実行します。幹部としては重要な能力ですな」

「4幹部全員が賛成か、分かった。今からマナは幹部だ」
「幹部、なった」

 こうして、ロングスパン領の幹部は5人になった。

「続いて提案なのですが、今からマナの仕事ぶりを観察してはどうでしょう?」
「そう言えば最近マナの仕事を見ていない」

 ウサットがマナを幹部に推薦するほどだ。
 マナの貢献度は高くなっていると報告も受けている。
 そこを考えた上での俺への観察の提案か?
 
「分かった」
「温泉、行く」

 マナが俺の服を引っ張った。



 木の城に入るとすぐにゴーレムカーがあった。
 エルフの女性が俺を案内し、マナは俺におんぶされている。

 俺達はゴーレムカーに乗った。

「ラビイが作ったのか?」
「そうですよ、あまり動かないドリアード族の為に必要だったんです」
「動かすために魔石を消費するよな?」

「そうですね。でも、そうしないとドリアード族は木の城に入らずすぐ寝ちゃうんですよ」
「確かに、そうか。てあれ魔道エレベータか!」

 木の城の中央部には円状の大きな板の足場がある。
 乗り込むと板が浮いて俺達を上階へと運ぶ。

 最上階に着くと、木の葉っぱのカーテンに覆われ木漏れ日が差し込む。
 大樹の葉が強すぎる光と風を和らげていた。
 植物園と温泉が混ざったような幻想的な空間に目を奪われる。
 そこにはドリアード族が温泉に浸かって浮いていた。

「設備が充実している。ガラス張りのベッドもあるのか」
「はい、ドリアード族は多くの時間をここで過ごします」
「ここにある全部の薬草を育てているのか?」

「そうです。ドリアード族の力でたくさんの薬草のストックが出来ました。更に、温かい温泉の近くで薬草栽培をする事で冬でも薬草の収穫が可能です」

 ポーションを作るために薬草は必須だ。
 ドリアード族が薬草を育てているおかげでポーションを安定生産できる。

 ポーションは前の世界で言う病院の機能に近い。
 この世界では寝ていれば傷は治るが魔物の襲撃のリスクがある。
 ポーションを常備しているかどうかで人の死亡数が変わる。

 特にポーションが不足して兵や冒険者が亡くなれば防衛力は落ちていく。
 ポーションの有無は防衛力の維持に直結する。


 魔石や食料と同じようにポーションは人々の生活を支える命綱なのだ。
 マナが俺におんぶされながら薬草に魔法をかけていく。
 マナの魔法の能力は他のドリアード族と比べ高かった。



 その日はのんびりと温泉に浸かるマナを見つめて時間が過ぎた。




 夜になるとマナが寝室におんぶされてついてくる。

「眷属、なる」
「眷属にしていいのか?」

 マナがこくりと頷く。
 いつも笑顔なので感情が分からない。
 マナが服を脱いで背中を向けた。

「契約するぞ」

 マナがこくりと頷いた。
 俺が背中に手を当てて契約を交わす。
 マナが眷属になった。

 マナが服を脱いだまま言った。

「エチエチ、する?」
「ん?一緒に寝てもいいのか?」

「エチエチ、する」
「わ、分かった」

 俺はマナと一緒に寝た。




 チュンチュンチュン!
 小鳥のさえずりで目を覚ます。
 マナはまだ眠っている。
 そこにラビイとリース、そしてフィルが入って来るがフィルの顔が赤い。

「マナもジュンのものになったにゃあ」
「後はフィルだけなのです」

 マナが目を覚まし、俺にもたれかかりながらフィルを見つめる。
 残りの全員もフィルを見つめた。

「わ、私は受付の仕事があります」

 顔を赤くしながらフィルは立ち去った。

「フィルは恥ずかしがりだにゃあ」
「でも、それはエロの裏返しなのです。フィルの想像力は高いと思うのです」

 マナが後ろから抱き着いてきた。 
 リースとラビイもベッドに潜り込んでくる。



 その日からマナは俺におんぶされる事が多くなった。


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