深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ

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金持ちは株か不動産だよな

重騎士ウザジャマ

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「ジュン様、3貴族の1人、ウザジャマが視察にやってきました」

 ウサットが礼をする。

「話をしていたら早速か、通してくれ」
「ついに闘いの幕が開けるのです」

 ウザジャマが護衛を連れて入って来る。




【ウザジャマ視点】
 
 俺の名はウザジャマ。
 3貴族の1人だ。

 検討士ケントは俺の視察の前に脱落したか。
 まあ当然か。
 奴は4貴族最弱。

 我らと同格に扱われるのは納得いかなかった。
 消えてもらって好都合。

 俺の得意技は粘り強い交渉力!
 何度も何度も何度も何度も粘り強く交渉を続け、有利な条件を勝ち取ってきた。
 
 毎日領地を視察し、毎日指摘を繰り返す。
 するとどうだろう?
 相手は『分かった。言う通りにするからもう来ないでくれ』と道を譲る。

 粘り強さが私の武器!
 そして俺が視察に行く際は常にフルアーマーを装備する。
 俺の大きい体とフルアーマーすらも交渉に利用する。
 そして俺は屈強な重騎士部隊を指揮する有能な指揮官。
 さらに俺自身も高い戦闘力を持っている。

 後ろの2人の護衛も優秀な重騎士だ。
 さあ、交渉開始だ。


「俺の名はウザジャマ、ウザジャマ男爵だ」
「俺はジュンだ。所でさっきから魔力を垂れ流しているが喧嘩をしに来たのか?」

「何を言っている?自然と私の大きすぎる魔力が溢れていただけの事。ああ、このフルアーマーか。怖がらせてしまったようだな。戦場での戦いこそが俺の務め。この鎧は正装だと思ってくれ。内政の英雄は最近民の住居を用意するのに手間取っているようだな。まだまだ経験が足りないらしい」

「他に言いたいことはあるか?」

「世界を救うべき英雄なのに内政の英雄と言われているようだが、世界を救うなら戦のが手っ取り早い」

「他には?」

「美女ばかりを囲い込み、顔で幹部を選んでいるらしいが、実力で選ぶべきだろう」

「まだあるか?」

「ん?そ、そうだな」

 周りを囲まれている。
 執事が俺に近づいてくる。

「失礼、大事なフルアーマーに汚れが付いております。お拭きしましょう」

 ギシギシギシ!
 執事が鎧を拭くたびに鎧が歪む。
 馬鹿な!重騎士用のフルアーマーだぞ!
 馬鹿力め!

「おや、重騎士という割に柔らかい鎧をつけているようですな。お気をつけください。今後は毎日気を付けて生活する事ですな」
「きょ、今日の所は帰らせてもらう」

 俺は足早にその場を後にした。

「な、何なのだ!?あの執事は、俺の鎧が歪んでいる。ありえない。いや、きっと度重なる魔物との戦いで鎧が元々歪んでいたのだ。そうに違いない」

 そう、明日だ。
 明日また視察に行こう。
 次は最上級のフルアーマーを装備して視察に行く。




「また来たのか」

 ふふふ、この最上級の鎧をつけた俺に恐れをなしたか。
 奴はしょせん内政しか能の無い男。
 奴の後ろには4幹部が控えている。

 奴の恐怖の裏返しだろう。

「そうだ。話が終わっていないからな」
「で、何の用だ?」
「俺がこの領地を経営してやろう」

「帰れ」

 そう言って奴は立ち去ろうとする。

「貴様!貴族である俺への侮辱!許せん!」

 俺は剣を抜く。
 だが奴は更に前に出た。

「なあ、俺は子爵で男爵のお前より爵位は上だ。しかも剣を抜いたか。最も、暴力を振るえば幸運値が下がる。すぐにしまうんだな」
「舐めるなああああ!」

 俺の振った剣を奴は受け止めた。
 剣が動かない。
 両腕に力を込め、全身で剣を引っ張るがびくともしない。

「何が起きている!」
「普通殺そうとするか?お前、自分が何をしようとしたか分かっているのか?」

「ぐ、ぐうう、失礼する!!!」

 その後剣を鞘にしまおうとして気づいた。
 剣が曲がっている。
 奴が握った事で歪んだのか!?

 馬鹿な!
 最高級装備だぞ!
 おかしい。



 その後俺は王に呼び出されて厳重注意を受けた。
 次は無いと言われた。
 更に我らはロングスパン領への出入りを禁止された。
 そして度重なる魔物の襲撃と徐々に減っていく領民、更に資金の枯渇によってじわじわと追い詰められる。

 俺は王都への撤退を決めた。
 だが、領民の数は半分以下に減ってしまった。
 資金も枯渇した。

 俺の交渉力が通用しないだと!
 無念だ。



【ジュン視点】

「ウザジャマの奴、やっと居なくなったか」

 俺は幹部会議で不満を漏らした。

「でも居なくなりました。一安心です」
「まだ2つの領地が残っている。あいつらはまともに話をしても駄目だと思う。普通剣で斬りかかって来るか?」

 戦えるならまず開拓地の魔物刈りを優先すればいいだろ?
 領民が少ないのに精鋭3人で交渉に来る判断がおかしい。

 その間に領地が襲撃を受けてるし。
 ……危機の時に領主不在とかまずいだろ。

「どんどんジュンの対応が厳しくなっているです。でもこれは戦い。それが正解なのです」
「丁寧に対応するのが馬鹿らしくなってきたんだ」

「ジュン様はものすごい勢いで4貴族に打ち勝っております」
「相手が自爆しているだけだ」
「ウザジャマの領民がこの地への移民を申し出ています」

「受け入れできる範囲でまともな者は受け入れてくれ」
「分かりました」
「どんどん領民が増えているのです」

「疲れた」
「それはいけませんな」
「フィルと1つになることでジュンのストレスも吹っ飛ぶです!」

「わ、私は」
 
 フィルは何故か胸を腕で隠す。

「ラビイ、無理強いは良くない」

「ふむ、ですがジュン様の休息は必要でしょう。細かな雑務は私が請け負います。皆で海に出かけるのはいかがでしょう?」

「皆で出かけるにゃあ」
 
 こうしてビーチに出かける事になった。
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