深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ

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金持ちは株か不動産だよな

屈辱のインサイダー【インサイダー視点】

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 インサイダーは帰路につきながら屈辱に震える。
 ワシが侯爵に格下げだと!
 若造の王めが!
 ワシの偉大さを分かっておらん。

 ワシの半分も生きておらん分際で何をほざくか!
 ワシの発言に何度も反論を返し、ワシの言う事を聞こうともせん。
 せっかくワシの知恵を授けてやろうとしたのに。
 ありがたくうなずいて聞いておればいいのだ!

 ワシは何も言わん貴族を代表して真実を言ったにすぎん!
 更にあのグレスはワシの行く道を止めようとしおった。
 このワシの行く手を阻もうとするなど言語道断。

 極めつけはあの内政の英雄だ。
 ワシにため口を聞き、事あるごとに言い返してくる。
 しかもワシの狙っておったリースとフィルを眷属にした。

 更にワシの領地である土地を勝手に王家に献上しおった。
 あの土地はワシが運営する事で栄えるはずだったのだ。
 しかもワシに無断で勝手に献上しおった。
 おかげでワシは恥をかいた。

 更にワシの主力産業であるポーションの販売も奴のおかげで販売単価が下がった。

 やはり一番の害は内政の英雄か。




 インサイダーの性格は歪んでいた。
 自分が言う事は正しく、他の者が言う事は間違っている。
 そう信じて疑わない。

 自分の意見はありがたく聞くのが当然。
 だが自分が何か言われるのは我慢できないのだ。
 




「インサイダー様!魔物の群れです!」

 護衛の兵士が剣を構える。
 また魔物か。
 まったく、何度出てくるのだ。

 ガゴン!
 インサイダーの乗る馬車にイノシシの魔物が突撃した。
「ひ!ひいいい!早く倒すのだ!」
 


 護衛が魔物を倒すとインサイダーの説教が始まる。
「貴様らの護衛はなっとらん!」

 インサイダーは自分に何かあると反射的に人のせいにする。
 そしてその時によって指示が二転三転する。
 
 だが魔物が出る原因はインサイダーの幸運値がマイナスな事も大きい。
 こうして自分の領に帰るまでに何度も魔物に襲われ、そのたびに兵士に説教をする。

 唯一の良い点は暴力を振るわない点だ。

 インサイダーはこうしてじわじわと幸運値を下げていくが、本人は『幸運値を下げてでもお前らの為に言ってやっている』と恩着せがましい態度を崩さない。
 そして自身は真の善人だと思っているのだ。




 自身の領に帰るとすぐに執事から報告を受ける。

「インサイダー様、この領地に住む約1割の民が移民しました」
「何だと!なぜ止めない!」

「いえ、移民は民の自由ですので」
「そうではない!なぜ止めなかったかと聞いている!」

「移民は民の自由だと思った為です」
「これだから無能は。お前にも言って聞かせねばならんか」

 こうして説教が始まる。
 インサイダーの執事や使用人の入れ替わりは激しい。

 そして民からの評判も悪い。
 税は他の領より少し高い程度だが問題はそこではない。

 インサイダーのジョブは投資家だ。
 食うに困った者と契約し、貸した金を返済できなければ執拗に取り立てる。
『返す契約をした』と執拗に相手を責める。
 相手の事情はお構いなしでとにかく容赦がない。

 投資家のスキルを投資に使わない。
 投資家のスキルを高利貸しの為に使用する。

 

 領地に帰って3日経ったが怒りが収まらない。
 やはり内政の英雄は許せない。
 リースを眷属にした。

 許せない。
 リースの故郷の港町の税金を上げよう。

 そして王だ。
 ポーションの販売を止めてやる。
 そうすればワシの貢献に気づくはずだ。
 王は泣いて謝り、ワシの爵位を元に戻すだろう。

 次の貴族会議が楽しみだ。

 
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