深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ

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金持ちは株か不動産だよな

不動のマナ

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 お菓子を食べ終わると、マナが俺の服を引っ張る。

「お風呂」

 俺はマナを運んで木の城のお風呂に向かった。


 お風呂に向かうと服を脱いで裸になる。

「ふ、服を着てくれ」

 後ろからエルフの女性が入って来る。
「はーい。お風呂に入る時は水着を作りましょうね」

 ん?水着を作る?

 ドリアード族が植物魔法で水着を作っていく。
 布が体に巻かれていく。

「そんなことも出来るのか」
「フィルも風呂に入るか?」
「わ、私はいいです」

 フィルは赤くなって出て行った。
 俺も出て行こうとするとマナに服を掴まれた。

「ここは女性しかいないから男の俺は出て行くよ」
「大丈夫ですよ、皆気にしませんから」

 エルフの女性の言う通り皆気にしていないようだ。
 100人のドリアード族がお風呂に入っていく。
 俺もマナをおんぶして風呂に入る。

 マナの柔らかい感触が伝わる。
 しかもエルフも水着を着て入って来る。
 全員美人揃いだ。

 マナにお湯をかけて風呂に入れるとぷかぷか浮いている。
 ドリアード族全員が顔だけ出してがぷかぷか浮いていた。

 風呂には植物が生い茂り、木の実が実っている。
 更に薬草まで植えてある。

「薬草って栽培できるのか?」
「普通は無理ですが、ドリアード族は出来ますよ。魔力が回復したら皆でちょっとずつ薬草を育てています」

「なんで風呂に薬草を植えてるんだ?」
「1日の大半を皆お風呂で過ごしますから」
「グロウアップサンライトクラウドレイン」

 マナが急に薬草に魔法を使う。
 早!急に早口になった。
 のんびりしたいつもの様子からのギャップが凄い!

「マナはドリアード族一番の魔法の使い手なんです」
「ジュン、あれ取って」
「果物が食べたいのか?」

 マナがこくりと頷く。
 俺が果物を取ると他のドリアード族も果物をせがんでくる。
 たくさん取って湯船に浮かべるとみんながシャリシャリと果物をゆっくり食べる。

 癒される。



 
「グロウアップサンライトクラウドレイン」

 マナが魔法を使った後動かなくなった。
 今まであまり動かなかったが一切動かない。

「ど、どうした?」
「覚えた」
「ん?」
「念願の、覚えた」

 マナが手を前にかざす。

「ウッドゴーレム!」

 2メートルほどの高さの木のゴーレムが姿を現す。
 周りのドリアード族が声を上げる。

「おお~」
「ついに覚えたね」
「やっぱりマナが最初だったね」
「良かったよ~」

 マナがウッドゴーレムに命令する。

「ウッド、果物を取って」

 ウッドゴーレムは果物を取って来る。
 そういう使い方をするのか。

「ウッド、抱っこして」

 ウッドゴーレムがマナを抱っこする。
 良かったけど、これでマナはますます動かなくなるんじゃないか?





「……って事があったんだ」
 俺は4幹部とディナーを食べながらマナの事を話した。

「ウッドゴーレムが出せるならウッドゴーレムが倒した魔物の経験値はマナに入るにゃあ」

「レベル上げが安全に出来るか。俺の経験値投資で戦闘力を貸し出せばもっと早くレベル上げを出来る。気になったのは、ウッドゴーレムって回復魔法やポーションは効くのか?」

「効かないと思います。でも、土に埋まればちょっとづつ回復していきますよ」
「私のシャドウで護衛しながら中級ダンジョンで魔物を狩って貰えばすぐレベルアップにゃあ」

「そうか、マナに話してみよう。うーん」
「どうかされましたかな?」
「今ドリアード族と他のファーマーで農地を分けているけどお互いの強みを補い合って共同で農地の生産を行えば収量は増えると思う。それと木の城ががらんとしている。石の城は宿屋が一杯だけど、木の城にはドリアード族100人と10人のエルフしかいない。宿屋として有効活用できないか考えていた」

「私が対策しましょう。それと、ポーションの献上品が出来上がっています。後いくら必要ですかな?」

 少し待ってほしい。
 俺はポーションをストレージに入れた。

「後3684本欲しい」

 その後、マナとリースはウッドゴーレムとシャドウで出かけて行き、のんびり過ごしつつレベルを上げて行った。

 ウサットは農地の共同生産と木の城の有効活用を進める。
 ラビイはポーションを作り続け、フィルは移民の受け入れを進めた。

 そして俺は経験値投資とアイテム投資以外何もしていない。
 何か手伝おうとしても断られる。


「領主が忙しくなることはその領地の危機を意味します。ごゆるりとお過ごしください」
「私は大丈夫です。ゆっくりしていてください」
「ジュンはゆっくりしているですよ。領主に負担をかけるのは良くないです」

 ウサット・フィル・ラビイは全員俺をゆっくりさせようとする。
 だがのんびり派の俺に最近新たな仲間が出来た。

 マナとリースだ。

 マナはいつものんびりしてるし、リースはシャドウのスキルを使うと安心したようにだらだらと過ごすようになった。
 
 リースの元々の性格は働きたくない者なのかもしれない。
 いや、気分で仕事をしたいの方が正しい。
 リースはスラムの者を助ける為昔は頑張っていたが今はその必要が無くなりのんびりしている。

 それでもリースとマナの貢献度は高い。

 そんな皆に経験値投資を使い、経験値をせしめる俺は、IT業界のプラットフォーマーのように感じてしまう。

 ITのプラットフォーマーだと販売価格の30%を自動で徴収するが、俺は50%を経験値投資で貰っている。

 リースやマナの事を批判できないし俺は皆よりチートなのだ。


「レベル、30になった」
「おめでとう」
「ついに目標達成だにゃあ」

「これでマナは強くなったか。マナ、リース、3人でダンジョンに行ってこないか?」
「行ってみるにゃあ」
「行く」



 俺達は3人で中級ダンジョンに向かった。

「シャドウ!」
「ウッドゴーレム」

 2人のスキルで黒いリースと木のゴーレムが出現する。
 シャドウとウッドゴーレムが先行して魔物を倒し、魔石を拾っていく。

「まさか、ここでも俺の出番なしか?」

 そのまさかだった。
 シャドウとウッドゴーレムが魔物を倒し、俺がたどり着くころには戦闘が終わっている。
 たまに魔物が出てもリースの手裏剣かマナのウッドニードルで魔物が倒される。
 
「あれ、25階まで来たけど一切俺戦ってないぞ」
「経験値投資の戦闘力貸し出しで私とマナが強化されているからにゃあ。活躍しているにゃあ」

「一気に30階まで行こうか」
「それがいいにゃあ」



【30階】

 俺はストレージで家を出した。
 そして食事とお菓子も出す。

「ちょっと魔物を狩ってくる」
「マナとリースはここで休んでいてくれ」

 近くにシャドウとウッドゴーレムが居るから休んでも問題無いだろう。
 俺は全力で魔物を狩る。
 目についた魔物にパンチを放って魔石をキャッチしていく。




 無心で魔物を倒し、周りが暗くなるまで魔物狩りを続けた。
 出した家の近くで焚火をして一人で考える。
 最近誰かと一緒にいる事が多かった。

 孤独になる事が無い。
 一人で考えないと深く考えることが出来ない。
 リースとマナには先に眠って貰った。

 次の方針をどうするか焚火を見ながら考える。
 今ロングスパン領は安定しつつある。
 領民も増えている。

 王都の人口問題は完全ではないがある程度改善された。
 他に出来る事が思いつかない。

 俺は今何もしていない。
 だががむしゃらに動いて良くなるわけではない。
 頑張る必要は無い。
 頑張って良くなることなら頑張るがそうではないのだ。
 俺が暇なのは気にする必要は無い。

 どんどん、考えて問題を絞っていく。
 最後に残ったのはインサイダー公爵の事だ。

 あいつはかなり厄介だ。
 自分に甘く他人に厳しい。 
 何かあればすぐ人のせいにし、自分だけはまともな人間だと思っている。

 俺の中に関わりたくないという思いと、どうにかするべきという考えが同居している。

 俺は、日本に居る時ああいう相手を出来るだけ相手にしないように生きてきた。
 関わると何度もひどい目に会い、責任を押し付けられてきた。
 でも今この世界で俺はそれなりの力を持っている。

 1番の目標は世界を救う事だ
 あいつを抑えなければこの国の発展が阻害される。
 俺はいつもの癖でインサイダー公爵を半分相手にしなかった。

 中途半端に口を出して貴族会議を終わらせていた。

 でも今対峙するべきはあいつか。
 ラビイとウサットの言う通りだ。
 インサイダー公爵を潰す。

 それも無理なら力を抑える。
 インサイダーはこの国唯一の公爵家だ。
 大きな力を持っているらしい。

 インサイダー公爵を何とかするには……。
 俺は焚火の炎が消えるまで考え続けた。
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