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金持ちは株か不動産だよな
新しい領地
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次の日、朝起きるとウサットが控えていた。
「おはよう」
「おはようございます。兵士長グレス殿率いる兵士隊は新・ロングスパン領の魔物狩りへと向かいました」
昨日ドリアード族の救援から帰ったばかりなのに動きが早い。
1階のホールに向かうと、テーブルの上で幹部とマナが模型を作っていた。
「城は絶対必要なのです」
「何をやっているんだ?」
「今新しい領地の建設計画を考えています」
「この模型が新しい領地の建設計画か?」
「小さすぎるです?」
「違う違う!大きすぎるんだ」
「今意見が割れているにゃあ。ジュンに意見を聞きたいにゃあ」
「俺は小さめの家で良いと思うけど、そこそこ防衛が出来て、温泉宿屋のような所に住みたい」
その言葉を聞いてラビイとマナが俺を見る。
「イメージがわいてきたのです!」
「温泉、新しい領地、住む」
「新しい領地に住むのか?」
「ドリアード族は水浴びが好きなんです。お風呂はもっと好きなんです」
「温泉だけで住むことを決めるのか?」
「温泉は大事だと思います」
フィルも温泉が好きなようだ。
しばらくしてホールに戻ると模型が完成していた。
5階建ての城に隣接するように明らかに大きな木がある。
木の中に人が入れるようになっていて、温泉とサウナがあり、城と木の周りには防壁が周囲を取り囲む。
この中に全員住めるんじゃね?
「ちょ、ちょっと待ってくれ!立派な作りなのは分かる。だけど大きすぎないか?」
「アンケートの結果約1000名が新領地に住むことになったです」
思ったより人数が多い。
500人くらいに減ると思っていた。
「王城より大きいよな」
「王城に負けないくらい立派にするのです」
あれ?伝わらないか?
遠回しに王城より大きくしないで欲しいと言ったんだが?
「こんなに立派なのは必要ないだろう。最初は小さく始めるのが事業の基本だ。作るのが大変なはずだ」
「必要なのです」
「ジュン様にお住み頂く為この規模は必須でしょう。今までが狭すぎたのです」
「完成が楽しみにゃあ」
「私も大きいお風呂に入りたいです」
俺の反対意見は4幹部全員に否定される。
そして、プロジェクトは動き出した。
作ったポーションなどはすべて売ってお金に換え城の建設資材に変えていく。
更に資材確保部隊が動き出し、俺が何もしなくても自動的に物事が進む。
◇
今まで建設の為出かけていたラビイとウサットが帰ってきた。
「さあ、新しい領地に行くですよ!」
「もう出来たのか?」
「それは、まだなのです。でも、住むことは出来るです」
「うん、行こう」
領民全員で移動するとそこにはきれいな景色が広がっていた。
遠くを見ると海が見え、近くには大きな川と山がある。
そして、街が広がっていた。
「まだ完成していないです。まだ仮設の家しかないのです」
ラビイは俯く。
「十分だろ。てか、これでよくね?仮設どころか立派な家だろ」
「それは駄目なのです」
少し先には建設途中の城と大きな木があり、ドリアード族が大樹の近くで眠っている。
「ドリアード族が倒れている!何があった!」
「深刻な魔力不足なのです」
「実はな。アイテム投資のスキルが強化されているんだ」
「ふぇ?それがどうしたですか?」
俺はストレージから魔石を取り出した。
「お、大きいのです!立派なのです!」
「これだけあれば足りるか?」
「これですぐに作業は進むですよ!」
「ラビイ、建設が終わってからでいいんだけど、ポーションをたくさん作って欲しい。たくさんアイテム投資にセットできるようにな」
俺のアイテム投資のスキルは強化されているのだ。
どうやら最大セット数が上昇していくようだ。
だが1日で1%だけ増えるのは変わらないようだ。
【その日の早朝】
「大変にゃあ!みんなが倒れているにゃあ!」
「魔物か!」
「分からないにゃあ、でもみんな魔力が無いにゃあ!」
俺はラビイに駆け寄る。
「何があった!」
「でき、た、です」
俺は建設途中だった城を見る。
そこには立派な城と山のように高い大木がそびえ立っていた。
まさか、徹夜で城を作っていたのか?
ラビイを見ると満足げな顔をしてすやすやと眠っていた。
ドリアード族も気持ちよさそうに地面で眠る。
騒ぎを聞きつけて外に出た領民は歓声を上げる。
石の城と大木が合わさった立派な城が朝露と朝日を浴びてキラキラと輝いていた。
ドリアード族とうさぎ族がベッドに運ばれていく。
皆疲れてはいても満足げな寝顔を見せていた。
「は!ここは!」
「ラビイ、起きたか」
「城はあるですか!夢じゃないですか!」
「大丈夫だ。城は完成している。今城の中に居る」
ラビイは安堵していた。
今まで魔力を使い果たすまで頑張ってきたんだ。
真剣になるのも分かる。
ドリアード族もうさぎ族もどっちもすごいよ。
あんなに楽しそうに木を成長させたり、城を作っているんだ。
だがそれももう終わりだ。
皆には休息が必要だ。
皆に休んで欲しい。
「ラビイ、しばらく休んでくれ。みんなも休んでいる」
「分かったのです」
「これでしばらくは落ち着くな」
「そうなのです。これでやっと第一区画は終わったのです」
「……ん?今何って言った?」
「これでやっと第一区画は終わったのです?」
「第一区画ってなんだ?」
「第一区画はこの城区域の事なのです。人口が増えたら第二区画に着手するのです」
「そうだなあ。どこから聞けばいいか、第何区画まで予定があるんだ?」
「第四なのです」
「模型の城は出来たよな?」
「それはあくまで第一区画なのです」
「人口が増えなければ区画を広げなくていいんだよな?」
「安心するです。人口はどんどん増える見込みなのです」
「遠い未来に期待しよう」
「すぐにぶっちぎってやるです。インサイダー公爵をぼこぼこにしてやるです」
「いや、ほどほどを目指したい」
「謙遜は良いのです」
「謙遜じゃない。今回の戦いは長くなる。ラビイは現に倒れている。ゆっくり行こう」
「3カ月以内にぎゃふんと言わせるです」
「3カ月は短期目標だ」
どうやら俺の話を逸らす作戦は失敗したようだ。
「おはよう」
「おはようございます。兵士長グレス殿率いる兵士隊は新・ロングスパン領の魔物狩りへと向かいました」
昨日ドリアード族の救援から帰ったばかりなのに動きが早い。
1階のホールに向かうと、テーブルの上で幹部とマナが模型を作っていた。
「城は絶対必要なのです」
「何をやっているんだ?」
「今新しい領地の建設計画を考えています」
「この模型が新しい領地の建設計画か?」
「小さすぎるです?」
「違う違う!大きすぎるんだ」
「今意見が割れているにゃあ。ジュンに意見を聞きたいにゃあ」
「俺は小さめの家で良いと思うけど、そこそこ防衛が出来て、温泉宿屋のような所に住みたい」
その言葉を聞いてラビイとマナが俺を見る。
「イメージがわいてきたのです!」
「温泉、新しい領地、住む」
「新しい領地に住むのか?」
「ドリアード族は水浴びが好きなんです。お風呂はもっと好きなんです」
「温泉だけで住むことを決めるのか?」
「温泉は大事だと思います」
フィルも温泉が好きなようだ。
しばらくしてホールに戻ると模型が完成していた。
5階建ての城に隣接するように明らかに大きな木がある。
木の中に人が入れるようになっていて、温泉とサウナがあり、城と木の周りには防壁が周囲を取り囲む。
この中に全員住めるんじゃね?
「ちょ、ちょっと待ってくれ!立派な作りなのは分かる。だけど大きすぎないか?」
「アンケートの結果約1000名が新領地に住むことになったです」
思ったより人数が多い。
500人くらいに減ると思っていた。
「王城より大きいよな」
「王城に負けないくらい立派にするのです」
あれ?伝わらないか?
遠回しに王城より大きくしないで欲しいと言ったんだが?
「こんなに立派なのは必要ないだろう。最初は小さく始めるのが事業の基本だ。作るのが大変なはずだ」
「必要なのです」
「ジュン様にお住み頂く為この規模は必須でしょう。今までが狭すぎたのです」
「完成が楽しみにゃあ」
「私も大きいお風呂に入りたいです」
俺の反対意見は4幹部全員に否定される。
そして、プロジェクトは動き出した。
作ったポーションなどはすべて売ってお金に換え城の建設資材に変えていく。
更に資材確保部隊が動き出し、俺が何もしなくても自動的に物事が進む。
◇
今まで建設の為出かけていたラビイとウサットが帰ってきた。
「さあ、新しい領地に行くですよ!」
「もう出来たのか?」
「それは、まだなのです。でも、住むことは出来るです」
「うん、行こう」
領民全員で移動するとそこにはきれいな景色が広がっていた。
遠くを見ると海が見え、近くには大きな川と山がある。
そして、街が広がっていた。
「まだ完成していないです。まだ仮設の家しかないのです」
ラビイは俯く。
「十分だろ。てか、これでよくね?仮設どころか立派な家だろ」
「それは駄目なのです」
少し先には建設途中の城と大きな木があり、ドリアード族が大樹の近くで眠っている。
「ドリアード族が倒れている!何があった!」
「深刻な魔力不足なのです」
「実はな。アイテム投資のスキルが強化されているんだ」
「ふぇ?それがどうしたですか?」
俺はストレージから魔石を取り出した。
「お、大きいのです!立派なのです!」
「これだけあれば足りるか?」
「これですぐに作業は進むですよ!」
「ラビイ、建設が終わってからでいいんだけど、ポーションをたくさん作って欲しい。たくさんアイテム投資にセットできるようにな」
俺のアイテム投資のスキルは強化されているのだ。
どうやら最大セット数が上昇していくようだ。
だが1日で1%だけ増えるのは変わらないようだ。
【その日の早朝】
「大変にゃあ!みんなが倒れているにゃあ!」
「魔物か!」
「分からないにゃあ、でもみんな魔力が無いにゃあ!」
俺はラビイに駆け寄る。
「何があった!」
「でき、た、です」
俺は建設途中だった城を見る。
そこには立派な城と山のように高い大木がそびえ立っていた。
まさか、徹夜で城を作っていたのか?
ラビイを見ると満足げな顔をしてすやすやと眠っていた。
ドリアード族も気持ちよさそうに地面で眠る。
騒ぎを聞きつけて外に出た領民は歓声を上げる。
石の城と大木が合わさった立派な城が朝露と朝日を浴びてキラキラと輝いていた。
ドリアード族とうさぎ族がベッドに運ばれていく。
皆疲れてはいても満足げな寝顔を見せていた。
「は!ここは!」
「ラビイ、起きたか」
「城はあるですか!夢じゃないですか!」
「大丈夫だ。城は完成している。今城の中に居る」
ラビイは安堵していた。
今まで魔力を使い果たすまで頑張ってきたんだ。
真剣になるのも分かる。
ドリアード族もうさぎ族もどっちもすごいよ。
あんなに楽しそうに木を成長させたり、城を作っているんだ。
だがそれももう終わりだ。
皆には休息が必要だ。
皆に休んで欲しい。
「ラビイ、しばらく休んでくれ。みんなも休んでいる」
「分かったのです」
「これでしばらくは落ち着くな」
「そうなのです。これでやっと第一区画は終わったのです」
「……ん?今何って言った?」
「これでやっと第一区画は終わったのです?」
「第一区画ってなんだ?」
「第一区画はこの城区域の事なのです。人口が増えたら第二区画に着手するのです」
「そうだなあ。どこから聞けばいいか、第何区画まで予定があるんだ?」
「第四なのです」
「模型の城は出来たよな?」
「それはあくまで第一区画なのです」
「人口が増えなければ区画を広げなくていいんだよな?」
「安心するです。人口はどんどん増える見込みなのです」
「遠い未来に期待しよう」
「すぐにぶっちぎってやるです。インサイダー公爵をぼこぼこにしてやるです」
「いや、ほどほどを目指したい」
「謙遜は良いのです」
「謙遜じゃない。今回の戦いは長くなる。ラビイは現に倒れている。ゆっくり行こう」
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