45 / 113
金持ちは株か不動産だよな
王都への帰還
しおりを挟む
「ドリアード族は王都を見学したいようだ。一緒に帰還する」
「流石ですなあ」
「ん?」
「ジュン様の一声で気の長いドリアード族が即決しました」
「その通りなのです!」
「武人である私では難しい事でした。ジュン殿が居て助かりました」
「一手で状況を覆したにゃあ」
また皆勘違いしている。
俺の幸運値の高さのおかげだな。
「すぐ出発の準備を始めてくれ。それとドリアード族は移動は苦手だと思う。森を出たら荷車を出してドリアード族を乗せたい」
その瞬間ウサットの筋肉が隆起する。
「お任せください。私が荷車を引きましょう」
「頼んだ。だがまだ人が足りない。後は俺と他の者にもお願いしたい」
「ジュンが運ぶのは駄目なのです!ジュンは私達の当主なのです!」
「その通り!他の者は私が選びましょう」
100人をウサットだけが運ぶのは無理だろ。
「20名の兵を使ってください」
「ではローテーションを組んで速度を落とさないように移動する事にしましょう」
フィルとグレスが会議を始めた。
俺は荷車係から外れる。
出発の時間となりマナに連絡しに行く。
「マナ、出発の時間だ」
マナは笑顔で両手を差し出してくる。
俺に運んで欲しいのか?
俺が距離を詰めるとマナは子供のように無防備に抱き着いてきた。
「ちょ!ちょっと待て!パンツとブラジャーをつけてないだろ!」
ワンピースがめくれ上がる。
そして胸の感触を感じる。
「ラビイ、来てくれ」
ラビイに素早くマナのズボンと下着を作ってもらった。
マナは俺におんぶされつつ出発する。
こういう生き物どこかで見た事がある。
……ナマケモノだ!
そして俺の出発は遅れ最後尾に居た。
走って前に進む。
森を抜け道に入ると俺はストレージから荷車を出す。
「私の出番が来たようですな」
「ウサットさんには負けない」
「今回ばかりは俺が勝つだよ」
マッチョ達のマウント合戦が始まる。
そして荷車を引くマッチョ達の競争が始まった。
「それでは、よーい、スタート!」
フィルの合図とともに荷車がものすごい勢いで走り出す。
馬より速いんじゃないか?
「後方部隊!急ぐのですよ!」
「兵も後れを取るな!走れ!」
ウサット達に遅れないようにみんなも走り出す。
こうして素早い旅路が早まった。
【王都の門兵視点】
「ロングスパン領の主力と兵士の主力が遠征に行ってから少し暇になった」
「そうだな、朝と夕方以外はただでさえ暇なのにさらに暇になったぜ」
2名の兵士があくびをしながら話をする。
「ドリアード族は助かったかな?」
「何とかなるだろ。内政の英雄が直接向かったんだ」
「更に兵士長グレスとリースも居るか」
「そう言う事だ」
「うさぎ族のウサットにも尋常じゃないオーラを感じる」
「内政の英雄の下についてからマッチョになったよな」
「マッチョだけどそれだけじゃない。内から湧き出る凄味みたいなものを感じる」
「……おい、気のせいか?遠くに砂埃が上がっている」
「気のせいじゃない!魔物か!報告してくる!」
「待て!魔物じゃない!ドリアード救援隊だ!」
先頭を見るとマッチョの集団が荷車を引いて凄い勢いで近づいてくる。
「何て迫力だ。通常の3倍のスピードで接近してくる」
「あれがウサット。ファーマーでありながらクワ1つで魔物の群れを惨殺したウサットか」
「何てプレッシャーだ」
「まだまだ若い衆には負けませんぞ!!」
ウサットがぶっちぎりの1位で防壁の門に到着する。
「く!ウサットには勝てなかったか!」
「レベル差なのか!」
遅れて他のマッチョも到着する。
兵士たちが土煙でむせる。
「おや、これは失礼しました」
ウサットが執事のように礼をする。
急に礼儀正しくなったウサットに門兵は畏怖の念を感じていた。
マッチョモードと紳士モードの緩急が強すぎるのだ。
さらに後ろから本体が到着する。
「私が先に門をくぐるわけにはまいりません。ジュン様の為に道を空けるのです」
すべてのマッチョが横に道を空ける。
更に荷車には【森の賢者】と呼ばれるドリアード族が居た。
横に道を空け礼をするマッチョ。
そして森の賢者の神秘的な姿。
その開けた道を通るジュンに門兵は畏怖の念を感じていた。
「このまま出迎えしないのはまずい!」
「俺、皆に知らせてくる」
「俺もだ!」
こうしていつものようにパレードが始まった。
【ジュン視点】
「またパレードが始まってる」
「仕方のない事なのです。ジュンの凄味は皆に隠せない域まで達しているのです」
「いや、ウサット達のマッチョ軍団が目立つんだろ?それと、ドリアード族は王都の民にとっても珍しいのか」
「私もドリアード族は最近初めて見たです」
「特にエルフが神を崇めるように祈ってるんだけど?」
「エルフにとってドリアード族は神秘的な存在。精霊と同じようにみられているですよ。そしてそのドリアード族をおんぶして運ぶジュンは更に上位の存在に見られているのです」
「周りのおかげか」
あれだよな。
普通の人間でも王様のような恰好をして、周りの者がそれっぽく振舞ったら偉い人間に見えてくる。
つまり俺の力は一切働いていない。
「そんなことは無いのです。ジュンは英雄なのです。その時点で崇められる存在なのです。更に皆を救い、森の賢者たるドリアード族を連れ帰ったです」
「それだけではありません」
グレスが会話に入ってきた。
グレス!お前もか、お前だけは話に乗ってこないと思っていた。
「ジュン殿は多くの兵士が畏怖の思いを持って接しています。ジュン殿の力を知らない者でも、何かを察しているようなのです」
「兵士が俺を王のように扱うからだろ」
「それは仕方のない事です。ジュン殿のおかげで多くの者が少し前の私と同程度まで戦闘力を上昇させています。結果今月の死者数は一人もいません」
グレス、兵士長のお前が俺にそういう丁寧な態度を取っているのも原因の1つだと思うぞ。
そういえば最近グレスの活躍をよく聞く。
グレス率いる兵士が大量の魔物を狩り、王都周辺は安全になり、王都に人が集まって来るようになった。
グレス率いる兵士隊が居れば王都は安全と思われている。
人口が増えたせいかパレードの規模が大きくなっている。
歩いていると周りが更にざわざわし始める。
「おい!あそこを見ろ!王が道の途中で出迎えている!」
「本当だ!王ですら内政の英雄の前では礼を尽くすと言う事か!」
普通なら城で待つべき王がパレードの途中で兵を従え立って待っていたのだ。
大歓声に包まれた。
「流石ですなあ」
「ん?」
「ジュン様の一声で気の長いドリアード族が即決しました」
「その通りなのです!」
「武人である私では難しい事でした。ジュン殿が居て助かりました」
「一手で状況を覆したにゃあ」
また皆勘違いしている。
俺の幸運値の高さのおかげだな。
「すぐ出発の準備を始めてくれ。それとドリアード族は移動は苦手だと思う。森を出たら荷車を出してドリアード族を乗せたい」
その瞬間ウサットの筋肉が隆起する。
「お任せください。私が荷車を引きましょう」
「頼んだ。だがまだ人が足りない。後は俺と他の者にもお願いしたい」
「ジュンが運ぶのは駄目なのです!ジュンは私達の当主なのです!」
「その通り!他の者は私が選びましょう」
100人をウサットだけが運ぶのは無理だろ。
「20名の兵を使ってください」
「ではローテーションを組んで速度を落とさないように移動する事にしましょう」
フィルとグレスが会議を始めた。
俺は荷車係から外れる。
出発の時間となりマナに連絡しに行く。
「マナ、出発の時間だ」
マナは笑顔で両手を差し出してくる。
俺に運んで欲しいのか?
俺が距離を詰めるとマナは子供のように無防備に抱き着いてきた。
「ちょ!ちょっと待て!パンツとブラジャーをつけてないだろ!」
ワンピースがめくれ上がる。
そして胸の感触を感じる。
「ラビイ、来てくれ」
ラビイに素早くマナのズボンと下着を作ってもらった。
マナは俺におんぶされつつ出発する。
こういう生き物どこかで見た事がある。
……ナマケモノだ!
そして俺の出発は遅れ最後尾に居た。
走って前に進む。
森を抜け道に入ると俺はストレージから荷車を出す。
「私の出番が来たようですな」
「ウサットさんには負けない」
「今回ばかりは俺が勝つだよ」
マッチョ達のマウント合戦が始まる。
そして荷車を引くマッチョ達の競争が始まった。
「それでは、よーい、スタート!」
フィルの合図とともに荷車がものすごい勢いで走り出す。
馬より速いんじゃないか?
「後方部隊!急ぐのですよ!」
「兵も後れを取るな!走れ!」
ウサット達に遅れないようにみんなも走り出す。
こうして素早い旅路が早まった。
【王都の門兵視点】
「ロングスパン領の主力と兵士の主力が遠征に行ってから少し暇になった」
「そうだな、朝と夕方以外はただでさえ暇なのにさらに暇になったぜ」
2名の兵士があくびをしながら話をする。
「ドリアード族は助かったかな?」
「何とかなるだろ。内政の英雄が直接向かったんだ」
「更に兵士長グレスとリースも居るか」
「そう言う事だ」
「うさぎ族のウサットにも尋常じゃないオーラを感じる」
「内政の英雄の下についてからマッチョになったよな」
「マッチョだけどそれだけじゃない。内から湧き出る凄味みたいなものを感じる」
「……おい、気のせいか?遠くに砂埃が上がっている」
「気のせいじゃない!魔物か!報告してくる!」
「待て!魔物じゃない!ドリアード救援隊だ!」
先頭を見るとマッチョの集団が荷車を引いて凄い勢いで近づいてくる。
「何て迫力だ。通常の3倍のスピードで接近してくる」
「あれがウサット。ファーマーでありながらクワ1つで魔物の群れを惨殺したウサットか」
「何てプレッシャーだ」
「まだまだ若い衆には負けませんぞ!!」
ウサットがぶっちぎりの1位で防壁の門に到着する。
「く!ウサットには勝てなかったか!」
「レベル差なのか!」
遅れて他のマッチョも到着する。
兵士たちが土煙でむせる。
「おや、これは失礼しました」
ウサットが執事のように礼をする。
急に礼儀正しくなったウサットに門兵は畏怖の念を感じていた。
マッチョモードと紳士モードの緩急が強すぎるのだ。
さらに後ろから本体が到着する。
「私が先に門をくぐるわけにはまいりません。ジュン様の為に道を空けるのです」
すべてのマッチョが横に道を空ける。
更に荷車には【森の賢者】と呼ばれるドリアード族が居た。
横に道を空け礼をするマッチョ。
そして森の賢者の神秘的な姿。
その開けた道を通るジュンに門兵は畏怖の念を感じていた。
「このまま出迎えしないのはまずい!」
「俺、皆に知らせてくる」
「俺もだ!」
こうしていつものようにパレードが始まった。
【ジュン視点】
「またパレードが始まってる」
「仕方のない事なのです。ジュンの凄味は皆に隠せない域まで達しているのです」
「いや、ウサット達のマッチョ軍団が目立つんだろ?それと、ドリアード族は王都の民にとっても珍しいのか」
「私もドリアード族は最近初めて見たです」
「特にエルフが神を崇めるように祈ってるんだけど?」
「エルフにとってドリアード族は神秘的な存在。精霊と同じようにみられているですよ。そしてそのドリアード族をおんぶして運ぶジュンは更に上位の存在に見られているのです」
「周りのおかげか」
あれだよな。
普通の人間でも王様のような恰好をして、周りの者がそれっぽく振舞ったら偉い人間に見えてくる。
つまり俺の力は一切働いていない。
「そんなことは無いのです。ジュンは英雄なのです。その時点で崇められる存在なのです。更に皆を救い、森の賢者たるドリアード族を連れ帰ったです」
「それだけではありません」
グレスが会話に入ってきた。
グレス!お前もか、お前だけは話に乗ってこないと思っていた。
「ジュン殿は多くの兵士が畏怖の思いを持って接しています。ジュン殿の力を知らない者でも、何かを察しているようなのです」
「兵士が俺を王のように扱うからだろ」
「それは仕方のない事です。ジュン殿のおかげで多くの者が少し前の私と同程度まで戦闘力を上昇させています。結果今月の死者数は一人もいません」
グレス、兵士長のお前が俺にそういう丁寧な態度を取っているのも原因の1つだと思うぞ。
そういえば最近グレスの活躍をよく聞く。
グレス率いる兵士が大量の魔物を狩り、王都周辺は安全になり、王都に人が集まって来るようになった。
グレス率いる兵士隊が居れば王都は安全と思われている。
人口が増えたせいかパレードの規模が大きくなっている。
歩いていると周りが更にざわざわし始める。
「おい!あそこを見ろ!王が道の途中で出迎えている!」
「本当だ!王ですら内政の英雄の前では礼を尽くすと言う事か!」
普通なら城で待つべき王がパレードの途中で兵を従え立って待っていたのだ。
大歓声に包まれた。
0
お気に入りに追加
560
あなたにおすすめの小説
異世界転移したよ!
八田若忠
ファンタジー
日々鉄工所で働く中年男が地球の神様が企てた事故であっけなく死亡する。
主人公の死の真相は「軟弱者が嫌いだから」と神様が明かすが、地球の神様はパンチパーマで恐ろしい顔つきだったので、あっさりと了承する主人公。
「軟弱者」と罵られた原因である魔法を自由に行使する事が出来る世界にリストラされた主人公が、ここぞとばかりに魔法を使いまくるかと思えば、そこそこ平和でお人好しばかりが住むエンガルの町に流れ着いたばかりに、温泉を掘る程度でしか活躍出来ないばかりか、腕力に物を言わせる事に長けたドワーフの三姉妹が押しかけ女房になってしまったので、益々活躍の場が無くなりさあ大変。
基本三人の奥さんが荒事を片付けている間、後ろから主人公が応援する御近所大冒険物語。
この度アルファポリス様主催の第8回ファンタジー小説大賞にて特別賞を頂き、アルファポリス様から書籍化しました。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる