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金持ちは株か不動産だよな
女神の依頼
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女神の出現に皆が跪く。
俺だけは椅子に座ったままコーヒーを啜る。
こいつに跪く気はない!
「……」
「……」
「ジュン、本題に入ってもいいですか?」
「言ってくれ」
「ドリアード族が絶滅の危機に瀕しています」
「保護して連れてくればいいか?具体的にどんな危機が迫っているか分かるか?」
「ドリアードの住まう地に向かうのです。そこで感じ、成すべきことをするのです」
女神が消えた。
俺の質問に一切答えない。
まるで占い師のようだ。
依頼だけ出してすぐに消えればぼろは出さなくて良くなる。
今後このパターンが続くだろう。
ウサットたちが騒ぎ出す。
「やはりジュン様は女神ファジーに認められし真の英雄!」
「全部受け答えはメモしたよ」
その隙に俺はフィルを別室に呼ぶ。
「なあ、女神の急に出て来るあれ何なんだ?フィルを眷属にする時についでに要件を言えば良かったと思うんだが?」
「女神さまは予言のような能力があります。今分かったのでしょう」
「予言か。それならしょうがないが、女神の計画性が無いから急に現れた説は無いか?」
「無い、と、思い、ます」
フィルの反応を見るに、女神には計画性は無い。
「所で女神の深刻な女神力不足はなんなんだ?ダンジョンを後いくつ潰せば改善されるか分かるか?」
「分かりません。聞いても要領を得ないんです。女神さまは感覚で物事ををとらえているんです。ダンジョンをたくさん消滅させてからまた聞くしかないと思います。それとジュンがあまり怒ると女神様は泣いて連絡を拒否します」
「……分かった」
女神に聞いても分からないし意味が無いという事実が分かった。
明日は貴族会議だ。
余裕がありそうならダンジョンの消滅について発言してみよう。
俺達はウサットたちの元へと戻る。
「ドリアード族ってどんな種族なんだ?」
「ドリアード族は森の賢者と呼ばれています。森に住み、とても長寿で植物魔法を操る者たちです」
「他に特徴はあるか?」
「気が長く、のんびりしています」
「明日の貴族会議が終わったらすぐに出発したい。場所は分かるか?」
「大体の場所は分かります。私が今から王の元へと赴き、正確な情報を確認してまいります。そして、ジュン様の成すべき英雄の務めもきっちりと伝えさせていただきます。これによりジュン様の名声はさらに高まるでしょう」
ウサットの言い方に嫌な予感がする。すぐに止めよう。
だがその前にウサットは礼をして飛ぶように走り去った。
「反射的に止めるべきだった。出遅れたか」
すぐに王とグレスが来た。
「話は聞かせてもらった。ジュン殿、すぐに準備を整え、ドリアード族の救出に向かって欲しい」
「貴族会議は欠席でいいか?」
「構わない」
イケメンのエルク王がキラキラと歯を輝かせながらにこやかに笑う。
それは良いんだけど、王も動き早くね!
すぐ来ただろ?
同じ王都内なのに早馬を使っただろ!
「私も同行します。兵は100名しか同行できません。準備不足です」
「いや十分だろ」
外を見ると100の兵がやってきている。
「さあ、今すぐ出発するです!」
他のみんなも旅支度を整えていた。
「キャンプに行くにゃあ!」
「そうだな、キャンプ気分で行くのもいいかもな」
今の所ドリアード族がどう困っていてどのように絶滅の危機にあるのか分からない。
対処方法すら分からないのだ。
「この国最強のグレスとリースが居るんだ。安心だ」
グレスとリースは顔を見合わせた。
「なるほど、ジュン殿の真の力を晒してしまわぬよう精進します!」
「私はジュンが冗談を言ったのかと思ったにゃあ」
「これは失礼」
そう言って2人が笑う。
いや、冗談を言ったんじゃなく本気で頼りにしているんだが、まあいい。
「さあ、見送りの準備も出来ているですよ!」
街の外に向かって王都の民がパレードを作っていた。
お前らパレード好きだよな!
お祭り好きなのか?
日本と違って娯楽が少ないこの王都はちょっとしたことで人が集まって来るのかもしれない。
「キャー!エルク様あ!」
「グレス様!こっち向いてえええ!」
「エルク王と兵士長グレスのファンが多い」
「そんなことは無い。ジュン殿のファンも多い」
「ジュン!俺たちは応援してるぜええ!」
「ジュン殿の活躍、期待しておりますぞ!」
マッチョ冒険者とインテリの男が俺を応援する。
「男に人気か」
「それだけではありません。ジュン殿のファンの女性は引っ込み思案な者が多いのです。あそこの女性の集団はジュン殿のファンクラブの者でしょう」
グレスが指を差した先を見ると、同じ服を着た女性の集団があった。
背中にはモノクロの男の絵が描かれていた。
椅子に座り右手で本を読みつつ左手には金貨が握られた絵。
「あの背中の絵って俺か?」
「そうなのです。高く売れたのです」
「あれ?お前俺を馬鹿にしてる?」
金貨を握りしめている時点で明らかに良いイメージはない。
金を稼ぐために本を読んで企んでいるように見える。
「違うのです!金貨と本は投資家の象徴なのです!そしてジュンは投資家のイメージを変えつつあるのです」
「ジュン殿、早く出発したいのですが?」
「すまなかった。色々とラビイにツッコミどころが多くてな」
俺達は歩き出すが俺が先頭を歩くことになった。
グレスに先頭を任せようとしたが絶対に言う事を聞かない。
「今日は色々あった。だけどなんでみんなすぐに集まって来るんだ?情報が早すぎないか?」
「うさぎ族の子供が走ってみんなに伝えたです。伝えるとお駄賃を貰えるのです」
それどういうシステム?
王都の者は動きが早い。
それに出発するのも夜とか関係なく動くよな。
俺は王に見送られ、ドリアード族の住む森を目指した。
俺だけは椅子に座ったままコーヒーを啜る。
こいつに跪く気はない!
「……」
「……」
「ジュン、本題に入ってもいいですか?」
「言ってくれ」
「ドリアード族が絶滅の危機に瀕しています」
「保護して連れてくればいいか?具体的にどんな危機が迫っているか分かるか?」
「ドリアードの住まう地に向かうのです。そこで感じ、成すべきことをするのです」
女神が消えた。
俺の質問に一切答えない。
まるで占い師のようだ。
依頼だけ出してすぐに消えればぼろは出さなくて良くなる。
今後このパターンが続くだろう。
ウサットたちが騒ぎ出す。
「やはりジュン様は女神ファジーに認められし真の英雄!」
「全部受け答えはメモしたよ」
その隙に俺はフィルを別室に呼ぶ。
「なあ、女神の急に出て来るあれ何なんだ?フィルを眷属にする時についでに要件を言えば良かったと思うんだが?」
「女神さまは予言のような能力があります。今分かったのでしょう」
「予言か。それならしょうがないが、女神の計画性が無いから急に現れた説は無いか?」
「無い、と、思い、ます」
フィルの反応を見るに、女神には計画性は無い。
「所で女神の深刻な女神力不足はなんなんだ?ダンジョンを後いくつ潰せば改善されるか分かるか?」
「分かりません。聞いても要領を得ないんです。女神さまは感覚で物事ををとらえているんです。ダンジョンをたくさん消滅させてからまた聞くしかないと思います。それとジュンがあまり怒ると女神様は泣いて連絡を拒否します」
「……分かった」
女神に聞いても分からないし意味が無いという事実が分かった。
明日は貴族会議だ。
余裕がありそうならダンジョンの消滅について発言してみよう。
俺達はウサットたちの元へと戻る。
「ドリアード族ってどんな種族なんだ?」
「ドリアード族は森の賢者と呼ばれています。森に住み、とても長寿で植物魔法を操る者たちです」
「他に特徴はあるか?」
「気が長く、のんびりしています」
「明日の貴族会議が終わったらすぐに出発したい。場所は分かるか?」
「大体の場所は分かります。私が今から王の元へと赴き、正確な情報を確認してまいります。そして、ジュン様の成すべき英雄の務めもきっちりと伝えさせていただきます。これによりジュン様の名声はさらに高まるでしょう」
ウサットの言い方に嫌な予感がする。すぐに止めよう。
だがその前にウサットは礼をして飛ぶように走り去った。
「反射的に止めるべきだった。出遅れたか」
すぐに王とグレスが来た。
「話は聞かせてもらった。ジュン殿、すぐに準備を整え、ドリアード族の救出に向かって欲しい」
「貴族会議は欠席でいいか?」
「構わない」
イケメンのエルク王がキラキラと歯を輝かせながらにこやかに笑う。
それは良いんだけど、王も動き早くね!
すぐ来ただろ?
同じ王都内なのに早馬を使っただろ!
「私も同行します。兵は100名しか同行できません。準備不足です」
「いや十分だろ」
外を見ると100の兵がやってきている。
「さあ、今すぐ出発するです!」
他のみんなも旅支度を整えていた。
「キャンプに行くにゃあ!」
「そうだな、キャンプ気分で行くのもいいかもな」
今の所ドリアード族がどう困っていてどのように絶滅の危機にあるのか分からない。
対処方法すら分からないのだ。
「この国最強のグレスとリースが居るんだ。安心だ」
グレスとリースは顔を見合わせた。
「なるほど、ジュン殿の真の力を晒してしまわぬよう精進します!」
「私はジュンが冗談を言ったのかと思ったにゃあ」
「これは失礼」
そう言って2人が笑う。
いや、冗談を言ったんじゃなく本気で頼りにしているんだが、まあいい。
「さあ、見送りの準備も出来ているですよ!」
街の外に向かって王都の民がパレードを作っていた。
お前らパレード好きだよな!
お祭り好きなのか?
日本と違って娯楽が少ないこの王都はちょっとしたことで人が集まって来るのかもしれない。
「キャー!エルク様あ!」
「グレス様!こっち向いてえええ!」
「エルク王と兵士長グレスのファンが多い」
「そんなことは無い。ジュン殿のファンも多い」
「ジュン!俺たちは応援してるぜええ!」
「ジュン殿の活躍、期待しておりますぞ!」
マッチョ冒険者とインテリの男が俺を応援する。
「男に人気か」
「それだけではありません。ジュン殿のファンの女性は引っ込み思案な者が多いのです。あそこの女性の集団はジュン殿のファンクラブの者でしょう」
グレスが指を差した先を見ると、同じ服を着た女性の集団があった。
背中にはモノクロの男の絵が描かれていた。
椅子に座り右手で本を読みつつ左手には金貨が握られた絵。
「あの背中の絵って俺か?」
「そうなのです。高く売れたのです」
「あれ?お前俺を馬鹿にしてる?」
金貨を握りしめている時点で明らかに良いイメージはない。
金を稼ぐために本を読んで企んでいるように見える。
「違うのです!金貨と本は投資家の象徴なのです!そしてジュンは投資家のイメージを変えつつあるのです」
「ジュン殿、早く出発したいのですが?」
「すまなかった。色々とラビイにツッコミどころが多くてな」
俺達は歩き出すが俺が先頭を歩くことになった。
グレスに先頭を任せようとしたが絶対に言う事を聞かない。
「今日は色々あった。だけどなんでみんなすぐに集まって来るんだ?情報が早すぎないか?」
「うさぎ族の子供が走ってみんなに伝えたです。伝えるとお駄賃を貰えるのです」
それどういうシステム?
王都の者は動きが早い。
それに出発するのも夜とか関係なく動くよな。
俺は王に見送られ、ドリアード族の住む森を目指した。
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