深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ

文字の大きさ
上 下
32 / 113
人に投資をするのが1番効率がいいよな

無双

しおりを挟む
 1000のゴブリンの元へと向かうが、グレスの表情は硬い。
 ゴブリンは王都の近くまで迫っていたようで1日のキャンプでゴブリン部隊と遭遇した。

 1000のゴブリン。
 1500の混合軍。
 数はこっちが有利か。

 草原に両軍が布陣し終わった。
 うさぎ族のみんなが前に出たいと激しく主張する。
 俺の力を隠しておきたいようだ。

「先陣は私達うさぎ族が務めるです!」

 レベルが上がったウサットが筋肉を隆起させる。
「我らの力を見せつけてやります」

「私も前に出るにゃあ」
「俺も前に出るっすよ!レベル30組は全員前に出るのが良いと思うっす」

「「その通り!」」

「分かった。だけど俺も前に出る」

 全員が首を横に振った。
「魔将にジュン様の力が漏れる可能性があります」
「そうなのです。出るとしたら劣勢になりどうしようもなくなった時なのです!でも私達がそうはさせないのです!」

「そろそろゴブリンとぶつかる」
「では話し合い通りに」

 レベル30組は走って前線に飛び出していった。

 ウサットのたくましい筋肉が更に隆起する。
「ふん!」
 持ったクワで岩を砕いてつぶてをゴブリンに飛ばす。
 ゴブリンは霧に変わり、魔石が地面に落ちる。

 クワってそういう武器だっけ?

 眷属のメイド木こりが両手で斧を持って駒のように回転する。
 ゴブリンが斧で両断されていく。

 ラビイは綺麗なステップを踏み、ハンマーを振り回す。
 百発百中でゴブリンを1撃で屠っていく。

 女性陣の動きは綺麗だな。
 でもやってることはゴブリンの惨殺だ。

「私も行くにゃあ!」
 太ももにセットした小物入れから手裏剣を取り出して両手で投げる。
 複数のゴブリンを倒し、更に二刀流の小刀でゴブリンに突っ込んでいった。

 さっきまで表情の硬かったグレスは驚愕した表情で固まる。
「グレス、後ろから前線を押し上げてくれ」

「は!そうだ!全軍突撃!!」

 これ、戦いじゃなく一方的な虐殺だろ。
 ゴブリンは一気に数を減らし、あっという間に全滅する。
 俺の出番無し。

 戦いが終わるとグレスが俺の元にやってきた。
「流石ジュン殿、素晴らしい働きでした。ここまでうさぎ族を育て上げるのはかなりの努力が必要だったことは分かります」

 いや?俺は経験値投資を使っていただけだ。
 それに今回俺は何もしていない。
 ……幸運値か。
 幸運値の力だな。

 他の兵士も集まって来る。
「流石ジュン殿の軍勢、うさぎ族を最弱と呼ぶ者はここにはいないでしょう」

 何もやって無いからな。
 ラビイやみんなも集まって来る。

「ふふん!すべてはジュンの力なのです!皆ジュンを崇めるのです!」
 ラビイはまた変な事を言い出す。

「ジュン様のお力、存分に振るわせていただきました」
 ウサットの力だからな。
 俺は何もしていない。

 だが何を言っても分かってもらえないだろう。
 話を終わらせよう。

「キャンプをして今日は休もう」
 グレスや兵士は俺達のキャンプにも驚いていた。
 
 テントじゃなく家を設置するし、食べ物はストレージから出して料理した新鮮な食べ物。
 かなり革新的な動きだったらしい。

 この世界で生産ジョブは弱く、遠征に連れて行けない。
 だからストレージ持ちは同行できないのが普通らしい。
 しかも料理を作るのは料理人で、料理自体がうまい事にも驚かれた。

 俺達が普通にやってきたことは、グレスたちにとって普通じゃないらしい。



 キャンプの準備が終わり、夜の炊き出しが配られると、グレスが話しかけてきた。
「2泊目ですが、この革新的な動きにまだ慣れません」

「普通の事だと思っていた」
「絶対に違います」

 グレスの表情が和らぐ。
「ですが、ゴブリンの討伐がうまくいって良かった」

「だな。次なんだけど、中級ダンジョンに向かいたい。兵士のある程度を王都に返して、出来れば1000以上の人数で中級ダンジョンに向かいたい」

「リン殿は大丈夫でしょうか?」
「分からない、ただリンの役目はスライムの魔将に包囲される事だったんじゃないか?」

「……まさか!最後までリン殿を放置する気ですか!」
「察しがいいな。その通りだ。話を聞いて欲しい」
「わ、分かりました」

「元勇者のタケルの話になる。最強の呪いを使うスカルボーンは勇者のビックマウスを鵜呑みにして呪いの力を使い、力を失った。今回のリンの件も同じように思う」

「リン殿は【軍】の能力を持つスライムを足止めし、それによって世界を救うとこにつながると、そう言いたいのですか?」

「そう思っている。女神が言っていた。英雄は立派な人間じゃなくても良いと。後こうも言っていた。世界を救うためにどんな方法を取っても構わないと」

 この世界の歴史では英雄を殺す為、【軍】の魔将が周りの兵を疲弊させ、【呪い】の魔将の自爆攻撃で英雄を弱体化させ、魔王と魔将、デーモンで包囲して英雄は打ち取られている。

 つまり厄介な【軍】と【呪い】に対抗するために勇者タケルと賢者リンが居た。
 それが俺の結論だ。

「話は、分かりました。ですがあなたの判断で英雄リンが失われれば、あなたは批判を浴びるかもしれない」

「その時はその時だ。それにリンにはいい薬だとも思っている」
 グレスが笑い出した。

「ん?そんなに面白かったか?」
「ははは、いえ、失礼。ですがあなたも普通の人間のような事を言うのですね。安心しました」

「グレス、俺は聖人君子ではない。ただの変わり者だ」
「人と違うと認識している時点であなたは常識人です。ただ、勇気はあると思っています」

「とにかく、次は中級ダンジョンな。中級ダンジョンで兵士のレベルアップも行いたい。それで王都の貴族から批判が出ようが、中級ダンジョンに行ってしまえばこっちのものだ」

「やはり【軍】の魔将は厄介なのですか?」
「遭遇してないから分からないけど、歴史を見れば【軍】と【呪い】が厄介だと思う。弱い順に出て来てもらえれば助かるんだけどな」

「魔王は容赦がありません。そうはいかないでしょうね」

 そう、魔王や魔将は舐めプしない。
 一気に全勢力を投入するし、手段を択ばない。
 この世界はゲームとは違うのだ。



しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

救助者ギルドから追放された俺は、ハズレだと思われていたスキル【思念収集】でやり返す

名無し
ファンタジー
 アセンドラの都で暮らす少年テッドは救助者ギルドに在籍しており、【思念収集】というスキルによって、ダンジョンで亡くなった冒険者の最期の思いを遺族に伝える仕事をしていた。  だが、ある日思わぬ冤罪をかけられ、幼馴染で親友だったはずのギルド長ライルによって除名を言い渡された挙句、最凶最悪と言われる異次元の監獄へと送り込まれてしまう。  それでも、幼馴染の少女シェリアとの面会をきっかけに、ハズレ認定されていた【思念収集】のスキルが本領を発揮する。喧嘩で最も強い者がここから出られることを知ったテッドは、最強の囚人王を目指すとともに、自分を陥れた者たちへの復讐を誓うのであった……。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 1~8巻好評発売中です!  ※2022年7月12日に本編は完結しました。  ◇ ◇ ◇  ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。  ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。  晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。  しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。  胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。  そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──  ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?  前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

処理中です...