深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ

文字の大きさ
上 下
28 / 113
人に投資をするのが1番効率がいいよな

ネコ忍者

しおりを挟む
 キスが終わると、俺は話を続ける。
「見られている」
「見せつけてやるです!」

「いや、そうじゃなくて、隠れて俺達を見張っている者が居るんだ」
「は!まさか刺客!」

「フィルに聞いたんだ。スラムにはネコ忍者と呼ばれる実力者がいると、きっと筋肉ムキムキの恐ろしい顔をした奴が見張っている」

「え?もしかして男だと思っているですか?」
「は!まさか女マッチョ!」
「マッチョから離れるですよ」

「く、さっきから気配を感じる。スラムの手下を無下に扱ったら手裏剣が飛んでくるのか!緊張感が半端ない!」
「実際見てもらった方が早いです。ネコ忍者!出てくるですよ!もう気配は察知されてるです!」

 木の茂みから女性が姿を現す。
「バレバレだったかにゃあ?」
 ブラウンの髪色にショートカット。
 クリっとしたブラウンの目に人懐っこさを感じる。
 頭から猫耳と後ろに尻尾が生えている。
 
「リースがネコ忍者の正体なのです」
「マッチョじゃない!」

 めっちゃ美人じゃないか!
 しかも優しそうな顔をしている。
 人を殺しそうなやばさはない。

「スラムの人を無下に扱ったら手裏剣が飛んでくるかと思っていた」
「違うのです。スラムの人に稼いだお金の大部分を配っている優しいネコ族なのです」

「忍者で暗殺が得意だとか」
「隠れたり奇襲するのは得意だけど、人を襲ったりはしないにゃあ」

「……思ってたのと違う」
「がっかりしたかにゃあ?」

 リースがグイッと俺の顔に近づいてくる。
 胸を当ててくるのがルールなのか?
 柔らかい感触が気持ちいい。

「たまに影からジュンの事を見ていたにゃあ。子供にパンを渡すか迷ったり、どうしたらみんなのレベルを上げられるか何度も紙を書き直したり、良い人間なのは分かったにゃあ」

「なんで見張ってたんだ?」
「最初は投資家だから警戒してたにゃあ。でも、スラムのみんなを助けてくれて助かったにゃあ。お礼を言うにゃあ」

「今まで隠れてたのは何でなのです?」
「タイミングを逃したにゃあ。夜はベッドで激しいし出て行っても不審者に思われるにゃあ。だから昼にしようと思ったら、いきなりキスし始めて出て行けなかったにゃあ」

「そっか、出来たら手伝って欲しい。魔物をセーフゾーンの近くに呼び寄せるのに多くのうさぎ族が必要になっている。そのせいでうさぎ族の生産力を犠牲にしている」

「任せるにゃあ。シャドウ!」
 黒いリースの分身が現れた。

 分身の術だと!
 かっこいいじゃないか!

 リースが身軽な動きで分身と共に走り去ると、すぐに魔物を引き連れて戻ってきた。

「斥候能力が高いのか。流石忍者」
「忍者は上級ジョブなのです」
「勇者とか賢者と同じランクって事か?」
「そうなのです」

「いいな。忍者まで行かなくても斥候は欲しい。他のネコ族の仲間がいれば雇いたい」
 ネコ族は斥候系のジョブが多い。
 
「呼んだかにゃあ?」

「リース、跪いてジュンの眷属になるのです!」
「ラビイ、やめろ!」
 ラビイはたまに過激な事を言う。
 気を付ける必要がある。

「眷属かにゃあ?」
 リースが俺に密着するほど近づいてくる。


「すんすん!この匂いは、いい匂いにゃあ。すーはー」
 リースの目がトロンと潤み、妙な色気を感じる。
 
 自分の体を擦りつけるように密着させ、吐息を荒くする。
「ちょ!ちょっと待て」

「は!すまなかったにゃあ。また夜にお邪魔するにゃあ」

 シュン!
 リースはその場から居なくなる。
 ラビイは納得したように頷いた。

「もっと手伝って欲しかったんだが」



 ◇



 夜になりベッドで横になるが、何故かみんなベッドに入ってこない。
 ラビイもメイドも全員立ったままだ。
「これどういう状況?」

 窓を叩く音がする。
「来たのです」

 ラビイが窓を開ける。
「リース、体は清めて来たですか?」
「清めて来たにゃあ」

 いや、扉から普通に入ってきてくれ。
 忍者は窓から入って来るルールでもあるのか?

「ジュンの愛を受けたいなら、今すぐにジュンの眷属になるです!ジュンは暗殺されやすいのです!誠意を見せるです!」
  急にラビイが叫ぶ。
 声が大きい。

「ラビイ、急に叫ぶな。それに眷属になるのは急すぎるだろ。眷属になれば俺に逆らえなくなるんだ」
「暗殺をしない証の為に眷属になるです!」

「分かったにゃあ。ジュンのあの匂い。もう我慢できないにゃあ。眷属にするにゃあ」
 リースが服を脱いでいく。
 匂い?
 リースは匂いが好きなのか?

 リースが背中を向けて座る。
「眷属にして欲しいにゃあ」
「……わか、らないな。理解が追い付かない」

「ネコ族は勘がいいのです。ジュンを見て匂いを嗅いですべてを知ったのです。ジュンに恋に落ちたですよ。でも安全の為英雄ジュンの眷属になるです!ジュン、考えるな、感じろ、なのです」
「早く!早く眷属にして欲しいにゃあ!」

 いまいちピンと来ないまま俺はリースの背中に手を当ててリースを眷属にした。
 ラビイたちは部屋を出て行き、その日はリースと一緒に夜を過ごした。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮
ファンタジー
妻に先立たれた 後藤 丈二(56)は、その年代に有りがちな、家事が全く出来ない中年男性。 独り身になって1年ほど経つ頃、不摂生で自分も亡くなってしまう。 が、気付けば『切り番当選者』などと言われ、半ば押しつけられる様に、別の世界で第二の人生を歩む事に。 再び妻に巡り合う為に、家族や仲間を増やしつつ、異世界で旅をしながら幸せを求める…………話のはず。 独自世界のゆるふわ設定です。 誤字脱字は再掲載時にチェックしていますけど、出てくるかもしれません、すみません。 毎日0時にアップしていきます。 タグに情報入れすぎで、逆に検索に引っかからないパターンなのでは?と思いつつ、ガッツリ書き込んでます。 よろしくお願いします。 ※この話は小説家になろうさんでアップした話を掲載しております。 ※なろうさんでは最後までアップしていますけど、こちらではハッピーエンド迄しか掲載しない予定です。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

処理中です...