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人に投資をするのが1番効率がいいよな
貧困問題
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俺達は王都に帰還した。
うさぎ族のみんなは元気だった。
「いっぱい魔石を手に入れたです!これでいっぱい錬金生活が出来るです」
ラビイはにやにやと笑う。
他のメイド達もレベルに物を言わせて短期間で大量の野菜を栽培したり、大量の素材を売りさばいたりと、皆充実しているようだった。
特にファーマーのレベルが上がったのが大きい。
グロウアップで短期間のうちに作物を栽培し、その作物を家畜に与える流れが出来た。
これにより家畜の数を増やす事が決まり、肉も穀物も野菜も充実した。
「うさぎ族の勢いが凄い。この調子だとすぐにスキルも強化されるだろう」
様子を見に来たフィルに向かって呟く。
「そうですね。うさぎ族は救われました。ジュンのおかげですよ」
元々フィルがうさぎ族を助けて欲しいと言ったのが始まりだった。
フィルはうさぎ族が豊かになったのが嬉しいんだろう。
「そう言えば、前に話していた中級ダンジョンの魔物を全滅させる件ですが、うまくいきそうですか?」
「今の人数じゃ無理だな。うさぎ族で戦闘が出来る者は150名。数が足りない」
「では、スラムに居る貧困の人を訓練して、ついでに救ってもらえたら嬉しいんですけど、どうでしょう?」
フィルは基本人を助けようとする。
優しいよな。
「スラムか」
俺は考え込む。
困っている人に戦闘をしてもらって助けるのはいい。
だが、スラムには怠け者も居る。
俺に人を見抜く力は無い。
「王様もスラム問題には困っていますし、スラムの人は働き口が中々ありません。女性は体を売り、男性は過酷な作業をする事になります」
「いや、考えているのはそこじゃない。働き者は助けたいが、今怠け者を助ける余裕はない。人を見抜くことが出来ないんだ」
「それなら、私が見極めたら、貧しい人と契約してもらえますか?」
「それは大丈夫だけど、投資家との契約は難しくないか?投資家は信頼されていない」
「全員にではありませんが、ジュンの名声は高まっています。契約してくれる人はいると思います」
「希望者を集めてフィルに人間性をチェックしてもらう、か」
「はい、協力してくれたら嬉しいです」
フィルは相手を見抜く力を持っている。
それなら大丈夫か。
「ラビイやウサットにも聞いてみたい。うさぎ族の協力は必須だ」
「ジュンがやると言えば大丈夫だと思いますよ」
ラビイとウサットが滑り込んでくる。
「話は聞いていたです!やるですよ!」
「私の力をお使いください」
他のうさぎ族も盛り上がる。
「私もやる!」
「俺もやるぞ!」
「俺も俺も」
いつの間にか人だかりが出来ていた。
「私がスラムに行き呼びかけて来ましょう」
ウサットが飛ぶように走り去った。
行動が早すぎる。
そして、数百人のスラムの住人が集まってきた。
多数派の人間族が多いが、様々な種族が混ざっていた。
「どうしてこうなった!思ってたより多いぞ!」
「一気に面倒を見切れない。経験値投資のスキルを使えるのは一度に10人までだ」
だがラビイとウサットは嬉しそうに胸を張る。
「やはりジュン様の名声は高まっていますな」
「ジュンのやってきた事にやっとみんなの意識が追い付き始めたです」
フィルが焦りだす。
「す、すいません。ここまでになるとは!」
俺はフィルの両肩を掴む。
「ふぁあ!」
フィルが色っぽい声を上げた。
「フィル、10人ずつだ。人を選んで10人ずつ初心者ダンジョンに行って来る。次以降の候補者には整理券を渡して予約方式にしてくれ」
「わ、分かりました」
フィルは真っ赤になりながら答える。
俺は集まったスラムの人を眺めた。
400人くらいか?
ダンジョンに行くと聞いて諦める者も出てくるし怠け者はフィルがはじく。
多く見積もって200人がダンジョンに行くとして、20回転。
20回ダンジョンを往復しよう。
「ラビイ、メイドも連れてついて来てくれ」
「任せるです!物資も用意してすぐ向かうです!」
「フィル、すぐに10人を選んで家の中に入れて欲しい。俺達はストレージに物資を補充してくる。ラビイ、20回は初心者ダンジョンを往復すると思う」
「どんと来るですよ!」
【フィル視点】
私は全員に事情を説明し、帰らずに残った人から10人を選んでジュンの家に案内した。
家には料理が用意されており、10人は飲み込むように食事をした後、すぐジュンと一緒にダンジョンに向かって行った。
ウサットが家に入って来る。
「まだ外で待っている人が居るよ」
「え?分かりました。ギルドで次の方を選んで予約を終わらせます」
「私も力になれるかな?」
「はい、協力をお願いします」
次以降の5回先までの予約を完了させると、皆には帰って貰った。
ウサットがコーヒーを淹れてくれた。
「あ、ありがとうございます」
「お疲れ様だったね。しかし、ジュン様の人気は凄い」
「経験値投資の力でうさぎ族が豊かになりました。みんなジュンのスキルの凄さに気づき始めています」
フィルはコーヒーを啜りながらため息をついた。
「女性にもモテるだろう」
「モテるでしょうね」
「フィルもジュン様が大好きだよね」
「そうです、ね?」
フィルの持つコーヒーカップがカタカタと音を立てる。
「いつから気づいて、いえ!違うんです」
「隠すことは無いよ。フィルもジュン様の眷属になるといいよ。ジュン様もフィルの事を気に入っておられる」
「そうなんですか?」
「フィル、そういうふうに素直になるのが一番だよ」
顔が赤くなるのを感じる。
「わ、私は書類の整理がありますので」
私は恥ずかしくなってウサットの前から逃げるように立ち去った。
うさぎ族のみんなは元気だった。
「いっぱい魔石を手に入れたです!これでいっぱい錬金生活が出来るです」
ラビイはにやにやと笑う。
他のメイド達もレベルに物を言わせて短期間で大量の野菜を栽培したり、大量の素材を売りさばいたりと、皆充実しているようだった。
特にファーマーのレベルが上がったのが大きい。
グロウアップで短期間のうちに作物を栽培し、その作物を家畜に与える流れが出来た。
これにより家畜の数を増やす事が決まり、肉も穀物も野菜も充実した。
「うさぎ族の勢いが凄い。この調子だとすぐにスキルも強化されるだろう」
様子を見に来たフィルに向かって呟く。
「そうですね。うさぎ族は救われました。ジュンのおかげですよ」
元々フィルがうさぎ族を助けて欲しいと言ったのが始まりだった。
フィルはうさぎ族が豊かになったのが嬉しいんだろう。
「そう言えば、前に話していた中級ダンジョンの魔物を全滅させる件ですが、うまくいきそうですか?」
「今の人数じゃ無理だな。うさぎ族で戦闘が出来る者は150名。数が足りない」
「では、スラムに居る貧困の人を訓練して、ついでに救ってもらえたら嬉しいんですけど、どうでしょう?」
フィルは基本人を助けようとする。
優しいよな。
「スラムか」
俺は考え込む。
困っている人に戦闘をしてもらって助けるのはいい。
だが、スラムには怠け者も居る。
俺に人を見抜く力は無い。
「王様もスラム問題には困っていますし、スラムの人は働き口が中々ありません。女性は体を売り、男性は過酷な作業をする事になります」
「いや、考えているのはそこじゃない。働き者は助けたいが、今怠け者を助ける余裕はない。人を見抜くことが出来ないんだ」
「それなら、私が見極めたら、貧しい人と契約してもらえますか?」
「それは大丈夫だけど、投資家との契約は難しくないか?投資家は信頼されていない」
「全員にではありませんが、ジュンの名声は高まっています。契約してくれる人はいると思います」
「希望者を集めてフィルに人間性をチェックしてもらう、か」
「はい、協力してくれたら嬉しいです」
フィルは相手を見抜く力を持っている。
それなら大丈夫か。
「ラビイやウサットにも聞いてみたい。うさぎ族の協力は必須だ」
「ジュンがやると言えば大丈夫だと思いますよ」
ラビイとウサットが滑り込んでくる。
「話は聞いていたです!やるですよ!」
「私の力をお使いください」
他のうさぎ族も盛り上がる。
「私もやる!」
「俺もやるぞ!」
「俺も俺も」
いつの間にか人だかりが出来ていた。
「私がスラムに行き呼びかけて来ましょう」
ウサットが飛ぶように走り去った。
行動が早すぎる。
そして、数百人のスラムの住人が集まってきた。
多数派の人間族が多いが、様々な種族が混ざっていた。
「どうしてこうなった!思ってたより多いぞ!」
「一気に面倒を見切れない。経験値投資のスキルを使えるのは一度に10人までだ」
だがラビイとウサットは嬉しそうに胸を張る。
「やはりジュン様の名声は高まっていますな」
「ジュンのやってきた事にやっとみんなの意識が追い付き始めたです」
フィルが焦りだす。
「す、すいません。ここまでになるとは!」
俺はフィルの両肩を掴む。
「ふぁあ!」
フィルが色っぽい声を上げた。
「フィル、10人ずつだ。人を選んで10人ずつ初心者ダンジョンに行って来る。次以降の候補者には整理券を渡して予約方式にしてくれ」
「わ、分かりました」
フィルは真っ赤になりながら答える。
俺は集まったスラムの人を眺めた。
400人くらいか?
ダンジョンに行くと聞いて諦める者も出てくるし怠け者はフィルがはじく。
多く見積もって200人がダンジョンに行くとして、20回転。
20回ダンジョンを往復しよう。
「ラビイ、メイドも連れてついて来てくれ」
「任せるです!物資も用意してすぐ向かうです!」
「フィル、すぐに10人を選んで家の中に入れて欲しい。俺達はストレージに物資を補充してくる。ラビイ、20回は初心者ダンジョンを往復すると思う」
「どんと来るですよ!」
【フィル視点】
私は全員に事情を説明し、帰らずに残った人から10人を選んでジュンの家に案内した。
家には料理が用意されており、10人は飲み込むように食事をした後、すぐジュンと一緒にダンジョンに向かって行った。
ウサットが家に入って来る。
「まだ外で待っている人が居るよ」
「え?分かりました。ギルドで次の方を選んで予約を終わらせます」
「私も力になれるかな?」
「はい、協力をお願いします」
次以降の5回先までの予約を完了させると、皆には帰って貰った。
ウサットがコーヒーを淹れてくれた。
「あ、ありがとうございます」
「お疲れ様だったね。しかし、ジュン様の人気は凄い」
「経験値投資の力でうさぎ族が豊かになりました。みんなジュンのスキルの凄さに気づき始めています」
フィルはコーヒーを啜りながらため息をついた。
「女性にもモテるだろう」
「モテるでしょうね」
「フィルもジュン様が大好きだよね」
「そうです、ね?」
フィルの持つコーヒーカップがカタカタと音を立てる。
「いつから気づいて、いえ!違うんです」
「隠すことは無いよ。フィルもジュン様の眷属になるといいよ。ジュン様もフィルの事を気に入っておられる」
「そうなんですか?」
「フィル、そういうふうに素直になるのが一番だよ」
顔が赤くなるのを感じる。
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