深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ

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人に投資をするのが1番効率がいいよな

スキル強化

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「俺は中級ダンジョンを1つ残してすべてを消滅させたい」
「ジュン殿、先ほどグレスが言った新人の訓練の為に初心者ダンジョンを残したいという意見。一理あると思ったがそれについてはどう思うだろうか?」

 初心者ダンジョンは計10階でレベル1からレベル10までの魔物が発生する。
 各階にセーフゾーンがあり新人の訓練に適している。

 一方中級ダンジョンは計30階でレベル1~30の魔物が発生する。
 だがセーフゾーンが10階・20階・30階にしかなく、新人の訓練に向かない

 中級ダンジョンも初心者ダンジョンも階数と同じレベルの魔物が出るのは一緒だ。
 だが初心者ダンジョンには各階にセーフゾーンがある。

 初心者ダンジョンの各階にあるセーフゾーンは冒険者の生存率にも影響する大事な要素だ。

「確かに各階にある初心者ダンジョンのセーフゾーンのメリットは大きい。だが、中級ダンジョンに熟練の兵士や冒険者を同行させることで新人の訓練をする形に持って行きたい」

 王が渋い顔をした。
 予算に余裕が無いのだろう。

「予算が無いのは分かっている。だが、その為のうさぎ族の生産力アップだ。うさぎ族の生産力を上げる事で、王都の経済力もアップしたい。もちろんみんなの協力無しには達成できない」

「やるです!強くなってたくさん作って経済力を押し上げるです!」
 周りにいたうさぎ族が賛同して騒ぎ出す。

「それも含めてのうさぎ族のレベルアップ、と言う事か!そこまで考えていたとは!1つの動きでいくつもの効果を得ようとしている!」
「ん?元居た世界じゃ複数の効果を狙うのは普通だろ?すまないが会議を終わらせていいか?うさぎ族に中級ダンジョンに行ってもらわないと先に進めない」

「う、うむ。時間を取らせた。今後は私とウサットで根回しを進めよう」
 王とグレスが帰ると、すぐにうさぎ族の10人が決まり、その日の内に中級ダンジョンに向かって行った。



【次の日】

 俺は街を散歩する。
 護衛としてラビイとメイドの3人がついてくる。
 俺の戦闘力が0な事を気にしている。

 家の周りを一周するだけと言ったが、「倒れたら大変だ」とか「暗殺の危険がある」と言ってついて来たのだ。


『経験値投資のスキルが強化されました』

「スキルが強化された。体が軽い」
「重要案件なのです!」

「ちょっと待っててくれ、スキルを確認する……俺の戦闘力を減らさずに戦闘力を貸し出せるようになった」

 俺は口角を釣り上げた。
「ゲームチェンジだ」
「げーむちぇんじ?」

「いや、何でもない。今から俺もダンジョンに向かう。これからはダンジョン内で経験値投資のスキルを使う」

「ジュンの戦闘力が減らないならジュンもダンジョンに行けるです!すぐに物資を揃えるです!」

 そう、今までの俺は戦闘力を貸し出す事で自身が弱くなっていた。
 結果、家に待機していた。
 いや、それ以前に俺がダンジョンのセーフゾーンで勇者に投げ飛ばされてから俺がダンジョンに行こうとすると止められるようになった。

 だが、スキルが強化され、戦闘力を貸し出ししても俺の戦闘力が落ちなくなった。
 これで俺がダンジョンに潜っても誰も反対しなくなる。

 今までわざわざダンジョンに潜って街に帰ってきてもらってから経験値投資の契約を更新するのが無駄だと思っていたんだ。
 これからは皆に街まで戻ってもらう必要は無い。
 俺も一緒にダンジョンに潜る。
 うさぎ族のレベルアップの速度は上昇するだろう。

「久しぶりに外に出られる。暴れたい」
「夜も暴れるですか?」
「どっちの意味?」
「両方の意味なのです」
「何と何の事!?」
「うふふふふ~」
 こうして俺のスキル強化の件は全員に引継ぎされた。
 すぐに中級ダンジョン部隊が編成される。



 ◇



【中級ダンジョン10階】

「石を敷き詰めたです!」
「分かった」

 俺はストレージのスキルで家を出した。
 敷き詰めた石が少し沈む。

「家の軽量化が必要なのです」
「いや、十分だろ」

 キャンプの予定だったが、家を持ってくる事で生活水準は街に居る時と変わらない。

 経験値投資を使うのはラビイと9人のメイドだ。
 先行して10人だけで30階に登り不足する物資などを確認する狙いもある。

 ラビイは大きいノートを取り出し、何かを書き込んでいく。

「中級ダンジョンには素材も食料もたくさんあるです。レベルが上がったらすべて頂くです」
 ラビイはダンジョンを見渡して目を輝かせた。
 初心者ダンジョンより中級ダンジョンの方が素材が多い。
 初心者ダンジョンにある素材はたくさん取られている為だ。

「後でな。今は先行して30階に向かう。のんびり行こう」
「その通りなのです。夜はゆっくりベッドで休むのです!」
 こうして中級ダンジョンの上を目指す。



 ◇



「もう、30階に到達してしまった」
「経験値投資の力で、簡単だったです」

 経験値投資の力でみんなの戦闘力を10ポイントアップ出来る。
 格上の魔物を倒す事ですぐにレベルが上がり、のんびりしていてもすぐに最上階にたどり着いた。

 簡単すぎる。
 トラブルも起きない。

「余裕すぎる。皆のレベルを30まで上げたら帰ろうか」

 俺はダンジョンの30階を走り、魔物に蹴りを入れる。
 一瞬で魔物が霧に変わり、落ちる魔石を空中でキャッチする。

 パンチで魔物を倒し、その手で魔石をキャッチする。
 日本に居た時は体験できないほど体がよく動く。
 簡単に魔石も貯まっていく。

 レベルの高い魔物の方が魔石は大きい。
 余裕で一生生きられるだけの魔石が貯まったのでは?

 こうして10人全員のレベルを30に上げ、帰還した。




 俺達は王都の街に帰るとすぐに大規模キャンプの準備が進められた。
 ウサットが王都の現状を報告する。
「そう言えば、元賢者と元聖騎士はどうしてるんだろ?」

 ウサットが執事のような動きで答える。
 ウサットは最近王と連携を取りつつ、内政の勉強をしているらしい。
 
「元聖騎士のイツキは修行の為他国に旅立ったようです。スキルの力を取り戻す狙いがあるかと」

「加護の力って戻るのか?」
「女神の加護は失いましたが、その効果はその者のスキルを限界まで押し上げる事です」

「なるほど、自力でスキルを極める気か」
「恐らくはそうでしょう」
「賢者は?」

「元賢者リンは兵士に同行し、回復魔法を無償で使っているようです。マイナスになった幸運値を上げたいのでしょう」

「赤魔導士リン、か。あいつが3人の中で一番しぶとい気がする」
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