深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ

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投資の基本は節約と自己投資だよな

デーモンの復讐

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 城の外に走って戻ると、強そうなガイコツが遠くに見えた。
 2メートルほどの身長で、肋骨は丸みを帯びていた。
 その中に小さいガイコツが収まっており不気味に笑う。

 気色悪!
 肋骨の中に小さいガイコツが収まっている。
 しかもどっちも笑っている。

 大きい方のガイコツが勇者の方を向いてしゃべりだした。
「くくく!我は魔将、スカルボーン!勇者を殺しに来た」

「は!いくらこようが返り討ちにしてやる!」
「くくく、勇者、貴様を殺すために用意はしてある」
 スカルボーンが手で合図する。
 後ろから6体のデーモンが現れてそのすべてが勇者に迫った。

 デーモンが腕の振り下ろし勇者タケルが壁に吹き飛ぶ。
 更に後ろからデーモンが迫る。
 完全に勇者だけが狙われていた。
 外で戦う兵士も元勇者パーティーも誰も勇者を助けない。

 勇者は孤立していた。
 このままでは壁に追い詰められる。

「リン!援護しろ!」
「無理です!死霊部隊に囲まれています!自分で倒してください!」
 リンには余裕がありそうに見えた。

「くそが!イツキ!大楯で俺の前に立て!」
「黙れ!命令するな雑魚が!」

「お前ら!周りで見てないで助けろよ!」 

 勇者タケルは周りの兵士に向かって叫ぶが兵士は一切反応しない。
 グレス兵士長をぼこぼこにしたのが良くなかったな。

 いや、それ以前に大技で兵士を巻き込みすぎだ。

 俺と目が合うと、勇者は瞬時に城の中に逃げ出す。
「ジュン!お前の役目はデコイだ!デーモンを引きつけろ!」
 そう言って城の奥に消えた。


「……逃げるのか!待てえええ]
 デーモンは俺を無視して勇者を追って城の中に入っていく。
「逃げるのか!卑怯者が!」
「追え!必ず殺す!」
 デーモン達は激怒していた。

 俺は後ろからデーモンを追いかける。
「く!迷路のようだ!」
「分かれて追うぞ!」

 俺は分散したデーモンの内1体を追いかけた。
「おい!待て!」
 
 デーモンが振り返るとがっかりしたような顔をした。
「なんだ、勇者ではないのか」
「俺と闘え」
「は?」

「……」
「……ふざけているのか?」
 俺は高速で距離を詰めてデーモンにパンチを連打した。
 デーモンが霧のように消えて魔石が落ちる。
 地面に落ちる前に魔石をキャッチする。

 苦痛は発生しないか。
 勇者を助けた事にはならないようだ。
 勇者を助ける事で1時間の苦痛を受ける可能性を心配していた。
 倒しても問題無しか。

「1体目!この調子で孤立したデーモンを叩く!」



 俺は5体のデーモンを倒した。
 俺を警戒するデーモンは1体も居なかった。
 普通にパンチで倒せる。
 しかも俺の動きに反応出来ていない。
 ただの作業だ。



【勇者タケル視点】

 くそくそくそくそ!
 何で6体も居るんだ!
 いくら勇者でも6体のデーモンに狙われるのは少しきつい。
 
 俺は全力で走る。
 5体のデーモンは撒いたが、1体のデーモンがしつこく追いかけてくる。
 いや、1体だけなら俺一人で十分倒せる。

 俺は振り返りながらデーモンの腕を斬りつけた。
「ぐう!逃げるのは終わりか?」
 デーモンが不気味な笑みを浮かべる。

「お前1体程度、余裕で倒せる。勇者の力を見せてやる!」

 俺は剣を構えた。
 デーモンの肘から指先までが黒く染まる。

 デーモンの爪と俺の剣で打ち合う。
「なんだ、その程度か!勇者一人だけなら大したことは無い」

 デーモンの爪が俺に当たるが大した傷はつかない。
 痛くもない。
「大したことねーのはお前だ!全然効いてねーんだよ!」

 デーモンは口角を釣り上げた。
「今に分かる」

 何度もデーモンの攻撃を受けると異常が起きた。

『戦闘力+25から+24に減少しました』
 スキルの戦闘力アップ効果が減っている!?

「何をした?」

 デーモンは口角を釣り上げたまま答えない。
 デーモンは何度も爪を振り下ろす。

『戦闘力+24から+23に減少しました』
「何をしたああああああ!!!」

「くくくくく、はははははははははははは!この黒い爪の攻撃を受ければお前の女神の加護は消えていく。じわじわと加護を削り取られえええ!そして普通の人間に戻って最後は死ねえええええええええ」

「まずいまずいまずい!」
 俺は走って逃げ出した。

「な!待てえええええ!それでも勇者かああ!逃げるな外道があああ!」




 俺は全力で走り、城の外へと戻った。
 俺を見たスカルボーンが叫ぶ。

「デーモンはどうした!!!」
「は!お、俺にかかれば、デーモンなんて、敵じゃ、はあ、はあ、ねえん、だよ!」

 後ろからデーモン1体が迫って来る。
「勇者あああ!残り5体のデーモンはどうした!」
「お、俺の、敵じゃねーんだよ!」
「ばかな!5体のデーモンを倒したか!」


 俺は聖騎士イツキの後ろに回り込む。
「俺を盾にするな!」

 デーモンが奇声を上げながらイツキに飛び掛かる。
 イツキの大楯が光り、飛び掛かってきたデーモンの動きを止めた。

 その隙にリンが炎の魔法でデーモンを火だるまにする。
 俺は息を整えながらイツキの後ろにただ立つ。
 あの黒い光で染まった爪が薄くなっている。
 魔力切れか。

 デーモンはイツキと戦わせて俺は体力を回復させる。
 イツキが剣でデーモンを何度も斬りつけ、デーモンの攻撃を大楯でブロックする。
 リンが何度も攻撃魔法を放ち、デーモンを弱らせる。



 そろそろ頃合いだ。
 デーモンの腕の黒い光が弱まるのを確認し、俺は全力で攻撃を繰り出した。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
 連撃を叩きこんでデーモンを倒した。

「俺には!効かねええんだよおおおおお!」
 勇者が雄たけびを上げた。



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