深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ

文字の大きさ
上 下
14 / 113
投資の基本は節約と自己投資だよな

うさぎ族の当主になった

しおりを挟む
 俺がラビイと抱き合うと、他のメイドも覚醒し、俺はベッドで過ごす。



 チュンチュン!
「俺は、1日ベッドで過ごしたのか!」

 うさぎ族の性欲は最強だ。
 10人全員を見てそう思う。
 俺の戦闘力が0だったが、うさぎ族にとってそれは嫌なようだ。
 激しいのが好きらしい。


 着替えながら思う。
 何かを忘れている。
 ……!
 偽装の装備確認を忘れていた!

 俺はステータスを開く。
____________________

ジュン 男
投資家 レベル100(レベル20表示)

スキル
経験値投資   
ストレージ  
 
幸運値    250

戦闘力    100-100
____________________

 レベルは20に見えるようにしておこう。
 幸運値がどんどん上がっている。
 経験値投資のスキルで10人まで同時に契約できるようになってから幸運値の上昇が加速している。
 どうやら俺が助けた者が他の者を助ける事で俺の幸運値も上がっていくらしい。

「簡単に幸運値が上がっている」
 何もしなくても幸運値が上がっていくんじゃないか?
 レベルが上がったうさぎ族は組織的にみんなを助けるようになった。
 俺の幸運値を上げる計画もあるらしい。

 考え込んでいるとメイドとラビイが全員着替え、俺にコーヒーを用意してくれた。
「ジュン様、ウサット長老が面会を求めてるよ」
「すぐ行く」

 俺はすぐウサットの元に向かった。
 メイドとラビイも後ろからついてくる。

「わ、わざわざ出向かずとも私が伺いましたものを」
 ウサットは俺の事を完全に特別視している。
 
「気にしないで欲しい。それで、面会の内容は?」
「それが、近いうちにうさぎ族の子供以外全員のレベルが10に達します」
 元々うさぎ族は子供を合わせても300人ほどしかいない。
 数が少ないのだ。

「良かった」
「それは良いのですが、次の目標を見失っている者も居ります」

 うさぎ族のレベルを上げたいとは考えていた。
 目標を変える必要がある。

 そういえば何となく希望者のレベルを全員10にする話をした気がする。
 レベル10に目標を決めた大きな根拠はない。
 しいて言えば初心者ダンジョンの最深部の魔物のレベルが10だから、同じレベルまで上げる事にしていた。

「次はうさぎ族のレベル30を目指したい。もちろん希望者だけで構わない」
 今デーモンの襲撃を受けたらうさぎ族は虐殺されるだろう。
 中級ダンジョンの最上階の魔物のレベルが30のはずだ。
 レベル30までは行けると思う。

 ウサットが目を見開いた。
「よ、よろしいのですか?今スキルを使う事で苦痛を味わい、この先も更に苦痛を味わいながら皆を助けようとされている!?」
「……やろう。うさぎ族のレベルアップは重要だと思う」

 ウサットが深く礼をした。
「このような素晴らしい言葉、ぜひ直接皆にお伝えいただきたいのです」
「わかった」

 ラビイが前に出る。
「ついでにパーティーも一緒に開催したいのです」
「そうだね。そうしよう」

「では食料の調達のチームに依頼が必要だ」
 うさぎ族が団子のように集まって来る。

 なんだなんだ、会議が始まったのか?
「ギルドの図書室に行って来る」
 俺は家を出た。


 気になっていたレベルの偽装も出来たし、皆レベルが上がっているし、うさぎ族は本当に最弱なのか?
 ちょっとしたきっかけさえあればうさぎ族は伸びる力を持っていたように思う。
 
 本当のきっかけはフィルのおかげだった。
 フィルか、たまには話をしてみよう。
 フィルに会う為ギルドに向かうが、フィルは休みらしい。
 家に、行ってみるか。


 フィルの家の前でノックをする。
「は~い!」
「ジュンだけど、お礼が言いたくて来たんだ。入ってもいいか?」

「いいですよ」
 俺はすぐに扉を開ける。

「でもちょっと待って……」
「……」
 フィルは服を脱いで着替え中だった。

 露わになった白い肌と、曲線的なラインが目に飛び込む。
 この世界は美男美女が多いが特にフィルは美人だ。

「すいませんでした!!!」
 俺はすぐに扉を閉めた。

「今日は帰ります」
「え、大丈夫ですよ!5分だけ待ってください!」
 布の擦れる音が聞こえる。


「お待たせしました」
 フィルが扉を開けるとフィルの顔は真っ赤だった。
「ほんとうにすまない。急に扉を開けてしまった」

「そ!その話はもうやめましょう!」
「そうだな。今日はお礼を言いに来たんだ。フィルのおかげでうさぎ族のみんなは豊かな生活を送れている。俺もいい生活を送っている。フィルが居たおかげでうまく物事が進みだしたんだ」

「ジュンの力ですよ。4人の転移者の中で、一番活躍しているのがジュンです」
「ん?勇者パーティーは活躍していないのか?」
 3人とも戦闘力プラス25の恩恵があるらしい。
 中級ダンジョンは余裕で踏破して戦闘力55を超えていると思っていたが?


「最近パーティーで喧嘩ばかりしているようです。しかも酒場に入り浸って問題を起こし、出入り禁止にされそうになると脅して済ませているようです」
「そんな事をしたら幸運値がどんどん下がっていくんじゃないか?」
「下がっているようです。特に勇者タケルの近くにいると不幸に巻き込まれると噂になっています」

「近づかないようにしよう」
「それが良いと思います」
「うん、じゃ、また」
「ふぇ!もう帰っちゃうんですか?」

「裸を見てしまって気まずいんだ」
「そ、そうなんですね。そ、そうですね」
 フィルがまた真っ赤になり、おどおどしだす。
 俺はフィルの家を後にした。



 ◇



 【フィル視点】
 ジュンに裸を見られてから10日が経過し、私は女神さまへの定期報告に向かった。

 女神さまはお風呂に入りながら手を振った。
 ジュンに裸を見られたことを思い出して恥ずかしくなってくる。

「丁度いい所に来たね。今ジュンがうさぎ族の当主になる所だよ。一緒に見ようよ」
 女神が手をかざすと地上の映像が写しだされる。

 ジュンの家と庭に大量の料理が用意され、王も招待されていた。

 王が前に出て話を始める。
「ジュン殿はこのフロント王国のうさぎ族の苦境を救った!これからも皆を救いつ続けると確信している!」
 王の言葉でうさぎ族に歓声が巻き起こる。

 続いてジュンが前に立つ。
「うさぎ族の人口は300と少ない。しかも生産職が大半で不利な状況だ!それでもうさぎ族が豊かになったのは何故か!?それはみんなが頑張ったからだ!多くの者が努力してレベル10に到達したからだ!次は希望者のレベル30を目指したい!俺はレベル20の弱者だがこんなに頼もしい仲間がいる!うさぎ族は最弱なんかじゃない!皆でそれを証明しよう!以上だ」

 また歓声が起きる。

「……今ジュンは嘘をつきましたよね。ジュンのレベルは20じゃなく100ですよ!」
「そうね~。でもその方が世界を救える気がするって言ってたよ。うさぎ族のみんなにも口止めをお願いしてるみたい」

 パーティーを眺めるとウサットが王と交渉を始める。
「ぜひジュン様に爵位をお与えください。我らの領主はジュン殿しか考えられません。希望が叶えばポーションなどの寄付をする用意があります」
「それについては準備を進めている。だが、ジュン殿は爵位が無くともすでにうさぎ族の主、いや、うさぎ族の領主と言ってもいいのではないか?」

「ジュンは貴族になりそうですね」
「あ、来る」
 女神の顔が引き締まった。

「何ですか?」
「魔将が街に来るよ」
「急いで地上に戻ります!」
 私はすぐに地上に戻った。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮
ファンタジー
妻に先立たれた 後藤 丈二(56)は、その年代に有りがちな、家事が全く出来ない中年男性。 独り身になって1年ほど経つ頃、不摂生で自分も亡くなってしまう。 が、気付けば『切り番当選者』などと言われ、半ば押しつけられる様に、別の世界で第二の人生を歩む事に。 再び妻に巡り合う為に、家族や仲間を増やしつつ、異世界で旅をしながら幸せを求める…………話のはず。 独自世界のゆるふわ設定です。 誤字脱字は再掲載時にチェックしていますけど、出てくるかもしれません、すみません。 毎日0時にアップしていきます。 タグに情報入れすぎで、逆に検索に引っかからないパターンなのでは?と思いつつ、ガッツリ書き込んでます。 よろしくお願いします。 ※この話は小説家になろうさんでアップした話を掲載しております。 ※なろうさんでは最後までアップしていますけど、こちらではハッピーエンド迄しか掲載しない予定です。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

処理中です...