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魔将【デーモン視点】

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勇者 2体のデーモンは、ふらふらとよろめきながら飛び、人里離れた荒野に降り立つ。

 夜の暗闇から声が聞こえる。
「英雄に1体殺されたか」

「はい、デーモン1体を失いました。報告します。女神の手先は3人のようです」
「4人と聞いているが?」
「勇者の小僧が言うには、4人がこの世界に召喚され、その内の1人は女神から加護を貰えなかったようです」

「ふむ、女神が力を失いつつあるか、あるいはそれ以外の意図があるか?」
「それは分かりません。勇者が言うには、勇者が最強で他の2人はそこまで強くないとも言っていました」
「うむ、少し休め」



 しばらく地面に座り込み休むと、もう1体のデーモンが現れた。
「斥候の結果は?」

 あの方は我らをけしかけ、更に裏で他のデーモンに戦いを監視させていたのか。
 味方すら騙し情報を集めるあの方の考えは底が見えん。

「魔道具を使い転移者3人のステータスを確認しましたが、勇者・賢者・聖騎士、ともに戦闘力は40台です。ですが、勇者は硬化を使ったデーモンを簡単に倒す力を持っています。勇者の言う通り、戦闘力は勇者が一番高く、45の戦闘力を持っていました。ですが【偽装】のスキルや魔道具を使っている可能性も捨てきれません」

「本来はもっと強い可能性もある、か」
「はい」

 確かに、デーモンの戦闘力は50で、奴の戦闘力は45,だが、デーモンの1体は一方的に勇者に倒された。
 明らかに不自然だ。
 この差は相性だけで済ませられるレベルではない。
 勇者が力を隠し、弱く見せていると考えるのが自然。

「他に気づいたのは、勇者の幸運値が-146でした。他の2人も幸運値はマイナスです」
「偽装の可能性もあるが、もし本当なら、さぞ呪いが効くだろう」
 沈黙が流れる。



 あの方が熟慮するのは珍しい。
 それだけ勇者の存在は厄介という事か。
 我らデーモンを簡単に倒せる力を持っているとすれば、勇者の成長速度は早すぎるのだ。 




「死霊部隊とデーモンすべてを投入し、更に我も最前線に赴く」
 あの方の全戦力の投入を意味する。
 やはり勇者は危険か!
 そこまでの相手!
 だが!

「お、お待ちください。あなた様の力はまだ完全ではありません!あなた様は魔将の中で成長しきった勇者を唯一倒すことが出来る呪いの使い手!」

「なればこそだ!今の内に勇者を叩いておかねばならん!このスカルボーンが命を懸けて勇者を倒そう。いや、倒せずとも必ず奴らの加護を消して見せる!それと、我が策はまだ終わりではない!デーモンの我の加護を与える」

 スカルボーン様が我らに加護を与えるか。
 そんな事をしたらスカルボーン様の力が更に弱まる。
 いや、そこまでしなければ倒せない相手、そういう事だろう。

 この方は容赦がない。
 勇者達は終わりだ。
 デーモンがスカルボーンにひれ伏した。
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