深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ

文字の大きさ
上 下
8 / 113
投資の基本は節約と自己投資だよな

招集

しおりを挟む
 ちゅんちゅんちゅん!
 小鳥のさえずりが聞こえる。

 朝起きると横には裸のラビイが居た。
 俺は昨日の夜ラビイと一緒に寝た。

 分かった事はラビイの性欲は結構、いや、かなり強い。
 ラビイが寝ぼけながら俺に絡みついてくる。
 また夜の続きを始めてしまいそうになる。

「いかんいかん!」
 俺は意を決してベッドから起きた。

「んああ!朝、なのです?」
「そうだ。ラビイはまだ起きないのか?」
「ちょっと、腰の、調子が悪いのです」

「わ、分かった」
「ふう~。もっとレベルアップが必要なのです。戦闘力100に耐えられるステータスが必要なのです」
 俺は聞かなかったフリをして部屋の扉を開ける。

 メイド服を着たうさぎ族たちがドアでバランスを崩して倒れる。
 聞き耳を立てていたようだ。
「……何をやってるの?」

「あ、あはははは、し、失礼しました!」
 クモの子を散らすようにメイドたちが逃げ出す。
 覗いていたのか?

 気分を変えよう。
 ギルドの図書室に行ってくるか。

「ちょっとギルドに出かけてくる」
 俺は歩いてギルドに向かった。


 ギルドに入るとフィルの様子がおかしい。
 というか最近ずっとおかしい。

「あ、ジュン!おはよぉ」
 フィルの顔が赤く、もじもじしている。

「図書室を使うぞ」
「わ、分かりました。その、昨日の夜は……何でもないです」
「そ、そっか」

 昨日の夜って、ラビイとの事しかないよな?
 図書室に入ると俺はすぐに種族の特徴を調べる。




「……うさぎ族の性欲は最強、だと!」
 最強ってなんだよ。
 いや、でもラビイの事を思い出すと、最強と書きたくなる気持ちも分かる。



 しばらく本を読み、休憩する。
「憂鬱だ」
 理由は簡単だ。
 今日の夕方に女神さまから招集がかかっている。
 王様も勇者たちも皆来る。

 その為俺は経験値投資の力を使っていない。
 使おうとしたらうさぎ族全員に反対されたのだ。
 勇者と顔を合わせる事をうさぎ族全員が警戒している。
 俺の戦闘力を100のままにしたいらしい。

 前に俺の戦闘力を全て貸し出しているタイミングで勇者に投げ飛ばされた。
 うさぎ族はその事を悔やみ、次は絶対にそうならないようにと配慮している。
 俺の戦闘力が1ポイントでも下がるのは駄目だと強烈に反対されたのだ

 俺も勇者達と会いたくない。
「サボるか」
 その時ステータスに反応する気配を感じた。

 ステータスを開くと『女神です。サボるのは駄目です。見てますよ』と文字が表示される。
「な!メッセージ機能があるのか!」
 俺は言葉を念じる。

『不参加でお願いします』
 こっちからも送れるのか!

『駄目です!出てください!それに出ると良い事がある気がします』
『良い事って何ですか?』
『それは分かりません。女神の勘、的な?』

 話がふわっとしすぎてて全然分からん。
 良い事ってなんだ?
 俺は無言でステータスを閉じたが、その後夕方になるまで女神から『サボらないでね』と20回ほどメッセージが続いた。



 ◇



 夕方になり俺は結局街の広場に居た。
 サボろうと思ったが、サボれば次回から100回以上メッセージが飛んでくるだろう。
 女神さまの中身はJKだ。

 勇者たちは俺を見ると馬鹿にしたように鼻で笑っていた。
 王が機転を利かせて王の右サイドと左サイドに俺と勇者パーティーの席を分けた為、言い合いにはならなかった。

 空が赤くなってくる。
 夕焼け空が歪んで大きな女神の映像が浮かぶ。
 皆が女神に祈りを捧げた。

「皆さんにお知らせがあります。今この地に魔が迫っています」

 王が前に出る。
「魔とはどのような存在でしょう?」
「正確には分かりませんが、デーモン、もしくはそれ以上の魔将の恐れもあります」
 辺りがざわつく。

「魔が迫る時期はいつになるでしょうか?」
「それも分かりませんが、近いうちに迫り来るでしょう」

 勇者が大声で叫ぶ
「は!俺が倒してやるよ!お前ら俺達の邪魔するんじゃねーぞ!」

「我々はどうすればいいのでしょうか?道を指示していただきたいのです」
 女神が目を閉じる。

 俺のステータスが反応した。
 まさか女神からのメッセージか!
 俺はすぐにステータスを開く。

『どうにかしてこの場を終わらせて!早く!」
 まさかの女神からのヘルプだと!
 俺は前に出た。

「皆聞いてくれ!迫りくる魔は勇者パーティーが対処する!」
 王が眉間に皺を寄せた。
「ジュン殿、その心を教えて欲しい」

「もし女神がこの場で正解を言っても、魔の者がその対応を見て攻め手を変えてくるだろう。そう思った!」
 これで行けるか?
 
「女神様、それでよろしいでしょうか?」
 サポートしたぞ。
 もう頼んで来ないでくれよ? 

「はい、その通りに、英雄の思うように対処するのです」
 女神が汗をかいているように見える。

「そのような深いお考えがあったとは!」
 王が驚愕した。

「みんな!魔が迫ったらすぐに勇者パーティーに連絡して欲しい」
 俺は話を切り上げる。

 女神は急いで話を終わらせるように話をする。
「健闘を祈ります」
 女神の映像が消える。

 俺は確信した。
 女神は万能ではない。
 女神の信頼度が俺の中で下がる。

 前から女神はそう言う所があった。
 そう考えると俺達4人が英雄に選ばれた理由も意味があったのか?
 感覚で何となく決めていても不思議ではない。

 いや、予言か勘か?
 分からないが女神には何かそういう能力はあるのだろう。

 問題は計画性、そう、計画性が無いように見える。
 女神の発言全てが勘か予言か分からないが直感的な何かで決めている。
 合理性は一切ない。

 女神の考えがすべて勘か予言だとして、全部的中できればいいんだが、女神の話を聞いている限りすべてが見えているわけでもないようだ。
 女神は感覚だけで生きているように見える。

 女神はゆるふわJKなのか?
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮
ファンタジー
妻に先立たれた 後藤 丈二(56)は、その年代に有りがちな、家事が全く出来ない中年男性。 独り身になって1年ほど経つ頃、不摂生で自分も亡くなってしまう。 が、気付けば『切り番当選者』などと言われ、半ば押しつけられる様に、別の世界で第二の人生を歩む事に。 再び妻に巡り合う為に、家族や仲間を増やしつつ、異世界で旅をしながら幸せを求める…………話のはず。 独自世界のゆるふわ設定です。 誤字脱字は再掲載時にチェックしていますけど、出てくるかもしれません、すみません。 毎日0時にアップしていきます。 タグに情報入れすぎで、逆に検索に引っかからないパターンなのでは?と思いつつ、ガッツリ書き込んでます。 よろしくお願いします。 ※この話は小説家になろうさんでアップした話を掲載しております。 ※なろうさんでは最後までアップしていますけど、こちらではハッピーエンド迄しか掲載しない予定です。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

処理中です...