深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ

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投資の基本は節約と自己投資だよな

嫌われる勇者【勇者視点】

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 俺達3人は初心者ダンジョンの10階でレベル10の魔物を倒していく。
 俺のレベルはすでに10,戦闘力は35に達した。
 勇者の能力で戦闘力が25ポイントアップされる。

 レベル上げは簡単だ。
 この世界では自分よりレベルの高い魔物を倒せばすぐレベルアップ出来る。
 戦闘能力が底上げされている俺は簡単にレベルを上げられる。
 戦闘力+25の恩恵は凄まじいものがある。

 10階が最終エリアだ。
 初心者ダンジョンにはもう用はない。

 あっという間に魔物を倒すと賢者リンが声をかけてきた。
「そろそろ次のダンジョンに行きましょう」

 俺達にとってここにいる戦闘力10程度の魔物は雑魚だ。
 次に行ってレベルを上げるのがいいだろう。

 週に2日か3日だけ魔物狩りをして後はギルドの酒場でダラダラしているが、俺達全員が戦闘力35に到達した。
 ちょろい世界だぜ。

 どんなに努力している冒険者も俺の才能の前ではすべて無駄だ。
 俺が最強!

「俺もそうしようと思っていたぜ」
「俺も次に行きたいと思っていた」
 俺達は選ばれた者だ。
 気が合うぜ。



 ダンジョンの1階のセーフエリアにたどり着くとジュンが居た。
 初心者ダンジョンの各階には魔物の入ってこれないセーフゾーンが必ずあるのだ。
 古いテントの近くで焚火をしながらうさぎ族と笑って話をしている。

「なんか悪いな。俺はただ寝ているだけなのにレベルが上がっていく」

「そんな事ねーだよ。ジュンのおかげで安全に魔物と闘えるだよ」
「んだ。この調子でうさぎ族全員レベル10までは上げられるだよ。それよりも戦闘力を全部貸し出せば、体調が悪くなるって聞いてるだよ。ジュンは大丈夫だか?」

「大丈夫だ。風邪を引いた時みたいにだるくなって力が出なくなるだけだから」
「苦労させるだ。ジュンはきっと大物になるだよ」




 無能のジュンが大物になる?
 何を言っているんだ?
 ち!あいつ最弱のうさぎ族に媚びを売りやがって!
 うさぎ族のレベルが10になった所で雑魚は雑魚。

 雑魚の癖に雑魚のご機嫌取りか。
 そんな事しか出来ないクズが!
 だからクズなんだ!

 俺はたくさん魔物を倒している!
 称えられるのは俺だ!
 なのにみんなが俺を讃えない。

 無能のジュンが讃えられるのは間違っている。
 あの尊敬の目は俺に向けられる為のものだ!

 俺はジュンに走って近づき、胸倉を掴んで投げ飛ばす。
 そしてジュンのテントを剣で破壊する。
 周りのうさぎ族は俺におびえるような目を向けてその場を離れた。

「ぐう、や、やめてくれ!それは俺が苦労して買ったテントなんだ!」
「は!こんなぼろいテントを買うしか能の無いクズが!無能の癖に笑って話す暇があったら死に物狂いでもっと魔物を倒せよ雑魚が!」

 俺はジュンを蹴り飛ばした。
 こいつ、弱すぎる。
 脆すぎる。
 本当の雑魚だ。
「やめましょう。女神に言われたはずです。恨みを買えば幸運値が下がりますよ」
「リン、幸運値は後で取り戻せばいい。余裕だろ?」

「そんな事より、次に進もう。ジュンを相手にしても何もならん」
 聖騎士のイツキはジュンを無視するようにダンジョンの外に歩いていく。

「ち!待てよ」
 俺達はダンジョンを後にした。
 そう、俺達はもっと上に行く。
 次は中級ダンジョンだ。



 ◇




 俺は中級ダンジョンに行き、レベルを上げた。
 俺の戦闘力は45に達した。
 この国最強の兵士長の戦闘力は35らしい。
 つまり俺は最強だ。

 俺達が冒険者ギルドに入るとみんなが怯えたように道を開けた。
 前に俺に突っかかってきたクズを力でねじ伏せたら俺に意見する奴は居なくなった。

 俺の目的はこの街にいるこの国最強の兵士長と勝負して打ち負かす事だ。
「おい!グレス!俺と勝負しろ!」

 両手剣を背中に背負った男が振り返る。
 前からこいつは気に入らなかった。
 女にモテて、兵士に慕われている。
 皆は俺を中心に動くのが当然なのにだ! 

「勝負したい理由を教えてくれないか?」
「俺は最強だ!それをみんなに分からせる」

「私の戦闘力は35だが君は?」
「ふ、45だ」
「では君が勝つだろう。話は終わりだ」

「逃げるな!戦え!」
 こいつ逃げようとした!
 それでも兵士長か!
 俺は剣を抜いた。

「待ってくれ。ここで暴れたら建物や人に被害が出る」
「だったら戦え!表に出ろ!」
 兵士長はため息をついた。

「分かった。訓練場で戦おう」

「ちょ!ちょっと待ってください!今グレスさんにお願いしている依頼があるんです!ここで戦ってしまっては依頼に支障が出ます」

 俺は受付の持っている依頼書を取り上げた。
「この程度なら俺がこなしてやる。安心しろ」
「で、でも」

「フィル、勇者殿は私を打ち負かさないと納得できないようだ。勝負を受けよう」



 訓練場には多くの人が集まって来る。
 どんどん集まってこい!
 俺の強さを皆に分からせる!


 フィルが開始の合図をする。
「そ、それでは!勝負開始です!」。
「おりゃあああ!」
 俺は剣を打ち合い、隙を見てグレスの剣を上に払った。
 そして空いた胴に俺の斬撃を叩きこむ。

「しょ、勝負ありです!」
「まだ終わってない!」
 その後俺は3度グレスを斬りつけ、足を払って地面に倒す。
 馬乗りになって顔を何度も殴った。

「俺が最強なんだよおおおおお!」
「やめてください!勝負は終わりました!」

 
 グレスが動かなくなると俺は剣を掲げて「俺が最強だああ!」と叫ぶ。
 これで俺に逆らう奴は1人も居ない。

 俺を舐めるやつはいない。
 俺が尊敬される。
 口角を釣り上げた。

「リンさん、グレスさんに回復魔法を使ってください!」
 受付嬢が懇願するようにお願いする。
「報酬はいくら払いますか?」
「今はそれどころではありません!イツキさん!回復魔法をお願いします!」
「俺はこれからダンジョンに行く」

「だ、誰か!早くグレスさんを治癒してください!ポーションでもいいです!誰か!早く!」

 周りで見ていた冒険者がグレスを治療し、冒険者ギルドに運ぶ。
 皆を守る為魔物と闘うグレスを勇者がぼこぼこにした。


 この事件はあっという間に広まり勇者・賢者・聖騎士の周りには前にも増してバリアを張ったように人が離れるようになった。

「依頼をこなしに行くぞ」
「タケル、今幸運値はいくらですか?」
「マイナス100だ」

「下げすぎです。すぐに幸運値を上げましょう。私にも被害が出ます」
「巻き添えはごめんだ」
「後で上げる。今は依頼だ!」
 俺は依頼をこなした。

 俺は最強。
 誰も俺に逆らえない。
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