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第1章
Doubtful : 彼らが見ている現実
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北棟4階、生物室。
昼食を終えて教室に戻ると、4限目の生物の授業の後教科書を忘れていったことに気付いた。5限目開始までまだ時間がある。
いそいそと北棟へ渡り、隣の準備室から鍵を借りて室内に入る。
照明の消えた部屋は昼間でも薄暗い。机が黒いからだろうか。
そういえば何でこういう理科系の部屋の机って黒いんだっけ。確か、実験で火を使うから燃えにくい素材になってるとか聞いたことあるような。
真ん中の列の後ろから2番目の机まで行き、下の椅子がしまってある所を覗く。
あった、教科書。
手に取って顔を上げると前方の扉、俺が入ってきた方だ、に人が立っていることに気付いた。
さっき鍵を貸してくれた生物の先生だろうかと思って目を向けると、そこにいたのは全く知らない人物だった。
少し癖のある銀色の髪に金眼。日の下で見るときっと輝く黄金色なんだろう。
同学年ではまず見ないような大人びた顔立ち。率直に言って美青年。背は俺より大分高そうだ。
「あ、あの、あんたもここに忘れ物を……?」
じっとこちらを見たまま何も言わないため、恐る恐る尋ねる。雰囲気的に上級生だろうか。
「君、1年3組の生徒だよね」
言葉に応じてか、その男子生徒が口を開いた。
爽やかという表現がぴったりな声。声量はそんなに出てないのに、教室後方まではっきり届く。
「君の教室の窓際最後尾にいる生徒、誰だか分かる?」
「えっ…………えっと、柳のこと……ですか?って、何でそんなこと__」
「やっぱり見えてるんだ。へぇすごい。同じクラスなのにまだ伝染ってないんだ」
「見えてるって……えっ、てことはあんたにも見えて__」
「この前教室の前を通りかかったけど、彼と喋っていたよね。何を話した?彼は何て言ってた?他の生徒からは何か言われなかった?」
こっちの話は聞かずに一方的に問いかけてくる。
こんな噛み合わないやりとりの相手は1人で十分だって。
「ちょ、ちょっと待って。質問多すぎ。というかその前にまずあんたは誰なのか教えて__」
「君は見える自分がおかしいと本気で思っているの?」
「だから人の話を聞い……て…………」
見える自分が、おかしい?
だって、その通りじゃないか。
大衆の中で1人だけ違ったら、俺だけが変だってことに……。
「……じゃあ、何がおかしいって言うんだ」
「あれ、本当に気付いてないの。まぁ、誰もが見えていないものが見えたら、当然自分を疑うか。これはかなり特殊な状態のようだから」
「あんたは…………何を知ってる?」
「正確には見えないのではなく、認識できない。目には映っているのにそこには誰もいないと思い込んでいる。思い込まされている。人間ってすごいよね」
話しつつゆっくりこちらへ
(……思い込む………今は、ただ)
近づいてくる。それはどこか独り言めいていて。
「いとも簡単に1人の人間の存在を消してしまえる。あくまで認識上のことだけど。多数決で決められる世界の道理。大衆の言うことは絶対。多くのものには、強いものには従わないと」
幼い子供に言い聞かせるような口調。
「だから呪われる。あっさりと」
いつの間にか、目の前に青年が立っていた。
虚ろな瞳がじっと見下ろしてくる。
「……の、呪われる?何それ、ゲームの話?わ、悪いけど俺全然詳しくないから」
「君、あれ見える?」
青年が右手で窓の方を指差す。
目をやるが、”あれ”とは何を指すのかがそもそも分からない。
「な、何、何のこと言ってんの。あそこの水槽?それとも、窓の外のこと?」
「見えないのか。似た気配はするのに。色々なタイプがあるってことかな」
だめだ、こいつが何言ってるのか全然理解できない。会話が成立していない。
でも、あのクラスで、学校で何が起きているのかを確実に知っている。
「あんた、柳のこと知ってるんだよな。その周囲で、学校全体で何が起きてるのかも。教えてくれよ、何がどうなってるのか」
「さっき言ったよ。呪われてるんだ。みんな」
「だから、そんなわけ分かんない説明じゃなくて__」
「じゃあやってみせてあげる。それが一番分かりやすい」
すると、俺の両肩を掴み耳元に顔を寄せる。
何をするのかと身構えていると、急に左側から声が聞こえた。
さっき青年が指差した方向から。
≪イイィィィアア゛、ワァァダジ、イアア゛ァァア≫
何かの唸り声。不気味な音。
遠足の時の記憶が蘇る。あれは、まさか…………。
寒気が走り、体が震えた。動悸が一気に激しくなる。
それに気付いたのか、青年が言う。
「へぇ、君って耳がいいんだ。しかも条件付きかな。そういうタイプもいるんだね。じゃあ、やるよ。大丈夫、ごく軽いものだから」
恐怖と混乱が押し寄せて声が出ない。
待て、何だ。何を、一体、何をする__
【君の教室に戻れ】
「……、……君。累人君!」
「はっ」
怪訝そうな顔の佐々蔵が目の前にいる。その隣には伊志森。
ここは……教室?3組の教室、なのか。
「大丈夫か累人。具合でも悪いのか」
「え、いや別に……何で?」
「何でって、忘れ物取りに行って戻ってきたと思ったら入口のとこで固まってたんだよ君。いくら呼びかけても虚ろな目で突っ立ってるだけで。もー焦ったよ」
「えぇっ、そんなことになってたのか。あれ、俺、何をしてて……」
右手には生物基礎の教科書。忘れ物を取りに行ってきた。それは間違いようだ。理科室へ行ったというのもはっきり覚えている。
だが、いつ戻ってきた。記憶が飛んでいる。
あの時と同じだ。
放課後柳と話していて、気付くと家の玄関だった時と。
そういえば、今回も記憶が飛ぶ直前まで誰かと話していた。長身の男子生徒。噛み合わない会話。焦点の合わない目。そして……”呪い”。
……何だ、いまいちはっきり思い出せない。ついさっきの出来事のはずなのに。必死に記憶を探っても、まるで傷だらけの透明フィルムを通して見ているような不明瞭さが絶えない。
「ほんとに大丈夫?累人君。もう5限目始まるけど、保健室行く?」
「いや、大丈夫。ちょっと考え事しながら歩いてただけ。あっ別に大したことじゃないから。ごめん心配かけて」
2人共あまり納得した風ではなかったが、授業開始のチャイムが鳴ったためそれぞれ席に着いた。
放課後。
机を下げ部室に行こうと教室を出ると、突然腕を掴まれ例の屋上入口に連行された。
誰の仕業かは言うまでもない。
「どうしたよ、柳。お前から絡んでくるなんて珍しい、というか初めてだっけ」
「名神、お前誰に喧嘩売った」
……はい出た唐突の意味不明発言。こんなやりとり1日に何度もするものじゃないって。
「頼むから、過程を省いて結論だけ突き付けるのやめてくれる?俺の脳内処理はそこまで高性能じゃないから。ただでさえ昼からずっと欠伸止まんないん……ふぁーぁ、眠い」
「……影響を受けやすい体質ということか。それとも直接受けたから……」
「何ブツブツ言ってんの。お前も呪いがどうとか言い出すわけ?」
途端に、柳の表情が険しくなった。
「お前も……?誰かが同じことを言ったのか」
「また質問攻め……この学校そういう奴ばっかかよ。昼休に生物室行った時に話したんだよ、多分上級生と」
「名前は」
「知らない。お前と同じで人の話を聞かない奴だったよ」
「呪いについて他に何て言っていた」
「えーっと……あいつ、お前のこと知ってたんだ。で、周りの生徒がお前のこと見えなくなった、あいや、認識できなくなったのは、呪いのせいだって」
「……認識。やっぱりそうか」
「で、そんなの意味分かんないって言ったら、じゃあやって……みせる?とか言って……」
「それで、呪われたのか」
「ああそう……え?呪われ……え、俺が?」
「気付いてなかったのかよ。まぁ見えないならそうか。呪いの残滓が薄っすら残っている。かなり軽いものだが」
「え、俺大丈夫なのそれ」
あの短い間で何したんだ、あの謎の生徒。
顔ははっきり思い出せないが、あの不気味な空気の感触は残っている。
「害はないはずだ。この際だから言うが、先月俺がお前にかけたものと同等、もしくはそれ以下」
「どの際だから突然の告白!?お前出会ったばかりの人間に何してんの!」
「出会ってすぐ人の内情に踏み込んできた奴に言われたくない」
「それは悪かったな!で、具体的にどういうやつなの。俺がかけられたのって」
「残滓が薄過ぎて分からない。昼休みの件なら俺も見ていたが、恐らくお前が教室に入った時点で効果は切れていた。だとすれば単純な行動命令。かけた本人もちょっとしたいたずら程度だったんだろ」
「いたずら感覚で呪われてたまるかよ。つか、呪いって何。そんなに詳しいんなら、お前もあの上級生と同類ってこと?」
「その表現はやめろ。さっきお前が言ったことが事実なら、そいつは俺に関する認識を歪める呪いを学校全体にばらまいた張本人の可能性が高い」
「えぇぇっ!?な、い、いきなりそういう展開になんの?え、じゃあ俺、超やばい奴に絡まれたってこと……?」
急に様々な情報が開示され眠気が吹っ飛んだ。頭の処理が追いつかない。
要するに何だ、柳を取り巻いていたあの異様な環境は人為的なものだったっていうのか。そんなアニメに出てくる精神干渉系魔法みたいなことどうやって。それに、何で。
「ちょ、ちょっと待て。呪われてる?のがお前じゃなくて周囲の人間なのは分かった。いや分かんないけど。そもそも、いつから?いつからお前の周りでそんなことが」
「4月頭。学期が始まってすぐか。ちょうどお前が休んでいた間だ」
「えっ、ほんとに入学してすぐじゃん!一体何したら早々に恨み買うの。学校の番長的な人に喧嘩でも売ったの?」
「今時番長なんかいないだろ。とにかく、その上級生が呪いの充満したこの状況に関与しているのが事実だとすれば、その改善方法でも知ってるはずだが…………」
「ほんとか!?」
人の意識への介入が人の手によって行われたなんて、正直信じられない。
でも、それなら逆に元に戻す方法も人の手によって実行可能ということだろう。
「……何にやけてんだお前」
「何だよ、何とかできるって分かって嬉しくないのか。その呪いってやつを消せたら、みんなお前のこと見えるようになるんだろ。もう教室の隅に固まることもなくなるんだろ」
「…………本当に、何も知らないんだな。お前は」
柳が何か呟いたが聞き取れない。
その表情は悲しげで、でもどこか安堵しているようにも見えた。
「ひとまず、この件は保留だ。今すぐどうこうできる問題じゃない。名神、お前は今まで通り普通に行動していろ。勝手な真似はするな」
「何を悠長な…………いやまぁ、焦ってもいいことないのは分かるけど」
「これだけ広範囲に呪いが行き渡った中、お前はまだ影響を受けてない。つまり、何か伝染る条件があるはずだ。それが分からない以上下手に動くのは得策じゃない」
「はっ、そうか。下手したら俺まで柳のことが分からなくなるかもしれないってことか」
窓際最後尾。その空席を見ても何も思わない。ただ当たり前の現実として受け取る。
そんな自分の姿を想像してぞっとする。その状況には絶対なってはだめだ。
「分かった。闇雲に動かず、作戦を立てて慎重に事に臨むって感じだな」
「まぁ……そうだ。とりあえず今日はここまで…………あぁ、部活はいいのか」
「はっ、ミーティングの時間!じゃあ柳、また明日っ」
早口で別れを告げ階段を下りる。そのまま渡り廊下を駆け抜け、北棟へ向かう。
それにしても、これははまたとない進展だ。
ずっと彷徨っていた迷路の脱出方向が分かった。後は出口へ向かって進んでいくだけ。
どれだけ時間がかかってもたどり着いてみせる。2人で。
ようやく部室へ到達する。
ドアを開け、時間ギリギリスライディング、アウトだった。…………すみません。
「ただいまー」
夜7時過ぎ。
部活が終わって帰る時間は、中学の頃とほぼ変わらない。
「お帰りー。ユニフォーム洗濯機のところに置いて……ってもう運動部じゃなかったわね」
キッチンに立った母が声をかける。
「まだその癖抜けないの。あでも体育あったから体操服出すよ」
「はいはい置いといて。今日は肉じゃがよ。一杯おかわりしてね」
「はーい」
母さんの作る肉じゃがは毎回量が多く、次の晩も同じメニューになることが多々ある。1人分多く作っているんじゃないだろうか。
「いただきますっ」
テーブルに着き、野菜スープにご飯、そして味の染みたじゃがいもに箸を伸ばす。これ好きなんだよなー。
リビングに置かれたテレビでは、ちょうど今日のニュースをやっていた。
キッチンからする片付けの音に遮られつつ、アナウンサーの声に何となく耳を傾ける。
『今年3月に___で発生___模殺人事件の容疑で逮捕さ_____被告の初公判が行わ_____察側は、”計画性のない衝動的な____遺体の損____告には強い怨恨があった
(大規模殺人……衝動的犯行…………あぁぁ)
と考えられる。逮捕後も意味不明の供述を繰り___、反省の態___れない。よって被告に__”』
「累人、最近どう?部活。練習大変でしょ」
母の問いかけに意識をテレビから離す。
「まぁね。でも楽しいよ。音楽なんて全然詳しくなかったけど、やってみると案外ハマれるっていうか」
「あんたとことんチャレンジャーよね。すごいことよ本当に。一体誰に似たのかしら」
「母さんじゃないの」
「私はどっちかというと安全で着実にいく方よ」
俺だって何も危険を冒して挑戦してるわけじゃないけどな。ちょっと興味があるからやってみようっていう、半ば気まぐれみたいなものと言ってもいい。
「そういえばさっきのニュース、よく見てなかったけど何か事件?最近多いわよね、強盗とか火事とか。もっと明るい話題はないのかしら」
「さぁ…………あ、そうだ母さん。今週中に部費出さないといけないから」
「あーそうだったわね。忘れるといけないからもう用意しとくわ」
「うん、ありがと」
片付けを終え、母はリビングから隣の自室へと移動する。
次にテレビに目を向けた時、画面には「ゴールデンウィーク 賑わいを見せたのは」という文字が並んでいた。
最近どうだ、学校は
うん……みんな勉強詰めだよ。偏差値ばっか気にしてさ。そりゃ今大事な時期だけど。推薦入試もそろそろ始まるみたいだし
そうだな。いよいよ義務教育が終わって、これからは自分で選択して進まなきゃいけないからな
選ぶって言ってもさ、結局入ってみないと分かんないじゃん。合ってるのか合ってないのかって
あー、まぁな。確かに最終的には運だろって思う時はあるよ俺も。それでも選ばなきゃいけない瞬間はやってくる。そんな時、お前はどうする?
どうって……メリットとデメリットを極限まで突き詰めて、メリットが多い方をとる、かな
はは、えらく賢そうな答えが出てきたな。端的に直感って言うかと思った
直感で高校決めるって相当冒険者だよ。まぁ俺だって大した理由で決めたわけじゃないけど
それでもいいんだよ。大事なのは選んだ後どう行動するかだ。選んだことを後悔しないために精一杯努力する
努力してもだめだった時は?
んー……それはその時考えるしかないな
説得力なさすぎ
いやぁ俺だって人のこと言える立場じゃないからな。社会人になっても親になっても、試行錯誤の繰り返しだ。さ、明日も学校だろ。早く寝ろよ
「うん…………おやすみ…………と……さ…………」
昼食を終えて教室に戻ると、4限目の生物の授業の後教科書を忘れていったことに気付いた。5限目開始までまだ時間がある。
いそいそと北棟へ渡り、隣の準備室から鍵を借りて室内に入る。
照明の消えた部屋は昼間でも薄暗い。机が黒いからだろうか。
そういえば何でこういう理科系の部屋の机って黒いんだっけ。確か、実験で火を使うから燃えにくい素材になってるとか聞いたことあるような。
真ん中の列の後ろから2番目の机まで行き、下の椅子がしまってある所を覗く。
あった、教科書。
手に取って顔を上げると前方の扉、俺が入ってきた方だ、に人が立っていることに気付いた。
さっき鍵を貸してくれた生物の先生だろうかと思って目を向けると、そこにいたのは全く知らない人物だった。
少し癖のある銀色の髪に金眼。日の下で見るときっと輝く黄金色なんだろう。
同学年ではまず見ないような大人びた顔立ち。率直に言って美青年。背は俺より大分高そうだ。
「あ、あの、あんたもここに忘れ物を……?」
じっとこちらを見たまま何も言わないため、恐る恐る尋ねる。雰囲気的に上級生だろうか。
「君、1年3組の生徒だよね」
言葉に応じてか、その男子生徒が口を開いた。
爽やかという表現がぴったりな声。声量はそんなに出てないのに、教室後方まではっきり届く。
「君の教室の窓際最後尾にいる生徒、誰だか分かる?」
「えっ…………えっと、柳のこと……ですか?って、何でそんなこと__」
「やっぱり見えてるんだ。へぇすごい。同じクラスなのにまだ伝染ってないんだ」
「見えてるって……えっ、てことはあんたにも見えて__」
「この前教室の前を通りかかったけど、彼と喋っていたよね。何を話した?彼は何て言ってた?他の生徒からは何か言われなかった?」
こっちの話は聞かずに一方的に問いかけてくる。
こんな噛み合わないやりとりの相手は1人で十分だって。
「ちょ、ちょっと待って。質問多すぎ。というかその前にまずあんたは誰なのか教えて__」
「君は見える自分がおかしいと本気で思っているの?」
「だから人の話を聞い……て…………」
見える自分が、おかしい?
だって、その通りじゃないか。
大衆の中で1人だけ違ったら、俺だけが変だってことに……。
「……じゃあ、何がおかしいって言うんだ」
「あれ、本当に気付いてないの。まぁ、誰もが見えていないものが見えたら、当然自分を疑うか。これはかなり特殊な状態のようだから」
「あんたは…………何を知ってる?」
「正確には見えないのではなく、認識できない。目には映っているのにそこには誰もいないと思い込んでいる。思い込まされている。人間ってすごいよね」
話しつつゆっくりこちらへ
(……思い込む………今は、ただ)
近づいてくる。それはどこか独り言めいていて。
「いとも簡単に1人の人間の存在を消してしまえる。あくまで認識上のことだけど。多数決で決められる世界の道理。大衆の言うことは絶対。多くのものには、強いものには従わないと」
幼い子供に言い聞かせるような口調。
「だから呪われる。あっさりと」
いつの間にか、目の前に青年が立っていた。
虚ろな瞳がじっと見下ろしてくる。
「……の、呪われる?何それ、ゲームの話?わ、悪いけど俺全然詳しくないから」
「君、あれ見える?」
青年が右手で窓の方を指差す。
目をやるが、”あれ”とは何を指すのかがそもそも分からない。
「な、何、何のこと言ってんの。あそこの水槽?それとも、窓の外のこと?」
「見えないのか。似た気配はするのに。色々なタイプがあるってことかな」
だめだ、こいつが何言ってるのか全然理解できない。会話が成立していない。
でも、あのクラスで、学校で何が起きているのかを確実に知っている。
「あんた、柳のこと知ってるんだよな。その周囲で、学校全体で何が起きてるのかも。教えてくれよ、何がどうなってるのか」
「さっき言ったよ。呪われてるんだ。みんな」
「だから、そんなわけ分かんない説明じゃなくて__」
「じゃあやってみせてあげる。それが一番分かりやすい」
すると、俺の両肩を掴み耳元に顔を寄せる。
何をするのかと身構えていると、急に左側から声が聞こえた。
さっき青年が指差した方向から。
≪イイィィィアア゛、ワァァダジ、イアア゛ァァア≫
何かの唸り声。不気味な音。
遠足の時の記憶が蘇る。あれは、まさか…………。
寒気が走り、体が震えた。動悸が一気に激しくなる。
それに気付いたのか、青年が言う。
「へぇ、君って耳がいいんだ。しかも条件付きかな。そういうタイプもいるんだね。じゃあ、やるよ。大丈夫、ごく軽いものだから」
恐怖と混乱が押し寄せて声が出ない。
待て、何だ。何を、一体、何をする__
【君の教室に戻れ】
「……、……君。累人君!」
「はっ」
怪訝そうな顔の佐々蔵が目の前にいる。その隣には伊志森。
ここは……教室?3組の教室、なのか。
「大丈夫か累人。具合でも悪いのか」
「え、いや別に……何で?」
「何でって、忘れ物取りに行って戻ってきたと思ったら入口のとこで固まってたんだよ君。いくら呼びかけても虚ろな目で突っ立ってるだけで。もー焦ったよ」
「えぇっ、そんなことになってたのか。あれ、俺、何をしてて……」
右手には生物基礎の教科書。忘れ物を取りに行ってきた。それは間違いようだ。理科室へ行ったというのもはっきり覚えている。
だが、いつ戻ってきた。記憶が飛んでいる。
あの時と同じだ。
放課後柳と話していて、気付くと家の玄関だった時と。
そういえば、今回も記憶が飛ぶ直前まで誰かと話していた。長身の男子生徒。噛み合わない会話。焦点の合わない目。そして……”呪い”。
……何だ、いまいちはっきり思い出せない。ついさっきの出来事のはずなのに。必死に記憶を探っても、まるで傷だらけの透明フィルムを通して見ているような不明瞭さが絶えない。
「ほんとに大丈夫?累人君。もう5限目始まるけど、保健室行く?」
「いや、大丈夫。ちょっと考え事しながら歩いてただけ。あっ別に大したことじゃないから。ごめん心配かけて」
2人共あまり納得した風ではなかったが、授業開始のチャイムが鳴ったためそれぞれ席に着いた。
放課後。
机を下げ部室に行こうと教室を出ると、突然腕を掴まれ例の屋上入口に連行された。
誰の仕業かは言うまでもない。
「どうしたよ、柳。お前から絡んでくるなんて珍しい、というか初めてだっけ」
「名神、お前誰に喧嘩売った」
……はい出た唐突の意味不明発言。こんなやりとり1日に何度もするものじゃないって。
「頼むから、過程を省いて結論だけ突き付けるのやめてくれる?俺の脳内処理はそこまで高性能じゃないから。ただでさえ昼からずっと欠伸止まんないん……ふぁーぁ、眠い」
「……影響を受けやすい体質ということか。それとも直接受けたから……」
「何ブツブツ言ってんの。お前も呪いがどうとか言い出すわけ?」
途端に、柳の表情が険しくなった。
「お前も……?誰かが同じことを言ったのか」
「また質問攻め……この学校そういう奴ばっかかよ。昼休に生物室行った時に話したんだよ、多分上級生と」
「名前は」
「知らない。お前と同じで人の話を聞かない奴だったよ」
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「出会ってすぐ人の内情に踏み込んできた奴に言われたくない」
「それは悪かったな!で、具体的にどういうやつなの。俺がかけられたのって」
「残滓が薄過ぎて分からない。昼休みの件なら俺も見ていたが、恐らくお前が教室に入った時点で効果は切れていた。だとすれば単純な行動命令。かけた本人もちょっとしたいたずら程度だったんだろ」
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「その表現はやめろ。さっきお前が言ったことが事実なら、そいつは俺に関する認識を歪める呪いを学校全体にばらまいた張本人の可能性が高い」
「えぇぇっ!?な、い、いきなりそういう展開になんの?え、じゃあ俺、超やばい奴に絡まれたってこと……?」
急に様々な情報が開示され眠気が吹っ飛んだ。頭の処理が追いつかない。
要するに何だ、柳を取り巻いていたあの異様な環境は人為的なものだったっていうのか。そんなアニメに出てくる精神干渉系魔法みたいなことどうやって。それに、何で。
「ちょ、ちょっと待て。呪われてる?のがお前じゃなくて周囲の人間なのは分かった。いや分かんないけど。そもそも、いつから?いつからお前の周りでそんなことが」
「4月頭。学期が始まってすぐか。ちょうどお前が休んでいた間だ」
「えっ、ほんとに入学してすぐじゃん!一体何したら早々に恨み買うの。学校の番長的な人に喧嘩でも売ったの?」
「今時番長なんかいないだろ。とにかく、その上級生が呪いの充満したこの状況に関与しているのが事実だとすれば、その改善方法でも知ってるはずだが…………」
「ほんとか!?」
人の意識への介入が人の手によって行われたなんて、正直信じられない。
でも、それなら逆に元に戻す方法も人の手によって実行可能ということだろう。
「……何にやけてんだお前」
「何だよ、何とかできるって分かって嬉しくないのか。その呪いってやつを消せたら、みんなお前のこと見えるようになるんだろ。もう教室の隅に固まることもなくなるんだろ」
「…………本当に、何も知らないんだな。お前は」
柳が何か呟いたが聞き取れない。
その表情は悲しげで、でもどこか安堵しているようにも見えた。
「ひとまず、この件は保留だ。今すぐどうこうできる問題じゃない。名神、お前は今まで通り普通に行動していろ。勝手な真似はするな」
「何を悠長な…………いやまぁ、焦ってもいいことないのは分かるけど」
「これだけ広範囲に呪いが行き渡った中、お前はまだ影響を受けてない。つまり、何か伝染る条件があるはずだ。それが分からない以上下手に動くのは得策じゃない」
「はっ、そうか。下手したら俺まで柳のことが分からなくなるかもしれないってことか」
窓際最後尾。その空席を見ても何も思わない。ただ当たり前の現実として受け取る。
そんな自分の姿を想像してぞっとする。その状況には絶対なってはだめだ。
「分かった。闇雲に動かず、作戦を立てて慎重に事に臨むって感じだな」
「まぁ……そうだ。とりあえず今日はここまで…………あぁ、部活はいいのか」
「はっ、ミーティングの時間!じゃあ柳、また明日っ」
早口で別れを告げ階段を下りる。そのまま渡り廊下を駆け抜け、北棟へ向かう。
それにしても、これははまたとない進展だ。
ずっと彷徨っていた迷路の脱出方向が分かった。後は出口へ向かって進んでいくだけ。
どれだけ時間がかかってもたどり着いてみせる。2人で。
ようやく部室へ到達する。
ドアを開け、時間ギリギリスライディング、アウトだった。…………すみません。
「ただいまー」
夜7時過ぎ。
部活が終わって帰る時間は、中学の頃とほぼ変わらない。
「お帰りー。ユニフォーム洗濯機のところに置いて……ってもう運動部じゃなかったわね」
キッチンに立った母が声をかける。
「まだその癖抜けないの。あでも体育あったから体操服出すよ」
「はいはい置いといて。今日は肉じゃがよ。一杯おかわりしてね」
「はーい」
母さんの作る肉じゃがは毎回量が多く、次の晩も同じメニューになることが多々ある。1人分多く作っているんじゃないだろうか。
「いただきますっ」
テーブルに着き、野菜スープにご飯、そして味の染みたじゃがいもに箸を伸ばす。これ好きなんだよなー。
リビングに置かれたテレビでは、ちょうど今日のニュースをやっていた。
キッチンからする片付けの音に遮られつつ、アナウンサーの声に何となく耳を傾ける。
『今年3月に___で発生___模殺人事件の容疑で逮捕さ_____被告の初公判が行わ_____察側は、”計画性のない衝動的な____遺体の損____告には強い怨恨があった
(大規模殺人……衝動的犯行…………あぁぁ)
と考えられる。逮捕後も意味不明の供述を繰り___、反省の態___れない。よって被告に__”』
「累人、最近どう?部活。練習大変でしょ」
母の問いかけに意識をテレビから離す。
「まぁね。でも楽しいよ。音楽なんて全然詳しくなかったけど、やってみると案外ハマれるっていうか」
「あんたとことんチャレンジャーよね。すごいことよ本当に。一体誰に似たのかしら」
「母さんじゃないの」
「私はどっちかというと安全で着実にいく方よ」
俺だって何も危険を冒して挑戦してるわけじゃないけどな。ちょっと興味があるからやってみようっていう、半ば気まぐれみたいなものと言ってもいい。
「そういえばさっきのニュース、よく見てなかったけど何か事件?最近多いわよね、強盗とか火事とか。もっと明るい話題はないのかしら」
「さぁ…………あ、そうだ母さん。今週中に部費出さないといけないから」
「あーそうだったわね。忘れるといけないからもう用意しとくわ」
「うん、ありがと」
片付けを終え、母はリビングから隣の自室へと移動する。
次にテレビに目を向けた時、画面には「ゴールデンウィーク 賑わいを見せたのは」という文字が並んでいた。
最近どうだ、学校は
うん……みんな勉強詰めだよ。偏差値ばっか気にしてさ。そりゃ今大事な時期だけど。推薦入試もそろそろ始まるみたいだし
そうだな。いよいよ義務教育が終わって、これからは自分で選択して進まなきゃいけないからな
選ぶって言ってもさ、結局入ってみないと分かんないじゃん。合ってるのか合ってないのかって
あー、まぁな。確かに最終的には運だろって思う時はあるよ俺も。それでも選ばなきゃいけない瞬間はやってくる。そんな時、お前はどうする?
どうって……メリットとデメリットを極限まで突き詰めて、メリットが多い方をとる、かな
はは、えらく賢そうな答えが出てきたな。端的に直感って言うかと思った
直感で高校決めるって相当冒険者だよ。まぁ俺だって大した理由で決めたわけじゃないけど
それでもいいんだよ。大事なのは選んだ後どう行動するかだ。選んだことを後悔しないために精一杯努力する
努力してもだめだった時は?
んー……それはその時考えるしかないな
説得力なさすぎ
いやぁ俺だって人のこと言える立場じゃないからな。社会人になっても親になっても、試行錯誤の繰り返しだ。さ、明日も学校だろ。早く寝ろよ
「うん…………おやすみ…………と……さ…………」
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百合ランジェリーカフェにようこそ!
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主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
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元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
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アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
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貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
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御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
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21/12/17 1巻発売!
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ありがとうございます!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
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2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
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小説家になろうで執筆中の作品です。
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実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
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日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
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・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
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