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if (もしもの話)SS
前世で起きたナイショごと(ルイ×アキラ)【アキラSIDE】
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これはアキルティアがまだ
秋元秋良だった頃のお話……。
*****
俺は会社に一人残り残業していた。
正直、プログラム開発部には
定時というものは存在しない。
パソコンは24時間稼働しているし
仕事には締切りがある。
常に締切りに追われている
プログラム開発部の面々には
定時など関係があるわけも無い。
ただし実際は、
会社にいなくても
自宅のパソコンで仕事をしている
同僚も多い。
機密情報なので
データの持ち出し禁止などとは
言われるものの、
プログラム開発部のメンバーは
そういった機密保持のための
セキュリティプログラムを
作っている側の人間だ。
誰もが
「俺の作ったセキュリティを
突破できるのなら
突破してみろ」と
自信満々なのだ。
だからこそ、
タチが悪いとも言えるが。
それでもプログラム開発部の
直属の上司は無口で
かなり怖いタイプなので、
知られることは嫌なのだろう。
同僚たちはできる限り
会社で仕事をして、
無理なところだけ
自宅に持ち帰っているようだ。
俺の仕事は、そうやって
自由にしている同僚たちの
面倒を見ることだ。
……たぶん。
俺が一人で作ることができる
プログラムは、同僚たちと
比べるとたかが知れている。
俺が作るプログラムは
業務を効率よく進めることが
できるようになる作業用の
プログラムばかりだ。
初めて作ったプログラムは
同僚たちのタスク管理を
するためのプログラムだった。
なにせ俺はパソコンなんて
触ったことが無い人間だった。
それが何故プログラム開発部に
配属されたのかよくわからない。
今までバイトをしてきた
経験から言えば新人は
先輩たちに仕事を
教えてもらうものだった。
だがこの部に関して言えば
それは無理だ。
自称コミュ障の先輩たちが
パソコンに向かって
ぶつぶつ呟いたり、
たまに煮詰まったのか
奇妙な踊りをしているのだ。
いったい誰に何を
教えて貰えばいいのかわからない。
上司の顔を見ると上司は無表情で
「やつらのサポートをしてくれ」
という。
仕事も教えて貰えないなんて、
やはり社会は厳しいと
俺はつくづく思った。
そこで俺は頑張って
自力でパソコンを触り、
簡単なプログラムなら
作れるぐらいになるまで
本を読みながら勉強した。
それから先輩や同僚たちの
様子を見て、
スケジュール管理ができる
ソフトを作ろうと思ったのだ。
とにかく常にこの部の
メンバーは忙しそうだ。
いや、忙しいのか暇なのか
よくわからない。
仕事と趣味が一緒、という
面々ばかりなので
本当に何をしているのか
まったくわからないのだ。
だから俺はまず
それを可視化することにした。
仕事を教わるにしても
相手がいつ時間が空くのか
まったくわからないのだ。
俺は何度も失敗しつつ、
一つのソフトを作った。
やるべきことを入力し、
それを重要度や緊急度に並べ替え、
ついでに、それらの作業時間を
予測して入れると、一日、もしくは
数週間、数か月単位の
スケジュールが出てくるものだった。
俺はそれを作って、
同僚たち一人一人の抱えている仕事を
整理して、今何をやるべきかを
提示していくことから始めた。
そうすることで、
毎日会社に寝泊まりしていた
同僚は家に帰るようになり、
俺も相手のスケジュールを
理解しているので
手が空いている時に
質問しにいくことができるようになった。
やれやれだ。
パソコンも触ったことが無い俺が
このソフトを自力で作り上げたことが
開発部のメンバーに俺が
認められるきっかけになったことは確かだ。
だって俺はここから
上司以外の仕事のスケジュール管理から
プレゼンのサポート。
ひいては、そのプレゼンまで
俺が引き受けてすることになったのだから。
俺が今、残業している仕事も
先輩のプレゼンの資料作りのためだ。
プログラムを作らせたら
物凄い力を発揮するのに、
資料作りは全くできず、
プレゼンに成功したことが無いという
先輩のために、
俺は今、必死なのだ。
本来はプレゼンは営業部の人間と
2人1組で行われる筈なのに、
この部の人間は正直、
他の部署とは相性が悪い。
そんなわけで営業部の人間とも
うまくコミュニケーションが取れず
なかなか成果が出ないという。
そこで俺がプレゼンのための
資料を作り、営業部の人間との
橋渡しをして、
本番に臨んでもらうことにした。
「アキラ、まだ残ってんのか?」
あともう少し、と思っていたら
同期で営業部のルイがやってきた。
「早くしないと終電逃すぞ」
と言われ、
俺は慌てて時計を見る。
やばっ。
もうこんな時間か。
「もっと早く教えてくれよ!」
俺は思わず愚痴ってしまう。
今すぐに会社を飛び出しても
終電に間に合うかギリギリ……
いや、もう間に合わないかも。
「おまえ、開発部の部屋に
電気がついていることに
気が付いた俺が
せっかく見に来てやったのに
開口一番、それか?」
ルイの不機嫌な声に
俺は、うなだれる。
「すまん、ありがとう。
助かって……はないが」
仕方ない。
今日はこのまま会社に泊まるか。
タクシーなんか使ったら
お金がもったいない。
弟にはメッセージアプリで
連絡をしておこう。
「仕方ない、俺ん家、
泊まりに来るか?」
項垂れた俺を不憫に思ったのか
ルイがそんな提案をする。
「いいよ、申し訳ないし」
「ばーか、誰がタダで
泊めてやるって言った?
冷蔵庫に腐りそうな
食材があるから、飯作ってくれよ。
俺、まだ夕飯食べてないし、
今から食べる店だと
居酒屋系になるだろ?
俺、今日は家でのんびり
過ごしたいんだよ」
心底、疲れたような顔で
言うルイの言葉に
俺はそれならと頷いた。
俺は泊まる場所ができて
ルイはのんびり家で
過ごせるwinwinの状態ってことだろ。
「よし、任せとけ」
俺が言うと、
ルイは嬉しそうな顔をした。
よっぽど家でのんびり
夕飯を食べたかったんだな。
いや、腹が減ってるのか。
俺は帰る支度をして
ルイの後ろをついて行く。
ルイの家は会社の近くで
かなりの高級マンションだ。
どう考えても会社の給料だけでは
家賃も賄えないと思う。
そんなマンションに住むぐらい
資産があるのなら、正直、
あんな会社で働かなくても
生きていけるのでは?
と俺は思っている。
だが、あまりルイは自分のことは
あまり話さないし、
自分の母親のことを
良く思ってないみたいなので
俺も聞こうとは思わなかった。
そういうのはルイが
俺に言いたくなった時、
聞けばいいと思うから。
「おじゃましまーす」と
俺が言うのはマンションの
エントランスだ。
ルイが笑う。
「まだ早いだろ?」
「いや、でも、管理の人とか
警備の人とかいるし」
エントランスには
コンシェルジュがいるし
警備員もいる。
俺は小心者だからな。
つい頭を下げてしまうのだ。
エレベーターで上がり、
俺はルイの家まで行く。
この部屋に入るのは
初めてではない。
そんなに頻度は多くないが
こうして終電を逃した時に
泊めてもらうこともあったし、
休日に食材が余っていると呼ばれて
料理を作りに来るときもある。
すでに俺は勝手知ったる場所に
なっているため、
部屋に上がらせてもらうと
すぐに手を洗い、
冷蔵庫を開ける。
「すぐに食べれる物にするぞ」
「おーっ」とルイの声が
聞こえるが水音が聞こえるから
シャワーでも浴びているのだろう。
あいつも自由だ。
俺と言う友人が来ているのに
好き勝手に振舞う。
だからこそ、俺も
気兼ねなくできるのだが。
開発部のメンバーが
自分(の趣味)ファーストな
メンバー過ぎて最初は戸惑ったが
それに慣れたせいだろうか。
ルイの自由な行動にも
違和感を感じなくなった。
客である俺を放置して
何シャワー浴びてんだよ、なんて思わない。
俺は冷蔵庫を開けて
肉と野菜を適当に切って
炒めることにする。
この家はルイの話では
定期的に家政婦さんの
ような人が出入りして
掃除などをしてもらうらしく、
食材もその時に
持ってくるのだろう。
ただその量が凄い。
いつ来ても食材や調味料が
山ほど置いてあるのだ。
困るのは調味料だ。
調味料などそんなにたくさん
使う物でもないのに
何故かこの家の調味料は
どんどん増えていく。
家政婦さんはこれらの
使わない調味料を見て
「この味は口に合わなかったのか」と
落胆でもして、新しい物を
購入してくるのだろうか。
俺は色々なものを試すことが
できて嬉しいのだが、
もう少しルイのことを見て
考えて欲しいと思う。
ルイが料理などするわけがないのだ。
いや、俺が来てこうやって
料理を作るから
家政婦さんはルイが料理に
目覚めたと思って、
甲斐甲斐しく準備を調えているとか?
それは……なんというか
申しわけない気もする。
俺はそんなことを考えつつ
野菜炒めと、ひき肉があったので
それを使ってオムライス風
チャーハンを作った。
何のことはない、
野菜炒めの残りと
ひき肉とご飯を炒めて
卵で包んだだけだ。
でも見た目だけは
美味しそうに見える。
この家ではすべて
大皿に盛って好きなだけ
食べるスタイルだ。
そして俺はその残りを
弟のために貰って帰る。
それがいつもの流れだった。
「旨そうな匂いがする」
ルイが濡れた髪を
拭きながらキッチンへと来た。
「俺、アキラの卵、
好きなんだよな」
オムライスの大皿を
無言でルイに差し出すと
ルイは受け取りながら笑う。
俺は卵焼きなんて
どれも同じだろうと思うが
口には出さない。
もしかしたら親との思い出とか
そういうのがあるかもしれないから。
代わりに俺は鍋を見る。
「ポトフも作ったぞ。
スープ皿、持って来てくれ」
これも野菜の残りと
ウインナーをコンソメスープで
煮ただけだ。
深い皿を持ってきたルイに
味見をさせると
ルイは笑顔になる。
うん。
美味いみたいだな。
俺はルイから皿を受け取り、
代わりに野菜炒めが乗った皿を
ルイに手渡す。
「取り皿、用意しといて」
「了解。
そうだ、アキラ。
そのスープが出来たら
お前もシャワー浴びて来いよ」
ルイが言うので
俺は素直に頷く。
実は自分が汗臭いことに
気が付いていた。
「着替えは貸してやるし、
それ、そのまま
持って帰ってくれ」
ルイの言葉だけ聞くと
驚くセリフなのだが
なんでもルイもルイの母親も
モデルをしているらしく、
このマンションには
未使用の服が山ほどある。
俺はそれをたまに
貰うことができて
重宝していた。
なにせルイから貰う服は
質が良いので
肌触りも違う。
それにルイ以外の
人間から言われたら
遠慮するところだが
俺は実際にこのマンションの
部屋の1室が、未使用の服で
溢れかえっていることを
知っている。
だから俺は遠慮なく
貰うことができるのだ。
俺はありがたく
タオルとルイから手渡された
シャツを手にシャワーを浴びた。
頭を洗ってさっぱりする。
ルイはいいよな。
家が会社の近くで。
家が近かったら朝も楽だし
夜も残業し放題じゃないか。
俺はそんなことを思いつつ
借りたシャツを羽織る。
ルイから手渡されたのは
タオルと物凄く派手な
未使用の下着とシャツだ。
下着は派手派手で
俺もルイも絶対に着ないような
ものだったから、
やはりサンプル品で
貰ったものなのだろう。
ありがたく使わせてもらう、が。
なんだ?
これ。
俺はシャツを羽織って気が付いたが
これ、女性物ではないだろうか。
物凄く丈が長くて、
膝下ぐらいまである。
これ、ワンピースじゃないのか?
裾までボタンが付いていて
身体がすっぽりと隠れるが、
ズボンを履く感じではない。
「ルイー、これ、
女性物みたいだぞ」
俺はキッチンに戻って
一応ルイに言ってみたが
ルイは俺を見て、一瞬口元を
歪めたものの
「いいんじゃね?」という。
「もう外には出ないし、
着れたなら、構わないだろう。
俺しかいないし」
そう言われたらそんな気がする。
女性向けかと思ったが、
別にきつくないからサイズは
大丈夫だし。
むしろ大きいぐらいだ。
モデルの人たちが着る服だし、
もしかしたらこういった
デザインのメンズの服も
俺が知らないだけで
あるのかもしれない。
足もとがスース―するが、
まぁ、いいか。
あとは寝るだけだだしな。
俺がキッチンに戻ると
すでに食卓には
俺が作った料理とビールが
並んでいた。
俺たちはビールを飲みながら
互いの仕事の話をする。
他愛のない話をしながら
料理を食べ、お腹が膨れたら
そのままリビングに移動した。
「なぁ、そのプレゼン。
俺と一緒にやるか?」
ルイがブランデーの瓶と
グラスを持って来た。
「うん?」
「お前の作ってた資料、
資料があってもお前の
先輩が上手く話せないんじゃ
意味ないし。
お前が説明して
俺がそれをフォロー
するってのはどうだ?」
「それはいいけど……
でも、先輩が担当だからな」
俺が出張ってしまうと
先輩の仕事を奪ったみたいに
思われないだろうか。
「じゃあ、開発部からは
お前とその先輩が来たらいい。
営業部では、別に俺が
開発部の仕事を肩代わり
する分には問題はないし。
おまえは先輩の補佐として
プレゼンをして、
相手側からの質問とかは
先輩に任せたらどうだ?」
俺はその提案に
目を輝かせてしまった。
それはいいと思う!
「いいのか!?
助かる。
ありがとう、ルイ!」
先輩は実力があるのに
上手くいかないのは
自信が無いからだと思うんだ。
その自信を付けるためにも
今回のプレゼンは絶対に
成功して欲しかった。
「ルイはいいやつだな。
大好きだ」
って俺が言うと、
ルイは、はは、って笑う。
「今時、大好きとか
普通に言うやつは
おまえぐらいだぞ」
「そうか?
俺は毎日、弟に言ってるぞ」
「……嫌がられないか? それ」
俺は言葉に詰まる。
「やっぱり、思春期は
難しいよなぁ」
俺の言葉にルイは肩をすくめた。
「まぁ、飲めよ。
少しぐらい付き合えるだろ」
「俺があまりアルコールに
強くないの、知ってるだろ?」
なのにブランデーを
持ってくるなんて。
「これ、めちゃくちゃ高価で
美味いヤツなんだぞ。
やっと手に入ったんだから
飲んでみろよ。
明日は休みだし、
少しぐらい酔っても大丈夫だろ」
そう言われて、
俺もそうか、と思い直した。
明日の朝は早めにここを出て
弟の様子を見に帰るつもりだったけど。
反抗期真っただ中の弟は
俺が会社に泊まっても
朝、家にいなくても
まったく気にしてない感じだしな。
俺は先ほど弟にメッセージで
今日は仕事で帰れなくなったと
伝えたばかりだったが、
さらに付け加えて
明日戻る時間もわからないから
戸締りはしっかりしておくことと
何かあれば連絡するようにと
メッセージを送った。
家の冷蔵庫には弟が困らない程度の
食料を作り置きしてあるし、
何かあった時用に、
弟が使えるように
数万円ほどのお金も置いてある。
まぁ、大丈夫だろう。
「弟?」
俺がスマホを触ったので
ルイが聞いて来る。
「うん。
明日、早く戻るつもりだったけど
ここで飲んだら、
早起きできる自信がないからさ。
戸締りは気を付けるようにって
連絡しといた」
「過保護だなー」
ルイは笑うが、
心配なもんは心配なんだ。
「ほんと、
アキラの弟が羨ましい」
ルイはそんなこと言いながら
グラスにブランデーを注ぐ。
「羨ましい?」
「だって、アキラに心配されて
ものすごーく構われて。
それが当たり前だろ。
あ、でもそういうと
開発部の人間もそうだけど」
俺は笑う。
「同僚や先輩たちは
俺が管理しないと、
グダグダになるからな。
優秀な人たちばかりなのに
残念な人の集まりになってたのは
誰もあの人たちを放置して
管理しなかったからだと思う」
「それを上司じゃなくて
おまえがやってることが
凄いんだけどな」
そう言われて俺は
また笑う。
俺の上司はそういうタイプではない。
無口で無表情で、めちゃくちゃ怖い。
それがただの、不器用で
コミュニケーションの
取り方がわからないだけだと
知った時は、俺の方こそ
驚愕で声がでなかったぐらいだ。
まぁ、今はその上司とも
うまくやってるし、
開発部もいい感じで
仕事が回ってると思う。
「アキラが営業部に
配属になったらよかったのな」
ルイがふとそんなことを
言うので俺は無理無理、と
手を振った。
「俺は営業部は無理だよ」
「なんで?」
「なんか、苦手っぽい」
「そんなわけないだろ。
あの無法地帯を制したんだから」
ルイは笑ってブランデーの
グラスを持つ。
無法地帯って、と思うが
それを否定できない自分もいる。
俺は苦笑してグラスの中の
ブランデーをぺろり、と舐めた。
芳醇な香りがふわりと香る。
「美味いだろ?」
俺の顔を見て、
ルイがニヤリと笑う。
俺は頷くしかない。
洋酒は正直、苦手だった。
アルコール度数も高いし、
独特の香りが鼻に突くからだ。
でも、これは違う。
匂いもやわらかだし、
味も優しい。
ルイはニヤニヤしている。
「アキラにもブランデーの
良さを知って欲しかったからさ」
なるほど。
俺の苦手意識に気が付いていたか。
「今日は飲もうぜ」
ルイのそのお誘いを断る理由など無い。
そこから俺は
前後不覚になるまでルイに
勧められるままお酒を飲んでしまった。
そのことに後悔したのは
泥酔した俺が目を覚ましてからだった。
秋元秋良だった頃のお話……。
*****
俺は会社に一人残り残業していた。
正直、プログラム開発部には
定時というものは存在しない。
パソコンは24時間稼働しているし
仕事には締切りがある。
常に締切りに追われている
プログラム開発部の面々には
定時など関係があるわけも無い。
ただし実際は、
会社にいなくても
自宅のパソコンで仕事をしている
同僚も多い。
機密情報なので
データの持ち出し禁止などとは
言われるものの、
プログラム開発部のメンバーは
そういった機密保持のための
セキュリティプログラムを
作っている側の人間だ。
誰もが
「俺の作ったセキュリティを
突破できるのなら
突破してみろ」と
自信満々なのだ。
だからこそ、
タチが悪いとも言えるが。
それでもプログラム開発部の
直属の上司は無口で
かなり怖いタイプなので、
知られることは嫌なのだろう。
同僚たちはできる限り
会社で仕事をして、
無理なところだけ
自宅に持ち帰っているようだ。
俺の仕事は、そうやって
自由にしている同僚たちの
面倒を見ることだ。
……たぶん。
俺が一人で作ることができる
プログラムは、同僚たちと
比べるとたかが知れている。
俺が作るプログラムは
業務を効率よく進めることが
できるようになる作業用の
プログラムばかりだ。
初めて作ったプログラムは
同僚たちのタスク管理を
するためのプログラムだった。
なにせ俺はパソコンなんて
触ったことが無い人間だった。
それが何故プログラム開発部に
配属されたのかよくわからない。
今までバイトをしてきた
経験から言えば新人は
先輩たちに仕事を
教えてもらうものだった。
だがこの部に関して言えば
それは無理だ。
自称コミュ障の先輩たちが
パソコンに向かって
ぶつぶつ呟いたり、
たまに煮詰まったのか
奇妙な踊りをしているのだ。
いったい誰に何を
教えて貰えばいいのかわからない。
上司の顔を見ると上司は無表情で
「やつらのサポートをしてくれ」
という。
仕事も教えて貰えないなんて、
やはり社会は厳しいと
俺はつくづく思った。
そこで俺は頑張って
自力でパソコンを触り、
簡単なプログラムなら
作れるぐらいになるまで
本を読みながら勉強した。
それから先輩や同僚たちの
様子を見て、
スケジュール管理ができる
ソフトを作ろうと思ったのだ。
とにかく常にこの部の
メンバーは忙しそうだ。
いや、忙しいのか暇なのか
よくわからない。
仕事と趣味が一緒、という
面々ばかりなので
本当に何をしているのか
まったくわからないのだ。
だから俺はまず
それを可視化することにした。
仕事を教わるにしても
相手がいつ時間が空くのか
まったくわからないのだ。
俺は何度も失敗しつつ、
一つのソフトを作った。
やるべきことを入力し、
それを重要度や緊急度に並べ替え、
ついでに、それらの作業時間を
予測して入れると、一日、もしくは
数週間、数か月単位の
スケジュールが出てくるものだった。
俺はそれを作って、
同僚たち一人一人の抱えている仕事を
整理して、今何をやるべきかを
提示していくことから始めた。
そうすることで、
毎日会社に寝泊まりしていた
同僚は家に帰るようになり、
俺も相手のスケジュールを
理解しているので
手が空いている時に
質問しにいくことができるようになった。
やれやれだ。
パソコンも触ったことが無い俺が
このソフトを自力で作り上げたことが
開発部のメンバーに俺が
認められるきっかけになったことは確かだ。
だって俺はここから
上司以外の仕事のスケジュール管理から
プレゼンのサポート。
ひいては、そのプレゼンまで
俺が引き受けてすることになったのだから。
俺が今、残業している仕事も
先輩のプレゼンの資料作りのためだ。
プログラムを作らせたら
物凄い力を発揮するのに、
資料作りは全くできず、
プレゼンに成功したことが無いという
先輩のために、
俺は今、必死なのだ。
本来はプレゼンは営業部の人間と
2人1組で行われる筈なのに、
この部の人間は正直、
他の部署とは相性が悪い。
そんなわけで営業部の人間とも
うまくコミュニケーションが取れず
なかなか成果が出ないという。
そこで俺がプレゼンのための
資料を作り、営業部の人間との
橋渡しをして、
本番に臨んでもらうことにした。
「アキラ、まだ残ってんのか?」
あともう少し、と思っていたら
同期で営業部のルイがやってきた。
「早くしないと終電逃すぞ」
と言われ、
俺は慌てて時計を見る。
やばっ。
もうこんな時間か。
「もっと早く教えてくれよ!」
俺は思わず愚痴ってしまう。
今すぐに会社を飛び出しても
終電に間に合うかギリギリ……
いや、もう間に合わないかも。
「おまえ、開発部の部屋に
電気がついていることに
気が付いた俺が
せっかく見に来てやったのに
開口一番、それか?」
ルイの不機嫌な声に
俺は、うなだれる。
「すまん、ありがとう。
助かって……はないが」
仕方ない。
今日はこのまま会社に泊まるか。
タクシーなんか使ったら
お金がもったいない。
弟にはメッセージアプリで
連絡をしておこう。
「仕方ない、俺ん家、
泊まりに来るか?」
項垂れた俺を不憫に思ったのか
ルイがそんな提案をする。
「いいよ、申し訳ないし」
「ばーか、誰がタダで
泊めてやるって言った?
冷蔵庫に腐りそうな
食材があるから、飯作ってくれよ。
俺、まだ夕飯食べてないし、
今から食べる店だと
居酒屋系になるだろ?
俺、今日は家でのんびり
過ごしたいんだよ」
心底、疲れたような顔で
言うルイの言葉に
俺はそれならと頷いた。
俺は泊まる場所ができて
ルイはのんびり家で
過ごせるwinwinの状態ってことだろ。
「よし、任せとけ」
俺が言うと、
ルイは嬉しそうな顔をした。
よっぽど家でのんびり
夕飯を食べたかったんだな。
いや、腹が減ってるのか。
俺は帰る支度をして
ルイの後ろをついて行く。
ルイの家は会社の近くで
かなりの高級マンションだ。
どう考えても会社の給料だけでは
家賃も賄えないと思う。
そんなマンションに住むぐらい
資産があるのなら、正直、
あんな会社で働かなくても
生きていけるのでは?
と俺は思っている。
だが、あまりルイは自分のことは
あまり話さないし、
自分の母親のことを
良く思ってないみたいなので
俺も聞こうとは思わなかった。
そういうのはルイが
俺に言いたくなった時、
聞けばいいと思うから。
「おじゃましまーす」と
俺が言うのはマンションの
エントランスだ。
ルイが笑う。
「まだ早いだろ?」
「いや、でも、管理の人とか
警備の人とかいるし」
エントランスには
コンシェルジュがいるし
警備員もいる。
俺は小心者だからな。
つい頭を下げてしまうのだ。
エレベーターで上がり、
俺はルイの家まで行く。
この部屋に入るのは
初めてではない。
そんなに頻度は多くないが
こうして終電を逃した時に
泊めてもらうこともあったし、
休日に食材が余っていると呼ばれて
料理を作りに来るときもある。
すでに俺は勝手知ったる場所に
なっているため、
部屋に上がらせてもらうと
すぐに手を洗い、
冷蔵庫を開ける。
「すぐに食べれる物にするぞ」
「おーっ」とルイの声が
聞こえるが水音が聞こえるから
シャワーでも浴びているのだろう。
あいつも自由だ。
俺と言う友人が来ているのに
好き勝手に振舞う。
だからこそ、俺も
気兼ねなくできるのだが。
開発部のメンバーが
自分(の趣味)ファーストな
メンバー過ぎて最初は戸惑ったが
それに慣れたせいだろうか。
ルイの自由な行動にも
違和感を感じなくなった。
客である俺を放置して
何シャワー浴びてんだよ、なんて思わない。
俺は冷蔵庫を開けて
肉と野菜を適当に切って
炒めることにする。
この家はルイの話では
定期的に家政婦さんの
ような人が出入りして
掃除などをしてもらうらしく、
食材もその時に
持ってくるのだろう。
ただその量が凄い。
いつ来ても食材や調味料が
山ほど置いてあるのだ。
困るのは調味料だ。
調味料などそんなにたくさん
使う物でもないのに
何故かこの家の調味料は
どんどん増えていく。
家政婦さんはこれらの
使わない調味料を見て
「この味は口に合わなかったのか」と
落胆でもして、新しい物を
購入してくるのだろうか。
俺は色々なものを試すことが
できて嬉しいのだが、
もう少しルイのことを見て
考えて欲しいと思う。
ルイが料理などするわけがないのだ。
いや、俺が来てこうやって
料理を作るから
家政婦さんはルイが料理に
目覚めたと思って、
甲斐甲斐しく準備を調えているとか?
それは……なんというか
申しわけない気もする。
俺はそんなことを考えつつ
野菜炒めと、ひき肉があったので
それを使ってオムライス風
チャーハンを作った。
何のことはない、
野菜炒めの残りと
ひき肉とご飯を炒めて
卵で包んだだけだ。
でも見た目だけは
美味しそうに見える。
この家ではすべて
大皿に盛って好きなだけ
食べるスタイルだ。
そして俺はその残りを
弟のために貰って帰る。
それがいつもの流れだった。
「旨そうな匂いがする」
ルイが濡れた髪を
拭きながらキッチンへと来た。
「俺、アキラの卵、
好きなんだよな」
オムライスの大皿を
無言でルイに差し出すと
ルイは受け取りながら笑う。
俺は卵焼きなんて
どれも同じだろうと思うが
口には出さない。
もしかしたら親との思い出とか
そういうのがあるかもしれないから。
代わりに俺は鍋を見る。
「ポトフも作ったぞ。
スープ皿、持って来てくれ」
これも野菜の残りと
ウインナーをコンソメスープで
煮ただけだ。
深い皿を持ってきたルイに
味見をさせると
ルイは笑顔になる。
うん。
美味いみたいだな。
俺はルイから皿を受け取り、
代わりに野菜炒めが乗った皿を
ルイに手渡す。
「取り皿、用意しといて」
「了解。
そうだ、アキラ。
そのスープが出来たら
お前もシャワー浴びて来いよ」
ルイが言うので
俺は素直に頷く。
実は自分が汗臭いことに
気が付いていた。
「着替えは貸してやるし、
それ、そのまま
持って帰ってくれ」
ルイの言葉だけ聞くと
驚くセリフなのだが
なんでもルイもルイの母親も
モデルをしているらしく、
このマンションには
未使用の服が山ほどある。
俺はそれをたまに
貰うことができて
重宝していた。
なにせルイから貰う服は
質が良いので
肌触りも違う。
それにルイ以外の
人間から言われたら
遠慮するところだが
俺は実際にこのマンションの
部屋の1室が、未使用の服で
溢れかえっていることを
知っている。
だから俺は遠慮なく
貰うことができるのだ。
俺はありがたく
タオルとルイから手渡された
シャツを手にシャワーを浴びた。
頭を洗ってさっぱりする。
ルイはいいよな。
家が会社の近くで。
家が近かったら朝も楽だし
夜も残業し放題じゃないか。
俺はそんなことを思いつつ
借りたシャツを羽織る。
ルイから手渡されたのは
タオルと物凄く派手な
未使用の下着とシャツだ。
下着は派手派手で
俺もルイも絶対に着ないような
ものだったから、
やはりサンプル品で
貰ったものなのだろう。
ありがたく使わせてもらう、が。
なんだ?
これ。
俺はシャツを羽織って気が付いたが
これ、女性物ではないだろうか。
物凄く丈が長くて、
膝下ぐらいまである。
これ、ワンピースじゃないのか?
裾までボタンが付いていて
身体がすっぽりと隠れるが、
ズボンを履く感じではない。
「ルイー、これ、
女性物みたいだぞ」
俺はキッチンに戻って
一応ルイに言ってみたが
ルイは俺を見て、一瞬口元を
歪めたものの
「いいんじゃね?」という。
「もう外には出ないし、
着れたなら、構わないだろう。
俺しかいないし」
そう言われたらそんな気がする。
女性向けかと思ったが、
別にきつくないからサイズは
大丈夫だし。
むしろ大きいぐらいだ。
モデルの人たちが着る服だし、
もしかしたらこういった
デザインのメンズの服も
俺が知らないだけで
あるのかもしれない。
足もとがスース―するが、
まぁ、いいか。
あとは寝るだけだだしな。
俺がキッチンに戻ると
すでに食卓には
俺が作った料理とビールが
並んでいた。
俺たちはビールを飲みながら
互いの仕事の話をする。
他愛のない話をしながら
料理を食べ、お腹が膨れたら
そのままリビングに移動した。
「なぁ、そのプレゼン。
俺と一緒にやるか?」
ルイがブランデーの瓶と
グラスを持って来た。
「うん?」
「お前の作ってた資料、
資料があってもお前の
先輩が上手く話せないんじゃ
意味ないし。
お前が説明して
俺がそれをフォロー
するってのはどうだ?」
「それはいいけど……
でも、先輩が担当だからな」
俺が出張ってしまうと
先輩の仕事を奪ったみたいに
思われないだろうか。
「じゃあ、開発部からは
お前とその先輩が来たらいい。
営業部では、別に俺が
開発部の仕事を肩代わり
する分には問題はないし。
おまえは先輩の補佐として
プレゼンをして、
相手側からの質問とかは
先輩に任せたらどうだ?」
俺はその提案に
目を輝かせてしまった。
それはいいと思う!
「いいのか!?
助かる。
ありがとう、ルイ!」
先輩は実力があるのに
上手くいかないのは
自信が無いからだと思うんだ。
その自信を付けるためにも
今回のプレゼンは絶対に
成功して欲しかった。
「ルイはいいやつだな。
大好きだ」
って俺が言うと、
ルイは、はは、って笑う。
「今時、大好きとか
普通に言うやつは
おまえぐらいだぞ」
「そうか?
俺は毎日、弟に言ってるぞ」
「……嫌がられないか? それ」
俺は言葉に詰まる。
「やっぱり、思春期は
難しいよなぁ」
俺の言葉にルイは肩をすくめた。
「まぁ、飲めよ。
少しぐらい付き合えるだろ」
「俺があまりアルコールに
強くないの、知ってるだろ?」
なのにブランデーを
持ってくるなんて。
「これ、めちゃくちゃ高価で
美味いヤツなんだぞ。
やっと手に入ったんだから
飲んでみろよ。
明日は休みだし、
少しぐらい酔っても大丈夫だろ」
そう言われて、
俺もそうか、と思い直した。
明日の朝は早めにここを出て
弟の様子を見に帰るつもりだったけど。
反抗期真っただ中の弟は
俺が会社に泊まっても
朝、家にいなくても
まったく気にしてない感じだしな。
俺は先ほど弟にメッセージで
今日は仕事で帰れなくなったと
伝えたばかりだったが、
さらに付け加えて
明日戻る時間もわからないから
戸締りはしっかりしておくことと
何かあれば連絡するようにと
メッセージを送った。
家の冷蔵庫には弟が困らない程度の
食料を作り置きしてあるし、
何かあった時用に、
弟が使えるように
数万円ほどのお金も置いてある。
まぁ、大丈夫だろう。
「弟?」
俺がスマホを触ったので
ルイが聞いて来る。
「うん。
明日、早く戻るつもりだったけど
ここで飲んだら、
早起きできる自信がないからさ。
戸締りは気を付けるようにって
連絡しといた」
「過保護だなー」
ルイは笑うが、
心配なもんは心配なんだ。
「ほんと、
アキラの弟が羨ましい」
ルイはそんなこと言いながら
グラスにブランデーを注ぐ。
「羨ましい?」
「だって、アキラに心配されて
ものすごーく構われて。
それが当たり前だろ。
あ、でもそういうと
開発部の人間もそうだけど」
俺は笑う。
「同僚や先輩たちは
俺が管理しないと、
グダグダになるからな。
優秀な人たちばかりなのに
残念な人の集まりになってたのは
誰もあの人たちを放置して
管理しなかったからだと思う」
「それを上司じゃなくて
おまえがやってることが
凄いんだけどな」
そう言われて俺は
また笑う。
俺の上司はそういうタイプではない。
無口で無表情で、めちゃくちゃ怖い。
それがただの、不器用で
コミュニケーションの
取り方がわからないだけだと
知った時は、俺の方こそ
驚愕で声がでなかったぐらいだ。
まぁ、今はその上司とも
うまくやってるし、
開発部もいい感じで
仕事が回ってると思う。
「アキラが営業部に
配属になったらよかったのな」
ルイがふとそんなことを
言うので俺は無理無理、と
手を振った。
「俺は営業部は無理だよ」
「なんで?」
「なんか、苦手っぽい」
「そんなわけないだろ。
あの無法地帯を制したんだから」
ルイは笑ってブランデーの
グラスを持つ。
無法地帯って、と思うが
それを否定できない自分もいる。
俺は苦笑してグラスの中の
ブランデーをぺろり、と舐めた。
芳醇な香りがふわりと香る。
「美味いだろ?」
俺の顔を見て、
ルイがニヤリと笑う。
俺は頷くしかない。
洋酒は正直、苦手だった。
アルコール度数も高いし、
独特の香りが鼻に突くからだ。
でも、これは違う。
匂いもやわらかだし、
味も優しい。
ルイはニヤニヤしている。
「アキラにもブランデーの
良さを知って欲しかったからさ」
なるほど。
俺の苦手意識に気が付いていたか。
「今日は飲もうぜ」
ルイのそのお誘いを断る理由など無い。
そこから俺は
前後不覚になるまでルイに
勧められるままお酒を飲んでしまった。
そのことに後悔したのは
泥酔した俺が目を覚ましてからだった。
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