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閑話7
初めてのことが多すぎて困る・1【ティスSIDE】
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僕はジャスティス・アッシュフォード。
この国の第一王子だ。
僕はずっと『優秀な王子』でいようと
頑張って来た。
勉強は嫌いだったけど
アキルティアがいたから
頑張ったし、王子教育だってそうだ。
ほんとはアキルティアと一緒に
学園に通って、毎日一緒に
お昼ご飯だって食べたい。
でもそれを言ったら
我が儘になると思って
僕はいつだって我慢している。
でも、今回だけは別だ。
今回だけは
どうしても公爵家に行きたくて
僕は父上にお願いをした。
父上は僕がアキルティアと
出会ってから、
初めてとも言える我が儘に
驚いた顔をした。
けれど、ルティクラウン殿下が
これから公爵家のゲストハウスで
アキルティアと一緒に住むのだ。
それを知っていて、
ルティクラウン殿下を
公爵家に送り出すなどできはしない。
二人はとても仲が良い。
どう見ても、
ただの友人では無い距離に
僕はモヤモヤしてしまう。
それに絶対に、絶対に。
ルティクラウン殿下は
僕にアキルティアとの仲の良さを
見せつけてると思う。
仲の良い理由を教えて貰って
僕は納得はしたけれど。
前世の記憶がなんだっていうんだ!
って思ってる。
そんな過去のことよりも
この世界で、僕のことを見てって
アキルティアに言いたくなる。
でも、言えない。
ただの嫉妬だってわかってるから。
ジェルロイドとの距離が近いのも
前世で兄弟だったからだ、と言われた。
アキルティアがジェルロイドを
育てていたらしい。
そんなの嘘だって思いたい。
でも7歳も年上のジェルロイドが
なんとなくアキルティアに
甘えた仕草をすることも、
それをアキルティアが
笑って受け止めていることも、
僕は気が付いていた。
だって僕はいつだって
アキルティアを見ているから。
だからこそ、
二人の関係を疑ったけれど。
兄弟だった、と言われたら
確かにそうかも、とも思った。
じゃあ、ルティクラウン殿下は?
ただの友人だったのに、
異世界からアキルティアのために
転生してきたなんて、
ほんとにただの友人だったの?
もしかしたら、
ルティクラウン殿下は
アキルティアに片思いだったのでは?
そんなモヤモヤが消えなくて。
僕はルティクラウン殿下が
公爵家に行く日に
強引について行った。
父は苦笑しながら
許可を出してくれた。
父だって、アキルティアを
王家のお嫁に欲しい筈だから
僕がルティクラウン殿下と
アキルティアの仲を
邪魔したい、って言ったら
許可してくれたんだ。
父も母もアキルティアのことが
大好きで、僕のお嫁さんに
なって欲しいって思ってる。
でもアキルティアは
政略結婚は絶対にしない。
公爵が許さないからだ。
アキルティアが望まないと、
誰もアキルティアとは
結婚できない。
それがわかっているから
僕は必死でアキルティアの
そばにいて、僕のことを
好きになってもらいたいって
思っている。
そしてたぶんだけれど、
ルティクラウン殿下も
同じ想いだと思うんだ。
僕は勇み足で
ジェルロイドに言って
馬車に同乗させてもらう。
でも、本当は
公爵家に行くのはドキドキだった。
アキルティアは僕が突然行ったら、
迷惑だとか思わないかな?
でもできたら、
アキルティアの部屋を見てみたい。
きっと可愛い部屋なんだろうな。
そんなことを馬車の中で
ずっと考えていたから
公爵家について馬車を下りた途端、
僕はアキルティアを見つけて
駆け寄って手を繋いでしまった。
でも僕が手を繋いでも
アキルティアは嫌がらない。
手をつなぐのは仲良しの証拠だ。
だから僕は、アキルティアと
一緒にいる時は
できるだけ手を繋ぐようにしている。
公爵家の中に入ったら
僕はサンルームと、それから
アキルティアの部屋を見せてもらった。
アキルティアのベットの上には
僕が王宮で貸してもらった
クマのぬいぐるみが寝ていた。
本当にクマと一緒に寝てるんだ。
そう思ったら、
僕はなんだか恥ずかしくなってしまう。
あのクマは僕もぎゅっと抱きしめて
寝てしまったことがあるから。
アキルティアが毎晩抱きしめて
寝ているクマを僕がぎゅってして
寝たなんて……。
でもアキルティアは
毎晩一緒に抱いて寝るぐらい
お気に入りのクマを僕に貸してくれたんだ。
そのことが嬉しい。
僕はクマの服が王宮で見た服と
違うことに気が付いた。
僕がそれを聞くと、
アキルティアは恥ずかしそうに
クローゼットの中を見せてくれた。
クローゼットの中には
可愛いアキルティアの服が
沢山、吊り下がっていたけれど。
その下にある小さなクローゼットの
扉を開けると、驚いたことに
アキルティアの服と同じ生地、
同じ色合いのクマ専用の服が入っていた。
しかも、
アキルティアの服とお揃いの服が、
一目見ただけで取り出せるように
同じ配置になっている。
公爵家のメイドたちのが
作ったらしいのだが、
メイドたちのクマに対する
いや、アキルティアに対する
意気込みが感じられた。
驚いたけれど、
クマとお揃いの服を着る
アキルティアは可愛い。
それに、と思った。
僕もアキルティアとお揃いの服が着たい。
一度、アキルティアに
僕の瞳と同じ色の入った
シャツとリボンを贈ったけれど、
それは公爵に取り上げられる勢いで
不評だった、らしい。
アキルティアは公爵の意向で
王宮に着てくることは
できないけれど、
ちゃんと着ているからね。
と言ってくれていたが、
確かに、僕が贈った服は
クローゼットの中にあった。
ちゃんと着てくれているのだと
安心してしまう。
でも一緒にいる時に、
僕とお揃いの服を着てくれたら嬉しいのに。
アキルティアに僕の色の服を
着てもらうことができないのなら
お揃いの服は?
それならいいのでは?
「今度、私とのお揃いの服も
作って欲しいな」
僕がそういうと、
アキルティアはきょとん、とした顔をした。
王子の僕とお揃いの服なんて
無理だと思われたのだろうか。
でもすぐにアキルティアは笑って
「いいよ」と言ってくれた。
……その笑顔に、
まさかと思うけれど、
僕とクマとのお揃いの服を
作ろうとしているわけじゃないよね?
なんてちょっとだけ思ってしまった。
この国の第一王子だ。
僕はずっと『優秀な王子』でいようと
頑張って来た。
勉強は嫌いだったけど
アキルティアがいたから
頑張ったし、王子教育だってそうだ。
ほんとはアキルティアと一緒に
学園に通って、毎日一緒に
お昼ご飯だって食べたい。
でもそれを言ったら
我が儘になると思って
僕はいつだって我慢している。
でも、今回だけは別だ。
今回だけは
どうしても公爵家に行きたくて
僕は父上にお願いをした。
父上は僕がアキルティアと
出会ってから、
初めてとも言える我が儘に
驚いた顔をした。
けれど、ルティクラウン殿下が
これから公爵家のゲストハウスで
アキルティアと一緒に住むのだ。
それを知っていて、
ルティクラウン殿下を
公爵家に送り出すなどできはしない。
二人はとても仲が良い。
どう見ても、
ただの友人では無い距離に
僕はモヤモヤしてしまう。
それに絶対に、絶対に。
ルティクラウン殿下は
僕にアキルティアとの仲の良さを
見せつけてると思う。
仲の良い理由を教えて貰って
僕は納得はしたけれど。
前世の記憶がなんだっていうんだ!
って思ってる。
そんな過去のことよりも
この世界で、僕のことを見てって
アキルティアに言いたくなる。
でも、言えない。
ただの嫉妬だってわかってるから。
ジェルロイドとの距離が近いのも
前世で兄弟だったからだ、と言われた。
アキルティアがジェルロイドを
育てていたらしい。
そんなの嘘だって思いたい。
でも7歳も年上のジェルロイドが
なんとなくアキルティアに
甘えた仕草をすることも、
それをアキルティアが
笑って受け止めていることも、
僕は気が付いていた。
だって僕はいつだって
アキルティアを見ているから。
だからこそ、
二人の関係を疑ったけれど。
兄弟だった、と言われたら
確かにそうかも、とも思った。
じゃあ、ルティクラウン殿下は?
ただの友人だったのに、
異世界からアキルティアのために
転生してきたなんて、
ほんとにただの友人だったの?
もしかしたら、
ルティクラウン殿下は
アキルティアに片思いだったのでは?
そんなモヤモヤが消えなくて。
僕はルティクラウン殿下が
公爵家に行く日に
強引について行った。
父は苦笑しながら
許可を出してくれた。
父だって、アキルティアを
王家のお嫁に欲しい筈だから
僕がルティクラウン殿下と
アキルティアの仲を
邪魔したい、って言ったら
許可してくれたんだ。
父も母もアキルティアのことが
大好きで、僕のお嫁さんに
なって欲しいって思ってる。
でもアキルティアは
政略結婚は絶対にしない。
公爵が許さないからだ。
アキルティアが望まないと、
誰もアキルティアとは
結婚できない。
それがわかっているから
僕は必死でアキルティアの
そばにいて、僕のことを
好きになってもらいたいって
思っている。
そしてたぶんだけれど、
ルティクラウン殿下も
同じ想いだと思うんだ。
僕は勇み足で
ジェルロイドに言って
馬車に同乗させてもらう。
でも、本当は
公爵家に行くのはドキドキだった。
アキルティアは僕が突然行ったら、
迷惑だとか思わないかな?
でもできたら、
アキルティアの部屋を見てみたい。
きっと可愛い部屋なんだろうな。
そんなことを馬車の中で
ずっと考えていたから
公爵家について馬車を下りた途端、
僕はアキルティアを見つけて
駆け寄って手を繋いでしまった。
でも僕が手を繋いでも
アキルティアは嫌がらない。
手をつなぐのは仲良しの証拠だ。
だから僕は、アキルティアと
一緒にいる時は
できるだけ手を繋ぐようにしている。
公爵家の中に入ったら
僕はサンルームと、それから
アキルティアの部屋を見せてもらった。
アキルティアのベットの上には
僕が王宮で貸してもらった
クマのぬいぐるみが寝ていた。
本当にクマと一緒に寝てるんだ。
そう思ったら、
僕はなんだか恥ずかしくなってしまう。
あのクマは僕もぎゅっと抱きしめて
寝てしまったことがあるから。
アキルティアが毎晩抱きしめて
寝ているクマを僕がぎゅってして
寝たなんて……。
でもアキルティアは
毎晩一緒に抱いて寝るぐらい
お気に入りのクマを僕に貸してくれたんだ。
そのことが嬉しい。
僕はクマの服が王宮で見た服と
違うことに気が付いた。
僕がそれを聞くと、
アキルティアは恥ずかしそうに
クローゼットの中を見せてくれた。
クローゼットの中には
可愛いアキルティアの服が
沢山、吊り下がっていたけれど。
その下にある小さなクローゼットの
扉を開けると、驚いたことに
アキルティアの服と同じ生地、
同じ色合いのクマ専用の服が入っていた。
しかも、
アキルティアの服とお揃いの服が、
一目見ただけで取り出せるように
同じ配置になっている。
公爵家のメイドたちのが
作ったらしいのだが、
メイドたちのクマに対する
いや、アキルティアに対する
意気込みが感じられた。
驚いたけれど、
クマとお揃いの服を着る
アキルティアは可愛い。
それに、と思った。
僕もアキルティアとお揃いの服が着たい。
一度、アキルティアに
僕の瞳と同じ色の入った
シャツとリボンを贈ったけれど、
それは公爵に取り上げられる勢いで
不評だった、らしい。
アキルティアは公爵の意向で
王宮に着てくることは
できないけれど、
ちゃんと着ているからね。
と言ってくれていたが、
確かに、僕が贈った服は
クローゼットの中にあった。
ちゃんと着てくれているのだと
安心してしまう。
でも一緒にいる時に、
僕とお揃いの服を着てくれたら嬉しいのに。
アキルティアに僕の色の服を
着てもらうことができないのなら
お揃いの服は?
それならいいのでは?
「今度、私とのお揃いの服も
作って欲しいな」
僕がそういうと、
アキルティアはきょとん、とした顔をした。
王子の僕とお揃いの服なんて
無理だと思われたのだろうか。
でもすぐにアキルティアは笑って
「いいよ」と言ってくれた。
……その笑顔に、
まさかと思うけれど、
僕とクマとのお揃いの服を
作ろうとしているわけじゃないよね?
なんてちょっとだけ思ってしまった。
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