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閑話
俺の義弟があやしすぎる【義兄・ジェルロイドSIDE】
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俺の義弟があやしすぎる。
俺の義弟は、おそらく、いや間違いなく
俺の前世の兄だろう。
俺は前世の兄を守るために
この世界に生まれた。
少なくとも俺はそう思っている。
公爵家に引き取られることは
俺の存在意義とイコールとも言えた。
だから俺は公爵に、いや義父に
「必ずお守ります」と誓い、
公爵家にやってきた。
初めて義弟を見た時は、
あまりの可愛さにびっくりした。
俺の中での兄は、ずっと年上の、
いつでも俺が追いつけない兄の姿だったから。
それが、3歳だった。
前世で言うと幼稚園児だ!
頭をかいぐりかいぐりしてもいいだろうか。
俺は慎重に義弟と距離を詰めることにした。
初めて庭でお茶を飲んだときは
何を話せばいいかわからないので
会話は残念ながら続かなかった。
相手は3歳児。
しかも前世兄とはいえ、
その記憶があるのかどうかもわからない。
もちろん、俺が前世で弟だったことなど
わかるはずもない。
迷う俺の前で、義弟は紅茶の話を持ち出した。
俺は前世兄が甘いミルクティーを
好きだったことを思い出して
ミルクティーが好きだと言ってみた。
紅茶にハチミツを入れて飲むのも
前世兄が好きだったようなので
それも好きだと伝えてみると、
目を輝かせて自分と同じだと
身を乗り出してくる。
素直に可愛い義弟だと思う。
だが、前世兄がこのような表情をするのは
想像できなかった。
やはり記憶はないのだろうか。
俺はやや落胆しつつ、
その時は義弟とのお茶の時間を終えた。
それから俺はすぐに家庭教師が付き、
学園に入学した。
忙しくてあまり義弟と交流する時間がない。
俺は次期公爵家当主としての教育も
始まっていたので、とにかく忙しかった。
義弟のことも気にはなっていたが
自分の生活の基盤を調えることに必死で
なかなか義弟とゆっくり話をする時間を
持つことができなかったのだ。
そうしてあっという間に時間が経ち、
俺が17歳になった時だ。
義弟がやらかした。
なんでも王宮に潜り込んでいた
間者を見つけ出したらしい。
その状況を聞いたとき、
俺は「あーーーっ」と天井を仰いだ。
兄貴だ。
そう咄嗟に思った。
小難しい理論をやたらと言い、
原因と過程と結果を言い、
やたら未来を予測して
ねちねちと俺に説教してきた兄貴の顔を
俺はすぐに思い出した。
そして、自論を展開した後の
どや顔まで思い出せた。
あの可愛い顔の義弟が
同じように自慢げに口元を緩める顔を
思い浮かべ、俺は笑いが込み上げる。
「はは、やっぱり兄貴じゃん」
転生しても、兄貴は兄貴だ。
兄貴に前世の記憶があるかどうかはまだわからない。
可愛い顔をして
「にいさま」なんて兄貴が俺を呼ぶのだ。
なんか笑えるし、
俺のことを「兄」と呼ぶ姿は
じつは居心地が少しだけ悪い。
でもいつかこんな感覚も慣れてきて、
俺は義弟を兄貴としてではなく、
ただの兄弟として見ることができる日が
くるのだろうか。
もっとも義弟に記憶があろうとなかろうと
俺が義弟……アキルティアを
命を懸けて守ることは変わらない。
俺はアキルティアが間者を捕らえたことで
王家に褒賞を貰えるというのを聞き
学園から一旦、帰省した。
褒美と称して、ジャスティス殿下との
婚姻などとふざけたことを言わないように
すでに殿下には釘を刺している。
「それは褒賞ではなく
ただの嫌がらせですから」と
殿下に冷たく言い放っておいたので
意外と繊細な殿下は当分立ち直れないだろう。
兄貴は俺が守るのだから
王子など不要だ。
俺は学園に早退届と欠席届をだして
急いで屋敷に戻った。
朝から殿下を生徒会室に呼び出して
チクチクと釘を刺し続けたせいで
屋敷に戻ると昼の時間を過ぎていた。
俺は帰るなり義母に挨拶をして
すぐに義弟に会いに行く。
義弟は庭の東屋で
まだ昼食を食べていると言うので
俺は庭に出た。
庭に出ると、確かに東屋というには
豪華な屋根と、大きなテーブルセット。
そしてその広いテーブルの上で
小さな体がちまちまと動いているのが見えた。
アキルティアの身体は幼く、
体も弱いようで一度に食べることが
出来る量がかなり少ない。
だが、甘いものは別腹らしく、
アキルティアはすぐにおやつを食べたがる。
そんなことを前世の俺がしたなら
「お菓子を食べるぐらいなら飯を食え!」
と前世の兄なら怒るだろうに、
アキルティアはおかまいなしだ。
そして公爵家の人々は
アキルティアには、とてつもなく甘い。
おかげでアキルティアは日々、
思う存分、お菓子を堪能している。
前世なら「太るぞ」というところだが
アキルティアはそんなことにはならない。
おそらく摂取する栄養やカロリーが
少なすぎるのだろう。
俺がテーブルに近づくと、
気配に気が付いた侍女のサリーが
さりげなく俺の分のカトラリーを準備する。
こういったところも
さすが公爵家だと思う。
「アキ」
俺が声を掛けると、アキルティアは
「兄さま」とイスから立ち上がろうとする。
それを俺は手で制して、
アキルティアの前まで歩いた。
案の定、テーブルの上は
ケーキスタンドの上にケーキ、クッキー、
プリンやゼリーのようなものであふれかえっている。
しかもケーキスタンドは3つもあり、
どれも小さな1口サイズのケーキばかりだったが
「一人ケーキバイキングか?」と
ツッコミたくなるような状況だった。
「昼食中だと聞いた。
混ぜて貰ってもいいかい?」
丁寧に聞くと「嬉しいです」と笑顔が返ってくる。
こんな時、純粋な笑顔に
本当に前世兄なのか?と疑問を持つ。
前世で俺は、義兄の純粋な笑顔なんて
見たことが無かったから。
いつも俺が心配ばかりかけてたしな。
と、勝手に落ち込んでいると、
アキルティアは
「兄様、サンドイッチとスコーンもあります」
と声を掛けてくる。
どうやら甘い物ばかりでうなだれたと
思ったらしい。
サリーが皿を用意してくれ
俺はテーブルの隅に追いやられていた
サンドイッチをありがたくいただいた。
なにせ昼飯抜きだったからな。
まずは腹ごしらえだと
サンドイッチとスコーンを食べ
俺はアキルティアを見た。
「殿下から王家から褒美を貰うと聞いた。
何を願うつもりなんだ?」
ジャスティス殿下の話では
アキルティアが望んだものは
よっぽどのことが無い限り
与えられるだろうとのことだった。
俺の話にアキルティアは
驚いた顔をして、
「兄様にまで話が伝わってるなんて」
と顔を赤くする。
どうやら恥ずかしいらしい。
「それで?」
俺は続きを促した。
まさかと思うが、
アキルティアが殿下との婚姻を
望むという可能性もある。
せっかく殿下に釘を刺したのに
アキルティアが望むなどあってはならない。
「えっと、じつは……」
俺はアキルティアの言葉に耳を疑った。
俺の義弟は、おそらく、いや間違いなく
俺の前世の兄だろう。
俺は前世の兄を守るために
この世界に生まれた。
少なくとも俺はそう思っている。
公爵家に引き取られることは
俺の存在意義とイコールとも言えた。
だから俺は公爵に、いや義父に
「必ずお守ります」と誓い、
公爵家にやってきた。
初めて義弟を見た時は、
あまりの可愛さにびっくりした。
俺の中での兄は、ずっと年上の、
いつでも俺が追いつけない兄の姿だったから。
それが、3歳だった。
前世で言うと幼稚園児だ!
頭をかいぐりかいぐりしてもいいだろうか。
俺は慎重に義弟と距離を詰めることにした。
初めて庭でお茶を飲んだときは
何を話せばいいかわからないので
会話は残念ながら続かなかった。
相手は3歳児。
しかも前世兄とはいえ、
その記憶があるのかどうかもわからない。
もちろん、俺が前世で弟だったことなど
わかるはずもない。
迷う俺の前で、義弟は紅茶の話を持ち出した。
俺は前世兄が甘いミルクティーを
好きだったことを思い出して
ミルクティーが好きだと言ってみた。
紅茶にハチミツを入れて飲むのも
前世兄が好きだったようなので
それも好きだと伝えてみると、
目を輝かせて自分と同じだと
身を乗り出してくる。
素直に可愛い義弟だと思う。
だが、前世兄がこのような表情をするのは
想像できなかった。
やはり記憶はないのだろうか。
俺はやや落胆しつつ、
その時は義弟とのお茶の時間を終えた。
それから俺はすぐに家庭教師が付き、
学園に入学した。
忙しくてあまり義弟と交流する時間がない。
俺は次期公爵家当主としての教育も
始まっていたので、とにかく忙しかった。
義弟のことも気にはなっていたが
自分の生活の基盤を調えることに必死で
なかなか義弟とゆっくり話をする時間を
持つことができなかったのだ。
そうしてあっという間に時間が経ち、
俺が17歳になった時だ。
義弟がやらかした。
なんでも王宮に潜り込んでいた
間者を見つけ出したらしい。
その状況を聞いたとき、
俺は「あーーーっ」と天井を仰いだ。
兄貴だ。
そう咄嗟に思った。
小難しい理論をやたらと言い、
原因と過程と結果を言い、
やたら未来を予測して
ねちねちと俺に説教してきた兄貴の顔を
俺はすぐに思い出した。
そして、自論を展開した後の
どや顔まで思い出せた。
あの可愛い顔の義弟が
同じように自慢げに口元を緩める顔を
思い浮かべ、俺は笑いが込み上げる。
「はは、やっぱり兄貴じゃん」
転生しても、兄貴は兄貴だ。
兄貴に前世の記憶があるかどうかはまだわからない。
可愛い顔をして
「にいさま」なんて兄貴が俺を呼ぶのだ。
なんか笑えるし、
俺のことを「兄」と呼ぶ姿は
じつは居心地が少しだけ悪い。
でもいつかこんな感覚も慣れてきて、
俺は義弟を兄貴としてではなく、
ただの兄弟として見ることができる日が
くるのだろうか。
もっとも義弟に記憶があろうとなかろうと
俺が義弟……アキルティアを
命を懸けて守ることは変わらない。
俺はアキルティアが間者を捕らえたことで
王家に褒賞を貰えるというのを聞き
学園から一旦、帰省した。
褒美と称して、ジャスティス殿下との
婚姻などとふざけたことを言わないように
すでに殿下には釘を刺している。
「それは褒賞ではなく
ただの嫌がらせですから」と
殿下に冷たく言い放っておいたので
意外と繊細な殿下は当分立ち直れないだろう。
兄貴は俺が守るのだから
王子など不要だ。
俺は学園に早退届と欠席届をだして
急いで屋敷に戻った。
朝から殿下を生徒会室に呼び出して
チクチクと釘を刺し続けたせいで
屋敷に戻ると昼の時間を過ぎていた。
俺は帰るなり義母に挨拶をして
すぐに義弟に会いに行く。
義弟は庭の東屋で
まだ昼食を食べていると言うので
俺は庭に出た。
庭に出ると、確かに東屋というには
豪華な屋根と、大きなテーブルセット。
そしてその広いテーブルの上で
小さな体がちまちまと動いているのが見えた。
アキルティアの身体は幼く、
体も弱いようで一度に食べることが
出来る量がかなり少ない。
だが、甘いものは別腹らしく、
アキルティアはすぐにおやつを食べたがる。
そんなことを前世の俺がしたなら
「お菓子を食べるぐらいなら飯を食え!」
と前世の兄なら怒るだろうに、
アキルティアはおかまいなしだ。
そして公爵家の人々は
アキルティアには、とてつもなく甘い。
おかげでアキルティアは日々、
思う存分、お菓子を堪能している。
前世なら「太るぞ」というところだが
アキルティアはそんなことにはならない。
おそらく摂取する栄養やカロリーが
少なすぎるのだろう。
俺がテーブルに近づくと、
気配に気が付いた侍女のサリーが
さりげなく俺の分のカトラリーを準備する。
こういったところも
さすが公爵家だと思う。
「アキ」
俺が声を掛けると、アキルティアは
「兄さま」とイスから立ち上がろうとする。
それを俺は手で制して、
アキルティアの前まで歩いた。
案の定、テーブルの上は
ケーキスタンドの上にケーキ、クッキー、
プリンやゼリーのようなものであふれかえっている。
しかもケーキスタンドは3つもあり、
どれも小さな1口サイズのケーキばかりだったが
「一人ケーキバイキングか?」と
ツッコミたくなるような状況だった。
「昼食中だと聞いた。
混ぜて貰ってもいいかい?」
丁寧に聞くと「嬉しいです」と笑顔が返ってくる。
こんな時、純粋な笑顔に
本当に前世兄なのか?と疑問を持つ。
前世で俺は、義兄の純粋な笑顔なんて
見たことが無かったから。
いつも俺が心配ばかりかけてたしな。
と、勝手に落ち込んでいると、
アキルティアは
「兄様、サンドイッチとスコーンもあります」
と声を掛けてくる。
どうやら甘い物ばかりでうなだれたと
思ったらしい。
サリーが皿を用意してくれ
俺はテーブルの隅に追いやられていた
サンドイッチをありがたくいただいた。
なにせ昼飯抜きだったからな。
まずは腹ごしらえだと
サンドイッチとスコーンを食べ
俺はアキルティアを見た。
「殿下から王家から褒美を貰うと聞いた。
何を願うつもりなんだ?」
ジャスティス殿下の話では
アキルティアが望んだものは
よっぽどのことが無い限り
与えられるだろうとのことだった。
俺の話にアキルティアは
驚いた顔をして、
「兄様にまで話が伝わってるなんて」
と顔を赤くする。
どうやら恥ずかしいらしい。
「それで?」
俺は続きを促した。
まさかと思うが、
アキルティアが殿下との婚姻を
望むという可能性もある。
せっかく殿下に釘を刺したのに
アキルティアが望むなどあってはならない。
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