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愛される世界?
18:運命の出会い・2【ティスSIDE】
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その薔薇は、庭園の奥にあった。
王家の特別な薔薇。
何故、宝石の実が成る薔薇があるのか
誰もわからない。
けれど、この薔薇の実は
持っているだけで魔除けになると
言われていて、本当に特別な宝石だった。
アキルティアは。
いや、アキは。
薔薇を見た瞬間、息を飲み、
じっと薔薇を見つめた。
「この薔薇ははね。
王家に代々伝わる薔薇で
『最愛』って呼ばれているんだ」
僕はアキに薔薇のことを教えてあげる。
でも、僕はこの薔薇の石に関しては
半信半疑だ。
だって母上は、この薔薇の宝石を
愛する人に贈ると、
二人で幸せになれると言うけれど、
魔除けと幸せは別の話だと思うんだ。
でも僕の話を聞き、
アキは「素敵ですね」と言った。
アキも母上みたいな
恋愛っぽい話が好きなのだろうか。
「アキもそう言う話、好き?」
僕はそう聞いてみた。
「はい。
『最愛』の薔薇から生まれた石で
愛する国や愛する人を飾る。
そして守る。
素敵だと思います」
でもアキの返事は
僕の考えていたものと少し違った。
「守るために、飾るの?」
よくわからない。
「そうですね。
きっとこの薔薇の石は
この薔薇にしか取れないものだと思います」
アキはそう言って、
薔薇の石の価値を知っている者が
それを見るだけで
不埒な行動を抑制することができると
僕に教えてくれた。
そして、愛する人に贈れば、
この石の価値が物凄く高いからこそ、
愛の証になるとも言った。
僕はそんなことを考えたこともなかった。
「王族の方たちはそれを知り、
この薔薇を上手に活用しているのだと思います」
そう言うアキの言葉に、
父上と母上はこの石を使って
沢山の人を守り、
導ているのかもしれないって、
僕は思った。
「……活用。
上手に活用、か。
そうか」
ただの貴重な石じゃなかった。
ロマンティックが好きな
母上のお気に入りでもなかった。
ちゃんと、この薔薇を
大切にする意味があるんだ。
僕は今、家庭教師に学んでいること、
父上や母上に教えて貰っていることには
表面上で学んだ意味以外の、
隠れた何かがあるのではないか、と
そんなことを思った。
見ただけではわからない「何か」。
それを知ることが、
学ぶことではないか。
そしてその「何か」を知るのは
物凄く面白いと思える。
「いいな。アキは面白い。
気に入った!」
僕はアキのことが好きになった。
違う。
最初から綺麗で可愛くて
好きだと思ったけれど、
もっと好きになった。
面白くて、僕の見えなかったことを
見ることができるアキ。
ずっと一緒にいたいって思う。
だからアキが
「友達ですから、光栄です」
なんて言うから。
「じゃないぞ。親友だ!
そして光栄じゃない。嬉しいと言え」
と、乱暴に言ってしまった。
こんなことで怒鳴るなんて
嫌われただろうかと不安になる。
でも。
「……嬉しいです」
と、アキは言ってくれた。
もっと仲良くなりたくて。
僕はアキの手を握ろうとしたら、
護衛が声を掛けて来た。
護衛の声に振り返ると、
僕の父上と公爵が……アキの父上が
一緒に来るのが見えた。
僕は手を繋ぐのを諦める。
と、公爵はあっという間に
僕たちの前に来て、
アキを抱き上げた。
「こんなに遠くまで歩いてきたんだね。
大丈夫だったかい?」
やっぱり歩かせ過ぎてしまったのか。
僕のせいでアキの体調が
悪くなったらどうしよう。
でも、アキが。
「大丈夫です。
殿下が……」
と言って。
でも僕が不安そうにしていることに
気が付いたのだろう。
「親友になったジャスティス殿下に
気遣ってもらいましたので」
親友!
アキが僕のことを親友だって!
嬉しくて、嬉しくて。
僕は父上に早口で言う。
「父上、アキには僕のことをティスと
呼び捨てにさせることにしたのです。
なんたって親友ですから!」
僕の初めての友達。
親友なんだ!
父上はそんな僕を見て、
アキに一言掛けてくれた。
でも公爵はそんな僕を見て
「親友はいいけど伴侶はだめだよ」
という。
伴侶って、お嫁さんのことだろ?
アキは僕と同じ男の子だから
お嫁にはできないはずだ。
まさかアキは女の子だった?
もしそうなら。
アキは僕のお嫁さんになってくれるかも。
そう思ったけど、
アキが「そんなのまだ、考えられません」
って僕の気持ちを下げてくる。
公爵は嬉しそうに
「そうだよねー。
アキはまだまだパパが大好きだもんねー」
って言いながら、
僕をちらり、と見た。
アキを渡さないぞ、って
言われてるんだと思った。
父上はそんな公爵に
「まぁ、そういうのは本人同士の意志は
重要だからな。
従弟同士は結婚できるし、
焦って決める必要はないだろう」
と言ってくれる。
そうか。
アキが僕を好きになってくれたら
お嫁さんにできるのか。
僕は頑張ってアキに好きになってもらおう。
それからドレスを贈ろう。
あと、あと……。
と、沢山考えていたのだけれど、
母上の所に戻って
やっぱりアキは男の子だと知り、
僕は物凄く落ち込んだ。
男同士だと、子どもができないから
王子の僕はアキを伴侶にはできないんだ。
僕があまりにも落ち込んだからだろう。
その日の夜、母上は僕を呼び、
紫の瞳の意味を教えてくれた。
アキルティアが成長したら女性になる、
もしくは、身体は男性のまま
子どもを生める体になることを。
「アキルティアを望む家は多いわ。
それだけじゃない。
アキルティアを攫ってでも手にしたい者もいる。
もしかしたら、アキルティアを
そういった人間に売るために
誘拐しようとする人間もいるかもしれない。
ジャスティス。
もしあなたがアキルティアを望むのなら。
親友にしろ伴侶にしろ、
あなたが本当に望むのであれば、
アキルティアを守れるぐらい、
強くなりなさい」
僕は母上の言葉に、頷いた。
僕は絶対に周囲の悪意からアキを護るのだと、
その時に決意したのだ。
王家の特別な薔薇。
何故、宝石の実が成る薔薇があるのか
誰もわからない。
けれど、この薔薇の実は
持っているだけで魔除けになると
言われていて、本当に特別な宝石だった。
アキルティアは。
いや、アキは。
薔薇を見た瞬間、息を飲み、
じっと薔薇を見つめた。
「この薔薇ははね。
王家に代々伝わる薔薇で
『最愛』って呼ばれているんだ」
僕はアキに薔薇のことを教えてあげる。
でも、僕はこの薔薇の石に関しては
半信半疑だ。
だって母上は、この薔薇の宝石を
愛する人に贈ると、
二人で幸せになれると言うけれど、
魔除けと幸せは別の話だと思うんだ。
でも僕の話を聞き、
アキは「素敵ですね」と言った。
アキも母上みたいな
恋愛っぽい話が好きなのだろうか。
「アキもそう言う話、好き?」
僕はそう聞いてみた。
「はい。
『最愛』の薔薇から生まれた石で
愛する国や愛する人を飾る。
そして守る。
素敵だと思います」
でもアキの返事は
僕の考えていたものと少し違った。
「守るために、飾るの?」
よくわからない。
「そうですね。
きっとこの薔薇の石は
この薔薇にしか取れないものだと思います」
アキはそう言って、
薔薇の石の価値を知っている者が
それを見るだけで
不埒な行動を抑制することができると
僕に教えてくれた。
そして、愛する人に贈れば、
この石の価値が物凄く高いからこそ、
愛の証になるとも言った。
僕はそんなことを考えたこともなかった。
「王族の方たちはそれを知り、
この薔薇を上手に活用しているのだと思います」
そう言うアキの言葉に、
父上と母上はこの石を使って
沢山の人を守り、
導ているのかもしれないって、
僕は思った。
「……活用。
上手に活用、か。
そうか」
ただの貴重な石じゃなかった。
ロマンティックが好きな
母上のお気に入りでもなかった。
ちゃんと、この薔薇を
大切にする意味があるんだ。
僕は今、家庭教師に学んでいること、
父上や母上に教えて貰っていることには
表面上で学んだ意味以外の、
隠れた何かがあるのではないか、と
そんなことを思った。
見ただけではわからない「何か」。
それを知ることが、
学ぶことではないか。
そしてその「何か」を知るのは
物凄く面白いと思える。
「いいな。アキは面白い。
気に入った!」
僕はアキのことが好きになった。
違う。
最初から綺麗で可愛くて
好きだと思ったけれど、
もっと好きになった。
面白くて、僕の見えなかったことを
見ることができるアキ。
ずっと一緒にいたいって思う。
だからアキが
「友達ですから、光栄です」
なんて言うから。
「じゃないぞ。親友だ!
そして光栄じゃない。嬉しいと言え」
と、乱暴に言ってしまった。
こんなことで怒鳴るなんて
嫌われただろうかと不安になる。
でも。
「……嬉しいです」
と、アキは言ってくれた。
もっと仲良くなりたくて。
僕はアキの手を握ろうとしたら、
護衛が声を掛けて来た。
護衛の声に振り返ると、
僕の父上と公爵が……アキの父上が
一緒に来るのが見えた。
僕は手を繋ぐのを諦める。
と、公爵はあっという間に
僕たちの前に来て、
アキを抱き上げた。
「こんなに遠くまで歩いてきたんだね。
大丈夫だったかい?」
やっぱり歩かせ過ぎてしまったのか。
僕のせいでアキの体調が
悪くなったらどうしよう。
でも、アキが。
「大丈夫です。
殿下が……」
と言って。
でも僕が不安そうにしていることに
気が付いたのだろう。
「親友になったジャスティス殿下に
気遣ってもらいましたので」
親友!
アキが僕のことを親友だって!
嬉しくて、嬉しくて。
僕は父上に早口で言う。
「父上、アキには僕のことをティスと
呼び捨てにさせることにしたのです。
なんたって親友ですから!」
僕の初めての友達。
親友なんだ!
父上はそんな僕を見て、
アキに一言掛けてくれた。
でも公爵はそんな僕を見て
「親友はいいけど伴侶はだめだよ」
という。
伴侶って、お嫁さんのことだろ?
アキは僕と同じ男の子だから
お嫁にはできないはずだ。
まさかアキは女の子だった?
もしそうなら。
アキは僕のお嫁さんになってくれるかも。
そう思ったけど、
アキが「そんなのまだ、考えられません」
って僕の気持ちを下げてくる。
公爵は嬉しそうに
「そうだよねー。
アキはまだまだパパが大好きだもんねー」
って言いながら、
僕をちらり、と見た。
アキを渡さないぞ、って
言われてるんだと思った。
父上はそんな公爵に
「まぁ、そういうのは本人同士の意志は
重要だからな。
従弟同士は結婚できるし、
焦って決める必要はないだろう」
と言ってくれる。
そうか。
アキが僕を好きになってくれたら
お嫁さんにできるのか。
僕は頑張ってアキに好きになってもらおう。
それからドレスを贈ろう。
あと、あと……。
と、沢山考えていたのだけれど、
母上の所に戻って
やっぱりアキは男の子だと知り、
僕は物凄く落ち込んだ。
男同士だと、子どもができないから
王子の僕はアキを伴侶にはできないんだ。
僕があまりにも落ち込んだからだろう。
その日の夜、母上は僕を呼び、
紫の瞳の意味を教えてくれた。
アキルティアが成長したら女性になる、
もしくは、身体は男性のまま
子どもを生める体になることを。
「アキルティアを望む家は多いわ。
それだけじゃない。
アキルティアを攫ってでも手にしたい者もいる。
もしかしたら、アキルティアを
そういった人間に売るために
誘拐しようとする人間もいるかもしれない。
ジャスティス。
もしあなたがアキルティアを望むのなら。
親友にしろ伴侶にしろ、
あなたが本当に望むのであれば、
アキルティアを守れるぐらい、
強くなりなさい」
僕は母上の言葉に、頷いた。
僕は絶対に周囲の悪意からアキを護るのだと、
その時に決意したのだ。
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