【完結・R18】「いらない子」が『エロの金字塔』世界で溺愛され世界を救う、そんな話

たたら

文字の大きさ
上 下
354 / 355
愛があるれる世界

354:一妻多夫の金聖騎士団・2

しおりを挟む

 私たちはベットからソファーに移動した。
カーティスがお茶を淹れてくれて
そのまま私の隣に座る。

ヴァレリアンとスタンリーは
私の前に座った。

何でも私の部屋を見に行くと言って
騎士団の詰め所から出て行ったスタンリーが
なかなか戻ってこないので
もしかしたら、私がこの部屋に
戻って来たのではと慌てて
ヴァレリアンとカーティスはこの部屋に来たらしい。

凄い嗅覚だと思う。

私たちはしばらくは他愛のない話をして、
私は隣国の様子も伝えて。

そして、沈黙が落ちた。

「ユウ、何か言いたい?」

カーティスが促してくれる。

「うん、あのね。
結婚の話なんだけど……」

「ダメだ」

と先にヴァレリアンが言う。

「ダメ? 何が?」

「ダメだと言うのがダメだ」

意味不明になり、思わず首を傾げる。

「ヴァレリアン、ユウに伝わってない」

スタンリーがヴァレリアンを諫め、
私を見る。

「ユウは私たちと結婚するのが
嫌だと言う話をしたいのか?」

眼鏡の奥から、私の感情を伺うように
見つめられ、私は慌てて手を振った。

「違うの。そうじゃなくてね」

私は隣にいるカーティスと
目の前のヴァレリアンを交互に見る。

「私ね、隣の国でディランに
プロポーズされたの」

三人の息が止まるのを感じる。

「嬉しかった。
でもね、その時に思ったの。
ディランは王子様だから、
何も考えずに結婚とかできるのかな、って。

私は王族とかそういうのは
関係ないところで生きていきたい。

私の『力』を期待されても困るし、
政治とか、権力とか、そういうのもわからない。

でもね、ディランは言ったの。
ディランは王子様だけれど、
沢山の兄弟の末に近い存在だから
誰も自分を王族として扱ってないし、
逆にそんなこと求められてないって」

だから私は安心した。
でも、ヴァレリアンとカーティスは違う。

「二人は、この国の王族で、
きっと色んなしがらみとかあると思う。

私は二人のことは大好きだけれど、
そういったことに、関わりたくないって
思ってるの。

酷いとは思うけれど、
私の『力』は人間にはだから」

地球の女神が言った言葉だ。
私の『力』は本来であれば
人間には扱うことができないほど
強大なものだと。

だからこそ、私物化されたり
国の駒として使われることは
避けなければならない。

「わかった、つまり……」

スタンリーが私の言葉を拾う。

「王族の二人と結婚するのは無理だが
私となら問題がない。
そう言うことだな」

え?
そういう……こと、になるのか?

「「待て!!」」

ヴァレリアンとカーティスが立ち上がる。

「そんなこと心配しなくてもいい。

私は確かに王子だが、
いてもいなくてもいい三番目だと
ずっと言われてきた存在だ。

誰も私に王族として期待もしていないから
ユウが心配することなど何もない!」

カーティスは必死に訴えるんだけど、
内容はあまり良くないことに思えるのは
私だけだろうか。

「それを言うなら俺もだ。
王弟の息子だが、それだけだ。

俺が団長なのは実力だ。
誰も俺には勝てないからな。

自分が王族だと思って振舞ったことなどないし、
親父は王位継承権を放棄している。

俺も同じだ。
俺はいつだって好き勝手生きてるが
それは王族だからではなく、
俺が強いからだ」

というヴァレリアンの主張も
かなりのものだと思うのだけど。

でも私が心配しているようなことには
ならないと、そう思っていいのだろうか。

「これで不安は無くなったか?」
とヴァレリアンに言われ、
私はおずおずと、別の不安を口にする。

「隣の国で、私は
マイクとディランとも……その、
ずっと一緒にいよう、って……」

結婚する、とは何となく言えなくて
そんな言い方になってしまったけれど
私の言葉を最後まで聞かずに
カーティスが「そんなことはわかっている」と
声を出した。

「だから焦っているのだ。
ユウはあの二人と結婚するのだろう?

私ではダメなのか?
私たち三人全員と婚姻が嫌だと言うのなら
私だけで良い。

あの二人と共に、私を伴侶に加えて欲しい。
愛してるんだ」

「おい、待て。
なんでお前だけなんだ」

ヴァレリアンが私の手を掴んだ
カーティスの肩を掴んで
私から引きはがした。

「ユウ、王子サマとの結婚が
嫌なら俺がいいだろう?」

「いやだから、王弟の息子も王族だろう」

とスタンリーが呆れたように言う。

私はそんな三人に向かって、
私と結婚してもいいの? と聞いた。

「他の二人とも結婚するんだよ?」

「それのどこが問題なんだ?」
とヴァレリアン。

「これ以上、ユウを愛する人間を
増やしたくはないが、
ユウと共に旅をした経緯を考えると
あの二人は仕方が無いだろう」

と、カーティスが嫌そうに言う。

「カーティス、マイクを虐めたりしない?」

と本気で聞いたのに、
ヴァレリアンは噴き出して大笑いをし、
スタンリーでさえも、口もとを隠して笑っている。

「え? ユウの私に対する印象って
どういうものなんだ?」

とカーティスは顔を歪めた。

「日頃の行いだろう」
とスタンリーは言い、私を見る。

「私たち三人は、生涯ユウを愛すると誓う。
あの二人は関係ない。
私たちが、いや、私がユウを愛し、
生涯を共にしたいと願うのだ。

問題があるか?」

私は首を振った。

「あ、でも、やっぱり問題はあるかも」

「なんだ?」とヴァレリアンが
前のめりに言う。

「まだ、結婚してください、って
言われてない」

みんな、私と結婚するだろうという
憶測で動いているけれど、
私はプロポーズされていないし、
私もまだ、結婚するとも言っていない。

今さらの言葉だったけれど、
三人とも、虚を突かれたような顔をした。

「そういえば……そうか?」
とヴァレリアンがカーティスを見る。

カーティスも視線を泳がせていて、
スタンリーは「もともと結婚すると言う前提で
動いていたからな」と呟いた。

そして全員が私を見た。
ヴァレリアンが口を開く。

「それぞれのプロポーズは
後にするとして。

ユウ、俺たちの愛を受け取り、
俺たちと結婚してくれるか?」

それぞれのプロポーズは
あとでしてくれるんだ。

それはそれで楽しみだけれど。

まずは答えておこう。
私の気持ちを。

「よろこんで!」

そう答えると、
三人はほっとしたような
嬉しそうな顔をした。



しおりを挟む
このお話の前作です。
良ければ、ご覧ください。

【R18】女なのでBとLのみの世界は勘弁してください!「いらない子」が溺愛に堕ちる!

このお話の前作です。第一章↑には、番外編として悠子と入れ替わった男の子、勇くんと
年上残念イケメンとの男×女R18 サイドストーリーも掲載しています。

ご興味があれば、併せてご覧ください。
感想 0

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

処理中です...