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終章
208:とうとう……・2【ヴィンセントSIDE】
しおりを挟むきっと俺は酔っていた。
普段なら酔わない量の酒でも、
風呂に入ったからだろう。
酔いが早く回った自覚はあった。
温泉では恥ずかしがったイクスが
なかなか上がってこないし、
今から初夜を迎えるかと思うと
さすがに俺も期待と緊張で
酒を飲むのをやめることができなかったのだ。
だがさすがに飲み過ぎたのと、
イクスが湯あたりしそうな状態に
俺は一旦、部屋に戻ることにした。
イクスは緊張した顔をしたり、
なにやらほっとしたような顔をしたり。
1人で忙しく思考を巡らせていたが
今日はもう初夜だ。
イクスがどう思っていても
それは変らない。
……だよな?
俺を本気で嫌がっているのなら
強行するつもりはないが、
ただ、恥ずかしいという理由だけなら
俺は先に進みたい。
イクスに了承を取り、
とにかく小さな体を
ベットに連れて行ったのだが。
可愛いのも、綺麗なのもいつもことだ。
だが、やたらと色気を感じるのは
俺が焦っているからだろうか。
イクスの瞳を向けられるたびに
甘い、痺れるような感覚に陥る。
体中を舐めて味わいたい。
俺の前だけ、
俺にだけ見せる姿を見たい。
まずはイクスの痴態を堪能したいと
俺はイクスの男根に指を絡める。
強弱を付けながらまずは
イクスに射精を促した。
……あたりまでは良かった。
まだ、正気が残っていた。
だが、イクスの放った精液の
甘い匂いを感じた時。
甘い蜜を舐めた時、
俺の理性は吹っ飛んだ。
もっとこの液を舐めたい、
美味い、味わいたい、
そんな欲求に囚われた。
イクスの男根を舐めて
射精を促し、
可愛い蕾を舐め、指を入れて
焦るようにイクスを追い詰める。
と、イクスは射精をするのではなく
可愛い蕾から蜜を吐き出した。
閨の授業の時に、
さらりと流して聞いた女性の身体に
よく見られる現象と同じだと思える。
驚いたけれど、
イクスは神の寵愛を受けているし
それにあのイクスの前世妹の話も
聞いている。
今更驚くことではない。
イクスであれば『珠』なしで
妊娠したと言っても
俺は疑いもしないだろう。
俺は液をトロリと流し、
俺を誘うようにヒクヒクしている
なまめかしい蕾を見て
唾を飲み込んだ。
イクスに隠すように背を向けて
バスローブを着たが、
俺の欲棒はすでに猛りまくっている。
だからと言って、
いきなり突っ込むわけには
いかないだろう。
そうは思うのだが、
じゃあ、どう入れればいいのか?
閨の授業は、イクスを相手に
どうするのかと言う内容に
絞って教えて貰ったが、
この状態になって学んだ内容が
すべて消え去ってしまった。
焦る俺に、愛しいイクスの声が聞こえる。
「大好き」
もう、駄目だと思った。
イクスには逆らえない。
俺がどんなことをしても
イクスは、大好き、と言う言葉で
俺を受け入れるのだ。
俺はバスローブを脱いだ。
イクスの視線が
俺の勃起した欲棒に向けられる。
脅えさせるのではないかと
ずっと心配していたのだが
イクスは大丈夫と言わんばかりに
俺に手を差し伸べる。
俺はイクスに導かれるように
触れるだけの口付をする。
そして……俺は欲棒の先端で
イクスの蕾をつついた。
さすがにすぐに入りそうにはないので
慣らすつもりでグリグリと
先端でイクスの蕾を
押していると、イクスの蕾から
俺を受け入れるかのように
液が漏れる。
ずるり、と液に助けられ、
俺はイクスの中に押し入った。
「………っ」
あまりの気持ち良さに、
俺は達しそうになり慌てて我慢した。
やわらかくて、熱い肉壁が
俺の欲棒を受け止め、
時折、ビクビクと締め付ける。
甘い匂いが部屋に漂っている。
イクスの液の匂いだろうか。
この甘い匂いを嗅いでいると、
理性がどんどん失われるような気がする。
イクスを本能のままに求めたくなる。
「ヴィンス、大丈夫?」
声をかけられイクスを見ると、
イクスの瞳にも、見たこともない
熱と、情欲を感じた。
イクスも俺を求めているんだ。
そう思った瞬間、
俺は腰を強引に押し進めた。
まだ半分ぐらいしか
入っていなかった欲棒で
イクスを一気に挿し貫く。
悲鳴のような、
だが甘い響きのある声で
イクスが鳴く。
ヤバイ、ダメだ。
そう思ったのに、
ぎゅう、と締め付けられて
俺はイクスの体内に精液をまき散らす。
しばらくそのままイクスを抱きしめていたが、
俺は不思議と、射精後の疲労感が
全く無いことに気が付いた。
それに、体力もまだまだある。
いや、回復しているのか?
イクスの魔力で。
イクスは無意識だろうが、
魔力が漏れると言うことは
イクスが満足しているということだ。
俺を、求めている証だ。
途端に、欲棒が元気になる。
少し動かすと、俺の放った精液と
イクスの蜜が、可愛い蕾から
ぐじゅっと漏れる。
「イクス、もっと、だよな?」
息を切らしているイクスに
声をかけると視線が絡み合う。
可愛かった口元が、
妖艶に上を向いた。
色気に満ちた顔に
俺は、ゴクリと喉を鳴らす。
可愛い無垢だったイクスに、
快楽を教えたのは俺だ。
俺はイクスの腰を掴み、
思いっきり欲棒を突き上げた。
「い……ぁぁ!」
イクスの悲鳴は甘く、
拒絶の意志は見えない。
俺は逃げられないように
しっかりとイクスの身体を掴み
何度も何度も欲棒を打ち付ける。
イクスは、俺のだ。
俺がイクスを守り、
イクスの成長を促し、
快楽を教えた。
俺の、だ。
喘ぐ声も。
俺を求める視線も。
もっと、と強請るように
動かす腰も。
俺の精液を搾り取るかのように
締め付けてくる肉壁も。
甘える仕草も。
だっこ、と子どもに戻る仕草も、
甘い物ばかり食べるイクスも。
全部、俺の。
過去も、今も、未来も。
射精感とイクスを独占したい欲と。
愛しい気持ちと、守りたい想いと。
いろんなものがぐちゃぐちゃになる。
俺は射精感に逆らわず、
イクスを抱きしめた。
ぎゅっと抱きしめ、
最後の一滴まで、俺の体液を
イクスの中に注ぎ込む。
そんなつもりだったのに。
ドクドクと自己満足で
精液を放った俺を抱きしめていたのは
イクスの方だった。
俺の背に腕を回して
イクスはまた俺の耳元で言う。
「大好き」と。
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