【完結】「誰よりも尊い」と拝まれたオレ、恋の奴隷になりました?

たたら

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高等部とイケメンハーレム

118:新婚【ヴィンセントSIDE】

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 それからイクスは何時間も眠った。

医者が来てイクスを見たが、
何でも身体が疲労困憊状態で
眠っているのだろうと言う。

疲労困憊?
どういうことかと思ったが、
イクスの稀有な魔力のせいかも
しれないと俺は思い口を閉ざす。

俺は公爵家の家令に言って
学校と王宮、そして騎士団に
イクスの状態と俺が付き添う旨を知らせた。

場合によっては
明日の登校も控える必要がある。

ただ、イクスが倒れたことで
王宮に使いを出したが
公爵殿やレックスには
イクスは大丈夫なので
戻って来なくても大丈夫だと伝えた。

公爵夫人は心配そうにしていたが
俺が付いていると言ったことで
安心してくれたのか、
侍女に付き添われて
自室に戻った。

正直、パットレイ公爵家の
俺への信頼度は
怖いぐらいに高いと思う。

ただその理由が
イクスを想う気持ちの強さだと
自分でもわかっているので
そのことに対しては
胸を張れる。

イクスを守るのも
愛するのも、
俺だけでいい。

俺はイクスの髪を撫で、
汗をかいていた額を
冷たい布で拭く。

呼吸は随分と
落ち着いてきた。

そう思った時、
イクスの目が開いた。

思わず名を呼ぶと、
イクスは舌っ足らずな声で
「ヴィー兄様」という。

熱が出ているからか
随分と幼い感じがする。

俺はイクスの頭を
もう一度撫でた。

大丈夫かと聞くと、
少し笑ってイクスは頷く。

起きれそうならば
水を飲むかと聞くと
イクスは頷くので
俺はイクスの背に手を回して
体を起こすのを手伝った。

そして水を手渡しながら、
イクスが気を失ってから
何があったのかを伝える。

イクスはうんうんと
頷き、俺を見た。

「ごめんね、心配かけて」

「いや。
イクスの体調が悪いのに
離宮まで連れまわした
クルト殿下とレオナルド殿下が悪い。

ちゃんと抗議しておくから……」

そうだ。
殿下たちが悪い。
きっちり抗議をして
反省してもらわなければ。

そう思ったのに、
イクスは抗議はしなくてもいいという。

優しいやつだ。

俺はイクスから
空になったグラスを受取り
血の気が戻って来た
イクスの顔を覗き込む。

「医者の見立てでは
かなり体が疲労していると言っていた。
大丈夫か?

何かあるのか?」

イクスが急に体調を崩す時は
たいてい、魔力が関わっている。

もしかしたら
神から与えられた『力』が
関係しているのかもしれない。

こればかりは俺では
感知できないことなので、
イクスに聞かなければ
対処のしようがない。

そう思って聞いたのだが、
イクスは言葉を濁した。

イクスが言うつもりがないのであれば
今はいいだろう。

無理に聞き出すつもりはない。

言わなくても大丈夫だと
俺がまたイクスの髪を撫でると、
何故か俺とイクスの間に
何かがぼと、っと落ちて来た。

何かと思ったら、
羽の生えたやたら小さい猫だった。

……ジュだ。

またこいつか。

こいつはやけに俺とイクスの
仲を邪魔してくる。

精霊だかなんだかしらないが、
たかがイクスのペットのクセに。

俺はイラっとして
ジュを抱き上げようとしていた
イクスの手を掴んだ。

「ヴィー兄様?」

「さっきはなんで
こいつにキスしたんだ?」

そうだ。
しかも濃厚なキスだった。

俺でさえ、
そんな真似したことがないのに。

ペットのくせに!

「き、キス? してないよ」

イクスは顔を真っ赤にして
否定をする。

だが。

「いや、してた。
こいつに可愛い唇を舐められて、
あれは絶対に舌まで……」

そう、イクスの可愛い舌まで
あのペットは絶対に舐めていた!

「ちょ、ちょっ!」

イクスは焦ってたように
俺の口に両手を当ててくる。

「あれはキスじゃなくて」

「じゃなくて?」

「ね、ねこ吸い?」

なんだ、それは。
ねこ吸い?

ペットを吸うのか?

意味が分からん。

可愛いから撫でたいと思うように
可愛いから吸いたいとでも言うのか?

まぁ、イクスなら
俺はいつでも吸い付きたいが。

いや、違う。
そういうことではない。

ようは、やつだ。
ペット枠のやつが悪い。

俺はジュをにらみつける。

すると俺の敵意を感じ取ったのか
ジュがシャーっと牙をむく。

やる気か?
受けて立ってやる。

「ちょ、ジュ。
ダメだよ、ヴィー兄様に」

イクスが突然、
ジュを抱き上げた。

「ジュは僕の可愛いジュだから、
可愛くて猫吸いしてもしかたないんだ」

ね。
と可愛い顔で言われるが、
納得はできない。

何が可愛いから吸いたいだ。

いや、可愛かったら
吸っても仕方がないんだな?

そうか。

「では俺はイクスが可愛くて、
イクスは俺の可愛いイクスだから
イクス吸いをしても仕方がないんだな」

俺が言うと、イクスが目を丸くする。

自分でも何を言っているのか
よくわからない。

だが、もうなんでもいい。

あんな猫にイクスの舌を
舐められたまま
放置などできやしない。

俺はイクスの両頬を
両手で包み込む。

そしてジュに見せつけるように
ゆっくりと唇を重ねた。

ジュが大きく鳴く。

だが無視だ。

はっはっは。
ペットのおまえには
出来ない芸当だろう!

大人気ない?
当たり前だ。

俺はイクスの前では
カッコイイ大人を演じているが、
イクスを俺から奪おうとするやつは
容赦なく攻撃するつもりだ。

……たとえ相手が
ペットでもな!

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