【完結】「誰よりも尊い」と拝まれたオレ、恋の奴隷になりました?

たたら

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高等部とイケメンハーレム

115:秘密基地

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 俺は全く知らない場所に
ジュと一緒に立っていた。

きっと誰かの部屋だと思う。

でもきっと、特別な人の部屋だ。

だって、部屋はそれなりに広かったけど
壁側には本棚が並んでいて
本が……古書がぎっしりと詰まっている。

大きくて広いテーブルの上には
なにやら理科の実験器具というか
魔女があやしい実験でもしそうな
奇妙な道具が並んでいた。

部屋に人の気配な無かったが、
ここはいったいどこなのだろうか。

俺は「すみませーん」と
声を掛けながらおそるおそる
部屋を探索する。

扉を見つけたので、
開けてみたが
そこは寝室だった。

……誰も使った形跡がない
綺麗な寝室だ。

アンティーク風の部屋に
大きなベットがある。

その奥にはバスルームがあった。

バスルームも広くて
大浴場っぽい。

大人が2,3人は余裕で入れるぐらい……
もし、ジュがライオンとか
それぐらい大きくなっても
一緒に入れると思う。

バスルームと寝室以外の
部屋は見つからなくて
元の場所に戻ると、
今度は部屋の逆方向にも
扉があるのを見つけた。

それを開けると、
今度はキッチンだった。

けれども、これもまた
使われた形跡がない。

なんだ?
ここ。

俺がまた実験室のような
部屋に戻ると、にゃ!と
ジュが鳴いた。

そしてパタパタと羽を使い
肩から下りると
俺が掴んでいた設定集を
ネコパンチしてくる。

「設定集か?」

にゃ、とジュは返事をして
実験道具が置かれたテーブルに
飛び乗った。

『ココ』と急にジュの声が
頭に響く。

「ここ?
設定集をここに置くのか?」

俺がテーブルに近づき、
ジュがいる場所に設定集を置くと
ジュは満足そうな声で鳴く。

『ココ、ベンキョウ部屋』

勉強部屋?

「誰の? いや、俺の?」

にゃ、とジュが返事をした。

俺の勉強部屋?
意味わからん。

と思ったら、ジュがまた
俺の手をネコパンチする。

『ココ』

ジュがパンパンと
設定集を肉球で叩く。

「ここに手を置くのか?」

よくわからないまま
俺は手のひらを設定集の上に乗せる。

「うわっ」

急に、何から頭に入って来た。

いや、頭から入ってきて、
背骨を通って足先から抜けて出た。

こわっ。
なんだ、これ。

「ん?」

俺は自分の手のひらを見る。

手のひらがわずかに光っていて、
俺は読んでもいないのに
設定集に書かれている内容を
既にことに気が付いた。

なんだ、これ。
これが俺の能力?

読まなくても、本の内容を
触ったら理解できちゃうってこと?

本気か!
すげぇ!

色々試したい!

にゃ!!!

急にジュが俺を現実に戻す。
そしてまた設定集をパンパン叩く。

「中を見ろってことか?」

俺はペラペラめくり、
俺の入って来た記憶と
書かれている内容に齟齬が無いか
確かめることにした。

が。

「え? これ、俺のことだよな」

設定集のイクスのところを見ると
今まで俺になかった設定が
そこには書かれていた。

新しく得た属性やスキルも
詳しく書かれている。

そして最後に
『すべてを一つにした者』と
言う称号が書かれていた。

いや、一つにしたのは
俺じゃないですけど。

俺のスキルや属性魔法は
めちゃくちゃあった。

でもそれを1つ1つ極めたり
練習したりはできないので
それを1つにまとめた感じに
なっているっぽい。

まぁ、どうせ使わないから
かまわないけど。

でも俺は普段から魔力を
使った方が身体の負担が軽くなるので
色んな魔法を考えて使うより
1つの魔法を意識して
使う方が便利でいい。

ちなみに1つにまとめた魔法は
『万能魔法』だそうだ。

うん、なんでもできそうだな。

……つかわないけど。

あと気が付いたことは
前世妹の文字で沢山書き込まれていた内容が
書き変わっていることだ。

イクス様総受 って文字も消えている。

その代わり、俺がイクスだと知った
前世妹の言葉があちこちに
書かれていた。

俺とヴィンセントとの(妄想)エピソードも
勝手に書き込んである。

これはもしかしたら
前世妹と繋がっているのかもしれない。

よく考えたら、そもそも
この設定集は俺の葬式の時に
前世妹が俺に持たせてくれたものだ。

その時はまだあの妹は
イクス様総受、なんてことは
言ってなかったと思う。

俺が死んでから、イクス総受けに
傾倒したのに、
俺が手にした設定集に
イクス総受なんて文字が
書かれていること自体、おかしい。

この設定集は前世妹によって
日々、更新されているんだ。

まてよ。
ということは……

あの神様の話から考えて
この設定集なら、前世妹に
届くかもしれない。

いや、手紙みたいに
やり取りも可能なのかも。

俺は慌てて手元にあったペンで
設定集に書き込んだ。

『俺とヴィンセントの出会いは
もっと幼い時だったぞ」

そう書いて、パタン、と
設定集を閉じる。

どうか妹に届きますように!

そう願った途端、設定集が消えた。

前世妹の世界に移動したのだろうか。

俺が設定集が消えた場所を
じっと見ていたらジュが鳴いた。

にゃ。

「あぁ、そうか。
うん、わかった。理解した」

俺の脳裏に知識が生まれた。

この部屋が俺のために
準備されていたということや、
俺の新しい万能魔法という『力』を
使えば、ジュのように空間を
渡ることができることも。

つまり俺はジュに頼ることなく
いつでもこの部屋に来れるし、
自分の部屋に戻ることもできる。

ただし、自分が行ったことが
ない場所は、記憶がないから
空間を渡っていくことはできないらしい。

まぁ、そうだよな。

俺自身の力なのだから
俺が知らないことはできないのだろう。

だからこその、この部屋だ。

知識が詰まった
神様が俺のために用意した部屋。

おそらく、古代魔法や
魔術に関しても、
この部屋の本を読めば。

いや、手を当てれば
全てを理解できるのだろう。

わくわくするが、
その得た知識をどうするのか。
それこそ、使うかどうかも
父やヴィンセントと
相談した方がいいよな。

とはいえ、ひとまずは……。

「ジュ、帰ろう。
ヴィンセントが心配している」

俺が言うとジュは
にゃ、と鳴いて俺の肩に飛び乗った。














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