【完結】「誰よりも尊い」と拝まれたオレ、恋の奴隷になりました?

たたら

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高等部とイケメンハーレム

108:無茶な願い

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 俺がヴィンセントと
結婚すると言った翌日、
俺はいつも通りに登校した。

ほんとに、何も変わっていない。

俺が教室に着くと
ミゲルとヴァルターが
心配そうな顔で声を
掛けてくれたが、
俺は元気だし、何の憂いもない。

むしろ今日はレオナルドは
来ていないのだろうか。

そう思って教室を見回すと
ミゲルがそっとレオナルドは
昨日も休んでいたと教えてくれた。

レオナルドも学校を休んだのか?
まさか俺のせいじゃないよな。

俺はビビりつつ、
二人には昼休みに
詳しく話をするからと言って
教室で話をすることは避けた。

どこで誰が聞いているかわかならいしな。

俺は素直に授業を受け
昼休みまで待つつもりだったが
授業と合間の休憩時間に
クルトから声を掛けられた。

側近候補たちもいるので
おおっぴらに話はできないらしく
少し時間が欲しいと小声で言われる。

俺が頷くと、クルトは
視線だけで廊下を見た。

なるほど。
俺は頷いて、
すぐに近くにいるミゲルを見る。

クルトとは会話をしていないと
装うためだ。

伊達に幼馴染をしているわけではない。

クルトが視線で見た先には
王族専用のサロンに行くための
階段が見えた。

つまり、そこで俺と話が
したいとクルトは示したのだ。

一瞬、クルトの告白を思い出したが
俺は軽く首を振る。

クルトはもうその話を
俺とするつもりはないだろうし、
きっとレオナルドの話だ。

そしてたぶん、
側近候補たちにも
聞かれたくない話だろう。

次の授業が終われば昼休みだ。

だから俺はミゲルに
小声ていう。

「あのね、僕、ちょっと
席を外すから」

俺の言葉にミゲルが驚いた顔をする。

「もし授業が始まっても
戻って来なかったら、
先にお昼ご飯は食べててくれる?」

「ど、どこに行くのか聞いてもいい?」

ミゲルが言うので
俺はわざとおどけたように言ってみせた。

「王子様がね、僕と話たいんだって」

王子様、と言っただけで、
それがクルトなのか、レオナルドなのかは
ミゲルには判断が付かないだろう。

もしかしたら、
第一王子のカミルから
呼び出されたのかもしれないし。

俺はわざと誤解されるように言う。

その方が良いと思ったのだ。

さすがに王子相手に
行くなとは言えないのだろう。

ミゲルは困った顔をする。

「大丈夫。
ヴァルが戻ってきたら
大丈夫って言っておいて」

ヴァルターは騎士科の授業で
訓練所に出かけている。

俺は心配そうなミゲルを置いて
教室を出た。

すでにクルトの姿はない。

きっとクルトも
適当なことを言って
側近候補たちを置いて
サロンにやってくるだろう。

俺がサロンに続く階段に行くと、
王家の護衛が俺を見て
頭を下げた。

どうやら話はすでに通っているらしい。

俺は素直にお礼を言って階段を上る。

サロンの前には侍従が一人いて
俺を見るなり、お待ちしておりました。
と声を掛けて来た。

促されるままサロンに足を踏み入れる。

するとすでにクルトは着ていて、
お茶の準備も整っていた。

俺はクルトに示されたソファーに座る。

侍従がお茶を淹れ、
外に出るのを待ち、
俺たちはうようやく口を開いた。

「二人になるのは久しぶりだな」

クルトが照れたように言う。

「うん、そうだね」

少し空気が気まずい。

俺のデビュタントの日から
クルトとはゆっくり話すことなど
なかったから。

でも俺があやまるのも変だし、
俺とヴィンセントが結婚したことは
きっとクルトも知っている筈だ。

なんたって陛下の提案で
俺は結婚したのだから。

それに俺たちの結婚は
公にはしていないが、
すでに高位貴族の間では
俺とヴィンセントが王命で
結婚したことを徐々にだが
広まり始めていると思う。

まだ一日しか経ってないとはいえ、
パットレイ公爵家と
ハーディマン侯爵家が
社交界に広めるために
昨日から動いているからだ。

「あのな。
イクスに言うか迷ったんだ。
でも、俺はイクスの幼馴染で
親友だから」

クルトが言う。
きっと俺に気を遣わせないように
そう言ってくれているのだろうか。

でも俺はその言葉を
素直に受け取る。

それしかできないから。

「レオナルド殿下だけどさ」

やっぱり。
その話だと思った。

「イクスに意地悪されたって
離宮から出て来なくなった」

意地悪?
あのやりとりが?
そう捉えたのか。

子どもか!?
って思わないことも無いが、
まぁ、顔を見なくてすむなら
平和で良いか。

「イクス?
レオナルド殿下の面倒を見なくて
いいからこのままで、なんて
思ってないよな?」

俺の顔を見て、クルトが
いぶかし気に言う。

はは。
さすが伊達に幼馴染なだけある。

思ってないよ。
というと嘘になるので
俺は、適当に笑って誤魔化した。

「あのな。
一応あれでも、隣国の
王子様なわけだ。

そんでこの国の
公爵令息に意地悪されたって
泣いてんだ」

「泣いてるの?
意地悪されたって?」

俺の呆れた顔をみて
クルトも、まぁ、イクスが
思うことは理解できる、という。

「だが、その主張が
どれほど幼稚だろうが
無視はできない」

「そうだろうね。
それで?
僕に謝罪するように
陛下が言ってるの?」

もしくはそういう動きがあるのだろうか。

クルトが内密に
話を持ってくるぐらいだ。

水面下で隣国との交渉が
行われていてもおかしくはない。

俺の言葉にクルトは首を振る。

「隣国の王家も、俺の父も
イクスに非はないと判断している。

だが、レオナルド殿下が
頑なで正直困っている。

そこで実は父から
公爵家に一度でいいから
レオナルド殿下を宥めるために
イクスに離宮に来て欲しいと
打診をしているのだが、
返事が一向に来ない」

え?
俺、そんなの知らないけど。

「その顔だと、思った通り
何も知らされてないようだな。

公爵殿も不安に思うのは
重々承知しているのだが、
こちらとしても、
隣国の王子を無下には扱えない。

力を貸してくれないだろうか」

なんてクルトに言われたら
俺は頷くしかないよな。

だって俺、クルトの
幼馴染で親友だし。

クルトの為ならなんだって
手を貸すって決めたたもんな。

ヴィンセントはきっと反対するだろうから
父とヴィンセントには
内緒で動こう。

俺はそう決意して
正面に座るクルトを見た。





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