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章間<…if>
20:懺悔と愛撫<カーティスのSIDE>
しおりを挟むユウの唇からは、
甘い匂いがした。
フルーツ酒の甘さのような、
ユウの蜜のような。
もっと味わいたくて、
何度も口づけをする。
重なった唇に、いつものように
咬みつきたくなったけれど、
私はその衝動を抑えた。
私は、自分の懐に入った者に
悪戯をしたり、わざと傷つけて
反応を見る癖がある。
信用しても大丈夫なのか、
心を許しても大丈夫なのかと
何度も確かめたくなるのだ。
ユウに対してもそうだった。
愛して欲しいと思いながら
いつも優しい仕草の中に、
抜けない棘のような
小さな痛みをユウに与えてしまう。
だが、何をしてもユウは私を受け入れてくれた。
甘い口づけの最中でさえ、
わざと唇を噛み、
痛みを与えていると言うのに、
それを気にする素振りさえ見せない。
私はユウに愛されたくて、
けれども、ユウが大好きだと
示してくれていても、
それを信じることができなくて。
いつもユウを傷つけ
追い詰めていたように思う。
新婚アイテムも、
ユウの可愛い姿を見たかったのは
もちろんあるが、ユウがどこまで
私を受け入れてくれるのかを
知りたかったのだ。
……ユウはどんなことも
受け入れ、笑顔を向けてくれたのだが。
いつまでも、今のままではいけない。
ユウに愛して欲しいと思いながら
向けられた好意を疑い、
試しているようではダメなのだ。
自然に唇が重なったように。
ただ、純粋にユウに求められたい。
深く。
けれども、触れるだけの口づけを
繰り返していたからだろう。
ユウはそっと私の頬に手を添えた。
いつもなら、私の腕やシャツを
ぎゅっと握りしめているだけだったのに。
「カーティス、今日は酔ってる?」
ユウの方が頬を染めて
酔っているに違いないのに
そんなことを聞いてくる。
「そうでもないよ」
「そう?……でも、今日は、優しい」
思わず苦笑した。
「私はユウにはいつでも
優しいつもりだったが…」
言い訳を口にしていたら、
ユウに頬を引き寄せられて
唇が重なった。
「優しくないカーティスも、好き」
いつもは可愛いユウが
妙に大人びた顔で笑った。
「優しいカーティスも、好き」
また唇が重なる。
「甘やかしてくれるカーティスも好き」
ユウは、笑う。
まるで私がユウの心を
試していたことなど知っていたかのように。
ユウは私の腕から逃れ、
椅子に座り直すと、
再びフルーツ酒を飲む。
「美味しいね」
その笑顔に胸が苦しくなって。
「ごめん、ユウ」
って呟いていた。
ユウはきょとんとした顔で
また笑う。
「なんで謝るの?」
「謝りたくなったから」
変なの、って笑われて。
ユウが笑う度に、ユウの想いを
試していたことを許されていくような気がして。
心が軽くなっていくのを感じて
私も、グラスを傾けて樽酒を飲んだ。
アルコール度数が少し高い酒だが
小さな樽に入っていて、
持ち運びもしやすく、
旅行に持っていく者も多い定番の酒だ。
この部屋に置いてあった酒なので、
宿のサービスなのだろう。
もちろん、
開封されてないことは確認済だ。
本来は水で薄めて飲むものだが、
私は味が濃いのが好きで、
たいてい、このまま飲む。
「カーティスのお酒は美味しい?」
ユウがまた私の飲んでいるグラスに
興味を持った。
「そうだね。
私は好きな味かな」
樽の…樹木の深い香りがする酒だ。
「ちょっとだけ、舐めてもいい?」
ユウは興味深そうに言う。
「さっきのワインは渋かったのに?」
「それはワインじゃないでしょ?」
飲みたい、というので
私はグラスをユウに渡した。
どんな反応をすのだろう。
見ていると、ユウはグラスを傾け
ぺろり、と中の液体を舐めた。
ほんと、ネコみたいだ。
ユウは少し舐めて
味わうように目を閉じる。
美味しかった……のか?
ユウは目を開けると、
「美味しい」と小さく言う。
「そう?
結構度数が高いお酒だよ?」
あまり飲まない方が良いと言ってはみるが
ユウは美味しい、美味しいと言いながら、
コクコクと飲んでしまった。
「ゆ、ユウ、大丈夫?」
もっと味わって飲むものだと
思うのだが、大丈夫だろうか。
ユウはぼーと私を見て、
美味しかった、と笑う。
そして隣に座る私の膝に
頬を擦り付けてきた。
「カーティス、美味しかった」
「そ、う。良かった」
いきなりの甘える仕草に驚いたけれど、
酔いのせいかと思い、
柔らかな髪を撫でた。
ユウの吐息が…私の股間の
直撃しているのだが
気が付かなかったことにする。
ユウは私の膝の上で
ごろごろと甘えだした。
私の太ももに頬を摺り寄せたかと思うと
仰向けになり、私の顔を下から見上げてくる。
アルコールで真っ赤になった顔が
とても淫靡だ。
ユウは両腕を伸ばして、
また私の頬に手を添えてくる。
ユウに惹かれるまま、
身をかがめて口づけた。
「カーティスは、不安?」
ドキっとした。
私の気持ちがバレていたかと思ったからだ。
「私は大丈夫だからね」
これでも結構強いんだよ、って
ユウは笑う。
文脈がうまくつながらないので
酔っているだけかと思ったら、
ユウは直球を投げつけて来た。
「カーティスが何をしても
私はカーティスが好き。
傷付かないし、大丈夫なの」
「そ…う。何をしても?」
「うん。何をしても」
笑うユウを、また試してみたくなった。
「昨日みたいに新婚アイテムを使っても?」
「……そ、それは…いい、けど、
キモチイイが襲ってくるから、
ちょっと怖くなるし…
カーティスがぎゅってしてくれるなら
……いい。
大好きだもん」
はは、って乾いた声が出た。
嬉しくて。
愛しすぎて。
試してばかりいる自分が情けなくて。
「私は……
ヴァレリアンもスタンリーも、好き。
でも、カーティスも大好き。
それじゃ、ダメ?」
私が独占欲を拗らせていることも
ユウは気が付いているのだ。
「ダメ…じゃないよ」
ユウは女神の愛し子だ。
誰か一人のものにはならない。
ならば、ユウを愛する者たちと一緒に
私もユウを愛するしかないのだ。
最初からわかっていたのに、
なかなかそれを認めることができなかった。
「けど、できればユウを独り占めしたい」
素直に、認めた。
口に出してはいけないと
心のどこかに封印していた気持ちを
私はユウに告げた。
醜い独占欲を曝け出しても
ユウは私を拒絶しないと思えたからだ。
そして、ユウはまた笑う。
「ありがとう、嬉しい」
私の独占欲を、嬉しいと言うユウに
愛しい以外の言葉が見つからない。
「ユウ、抱きたい」
愛しすぎて、気が狂いそうだ。
「今から?」
「今から」
「ここで?」
「ここで」
ユウの疑問をすぐに肯定する。
ユウは私の膝の上から下りた。
と言っても、酔っているからだろう。
ずるり、とイスから床に座った。
「嫌だった?」
ユウの手が私の膝を掴んでいるので
座ったまま声を掛ける。
「嫌…じゃないけど…」
急すぎたかな?
甘い空気のまま、
もう少し抱き合っていても良かったのかもしれない。
「カーティスは、私のこと好き?」
ユウが今更なことを聞いてくる。
「愛してるよ」
「うん。嬉しい」
ユウは床に座ったまま、
私の腰にしがみついてきた。
またもや下半身にユウの顔が…
はっとユウが顔を上げた。
私の昂ぶり始めた欲棒に
気が付いたようだ。
「えっと…その」
慌てるユウが可愛くて。
でも、私の性欲を見せつける気にも
なれなくて。
私はユウを抱き上げようとした。
だが、ユウはそれを拒絶した。
「ユウ?」
「私が…カーティスにしてあげる」
何を?
って聞けなかった。
ユウの指が、私の下半身に伸びたからだ。
「ユ、ユウ?」
「カーティスが私にキモチイイを
してくれるみたいに、
私がするの」
ユウは絶対に酔ってるんだと思う。
けれど、ユウが自分から
私を求めてくれていることに
私は歓喜した。
いつも私が強引にユウを
抱いていたと思っていたが、
ユウも私を求めていたのだ。
私はユウがしたいようにさせることにした。
ユウが私の下着を脱がそうとしてきたので
身体を浮かせて手伝ってはみるが、
身体は椅子に座ったままだ。
ユウは私の両足の間に潜り込み、
私の欲棒に指を添えている。
白くて小さな指に、
私の大きな欲望が生えているようだ。
アンバランスさに欲情するが
自分からはできる限り動きたくない。
ユウが私を求めている姿がみたいのだ。
ユウが指を上下に動かし、
私の欲棒を扱きながら
ちらちらと視線を送ってくる。
上目遣いが色っぽくて
私はユウの髪を撫でた。
いつも私はユウに奉仕を促すとき、
どうして欲しいかを
伝えるようにしていた。
まるで命令するように。
だからこそ、今は何も言わない。
ユウが私を悦ばそうとしているのだから
それに身を任せたい。
ユウはいつもみたいに
私が何も言わないからだろう。
指を動かしていたが
そのうち舌を出して欲棒の先端を舐めた。
その表情だけで、ユウの口に欲棒を押し込み、
腰を激しく打ち付けたくなる。
だが、我慢だ。
可愛いユウの奉仕は、
射精までには到達しないが、
心は満足していた。
私の欲望は小さな口の中で
固く、大きくなってきている。
ユウは疲れたのか、
私の欲棒から口を離して、
私の腰に再びしがみついた。
そして欲棒に頬ずりをする。
「カーティスがしてくれるみたいに
うまくできない」
「気持ち良かったよ」
ってユウの頭を撫でたけど、
ユウは納得していない様子だ。
あぁ、可愛い。
どうしてやろうか。
「じゃあ、ユウ。
私が達するために、手伝って?」
私は立ち上った。
ユウを抱っこして、ベットに連れて行く。
本当ならこのまま、甘い体を貫きたいが
我慢だ。我慢。
ユウをベットに座らせ、
私は荷物から、新婚アイテムのケースを取り出した。
ユウの視線を感じる。
だがユウは絶対に拒否しない。
そんな自信が私の中には生まれていた。
「ねぇ、ユウ。
私のために…頑張ってくれる?」
あえて優しい声を出してみると、
ユウは、おそるおそると言った様子で頷いた。
「じゃあ、これを使ってみて」
ユウの目が見開かれた。
それはとてもグロテスクな
男根の形をした張型だったからだ。
前回使った細いものではなく、
あきらかに人間の性器を
模ったものだった。
「ユウが私のモノを
どんな風に受け入れてくれてるのか
見てみたい」
本気の意見ではある。
ユウの身体を貫いている時は
冷静さを失っていて、
ユウの表情などもあまり見れていないのだ。
「ね、できる?」
って言うに言うと、
ユウは真っ赤な顔のまま頷いた。
私はベットの傍に椅子を置くと
そこに座った。
ユウの真正面の特等席だ。
「見えるように、足を広げてね」
注文を出すと、
ユウはおずおずと足を広げた。
だが、これでは
ユウの秘所が見えずらい。
やっぱり後ろから入れた姿がみたいかもしれない。
いや、ユウの樹幹が育てばいいのだ。
「ユウ、まずは自分で
キモチイイ場所を触ってみて」
足の付け根の所とかね、と付け足すと
ユウは張型を持ったまま、
ユウの樹幹に触れた。
片手で必死に自慰をする姿は
淫乱で、綺麗だ。
ユウの樹幹からは蜜が出始める。
樹幹だけでなく
ユウの指も濡れて光りはじめた。
樹幹が勃ちあがりはじめ、
ユウの秘所のあたりも見えてくる。
うん。
イイ感じだ。
「じゃあ、ユウの入り口に当ててみて」
そう言うと、ユウは張型を
そっと秘所に当てようとした。
だが、ベットに座ったままでは
難しいと思ったのだろう。
ころん、とベットに転がった。
さきほどまで、両足を床に付けていた状態で
そのまま後ろに倒れたのだ。
ユウの足が、
左右に開いたままの状態で床から浮く。
すべてが丸見えの姿に、
私は息を飲んだ。
ユウは自分がどのような姿になっているのか
わかっていないのだろう。
持っていた張型を秘所に当てる。
秘所から、蜜が零れ落ちた。
「ユウ、入れて」
ユウの中に、張型がゆっくりと
挿入される。
まるで自分の欲棒を
ユウの体内に入れているような
錯覚に陥り、
私は椅子に座ったまま
自分の欲棒を扱いていた。
「もっと…奥まで。
そう、動かせる?」
ユウの動きは遅く、焦らされる。
だが、だからこそ情欲をそそられ、
ユウの淫靡な姿をもっと暴きたくなる。
もっとだ。
もっとユウを快感に追い詰め、
乱れる姿が見てみたい。
私は欲棒を扱きながら
ユウの痴態を見つめる。
一度、精を放った方が良いだろう。
ユウの中に入りたいが、
後でいい。
私はユウを見ながら精液を吐き出すと、
目の前で張型を動かすユウを見つめる。
明日からは忙しくなるだろう。
今夜はユウを沢山愛そう。
さて、どうやってユウを抱こうか。
そんなことを考えながら
私は立ち上がり、真っ赤になった
ユウの身体に近づいた。
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