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章間<…if>
13:新婚アイテム…(涙)
しおりを挟むソファーの上で、カーティスの長い指が
身体の上を這う感覚に、私は震えた。
心臓がドクドクと鳴っている。
また、ここでカーティスに愛されるのだ。
せめてこんな場所ではなく、
ベットに行きたいと思ったけれど、
それを言うと、カーティスと愛し合いたいと
主張しているみたいで言えなかった。
何度も唇が重なり、
長い指が胸や腹を撫でる。
身体に巻いていたタオルが
床に落ちてしまったが、
それすらも気づかないぐらい
私はカーティスの指先の動きに酔っていた。
だから、満面の笑みを浮かべて
身体を離したカーティスの動きに、
一瞬、ついていけなかった。
急にあったかい体温が消え、
しがみついていたはずの
カーティスの身体が離れて行く。
「カーティス?」
寂しさを感じて声を出すと、
カーティスはベッドサイドの下から
なにやらケースを取り出してきた。
ソファーの前のテーブルに
そのケースを置く。
「なに?」
身体が火照った状態で、
今から情事が始まろうとしていたのに
何を持ってきたのだろう。
抱き合い、求めあった空気が
冷えていくのを感じる。
「ユウにね、選んでもらおうと思って」
言っただろう?
って笑いながら言うカーティスに
私は思わず固まった。
目の前のケースの蓋が空き、
出てきたのが…
おそらくだけど、新婚アイテムだからだ。
あやしげな小瓶や、たぶんだけど
元の世界で言うバイブレーターとか言う
ものだと思う。
いや動く仕組みはなさそうなので
張型と言えばいいのだろうか。
とにかく男性器を模した
グロテスクな…色んな形のものが並んでいた。
あと、何に使うのか
わからないようなものもあった。
「どれがいい?」
まるで好きなお菓子を選ぶかのように
カーティスは聞いてくる。
「ど、どれって…」
選べるはずがない。
「私も実際に使うのは初めてなんだけどね」
なんてカーティスは笑いながら
細くて長い…けれど、コブのような
ごつごつしたモノをケースから取り出した。
「どれも新婚さん用だから
柔らかい素材でできているし、
大丈夫だと思うよ」
大丈夫って何が?
「受け入れる側が、
初めての時に慣らすためのアイテムだから
ユウもキモチイイになれるよ、きっと」
物凄い笑顔で、カーティスは
持っていたモノを手渡してくる。
「え?」
「ユウが選べないのは
どれがいいかわからないからだよね?
だから、全部使ってみよう。
その中で一番イイのを残しておけばいい」
いやいや、無理です!
って叫びたくなったけれど。
私が拒否するなど、少しも
思っていないようなカーティスの笑顔に
何も言えなくなった。
「ね、入れてみて」
「わ、私が自分で?」
「そう、ユウが自分で」
カーティスは私が座っている3人掛けの
ソファーの前にある一人用のソファーに座った。
「私の前でユウが乱れるのを見せて?
いつもは私はユウの身体に夢中に
なってしまって、ユウの表情も
見れないし、ユウがどれだけ
綺麗なのかも、見ることができない」
とても残念だ。
と、どうみても本気の顔で
カーティスは言う。
「で、でもどうすればいいのか
わかんないし…」
「そうか。
ユウも初めてなのか」
カーティスは頷いて、
じゃあ、と物凄く嬉しそうな顔をした。
「私が指示するから
その通りにしてごらん」
命令することに慣れた口調で
カーティスは座り直した。
少し前のめりに、
私の身体を舐めるように見る。
「いきなり入れるのが無理なら
蜜を少し出した方がいいな」
小さくつぶやくような声だけれど
他人を従わせるには十分な強さだった。
「ユウ、キモチイイところを触ってみて」
「わ、わかんない…」
「そう?
可愛い胸の突起とか、
それとも、ユウの甘い蜜が出る棒とか」
クスクスとカーティスは笑う。
「それとも、ユウの下の入り口を
触ってみてもいいかもしれないな」
物凄く恥ずかしい。
体が熱くなり、指先が震える。
「……あぁ、綺麗だ、ユウ。
ユウの白い肌が赤く染まっていく姿は美しい」
カーティスはうっとりと呟く。
「さぁ、まずは胸飾りを触って」
拒否できないまま、
胸に指を伸ばした。
「押して…つまんで、そう、
私がしていたように指を動かしてごらん」
そう言われても、
カーティスの視線が気になり
うまく指を動かせない。
「緊張する?
じゃあ、そのまま指を下におろして
ユウの可愛い棒に触ってみて」
片手にはグロテスクな張型を持ったままだ。
私はおそるおそる指先で
柔らかく萎えた樹幹に触れた。
「握って、そう上下に動かして…
ほら、蜜が滲んできた」
嬉しそうなカーティスの顔に、
俯くしかできない。
恥ずかしい。
顔が見れない。
羞恥で死にそうだ。
だいたい、男性の身体になってからでも
男性器を触ることは、あまりなかった。
お風呂やトイレは仕方がないけれど
極力、触らないようにしていた。
今は自分の身体だけど
これは勇くんの身体であり、
弟のような存在の大切な友人の身体だ。
それを自分が勝手に触れるのは
いけないことだと、なんとなく感じていた。
実際、勇は悠子の身体を
元の世界で好きに使っているのだから
遠慮する必要はないハズだが。
元々生真面目な性格だったせいで
ついそういうところを気にしてしまう。
だから、自慰どころか、
この身体をじっくり見ることは無かった。
誰かに抱かれている時は
快感に我を忘れてしまっていたし、
自分の身体を見るよりも
相手の身体にばかり目が行くので
この体を見ることはない。
だから、おそるおそる指を伸ばし
そっと握った樹幹は。
当たり前だけど、体温を感じて
これも自分の身体の一部なのだと
改めて思った。
それから、上下に擦ると
身体の奥からキモチイイが生まれて来た。
先端から蜜がじわっと滲む。
それを見て、カーティスは
口元をゆがめて笑ったのが見えた。
「ユウ、キモチイイを探してみて?
どこがいい?
先端の蜜が滲んでいるところ?
それとも、少しくびれたところかな。
ほら、動きを止めないで。
上下に指を動かして」
言われるままに動かすが、
心臓のバクバクと、
羞恥の熱と、
キモチイイの恐怖と。
胸にいろんな思いが渦巻き、
目が回りそうだ。
けれど、指で触っている場所から
ジワリとにじみ出ていた蜜が
指を濡らし、すでに指を伝い
ソファーを濡らしている。
「ユウ、両手で触ってみて」
言われて、片手に持っていた
張型をソファーの上に置く。
両手で包み込むように
固くなりはじめた樹幹に触れた。
「はぁ」って声が出た。
「じゃあ、片手は扱いたまま…
もう片方は、キモチイイを探して」
そんなこと言われても、
右手と左手を別の動きにするのは
とても難しい。
意識が追いつかない。
「はは、ほんとにユウは可愛い」
カーティスは笑う。
「ねえ、ユウ。
両手で扱いていいから、
私を見て」
ゆるゆると、指の動きはそのままに
カーティスを見る。
絶対に身体も顔も真っ赤のはずだ。
「私のこと、好き?」
「……す…き」
「こんな酷いことをするのに?」
「カーティス、好き」
沢山の愛をくれるカーティスを
嫌いになれるはずがない。
これが恋愛の<愛>かどうかは、わからない。
恋愛をしたことがないから、
何が<愛>か、わからない。
親の愛さえ諦めていたから、
この世界で初めて与えられた優しさを、
愛情を嬉しいと思っただけかもしれない。
ただ無条件に愛してくれるカーティスに
ほんとはずっと欲しかった母の愛を、
重ねているだけかもしれない。
母の愛が欲しくて、
カーティスを求めているのかもしれない。
それでも私はカーティスを求めてしまう。
卑怯かもしれないけれど、
私がどんな理由でカーティスを好きだとしても
カーティスは絶対に私を愛してくれると思えるから。
だから私は、言葉を紡ぐ。
カーティスが大好きなのは
噓偽りない気持ちだから。
そしてカーティスへの想いが
恋愛の<愛>かどうかわからないと
思う理由は他にもある。
カーティスにこうして抱かれるのに
ヴァレリアンやスタンリーに
抱かれることは嫌ではないことだ。
ヴァレリアンやスタンリーに対しても
私はずっと家族愛を求めていたから
二人に父性愛や兄弟愛を投影して
いるだけなのかもしれない。
それでも、
二人に愛されるのは嬉しい。
これが女神ちゃんから与えられた
祝福のせいなのか、
もともと悠子の魂が愛を拒絶しすぎて
感覚が麻痺しているのかはわからない。
愛されることに歓喜する心が、
多くの人に愛されて何が悪いのかと
思っている。
元の世界で培われた
倫理観や貞操感が緩まる祝福が
発動しているからかもしれないが、
それだけではないと、私は思う。
それぐらい、私は愛に飢えていた。
気づかないふりをしていたけれど、
本当は愛されたかった。
でも、どうせ愛されないからと
諦めていたのに、
この世界で激しく求められ愛された。
その嬉しさに、タガが外れたのだと思う。
私が『誰か一人のものでなく、
皆に愛されるユウ』であることが
カーティスたちを傷つけていることはわかっている。
けれど。
今はやめれないのだ。
愛されることを。
もし、この世界が安定して
私が<愛>を溜める必要がなくなった時、
私の感情がどう動くかはわからない。
女神ちゃんの祝福が無くなった時、
私の感情が、いったいどのような<愛>に
変化するのか。
でも、どんな状態になっても
金聖騎士団の皆は。
カーティスは私を受け入れてくれると
それだけは信じられる。
私がお金以外の…誰かを信じるなんて、
元の世界ではありえないことだ。
だから。
私を愛してくれた皆が何をしても。
たとえ私を騙して、裏切ったとしても。
私はそれを受け入れると思う。
そうしなければならない程の
何かがあるのだと思えるから。
何があっても、何が起きても、
この世界で愛を教えてくれた皆を、
カーティスを好きにならない理由がない。
そばにいると満たされる。
愛されていると安心する。
守られていると嬉しくなる。
そんな存在を、どうして否定できようか。
気持ちの昂ぶりにあわせて
指を上下に動かす動きが早くなる。
カーティスを見ながら
キモチイイに支配される。
何かが身体の奥から
突き上げるように追い立ててくる。
キモチイイだ。
腰が自然に動き、体内には
何も入っていないのに
肉壁が締め付けたり
緩んだりしているのがわかる。
「カー……ティスっ」
短く、思わず叫んだ。
怖いほどの快感に襲われる。
指の間から勢いよく
あたたかい液体が飛び出した。
ぽたぽた指から零れる液体の
甘い匂いが部屋に充満した。
「ああ、蜜を吐き出したんだね。
気持ち良かった?
ふふ。
精液の代わりに蜜を拭き出すなんて
やっぱりユウは幼くて、可愛いね」
カーティスは満足そうな顔をした。
けれど、その瞳は欲情に濡れ、
いまにも襲い掛かってきそうな雰囲気だった。
思わず唾を飲み込む。
期待に…だ。
頭がくらくらする。
こうなると、キモチイイだけを
求めてしまう。
とまらない。
女神ちゃんに祝福の効果が強いと
文句を言うのを忘れていた。
いや、言ったっけ?
言ってこれなのか?
ぼんやりとそんなことを考えながら
私はカーティスが近づいて来るのを
今以上のキモチイイを期待しながら
ただ、待っていた。
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