58 / 208
愛とエロはゆっくりはぐくみましょう
58:くまさんに女神の呪い発動
しおりを挟む部屋に戻って、
私はとりあえずお風呂に入った。
その間に、バーナードは宿屋の人に
グラスと軽いつまみになるようなものを
頼んでくれていて、私が部屋着に着替えて
風呂場から出ると、すでに飲み会の
セッティングが終わっていた。
準備万端だ!
私はうきうきと、
ベット横にある椅子に座る。
小さなテーブルには
先ほどのお酒の瓶とグラスが置いてあって、
肴…と言っていいのか、アーモンドみたいな
木の実や、チーズっぽい食べ物が
お皿においてある。
「俺も汗を流してくるから
先に飲んでていいぞ」
とバーナードが言うので、
私は風呂場に行くバーナードを
見送ってから、お酒の瓶を手に取った。
お酒は…嫌いじゃない。
めちゃくちゃ好きだ!とは言わないけど、
でも…飲んだ時の感覚は好きだ。
ちょっとふわふわして、
辛いことを忘れられる。
あと美味しいお酒も好きだ。
私は甘いものが好きだが、
お酒に関してだけは、辛口も
美味しいと思う。
私はお酒を開けると、
空のグラスに入れた。
先ほど味わった樹の香りが
部屋に広がる。
ほっとするような、
いい匂いだ。
テーブルの上にはちゃんと
お水も用意してあって、
これは沢山飲んだら酔うやつかもしれない。
と、思った。
アルコールの度数は瓶に書いてなかったけど、
調子に乗って飲んだらヤバイ奴だと
一応は自戒する。
まぁ、さっき沢山食べたし、
そんなに飲めないよね?
グラスの中身を少し飲み、
「甘い~い」と声を出してしまう。
確かに飲んだ時は樹の香りがして
すっきりとした口当たりなのに。
飲んだ後は、なぜか甘く感じるのだ。
不思議だ。
くぴくぴ飲んで、
味の解明をする。
何か混ざってるのかな?
花の蜜?
でも、お酒を混ぜて…
カクテルみたいにして作ったものでは
ないと思う。
これは、蒸留酒だ。
たぶんだけど。
色んなことを考えて飲んでいたら
「ユウ!」っていきなり
バーナードに声を掛けられた。
驚いて顔を上げたら、
髪もまだびしょびしょに濡れた
バーナードが、焦ったように
私の手を掴んでいる。
「飲みすぎだ。
一人で…こんなに飲んだのか?」
って言われたけど。
そんなに飲んでないよ?
だって、バーナードのこともわかるし、
自分が何杯飲んだかも覚えてるもん。
「……じゃあ、何杯飲んだ?」
って聞かれて。
何杯だっけ。
1杯…だったかな?
いや、2杯?
うーん、と考えたら、
バーナードが私からグラスを取り上げた。
まだ飲んでないのに!
「まずは、これを飲んで」
と水を押し付けられたけど、
水より、グラスを返して欲しい。
手を伸ばしてバーナードから
グラスを取り返そうとしたら
バーナードは片手で私の反撃をかわし、
「そんなに美味しかったの?」
なんて言う。
美味しかったに決まっている。
樹の匂いがするのに、
飲み終わったら甘いのだ。
こんな変わったお酒は初めてだし、
飲み口はすっきりして飲みやすいし、
あれだ。
ウイスキーだって思ったけど、
カクテルっぽくて。
でも、これ、絶対にそんな何かを
混ぜて作ってるやつじゃないと思う。
ね?
そうだよね?
とバーナードに聞いたけど、
バーナード何も言わなかった。
軽くため息をついて、
抱き上げられる。
抱っこされて膝に座らされて。
バーナードの髪は濡れていたけど、
体が熱くて気にはならなかった。
「はい、飲んで」
と少し強く言われて、仕方なく水を飲む。
「結構強い酒なのに…。
水も飲まず、何も食べずに飲むなんて」
呆れたように言われたが、
美味しかったから仕方ない。
もっと飲みたい、と訴えてみる。
バーナードはダメだ、と言って
私の飲みかけだったグラスのお酒を
飲み干した。
ひどーい!
私のお酒だったのに。
でも、文句を言っても
バーナードはとりあってくれなかった。
バーナードはこんな時、
物凄く『お兄ちゃん』だ。
同じ『お兄ちゃん』キャラでも、
スタンリーは違う。
スタンリーは外見は、
厳しい鬼畜眼鏡的なキャラに
見えるけどじつは、
意外とちょろい…いや、甘い。
別に狙って媚びたりはしてないけど、
たまに私の主張が通らないときに、
私がちょっと拗ねた顔をすると、
スタンリーは眼鏡の奥で
困ったような目をして妥協案を出してくる。
優しいし、甘い。
でもバーナードは違う。
ダメなことはダメだし、私が甘えたら
表面上は甘えさせてくれるけど、
折れてくれることはない。
たとえば、お腹いっぱい食べた後、
お腹を壊すかもしれない状態で
デザートが出てきたとき。
スタンリーはおねだりしたら
「半分だけなら…」とか、
「小さい菓子なら」なんて言ってくれるけど
バーナードは無理だ。
「これ以上食べたら
お腹を壊すから食べたらダメだ」
と、ぴしゃり、と言われる。
つまり…
私はあの美味しいお酒を
これ以上、飲めないということになる。
不満だ。
物凄く、不満だ。
だから、私は抗議することにした。
お酒がどんなに美味しかったかを
バーナードに訴える。
「わかった、わかった」
膝の上で暴れたからか、
バーナードは苦笑するが、だからと言って
飲んでいいよ、とは言わない。
だから、バーナードの膝から
立ち上がって、飲むー!って
手を上げた。
けど。
ぐらり、と視界が揺れた。
アレ?
こんなに飲んだっけ?
酔ってる…??
まさか、と思ったけど、
体が揺れる。
「ユウ!」ってバーナードが
慌てて私の身体を支えてくれたけど。
その弾みで、私はバーナードの
唇に咬みついてしまった。
キス…した。
って思った瞬間、私の呪い…
いや、祝福が発動した。
こぽり、と、甘い蜜が…
私の奥から溢れた感覚が…してしまった。
10
この話の続編です。良ければ引き続き、ご覧ください。
↓↓↓
【R18】「いらない子」が『BLエロの金字塔』世界で溺愛され世界を救う、そんな話
この話の番外編。
真翔×ユウ(男×女)のお話はこちら。
↓↓↓
【R18】睡姦から始まる恋。僕の性癖と可愛い彼女の楽しい(?)日々
良ければ合わせてごらんください。
↓↓↓
【R18】「いらない子」が『BLエロの金字塔』世界で溺愛され世界を救う、そんな話
この話の番外編。
真翔×ユウ(男×女)のお話はこちら。
↓↓↓
【R18】睡姦から始まる恋。僕の性癖と可愛い彼女の楽しい(?)日々
良ければ合わせてごらんください。
お気に入りに追加
438
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。


嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜
トマトふぁ之助
BL
某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。
そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。
聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編をはじめましたー!
他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
Switch!〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜
天咲 琴葉
BL
幼い頃から精霊や神々の姿が見えていた悠理。
彼は美しい神社で、家族や仲間達に愛され、幸せに暮らしていた。
しかし、ある日、『燃える様な真紅の瞳』をした男と出逢ったことで、彼の運命は大きく変化していく。
幾重にも襲い掛かる運命の荒波の果て、悠理は一度解けてしまった絆を結び直せるのか――。
運命に翻弄されても尚、出逢い続ける――宿命と絆の和風ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる