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愛とエロはゆっくりはぐくみましょう
51:どうでもいいけど、抱きつぶされる!
しおりを挟む私はうろたえた。
私はただ、お城みたいな宿で
大きなお風呂を堪能していただけだった。
広いお風呂だったので、
ヴァレリアンが入ってきても気にしなかった。
だって、カーティスとは
お風呂の介助とかもしてもらっていて
一緒に入ることはよくあることだったから。
ヴァレリアンも私を心配して
来てくれたのかと思ったのだ。
一緒に湯舟に浸かっていたら
ヴァレリアンの膝に乗せられる。
子どもみたいだと思ったけど、
もう、子ども扱いには慣れていたし、
何より、じつは…
こうやって子ども扱いされるのは嫌じゃない。
あったかい気持ちになって、
ふわふわして。
与えてくれる愛情を感じることができるから。
勇くんと離れて、一人で頑張ろうって
思っていたけれど。
勇くんを必死で守ろうと思ってた気持ちが
逆に、守られたい、って気持ちに
変わっていってしまったみたいだ。
だって【守られる】のは気持ちいい。
……甘えたくなる。
騎士団の皆は本当に優しくて、
無限大に甘やかしてくれるので
自戒しないとダメな人間になりそうだ。
そんなことを考えてたら、
ヴァレリアンに
「俺のこと、好きか?」
なんて聞かれた。
恥ずかしい!
好きだけど、好きだけどー!
でも、声になかなか出せない。
ヴァレリアンは私を否定しない。
わかってるけど。
誰かに自分の気持ちを伝えるのはまだ怖い。
大丈夫、って思ってるけど、
気持ちを言葉にしようと思うと
喉で声がつっかえてるみたいにうまく出てこない。
頭ではヴァレリアンに拒絶されないって
理解はしている。
でも、体が…それを怖がっているんだ。
「好き」って伝えて。
「俺も」って言ってもらえない未来が来るのが怖い。
ありもしない未来が怖くて、
私は一歩、踏み出せない。
急にヴァレリアンは私を抱き上げられて
浴槽の淵に座らされた。
ヴァレリアンの綺麗な金色の目が
すぐ前にあった。
背が高いヴァレリアンと
視線が合うなんて滅多にない。
ヴァレリアン瞳は綺麗で、
赤みがかった金色の髪は獅子を思わせる。
綺麗だけど、強い…
王者のような人だと思う。
そんなヴァレリアンと視線が絡み、
そのまま、キスされた。
ーーー大人のキス。
私が知ってるキスではなくて。
触れるだけのキスじゃなくて、
もっと…奪われるようなキスだ。
勇くんと、家族の証明のように
繰り返し頬や額にしていたキスではなくて。
ヴァレリアンのキスは、
家族なんかじゃなくて、もっと深い【愛】を
求められている…そんなキスだ。
そう。
まるで奪い取られるような…口づけ。
ヴァレリアンの大きな舌が
私の唇を舐め、舌を吸いあげてくる。
苦しいのに、ヴァレリアンは離してくれなくて。
息もできないほど、ヴァレリアンは
私の口内を乱暴に掻きまわす。
舌を吸いあげたかと思うと、
歯を舐め、歯茎を…
頬の裏あたりの肉にまで舌で触れてくる。
閉じれなかった口から唾液が溢れて
浴室に甘い匂いがした。
……だめだ。
このままだと、女神ちゃんの呪いが発動してしまう。
私の体液すべてが…媚薬になるという
恐ろしい呪いが。
だが、私の焦りなど気づかないヴァレリアンは
私の口内のすべてを舌でなぞり、
吐息すらも吸い上げ、
ようやく…満足したのか
私を開放した。
私は息も絶え絶えだ。
体がぐらぐらしてしまうので
ヴァレリアンにもたれかかると、
私はそのまま抱き上げられた。
抱っこされたと思ったら、
今度は冷たい水を掛けられた。
ひゃっと声を挙げてしまう。
「冷たくて気持ちいいだろ?」
なんて聞かれたけど、
心臓が飛び出るぐらい驚いた。
「悪い、嫌だったか?」
って、私がぐらぐらしていたのを
のぼせたと思ったのだろうか。
「……驚いたから」
文句を言ってはいけないと思って
短く言うと、
「そうか、ユウの肌が真っ赤だったからな。
のぼせちまうかと思った」
って、やっぱり。
確かに少し暑くなってたから、
冷たい水は良かったかも。
でも、今度は冷えすぎた…。
だって…トイレに行きたくなってきた。
ほら、子どもがプールの冷たい水に
入ったら、急にトイレに行きたくなるってやつ。
急激な温度差で急にトイレに
行きたくなっちゃうってあるよね。
でもヴァレリアンはまた
キスを再開して、湯舟に戻ろうとする。
待って、待って。
私はもうあがるから、湯に浸かるのは
ヴァレリアンだけにして!
トイレに行きたいとは、
成人男性に言うには恥ずかしい。
だから、もういい、って伝えたのに、
ヴァレリアンは体が冷えただろう?
なんて優しく言ってくる。
冷えたからトイレに行きたいんだってば。
なんて言えるはずがない。
だいたい、トイレ、って言葉も
この世界にはないし。
だから…
物凄く恥ずかしくて、仕方なかったけど。
ヴァレリアンの首にしがみついて、
誰にも…むしろ、ヴァレリアンにさえ
聞こえないぐらいの小さな声で
おしっこしたい、って伝えた。
だって背に腹は代えられない。
それに…
勇くんの身体だもん。
小さくて可愛い勇くんだもん。
こんな恥ずかしいこと言っちゃっても
……許されるよね?
なんて、自分のことなのに
他人事として処理しようとしていたからだろうか。
いきなりヴァレリアンは
「いいぜ、ここで出しちまえよ」
なんて言ってきた。
ここで、って、ヴァレリアンに
抱っこされたまま…?
お風呂場で、このまま…?
無理無理。
どんな羞恥プレイですか!?
いくら勇くんの体が子どもでも、
さすがにそれは無理でしょう。
いや、まぁ、中身が22歳の私の段階で
おしっこしたい発言には無理があったけど。
とにかく早くヴァレリアンを
説得しないと、ほんとに、漏れてしまう。
というか、ヴァレリアンって
どうしたんだろう?
こんな意地悪するのは
カーティスしかいないって思ってたのに。
カーティスは意地悪しても
その後は驚くぐらい甘やかしてくれるから
すぐに許しちゃうんだけど。
ヴァレリアンが同じようなことを
するとは思えない。
どうしたんだろう?
らしくないヴァレリアンの様子が
気になったけれど。
いまはトイレが先だ。
とにかく風呂から出たいと思ったのに、
ヴァレリアンはなかなか、
抱っこから降ろしてくれない。
それどころか、私を刺激してくる。
身体をゆすって「ほら、いいぞ」なんて言われて。
勇くんのあれにまで触れてくる。
いや、あれはもう私もものでもあるけど。
私はまだ、勇くんの体と
私が同じだと認識できずにいる。
この体が女性のものだったら
もう少し、しっくりきているとは思うんだけど。
いや、そんなことより、
今はトイレ!
って思ってたら。
「我慢できないんだろう?」
ヴァレリアンの甘い声が耳元で優しくなって。
ヴァレリアンの太い指が…
ぐいって、あれの先端を押した。
「だ…ダメ…でちゃう…から…」
必死で訴える。
「だから出していいぜ」
「……か、か…かっちゃう…」
このまま出したら、私だけでなく
ヴァレリアンの身体にも
おしっこがかかってしまう!
そう訴えたのに。
「俺にか?いいぜ」
って、もうヴァレリアンの感覚がわからない。
「な、見せてみろよ、俺に」
こんな姿を見せるのは、俺だけだろ?
って、ヴァレリアンは私の耳を唇で咥えた。
「俺にだけ…特別に見せろよ」
どうしたんだろう?
ヴァレリアンの甘い声に、
苦しそうな…傷ついた色がにじむ。
ヴァレリアンの様子に戸惑ううちに、
私は子どものようにしっかりと
抱っこされ、双丘を撫でられた。
「ヴぁ、ヴァレリアン…?」
まさか、と思う。
「大丈夫だ」
でも、と優しい声で…
強く言われると、私は自然と
強張った体を緩めてしまう。
私は…本当に
生まれたてのヒヨコが
最初に見たものを親と思うかのように。
この世界で最初に出会った
ヴァレリアンたちを無条件で信じてしまっている。
ちっとも大丈夫なんかじゃないのに。
そう思っているのに、
私の身体は優しく耳にキスされるだけで
どんどん力が抜けていって。
ヴァレリアン太い指が、
いきなり私の中に押し込まれた。
「やーっ!」
思わずヴァレリアン首にしがみつく。
忘れかけてた尿意が
お腹の中を押さえられて、
我慢できない程に沸き起こる。
「だ、だ……メ……ほんと…に!」
我慢できなくて、ちょろり、と、漏れた。
離して!って思ったのに。
「ほら、もう出るんだろ?」
と、体に入れた指はそのままに、
子どもに尿を出させるように
身体をゆさぶられて。
「い……いあぁ…」
ダメなのに。
身体を離したくても、
私の中にはヴァレリアンの指が入っていて。
身体は隙間が無いほど密着していて。
私は我慢できずに、
ヴァレリアンの身体と私の身体が
ぴったりと引っ付いたままの状態で
とうとう漏らしてしまった。
一度出てしまったものは
元に戻すことなんかできなくて。
身体を出た液体が
私の足を伝い、床を汚していくのを
呆然と感じていた。
たぶん、ヴァレリアンの身体も
汚してしまった。
抱っこされたまま。
ヴァレリアンのお腹の上で
漏らしてしまったのだから。
恥ずかしくて、
顔すら上げることができない。
ぽたぽたと落ちる液体の感覚に
私は身悶える。
不意に、ヴァレリアンが
私の顎を掴んだかと思うと、
いきなり唇に咬みついてきた。
驚いて口を開けると、
ヴァレリアンの舌が私の舌に
絡みついてきて、強く吸い上げられる。
もう、思考が付いていけない。
体が震えて、頭の芯が痺れてきて。
私はたぶん、ヴァレリアンの腕から降ろされたと思うのだけど。
冷たい壁に背中を押し付けられ
何度も角度を変えて、荒々しく口づけを受ける。
もう、なすがままだ。
足が震えて、立ってられなくなった。
ずるずると壁に背中を押し付けたまま
浴室の床にしゃがみこんだけど、
ヴァレリアンは私の身体を支えるのではなく
そのまま一緒に、キスを繰り返しながら
腰を落としてきた。
二人そろって床に膝をつけて、
ようやく唇が解放される。
「ふ…ぁ」
息苦しくて、小さい声が出た。
浅い呼吸を繰り返していると、
ヴァレリアンの金色の瞳に射貫かれる。
拒絶は許されない…
恐ろしく真剣な瞳だった。
金色の瞳は、どこかあの女神ちゃんを思い出させる。
そして…元の世界で見た、大きな金色の月を思い出した。
恥ずかし想いをしたのは私なのに。
何故そんなに傷ついた瞳をしてるのか。
何を不安に思っているのだろう。
何にも負けない強さを持っている
ヴァレリアンが、こんな顔をするなんて。
どうしていいかわからなくて。
でも、ヴァレリアンに笑って欲しくくて。
私は勇くんにしていたように、
ヴァレリアンの額に唇を当てた。
大丈夫だよ、って私が言ってあげたい。
何が大丈夫か、よくわかんないけど。
勇くんの時みたいに、
私が守ってあげる、なんて言えないけど。
でも、傍にいて、話を聞いて。
不安になったら、手をつないで、ぎゅっとして。
元気が出るまで、キスをして、
頭を撫でてあげる。
だから、元気出して、って言いたくて。
ヴァレリアンの顔を見たら、
いきなりまた、咬みつくようにキスされた。
え?
って思ったら、さっきまで
私の中に入ってた指が、前触れもなく
また私の後ろから押し込まれた。
ど、どういうこと?
苦しく…はない。
女神ちゃんの呪いの…いや、
祝福の蜜が、こぽり、と溢れるのがわかった。
痛くはない。
でも、なんでこんな流れに…??
「ヴぁ…」
名前も呼ぶ暇なくキスをされ、
指が乱暴に私の中を動き回る。
もう尿は出ないってー!
私はヴァレリアン腕を
バンバンたたいたけど、もちろん、
そんなことぐらいでは腕の力は緩まらない。
私は悲鳴さえも
ヴァレリアンの口に吸い込まれながら
コポコポと双丘の奥から蜜を垂れ流した。
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(^O^)
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