【R18】完結・女なのにBL世界?!「いらない子」が溺愛に堕ちる!

たたら

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エピソード集<R18>

オトナのいたずらはママ騎士と

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今日も私はカーティスとお風呂に入っている。
この世界に来た時に、
カーティスに世話を焼かれて以来、
必ずと言っていいほど、一緒に入っている。


理由は、カーティスが私の世話をしたがることと、
私が今の…男性の身体に慣れていないからだ。


幼馴染だった勇くんの幼い体は、華奢で可愛らしい。
でも、男の子だ。


なので、ちょっと触るのには抵抗がある…
そう、女子にはないが体についている。


正直、それに気が付いたときはビックリして。
トイレは、それでもなんとか頑張った。


あんまり直視できなかったけど、
汚さないように、頑張った。

でも。

触ったりとか…洗ったり…とか、
とにかく抵抗があって。


そんな私に気が付いたのか、
初めてお風呂に入ったときから、
カーティスは笑顔で私の身体を洗ってくれた。


それはもう…驚くような、恥ずかしい場所まで。


でも、一番最初に全身を洗われてしまったからか、
カーティスに対して私は警戒心や羞恥心を
すっかり解いてしまった。


私の中でカーティスは金聖騎士団の副団長だけど
甘やかしてくれる優しいママだ。


生まれてすぐに捨てられた私には
母の記憶なんてないけれど、もし、私に母がいたら
こんな風に優しく甘やかしてくれたのかな、と思う。


抱きしめてくれる腕も、
琥珀色の瞳が優しく色づく瞬間も、
すべて、大好きーっ!って思う。


育った施設にいた年下の弟妹達を
まとめてギューッと抱きしめて、
大好きって言うより、もっと好きーって
叫びたくなるような感じだ。


沢山甘やかされて、
私はカーティスがいないと
生きていけなくなっちゃうんじゃないかと、
たまに思ってしまう。


そんなカーティスは二人きりになるといつも、
私を好きだと言って、キスをする。


愛してるよ、って甘く囁いてくれる。

そうなると、私の身体はこわばる。
勇くんの体の、愛情拒否の条件反射なのか、
私の戸惑う気持ちがあって、
そうなっているのかは、わからない。


でも、私が好きだと思う気持ちと、
カーティスが私を好きだと言ってくれる気持ちが
少し違うかもしれない、とは思っている。


金聖騎士団の隊長であるヴァレリアンも、
カーティスも、参謀のスタンリーも、
私を愛していると言ってくれる。


私を守るために、
3人で私を愛するというけれど、
私は彼らに抱かれたりするけれど。


私はじぶんの気持ちがわからない。


だって、美形の3人に愛されるなんて、
許容範囲をとっくに超えている。

22年間も愛情なんてこれっぽっちも知らずに生きてきた。
誰かを愛する自分なんて考えたこともなかったし、
愛されるなんて、思ってもみなかった。


愛情に飢えすぎて、
心が麻痺しちゃったのかも。


3人同時に愛されるなんて、
異常だと思うのに、
それを当然のように受け入れてしまっている。


それぞれ違った形で私を愛してくれていて、
麻痺した心が、流されるように
それを受け入れていて。


しかも、心地よいとも思っている。


これも、女神ちゃんの呪い……いや
祝福のせいなのだろうか。

「ユウ、大丈夫? のぼせた?」


湯に浸かり、のんびり考え事をしていたら、
身体を洗っていたカーティスが私の隣に入ってきた。

そしてピッタリと体を引っ付けて、
ユウの体はホカホカになったね、なんていう。


こういうスキンシップをカーティスはすぐにする。


恥ずかしいとか、きっと思わないんだろうな。


カーティスは私を膝に乗せ、
後ろから抱きしめてきた。


これもいつものことだ。
なんなら、私は体の向きを変えて、
自分からカーティスの胸に頬を寄せることもある。


他の誰にもできないけれど、
カーティスだけは特別。

だって、私のママだから。


何をしても、絶対に大丈夫。
そんな安心感が、カーティスにはある。


最初この世界に落ちてきたときから、
ずっとベッタリ甘やかして世話をしてもらったカーティスに
私は持っているすべての信頼を渡してしまったかのようだ。


「今日のユウは甘えただね」
なんて言われても、
元の世界のように、そんなことない、
なんて虚勢を張ったりはしない。


ちょっとすり寄ると、カーティスは
優しく髪を撫でてくれる。


そんな普通の愛情表現が、
とてつもなく嬉しい。



「ユウ、今日は…私とユウの体について学んでみないかい?」


優しく抱きしめられながら、
カーティスはそんなことを言った。


「……学ぶ?」


「そう、ユウはこの体のこと、あまり知らないだろう?」

そっとカーティスの指が、
私の背骨を上から下へとつーっとなぞる。

「だからね。私が教えてあげるよ」

優しい声だ。
まるで母が、新しい遊びを教えてあげる、
と言っているかのように。


私は頷くしかない。

カーティスはきっと、私がこの<男性の身体>を
もてあましていることに気が付いているのだろう。


そしてそれが…少し、
いやらしい意味を含んでいるかもしれないとは
気が付いたけれど。


ママであるカーティスの言葉を拒否する選択など、
私は持っていなかった。



カーティスが、私の嫌がることをすることは
絶対にないのだから。










本当に、ユウは可愛いらしい。

カーティスは、笑みを深くした。

湯殿で抱きしめて、
体の勉強をしよう、だなんて。
それがどういう意味か、わからないのだろうか。


少しはにかんだ笑顔で、こくん、と頷く姿に
私は悦びはしたけれど心配にもなる。


ユウは本当にこの世界のことも、
そして…人間のことも、
あまり理解していないように見える。



だからこそ、可愛いし愛しいけれど、心配もある。
私がしっかりユウを守ってやらなければ。



最初からユウはどこか儚げで、寂しそうで。
私たちを警戒心の強い目で見てきた。



おそらく聖獣のとりなしがあったからだろう。
とりあえず金聖騎士団の保護に入ることを
素直に受け入れはしたものの、
最初はなかなか慣れてくれなかった。


でも、私はユウの世話役をかって出て、
甘やかして、甘やかして、甘やかして。


過保護と言われようが、
とにかくユウを甘やかしていたら、
今ではすっかり懐いて、
ユウから甘えるようになってくれた。


それが、物凄く嬉しい。


当初、王族の私が他人の世話をすることを
エルヴィンやケインが心配して
交代を申し出てくれたが、
ユウの世話役を変わるなどとんでもない。


ユウは…可愛い。


私が王子だと知らなくても、
ユウは私を求めてくれる。


次代の王でもなく、
王のスペアでもない、3番目の王子。


価値のない王子だと周
囲に言われていた私にとって、
金聖騎士団は大切な場所だったが、
ユウはそれ以上に大切な者になってしまった。



ユウと会話ができない頃、
金聖騎士団の団員全員でユウの護衛をしていたので、
常に私が傍にいるわけではなかったが、

ユウは私が他の者と護衛を交代しようとすると
必ず寂しそうな目で私を見てきた。

行くな、と腕を掴まれることはなかったが、
戻ってくると、嬉しそうな顔をして笑ってくれる。

そんな些細なことが嬉しくて、どんどんユウが
懐いてくれるのが嬉しくて。

私でなくてはダメだと、
行動で、言葉で、示してくれるのが
何よりも幸せで。

……私はユウを愛してしまった。


誰にも渡したくないほど、好きで好きで。

でも、ユウを守るために、
不本意だけど、ヴァレリアンや
スタンリーと一緒にユウを愛することを認めて。


でも、私が一番だと、ユウには思って欲しい。

ユウが誰かを選ぶときがきたら、私を選んで欲しい。


私は「いらない3番目」の王子だ。


つまり私と結婚しても、ユウは王妃などという
煩わしいものにはならなくてもいいし、
外交だのなんだのと、ユウの存在を他国に
アピールすることもない。


私は無理に王族でいる必要もないと思っているので、
ユウが望むのであれば、
王家から除籍してもらってもいい。


私は「いらない3番目」だからこそ、
ユウを愛せるし、
ユウを手に入れることに迷いもない。


あんなに疎ましく思った「いらない3番目」であったことを
私は心から嬉しく思うようになった。


じぶんがこんな気持ちになるなど、
思ってもみなかった。

ユウと出会って、
私は変わることができたのだ。


もっとユウと一緒にいたら、
私はもっと良い方向に
変化することができると思う。


ずっと一緒にいたい、ユウと。


もっと愛したいし、愛されたい。


そのためなら、私はなんだってする。






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