【R18】完結・女なのにBL世界?!「いらない子」が溺愛に堕ちる!

たたら

文字の大きさ
20 / 208
BとLの世界は厳しい激エロの金字塔だった

20:愛されるって、どういうこと?【2】

しおりを挟む







はっ、とシーツの中で目を覚ました。


無理やり白い世界に召喚されたから、
あまり時間が取れなかったのか、
それとも女神ちゃんが私の抗議を受け取りたくなかったのか。


なんにせよ、無理やりこの世界に戻ってきてしまった。


しかし。
これは本格的にやばい展開になってきた。


しかも、あの祝福…。


頭が痛い。
と、思ったら、手に、もふ、という感触がした。


「もふ?」


シーツをめくってみると、
白いもこもこが、私の隣でスピスピ眠っていた。


「なに、これ。
可愛い!!!」


白いもこもこは、きっと聖獣だ。
だって背中に白い翼がある。


でも、でも。
これ、見たことがある。


私の近所を良く散歩しているワンちゃんで、
私にすごくなついてくれていた…


なんだっけ。
難しい名前の犬で、飼い主さんが自慢していた…


そう。
シェットランドシープドッグ、だ。


そのワンちゃんにそっくりだ。


毛がふさふさで、飼い主さんの言うことを
いつだって良く聞いていた。


飼い主さんは、私と同じぐらいの男性だったから
本当だったら緊張で何も話せなくなってしまうところだけれど。


あのワンちゃんが私に甘えてくれたので、
自然と飼い主さんとも話せるようになっていた。


飼い主さんだけでなく、私がボールを投げても
ちゃんと取ってきて、ほめて、ほめて、と尻尾を振る姿は
可愛くて、つい笑顔になってしまった。


可愛いワンちゃんを思い出し、
私は白いもこもこを撫でた。


窓が開けっぱなしだったので、
そこから入ってきたのかもしれない。


もしくは、女神ちゃんからのワイロか。


寝ている姿も可愛いけれど、抱っこしてみたい。


そっと抱き上げると、まるい小さな目が開いた。


「ごめん、起きちゃった?」


『ご主人さま!』


可愛い声がする。


「ご、主人さま?」


『なまえ、なまえ!』


「な、なまえ?
名前つけたらいいの?」


急に言われても思いつかない。


「じゃあ、白いからホワイト」

ほら。
女神ちゃんのこと私も言えない。
いきあたりばったりの思い付き。


『ホワイト!』


でも、ワンちゃん聖獣…いや、ホワイトは嬉しそうだ。


気に入ってもらってよかった。


「どうしてここにいるの?
女神ちゃんが何か言ってた?」



『女神様、ご主人を慰める』


あー。
やっぱりワイロだったか。


ごめんよ。
行き当たりばったり女神のせいで君は生まれたんだ。


ぎゅーっと私はホワイトを抱きしめた。


『ご主人様、大好き』


ホワイトがぶんぶん、と尻尾を振っている。


「うん。私も大好き」


こういう愛情のやり取りは、私にもできる。


『大好き、ホワイト。
私が絶対に…この世界を守ってあげるからね」


この世界を軌道に乗せて、
あの行き当たりばったり女神の介入が無くても
きちんと繁栄していく世界にしなくては。


ホワイトも、騎士様たちも、レオも、ブラウンも。
そして、まだ見たことがないけど、この世界に住む人たちも。


あの女神ちゃんに生み出されたとはいえ、
もう今、ここに、みんな生きているんだ。


勝手に創って、勝手に消し去って良いわけがない。


ホワイトを抱きしめて、私は決意と不安から少し泣いてしまった。


トントン、とそこへ、ノックの音がする。


はい、と返事をすると、
安定のママさんキャラのカーティスが入ってきた。


「寝てたのですね、すみません」


「いえ、大丈夫です」
私は慌ててベットから下りた。


「ところで…その、その…聖獣は…?」


カーティスの視線の先には、
ベットの上に乗っているホワイトの姿がある。


「あの、なんだか窓から入ってきてしまったみたいで」


ホワイトは聖獣なのだろうが、まるで犬のように
嬉しそうに尻尾を振って、私の手にじゃれついた。


きっと、私の記憶のワンちゃんから生みだしたから、
行動が聖獣ではなく、ワンちゃん寄りなんだ。


「懐かれているようですね」


少し戸惑うように、カーティスは言う。


「はい、可愛いです。
ご迷惑はかけないので、ここで飼ってもいいですか?」


子犬を拾って「世話は私がするから」と
お母さんにお願いする子どものように言ってしまったが、
カーティスは相変わらず、困惑しているようだ。


「えっと。
ヴァレリアンにも確認するので、
一緒に来てもらえますか?」


「はい」


そうだよね。
ママよりパパの許可が必要だよね。


私はホワイトについてくるように言い聞かせ、
カーティスと一緒に庭に出た。


今は全員で訓練をしている最中らしい。


カーティスは私の部屋から膨大な聖魔法を感じて、
慌てて部屋にきてくれたらしいのだが、
あまりにもその力が強くて部屋に入れなかったらしい。


きっと女神ちゃんのところにいた時のことだよね。


でも、その時のことをカーティスはホワイトがいたから
部屋に入れなかったと勘違いをしているみたいだった。


「聖獣がいたのなら、あの膨大な聖なる力もうなずけます」


うんうん、と一人で納得してくれている。


まぁ、女神ちゃんとの会話は暴露できないので、
私としては助かるけれど。


庭に出ると、騎士様たちが一斉に私を見て固まった。


「訓練中、邪魔してスミマセン」
私は頭を下げる。


そしてホワイトを手招きして抱き上げた。


「面倒見るので、この子、
飼ってもいいですか?」


私が必ず世話をしますから!


と、熱意を込めてヴァレリアンに詰め寄ったが
ヴァレリアンは、ふい、っと私から目線をそらした。


なぜ?


「えっと、ダメですか?」


「いや、ダメというか…」


ヴァレリアンは困ったように目を合わせてくれない。


私は、スタンリーに目を付けた。

パパとママがダメなら、お兄ちゃんに助けを求めるべきだ。


彼はヴァレリアンとカーティスの幼馴染みたいだったし、
クールな彼なら、二人を説得してくれるかもしれない。


「もふもふだし、可愛いし、悪い子じゃないんです!」


聖獣なんだから、悪いことはしないです。
……たぶん。


頑張って見上げて、スタンリーに訴える。

だが、スタンリーは眼鏡をさりげなくかけなおし、
ヴァレリアンと同じように、私から目を背けた。


なぜ!?


ホワイトを抱っこしたまま、
今度は後ろを振り返った。


まだ固まった状態だったが、残った3人に訴える。

「いい子なんですよ」

「待って、待って、ユウちゃん」

エルヴィンが手を挙げて私が来るのを制した。
愛し子ちゃんではなく、名前を呼ばれた。


「それ、聖獣だよね?」


「そうですけど」


ワンちゃんに見えるけど、たぶん、聖獣だ。


「聖獣って、飼っていいの?」

「え?」


ダメなの?
動物保護団体とかに訴えられる案件なの?


「飼ったらダメとか、決まりがあるんですか?」


「というか、飼える人間なんていないと思うけど」


エルヴィンが困ったような声を出す。


そうか。
聖獣だもんね。

神様の眷属だもんね。


飼わないか、普通は。


でもこの子は、私へのワイロのために
行き当たりばったり女神が創ってしまった聖獣だ。


私がこの子を追い出したら
行くところなんてないかもしれない。


「でも、この子、生まれたばかりで
追い出したら可哀そうです」


「生まれたばかり!?」

エルヴィンは大きな声を出した。

「聖獣の赤ちゃんなんて初めて見た…いや、聖獣を見ることができたのも、
ここに来てから初めてだったが」


横からケインが、ホワイトを見つめながら呟いた。


「そ、そうなんです。
この子は生まれたばかりで、私を頼ってきてくれて。
だから、ほっとけないんです」


必死で訴えると、様子を見ていたバーナードが
カーティスに視線を送った。


カーティスも、それを受けてヴァレリアンを見る。


「わかった、仕方ない」


ヴァレリアンが重い口を開いた。


「しばらくの間ならいい。
ただし、俺たちもずっとこの屋敷に滞在しているわけではないからな。

この聖獣が一人立ちできるようになるまでの間だけだ。

それに、聖獣はもともと、人間にはあまり姿を現さないものだと言われている。
その理由はわからないが、その聖獣が俺たち人間と仲良くすることが
必ずしも良い結果になるとは思えない」


そっか。
聖獣って、そういう位置づけなんだ。


「聖獣に関しては、箝口令を出す。
一切、外に漏れないように。

もちろん、ユウの存在も秘匿だがな」


面倒ごとを増やしてしまったのか。
ほんとに申し訳ない。


「あと、聖獣の世話の仕方なんて
俺たちにはわからんぞ?」

ヴァレリアンが私に言ってきたが、私もそんなものはわからない。
でも。


「それは大丈夫です。この子に聞きますから」


「……聞く…?」


「はい。この子がきっと教えてくれると思います」


私は抱っこしたホワイトをヴァレリアンに見せつけた。



「その聖獣はしゃべるのか?」


「ん-っと、なんとなく、わかる感じです」


脳内で会話ができるのはナイショだもんね。


「そうか」


とヴァレリアンはあきらめたように息を吐いた。


「聖獣の世話は、ユウに任せる」


「はい」


「必要なものがあれば言ってくれ」


「ありがとうございます」


私は素直にお礼を言った。


「よし。では訓練開始。
カーティスはこのまま、ユウについててくれ。

聖獣のことは、後から聞かせてくれればいい」


「わかりました」

カーティスはうなずいて、私の背中を押した。


「部屋に戻りましょう」


訓練の邪魔をしてしまったからか、
強い口調で言われてしまった。


私は逆らうことなく、部屋へと戻る。


聖獣…。
不思議な存在だけど、この子は私のために生まれた子。

ちゃんと育ててあげるからね。


私はぎゅっとホワイトを抱きしめた。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

寄るな。触るな。近付くな。

きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。 頭を打って? 病気で生死を彷徨って? いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。 見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。 シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。 しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。 ーーーーーーーーーーー 初めての投稿です。 結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。 ※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜

隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。 目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。 同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります! 俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ! 重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ) 注意: 残酷な描写あり 表紙は力不足な自作イラスト 誤字脱字が多いです! お気に入り・感想ありがとうございます。 皆さんありがとうございました! BLランキング1位(2021/8/1 20:02) HOTランキング15位(2021/8/1 20:02) 他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00) ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。 いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!

処理中です...