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女ですけどBL世界に転生してもいいんですか?

7:美形騎士団は聖騎士なのだ<王子様SIDE@紹介>

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私はこのフューチャー国の王直属の聖騎士団に勤める
金聖副士団長のカーティス・クラーク・フューチャーだ。

王族にしかいない<金色>の髪や目でわかるように、
王家の人間だが、聖騎士団ではそんなものは関係ない。

ただ人より、少し<聖魔法>が得意なだけだ。

聖騎士団は、通常の騎士と同様に王族を守ることもあるし、
神殿の有力者を守ることもある。

また、口外できない神殿から下る<神託>に
かかわることも多く、聖騎士団は誰にでもなれるものではない。

また、少数精鋭で小さな部隊に分かれていて、
様々な任務に就く。

人数が多く必要な時は、
いくつかの部隊が合同で任務に就くこともあれば、
今回のように、一つの部隊のみで動くこともある。


聖騎士団の各部隊の人数は決まってはいないが、
たいてい、騎士団長が人数の不足を感じた時に
随時、見込みのある者をスカウトするため
一般的には聖騎士団に所属するのは
狭き門だと言われている。


もちろん、腕が立つだけでは
聖騎士団には入れない。


剣や魔法だけでなく、魔力の量、質、
そして、聖魔力を使える者だけが
聖騎士団に入団できるのだ。


聖魔力とは通常の魔力とは違い、
女神の力を使って、人々の怪我を治したり
病気の進行を遅らせることができる。


とはいっても、
人間の持っている自己治癒力を高めるだけで
死んだ人間を生き返らせたり
寿命が尽きる者を治すことはできないのだが。


それでも、魔物との戦闘が多い聖騎士団にとっては
聖魔力は必須だ。


なにせ、戦場では、どんなに怪我をしても
病気になったとしても、誰も治してくれないし、
もちろん、戦いが終わるまで薬師に見てもらうこともできない。


戦場での怪我や病気は味方の足手まといになるだけで
そのまま死を意味することにもなる。


また、聖騎士団が聖魔力を重要視するのは
それだけではない。


通常の騎士団は、軍部が取り仕切っているが、
聖騎士団は王の直轄であり、
神殿ともつながりがある。


つまり、女神の神託を受けた神殿の手足となって
動くことも重要な任務の一つであり、


また女神の力でもある聖魔力は、
神殿に身を置く神父たちにとっては
聖魔力を持っているというだけで
信頼に値するという必要不可欠な魔力なのだ。



私が所属する金聖騎士団は
私を含め、6名で動いている。

これは聖騎士団としても少なすぎるとは思うが
構成している団員たちが異例の存在だったからだ。

隊長はヴァレリアン・ロペス・フューチャー。

赤みがかった金色の髪に、黄金の目を持つ彼は
見るからに王家の血を引いている。

彼の父は、聖騎士団の総元帥であり、
現王の弟だ。

彼は豪傑と呼ぶにふさわしい親ゆずりの豪快さと、
懐の深さで、金聖騎士団メンバー以外の騎士たちにも人気がある。

決断力も早く、一度、仲間と認めた相手には
とことん、甘く、守ろうとする一面もある。

火と光の魔法を得意とするが、
魔法は目に見えない<魔素>を体内に取り込み使うだけだが、
彼は自分自身の<魔力>も使い、
火の魔法から炎を生み出すこともできる。

大剣に炎をまとわせて、
一撃で大型の魔物を退治する姿を見た新人騎士たちは
その姿にあこがれ「誰もが必ず一度は聖騎士を目指す」
とも言われている。

彼は今、私より一つ年上の21歳だが、
幼少期のころから一緒にいるので
もう20年来の付き合いになる。



金聖騎士団の中にはもう一人、
私たちの幼馴染がいる。

現宰相を父に持つ、スタンリー・グリフィン・ ライト。
彼は青い髪に水色の瞳を持ち、切れ長の瞳は
冷たい印象を与えてしまう。

頭もキレるし、博識のため参謀のような役割を担うこともあるが
もちろん魔法も素晴らしく、氷と風の魔法を得意としている。

また、ヴァレリアンと同様に、自身の魔力と魔素を体内で練り、
雷を操ることもできる。

剣に雷や氷をまとわせて使う姿は、
初めて見る新人騎士たちには、ただただ恐怖のようだ。

普段から寡黙で、細い目が印象をきつくしているので
ただ立っているだけで「厳しく怖い」と思われるらしい。

それなら笑顔の一つでも作れば良いと思うのだが、
スタンリーは「必要ない」の一言で切り捨てる。

合理主義というか、「人間の感情は判断をにぶらせる」
という独自の理論で生きているので
私たち幼馴染以外には親しい友人はいないと思われる。

私の父とヴァレリアンの父、そしてスタンリーの父親が
幼馴染だったこともあり、私たちは本当に小さいころから
付き合いがあるのだが、20年近く一緒にいても
スタンリーの笑顔を見たのは数回だけだ。


ある意味すごい人物だとは思っている。


残りの金聖騎士団のメンバーは、
最年長のバーナード・ペレス。

24歳で、赤茶色の髪、濃い茶色い瞳を持っている。

大きな体で、大型魔獣と戦うときは
盾役として最前線に出ることが多く、
彼は土魔法を得意としているが、
たいていは、背中に背負った大きな盾と
大剣を使うことがしばしばだ。


あとは、斥候役も担う
特攻騎士のエルヴィン ・クロフォード。

彼は風魔法を得意としており、何より身軽だ。
最年少でまだ17歳だが、ヴァレリアンがどこからか見つけてきた。

細身で、体が軽いために早馬も得意としており、
王都から離れているときは、重宝している。

明るい緑色の髪に、淡い茶色の瞳を持った彼は
見た目通り、明るく、そして<いたずら好き>だ。

人を笑わせることがうまく、おしゃべりで、
とにかく動いている。

戦場や、訓練で苦しいこともあるだろうが、
「人生、落ち込む暇があったら遊ぶ」
と、常に前向きで、
私はじつは可愛い弟のようにも思っている。

このエルヴィンの相棒が、
同じく特攻騎士のケイン・リードだ。

銀色い髪と赤い瞳を持ち、
火と水の魔法を得意としている。


またエルヴィンの祖父は大神殿の教皇であり、
王家に並ぶ権力の持ち主だ。

また彼はスタンリーの弟子かと思う程、冷静沈着で
いつも、相棒のエルウィンの暴走を止めているが、
正反対の二人だからこそ、じつは仲が良いのではないかと
ひそかに思っている。

彼は18歳で年がエルウィンの1つ上なので、
彼も私と同じように弟の面倒を見ているような気分なのかもしれない。

この6人で、金聖騎士団は成り立っている。

他の聖騎士団は、もちろん、もっと大所帯だ。
所属人数は決まってはいないが、
騎士団長の采配で、人数を増やしたり減らしたりできるのだ。


この金聖騎士団が6人しかいないのは…
その名前の通り、王族の関係者と、
そして教会の上層部の関係者のみで
構成された<特殊部隊>だから。

だからこそ、私たちは
秘密裏に動くこともあるし、
この世界を揺るがすような情報も
知ることができる立場にある。

私たちがこの国を。
この世界を守っている。

そう自負していたし、
それを誇りに思っていた。

……そう。
あの出会いがあるまでは。





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