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愛は変態を助長させる

53:特別な部屋 【真翔SIDE】

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 俺は観覧車の中で、
ゴンドラが一番上になった時、
悠子ちゃんとキスをすると言う
至福の時間を過ごせて
かなりご機嫌だった。

ホテルに着いてからも、
悠子ちゃんは俺を
頼りにしているみたいで
腕にしがみついたり、
手を絡めてきたりする。

ほんとに可愛い。

けれど。

着いたホテルは、
かなり高級そうなホテルだった。

会社から貰ったサービス券で
無料で泊まることが
できるという話だったけれど
どう考えても、
そんなサービス券で
宿泊できるような
ランクのホテルには見えない。

大丈夫だろうか。

何か落とし穴でもありそうだ。

そんなことを考えながら
悠子ちゃんの手を引き、
フロントへ向かうと
綾子さんと先輩が
何やらもめている。

話を聞くと、
俺と悠子ちゃんは
らしい。

泊まることができるなら
俺は別段、
どんな部屋でも構わないが
って、
あの、会員だろうか。

ホテルのホームページの
会員サイトに出て来た
あの……部屋。

まさか、な。

先輩が予約してくれたんだし、
会社のサービス券を
使ったのに、
あんなエロい部屋が
予約されているとは思えない。

……よな?

俺は別館に足を踏み入れて、
やはり嫌な予感が沸き起こる。

本館はあんなに
人であふれていたのに、
別館には人気が無い。

まるで別館は
隠れてホテルの部屋を
利用する人専用の
部屋がある場所ではないかと
思ってしまうのだ。

別館と本館の間も
カードキーが無ければ
行き来できなかったし。

俺は不安を感じたが、
それを振り払った。

俺は悠子ちゃんと
一緒に泊まれたら
それだけで嬉しいし、

とにかくベットがあれば十分だ。

それにもし妙な部屋だったら
最悪、先輩には申し訳ないが
フロントに言って
部屋を変更してもらおう。

そういえば
先輩は『下僕の部屋』
とか言ってたな。

どんな部屋なんだ?

きっと綾子さんの
下僕という意味だとは思うが。

スイートルームなんて
見たことが無いから
どんな部屋かわからないが

もしかしたら、
スイートルームには
ゲストルームみたいな
簡易ベットがある部屋が
あるのかもしれない。

つらつら考えていると、
あっという間に
部屋の前まで来た。

俺はカードキーで
部屋の鍵を開けたけれど、
やはり心配だったので

「ちょっと待って」

と部屋に入ろうとる
悠子ちゃんを引き留めた。

おそるおそるドアを開き、
中の様子を確かめる。

高級そうな普通の部屋だ。

よかった。
壁に拘束器具のような
ものが付いているような
部屋じゃなくて。

俺はほっとして、
悠子ちゃんを部屋に入れる。

悠子ちゃんは不思議そうな
顔をしていたが、
あまり深くは聞いて
こなかった。

よかった。

部屋に入ると
悠子ちゃんはおおはしゃぎだった。

子どもみたいに
部屋をあちこち見て、
声を挙げている。

部屋を探検している
悠子ちゃんを横目に、
俺も部屋を確認する。

高級そうな家具に挟まれて
冷蔵庫があった。

一応、開けてみると
水などの飲み物が
沢山入っている。

ソファーセットの
テーブルの上には
避難経路の案内と、
部屋の使い方のような
ことが書かれた紙があった。

読んでみると
冷蔵庫の中身は
すべて無料提供されているらしい。

というか、おそらく
サービス料に含まれているのだろう。

すごいな。
こんな部屋に泊れるなんて。

しかもぐるりと見回しても
ベットがない。

悠子ちゃんがベランダに
向かうのを確認してから
続き部屋っぽい扉を
開けると、大きなベットがあった。

シャワーブースと浴室が
分かれていたし、
寝室も別にある。

ほんとに、ここ、
凄い高級な部屋なんじゃないのか?

ベットのそばの壁には
大きな大画面のモニターが
埋め込まれていて、
ベットで映画でも見れそうだ。

ベットのそばにはチェストがあり、
化粧台みたいな鏡もあった。

そしてその間に、
何やら小さなガラス張りの
箱がある。

なんだろう、と思って
しゃがんで見ると、
何かの自動販売機のようだった。

すりガラスっぽくて
中身が見えないけれど、
お金を入れるところがあり、
商品番号を押すボタンと
商品が出てくる場所がある。

なんだ?

と、箱の中を見て、
目を見開いた。

どう見ても、
アダルトグッズっぽいものが
中に入っている。

俺はこのホテルの
会員サイトのホームページの
文言を思い出した。

『これらの部屋で
ご紹介した器具は
すべて部屋でご購入いただけます』

たしか、そんな感じのことが
書かれていた。

あのSMっぽい部屋とかで
色々なアダルトグッズが
サンプルとして写真には
載っていて。

どの部屋でも買えると、
確かに書いてあった。

俺は、ゴクリ、と唾を飲む。

買っても、いいだろうか。
悠子ちゃんに使っても?

怖がるかな。
でも、欲しい。
使ってみたい。

俺が物凄い葛藤を
していると、
悠子ちゃんの声がした。

俺は慌てて立ち上がる。

どうやらこの部屋の
ベランダと先ほどの
部屋のベランダが
繋がっているらしい。

悠子ちゃんがベランダの
扉を開けた。

「あれ、真翔さん」

悠子ちゃんが部屋に入ってくる。

その背には露天風呂らしき
ものが見えて、

この部屋がホームページで
一度見たことがある部屋だと
気が付いた。

夜に悠子ちゃんと一緒に
露天風呂で夜景を
見るのもよさそうだ。

俺のそばに来た悠子ちゃんは
興奮状態で話をしてくれる。

俺は可愛いなぁ、と思いつつ、
悠子ちゃんにアダルトグッズの
自動販売機を見せないように
さりげなく隣の部屋へと
移動させる。

するとタイミングよく
スマホの音が鳴って、
悠子ちゃんは慌てて
鞄の所に走っていった。

きっと綾子さんだろう。

仕方ないか。

でも夜は悠子ちゃんを
独り占めだ。

俺はそう思うと、
嬉しさのあまり顔が
にやけてくるのを
止めることができなかった。

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