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愛は変態を助長させる
51:道の駅は控えめに言っても……
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最高だ!
僕は踊り出したいぐらいに
気分が高揚していた。
なぜなら。
先輩さんが連れて来てくれた
道の駅は、物凄く広くて。
無料の遊園地まで隣接されていたのだ。
無料だ!
……違った。
入園は無料で、遊具は有料だった。
でも、凄い!
僕たちは遊園地の近くにあった
テーブル付きのベンチで
お弁当を食べた。
先輩さんも綾子さんも
美味しい、美味しいと言って
少し量が多かったかも?
と思ったけれど。
作った分は全部なくなってしまった。
お弁当箱は使い捨てだったし、
お箸も紙皿も全部、
道の駅で捨てることができた。
凄い場所だと思う。
そして、そして。
ここには、
飼い犬を連れた人たちも
沢山利用している。
つまり、人懐っこい
ワンちゃんたちが
沢山いるのだ。
触りたい。
でも、きっとダメだ。
でも可愛い。
僕はうずうずして、
綾子さんに笑われてしまう。
「悠子、観覧車に乗りたい?」
「乗りたいです!」
思わず言うと、
綾子さんは「並んできて」と
先輩さんに言う。
えぇ!?
それはちょっとダメなのでは?
「いいのよ。
こういう時に使うために
連れて来たのだから」
……連れて来てもらっているのは
僕と綾子さんなのに。
「仕方ない。
柊、来い」
「……はい」
真翔さんも僕の頭を撫でて
先輩さんと一緒に
観覧車へと歩いて行く。
僕が乗りたいっていったから。
大丈夫かな。
「悠子」
「はい」
「そんな不安な顔はしない。
いい?
愛されてるんだから
それぐらいはしてもらいなさい」
愛されてる。
その言葉に、思わず顔が熱くなる。
「あなたは可愛いけれど、
誰かに何かをしてもらうことに
きっと慣れてないのね」
綾子さんの綺麗な指が
僕の頬に触れた。
「私が教えてあげるわ。
沢山、甘やかしてあげる」
「え、あ、の」
優しい声に、僕は戸惑った。
そこまでしてもらう意味がわからない。
「遠慮しなくていいのよ。
私がしたいんだもの。
でも理由が知りたいのなら
そうねぇ。
沢山あるけれど、1つだけ教えてあげる」
綾子さんは僕から離れて、
観覧車の列に並ぶ真翔さんたちに
視線を向けた。
「可愛いオトウトの本気を
引き出したあなたに
感謝してるから、かしらね」
僕は首を傾げた。
「本気、ですか?」
「えぇ。
オトウトは、私が完璧に
作り上げた王子様だったのよ」
綾子さんは先輩さんを見ながら言う。
「女性の扱い方も、
口説き方も、エスコートの仕方も。
マナーも言葉遣いも、
お金の使い方も、
全部私が教えたの。
なのに、オトウトは
どんなに教えても、
完璧な……心のない人形だった」
そうだろうか。
僕にはそうは思えないけれど。
真翔さんと一緒に先輩さんは
良く笑うし、楽しそうだ。
一緒にお酒を飲んだ時も
僕に優しくしてくれたし、
僕の知らないお酒や料理も
沢山教えてくれた。
人形だったら、
そんなことはしないと思う。
僕がそう言うと、
綾子さんは楽しそうに目を細める。
「そうなの。
あのオトウトがね、
今回の旅行を楽しそうに計画してたの。
自分から計画するなんて。
しかも仕事の後輩とその彼女と
一緒だなんて。
あの基本的には
面倒なことは人任せで
女性のモテるからって
弁護士になったような男が」
先輩さん、酷い言われようだ。
声の調子から口は悪いけれど
先輩さんに対する愛情や
心配は伝わってはくる。
でも、さすがに
女性にモテるからって理由で
弁護士は無理だと思う。
だって真翔さんも
勉強が大変そうだったし、
そんな軽い気持ちで
司法試験が受かるとも思えない。
それを言ったら
綾子さんは物凄く
反論してくると思うから
何も言えないけれど。
「それにあなたが
作ったお弁当の話をしたときの
あの子の顔ときたら!
女性の手づくり弁当なんて
何が入っているかわからないし
気持ち悪いっていってたあの子が!」
え?
僕、お弁当を作って
もしかして迷惑だったんじゃ……。
「違うわよ。
そんなあの子が、
あなたのお弁当は大絶賛だったの。
また食べたい。
絶対に食べたいって」
「そう、なんですね」
驚いたけれど、
そんなに喜んでもらえたのなら嬉しい。
「だからね。
私はあなたに会いたかったの。
そして会ったら
こんなに素朴で、純粋で
何も知らない子なんだもの。
心配で仕方が無いわ」
僕は、どう返事をすれば
良いのだろうか。
これ、僕が世間知らずで
無知でどうしようもない、って
ことだよね?
「私はあなたに感謝してるし、
会えてよかったと思ってるわ。
もう妹だとも思ってるから
困ったことがあったら
何でも言うのよ」
強く言われて、
僕は頷く。
「あぁ、そろそろ行きましょうか」
真翔さんたちを見ると、
並んでいる場所が
観覧車の乗り口まで
かなり近くなっている。
僕たちが行くと、
先輩さんがチケットを渡してくれて
僕と真翔さんは観覧車に乗った。
先輩さんと綾子さんは
僕たちの後ろに乗る。
僕は初めての観覧車だ。
「真翔さん、
並んでくれてありがとうございます」
人混みの中、ずっと並ぶぐらいなら
僕はきっと観覧車に乗ることを
諦めていたと思う。
「いや、綾子さんに
たじたじになっている悠子ちゃんを
見ているのは楽しかったよ」
見られてたのか!
「何か言われた?」
そう聞かれて、
僕は答えに困る。
先輩さんのことは
あまり言いふらさない方が
良いと思ったからだ。
「綾子さんが、僕のことを
無知でほっとけないから
何でも頼るように、って」
ちょっと端折ったけれど、
そういうことを言われたのだと思う。
真翔さんは驚いた顔をしたけれど、
僕の手をぎゅっと握った。
「頼るなら、
綾子さんより俺にして?」
甘い声が耳元でする。
僕は、恥ずかしくて。
でも嬉しくて。
「はい」って
顔を熱くしたまま
返事をした。
僕は踊り出したいぐらいに
気分が高揚していた。
なぜなら。
先輩さんが連れて来てくれた
道の駅は、物凄く広くて。
無料の遊園地まで隣接されていたのだ。
無料だ!
……違った。
入園は無料で、遊具は有料だった。
でも、凄い!
僕たちは遊園地の近くにあった
テーブル付きのベンチで
お弁当を食べた。
先輩さんも綾子さんも
美味しい、美味しいと言って
少し量が多かったかも?
と思ったけれど。
作った分は全部なくなってしまった。
お弁当箱は使い捨てだったし、
お箸も紙皿も全部、
道の駅で捨てることができた。
凄い場所だと思う。
そして、そして。
ここには、
飼い犬を連れた人たちも
沢山利用している。
つまり、人懐っこい
ワンちゃんたちが
沢山いるのだ。
触りたい。
でも、きっとダメだ。
でも可愛い。
僕はうずうずして、
綾子さんに笑われてしまう。
「悠子、観覧車に乗りたい?」
「乗りたいです!」
思わず言うと、
綾子さんは「並んできて」と
先輩さんに言う。
えぇ!?
それはちょっとダメなのでは?
「いいのよ。
こういう時に使うために
連れて来たのだから」
……連れて来てもらっているのは
僕と綾子さんなのに。
「仕方ない。
柊、来い」
「……はい」
真翔さんも僕の頭を撫でて
先輩さんと一緒に
観覧車へと歩いて行く。
僕が乗りたいっていったから。
大丈夫かな。
「悠子」
「はい」
「そんな不安な顔はしない。
いい?
愛されてるんだから
それぐらいはしてもらいなさい」
愛されてる。
その言葉に、思わず顔が熱くなる。
「あなたは可愛いけれど、
誰かに何かをしてもらうことに
きっと慣れてないのね」
綾子さんの綺麗な指が
僕の頬に触れた。
「私が教えてあげるわ。
沢山、甘やかしてあげる」
「え、あ、の」
優しい声に、僕は戸惑った。
そこまでしてもらう意味がわからない。
「遠慮しなくていいのよ。
私がしたいんだもの。
でも理由が知りたいのなら
そうねぇ。
沢山あるけれど、1つだけ教えてあげる」
綾子さんは僕から離れて、
観覧車の列に並ぶ真翔さんたちに
視線を向けた。
「可愛いオトウトの本気を
引き出したあなたに
感謝してるから、かしらね」
僕は首を傾げた。
「本気、ですか?」
「えぇ。
オトウトは、私が完璧に
作り上げた王子様だったのよ」
綾子さんは先輩さんを見ながら言う。
「女性の扱い方も、
口説き方も、エスコートの仕方も。
マナーも言葉遣いも、
お金の使い方も、
全部私が教えたの。
なのに、オトウトは
どんなに教えても、
完璧な……心のない人形だった」
そうだろうか。
僕にはそうは思えないけれど。
真翔さんと一緒に先輩さんは
良く笑うし、楽しそうだ。
一緒にお酒を飲んだ時も
僕に優しくしてくれたし、
僕の知らないお酒や料理も
沢山教えてくれた。
人形だったら、
そんなことはしないと思う。
僕がそう言うと、
綾子さんは楽しそうに目を細める。
「そうなの。
あのオトウトがね、
今回の旅行を楽しそうに計画してたの。
自分から計画するなんて。
しかも仕事の後輩とその彼女と
一緒だなんて。
あの基本的には
面倒なことは人任せで
女性のモテるからって
弁護士になったような男が」
先輩さん、酷い言われようだ。
声の調子から口は悪いけれど
先輩さんに対する愛情や
心配は伝わってはくる。
でも、さすがに
女性にモテるからって理由で
弁護士は無理だと思う。
だって真翔さんも
勉強が大変そうだったし、
そんな軽い気持ちで
司法試験が受かるとも思えない。
それを言ったら
綾子さんは物凄く
反論してくると思うから
何も言えないけれど。
「それにあなたが
作ったお弁当の話をしたときの
あの子の顔ときたら!
女性の手づくり弁当なんて
何が入っているかわからないし
気持ち悪いっていってたあの子が!」
え?
僕、お弁当を作って
もしかして迷惑だったんじゃ……。
「違うわよ。
そんなあの子が、
あなたのお弁当は大絶賛だったの。
また食べたい。
絶対に食べたいって」
「そう、なんですね」
驚いたけれど、
そんなに喜んでもらえたのなら嬉しい。
「だからね。
私はあなたに会いたかったの。
そして会ったら
こんなに素朴で、純粋で
何も知らない子なんだもの。
心配で仕方が無いわ」
僕は、どう返事をすれば
良いのだろうか。
これ、僕が世間知らずで
無知でどうしようもない、って
ことだよね?
「私はあなたに感謝してるし、
会えてよかったと思ってるわ。
もう妹だとも思ってるから
困ったことがあったら
何でも言うのよ」
強く言われて、
僕は頷く。
「あぁ、そろそろ行きましょうか」
真翔さんたちを見ると、
並んでいる場所が
観覧車の乗り口まで
かなり近くなっている。
僕たちが行くと、
先輩さんがチケットを渡してくれて
僕と真翔さんは観覧車に乗った。
先輩さんと綾子さんは
僕たちの後ろに乗る。
僕は初めての観覧車だ。
「真翔さん、
並んでくれてありがとうございます」
人混みの中、ずっと並ぶぐらいなら
僕はきっと観覧車に乗ることを
諦めていたと思う。
「いや、綾子さんに
たじたじになっている悠子ちゃんを
見ているのは楽しかったよ」
見られてたのか!
「何か言われた?」
そう聞かれて、
僕は答えに困る。
先輩さんのことは
あまり言いふらさない方が
良いと思ったからだ。
「綾子さんが、僕のことを
無知でほっとけないから
何でも頼るように、って」
ちょっと端折ったけれど、
そういうことを言われたのだと思う。
真翔さんは驚いた顔をしたけれど、
僕の手をぎゅっと握った。
「頼るなら、
綾子さんより俺にして?」
甘い声が耳元でする。
僕は、恥ずかしくて。
でも嬉しくて。
「はい」って
顔を熱くしたまま
返事をした。
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