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愛は変態を助長させる
47:女性らしさ
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明日は旅行だ。
僕は楽しみで仕方が無い。
旅行なんて人生初めてだし、
人混みの苦手な僕が
旅行に行っても
楽しめるはずがないって
ずっと思っていた。
でも苦痛だと思っていた
旅行の移動手段は
先輩さんの車だと言う。
電車に乗らないというだけでも
僕は物凄く嬉しかった。
プールも人が多そうだし
無理だと思っていたけれど
綾子さんの話では
前もって申し込んでおけば
プールを貸し切りにできるから
時間帯はホテル側の指定に
なるけれど、大丈夫だと言われた。
凄い!
水着も持ってないって言ったら、
ホテルで貸してくれるらしい。
僕は世間知らずだから
綾子さんや先輩さん、
真翔さんに頼ってばかりだけれど、
それでも、物凄く楽しみになってきた。
それに旅行なんて行ったことがないから
鞄も持っていない。
どんなものを買えばいいのか
綾子さんに聞いたら、
捨てるトランクがあるから
それをくれると言う。
手元に来たトランクは
可愛い小ぶりのもので、
どこにも傷が無いように見える。
綾子さんに慌てて
「綺麗なトランクですよ」と
通信アプリでメッセージを
送ったら、
「金具の所に傷がついていて
それが気に入らないの」
と返事が来た。
良く見えないとわからないような傷も
綾子さんは嫌らしい。
「気に入らないなら捨てておいて」
なんてメッセージが来たから
慌てて「気に入りました。
ありがとうございます!」って返事をした。
僕はトランクも初めて使うけれど
中はきちんと整理できるように
仕切りがあったり、ポケットがあったり。
物凄く使い勝手が良さそうだ。
旅行も何を持って行けばいいか
わからなかったので、
綾子さんに聞くと、
「持っていく物はこれよ」と
リストを送ってくれた。
服も下着も全部、指定されている。
ありがたかったけれど、
綾子さんは僕にプレゼント
してくれた物をすべて
覚えているらしい。
凄い記憶力だ。
僕は綾子さんに
何かお返しをしたかったのだけど
それを聞くと、
「旅行の時にお弁当を作ってきて欲しい」
と言われた。
何でも先輩さんから
僕のお弁当が美味しかったと言う
話を聞いたらしい。
それから、ホテルでは
綾子さんと一緒に過ごす時間を
取ることも約束した。
きっと綾子さんは
お金持ちで、何でもできるから
僕みたいな庶民は
珍しいのだろう。
僕は工場の仕事が終わったら
居酒屋のバイトは
お休みを貰っていたから
そのまま買い物をして
明日のお弁当の準備をした。
それが終わったら
真翔さんがアパートに来たので
旅行に持っていく物を
一緒に最終チェックする。
そこで時計を見て、
僕は夕飯のことを思い出した。
明日のお弁当のことばかり
考えていて、
冷蔵庫に残っていた食材は
すべてお弁当にまわしてしまった。
今から買い物に行く?
って思ってたら
真翔さんが外に食べに行こうと
言ってくれる。
真翔さんは本当に
僕のことをわかってくれる
救世主みたいだ。
真翔さんは定食屋さんに
連れて行ってくれて、
僕は生まれて初めて
食券でご飯を注文した。
これならきっと、
食い逃げとかできないだろうな。
なんて思いながら
焼き魚定食を食べる。
僕は明日が楽しみだと
沢山真翔さんとおしゃべりした。
けれど。
真翔さんが何故かぼんやりしていて
もしかしたら体調が悪いのかと
僕は不安になった。
「大丈夫ですか?」
って僕は聞く。
僕の声がうるさかったのかもしれない。
僕がそう言うと
「悠子ちゃんが
急に魅力的に見えて……
目を奪われてた」
なんて真翔さんは言う。
僕はビックリして、
嬉しくなった。
そして、思い当たることが一つ。
綾子さんにもらった下着だ。
あれを付けるようになってから
身体付きが変わって来たみたいなんだ。
より女性らしく、と言うことだと思う。
悠子ちゃんは昔から
可愛かったし、
整った顔立ちをしていた。
でも施設ではお腹いっぱい
ご飯を食べることもなかったし、
社会人になってからも
きっと質素な生活をしていたのだろう。
僕は女の人の裸なんて
見たことが無かったけれど、
この体は女性にしては細くて
胸も小さめだと思う。
嫌な言い方をしたら
貧相な体、という表現が
合うのかもしれない。
綾子さんが僕に
「必ず使うように」と
メーカーを指定して来た
シャンプーやリンスを使って
髪を洗うようになったら
髪の毛は驚くほどサラサラの
つやつやになった。
確かに値段は高いと思って
買うのを躊躇したシャンプーだけど
値段の価値はあるのだと
僕は実感したのだ。
僕も悠子ちゃんも、
何かを買う時はいつも
「値段」ばかり気にしていた。
安ければ安い方が良いと思っていた。
そうじゃないことを
僕は綾子さんのおかげで
知ることができたけれど、
悠子ちゃんは違ったと思う。
それは引き出した記録が無い
お金が溜まるだけの預金通帳を
見ても、間違っていないと思う。
悠子ちゃんは余暇もなく、
必死で働いて
お金を溜めるばかりで。
僕や施設の弟妹達のことばかり考えて。
そんな悠子ちゃんを僕は
異世界に追いやって
自分は真翔さんと
幸せになろうとしている。
胸に罪悪感が少しだけ芽生えた。
でもそれを見ないようにして
真翔さんに小声で
「綾子さんにプレゼントを
してもらった下着を付けてたら
体付きが変わってきたみたいなんです」
って伝えたら、
真翔さんは
「俺も、あとで確かめて良い?」という。
自分でも確かめたいなんて
子どもみたい、って思って
僕は「はい」って返事をしたけれど。
それって僕の裸を見るってこと?
下着を付けた肌を見たいってこと?
僕は急に恥ずかしくなってしまって、
胸の奥にしまった悠子ちゃんへの
罪悪感が一気に塗りつぶされてしまった。
僕は楽しみで仕方が無い。
旅行なんて人生初めてだし、
人混みの苦手な僕が
旅行に行っても
楽しめるはずがないって
ずっと思っていた。
でも苦痛だと思っていた
旅行の移動手段は
先輩さんの車だと言う。
電車に乗らないというだけでも
僕は物凄く嬉しかった。
プールも人が多そうだし
無理だと思っていたけれど
綾子さんの話では
前もって申し込んでおけば
プールを貸し切りにできるから
時間帯はホテル側の指定に
なるけれど、大丈夫だと言われた。
凄い!
水着も持ってないって言ったら、
ホテルで貸してくれるらしい。
僕は世間知らずだから
綾子さんや先輩さん、
真翔さんに頼ってばかりだけれど、
それでも、物凄く楽しみになってきた。
それに旅行なんて行ったことがないから
鞄も持っていない。
どんなものを買えばいいのか
綾子さんに聞いたら、
捨てるトランクがあるから
それをくれると言う。
手元に来たトランクは
可愛い小ぶりのもので、
どこにも傷が無いように見える。
綾子さんに慌てて
「綺麗なトランクですよ」と
通信アプリでメッセージを
送ったら、
「金具の所に傷がついていて
それが気に入らないの」
と返事が来た。
良く見えないとわからないような傷も
綾子さんは嫌らしい。
「気に入らないなら捨てておいて」
なんてメッセージが来たから
慌てて「気に入りました。
ありがとうございます!」って返事をした。
僕はトランクも初めて使うけれど
中はきちんと整理できるように
仕切りがあったり、ポケットがあったり。
物凄く使い勝手が良さそうだ。
旅行も何を持って行けばいいか
わからなかったので、
綾子さんに聞くと、
「持っていく物はこれよ」と
リストを送ってくれた。
服も下着も全部、指定されている。
ありがたかったけれど、
綾子さんは僕にプレゼント
してくれた物をすべて
覚えているらしい。
凄い記憶力だ。
僕は綾子さんに
何かお返しをしたかったのだけど
それを聞くと、
「旅行の時にお弁当を作ってきて欲しい」
と言われた。
何でも先輩さんから
僕のお弁当が美味しかったと言う
話を聞いたらしい。
それから、ホテルでは
綾子さんと一緒に過ごす時間を
取ることも約束した。
きっと綾子さんは
お金持ちで、何でもできるから
僕みたいな庶民は
珍しいのだろう。
僕は工場の仕事が終わったら
居酒屋のバイトは
お休みを貰っていたから
そのまま買い物をして
明日のお弁当の準備をした。
それが終わったら
真翔さんがアパートに来たので
旅行に持っていく物を
一緒に最終チェックする。
そこで時計を見て、
僕は夕飯のことを思い出した。
明日のお弁当のことばかり
考えていて、
冷蔵庫に残っていた食材は
すべてお弁当にまわしてしまった。
今から買い物に行く?
って思ってたら
真翔さんが外に食べに行こうと
言ってくれる。
真翔さんは本当に
僕のことをわかってくれる
救世主みたいだ。
真翔さんは定食屋さんに
連れて行ってくれて、
僕は生まれて初めて
食券でご飯を注文した。
これならきっと、
食い逃げとかできないだろうな。
なんて思いながら
焼き魚定食を食べる。
僕は明日が楽しみだと
沢山真翔さんとおしゃべりした。
けれど。
真翔さんが何故かぼんやりしていて
もしかしたら体調が悪いのかと
僕は不安になった。
「大丈夫ですか?」
って僕は聞く。
僕の声がうるさかったのかもしれない。
僕がそう言うと
「悠子ちゃんが
急に魅力的に見えて……
目を奪われてた」
なんて真翔さんは言う。
僕はビックリして、
嬉しくなった。
そして、思い当たることが一つ。
綾子さんにもらった下着だ。
あれを付けるようになってから
身体付きが変わって来たみたいなんだ。
より女性らしく、と言うことだと思う。
悠子ちゃんは昔から
可愛かったし、
整った顔立ちをしていた。
でも施設ではお腹いっぱい
ご飯を食べることもなかったし、
社会人になってからも
きっと質素な生活をしていたのだろう。
僕は女の人の裸なんて
見たことが無かったけれど、
この体は女性にしては細くて
胸も小さめだと思う。
嫌な言い方をしたら
貧相な体、という表現が
合うのかもしれない。
綾子さんが僕に
「必ず使うように」と
メーカーを指定して来た
シャンプーやリンスを使って
髪を洗うようになったら
髪の毛は驚くほどサラサラの
つやつやになった。
確かに値段は高いと思って
買うのを躊躇したシャンプーだけど
値段の価値はあるのだと
僕は実感したのだ。
僕も悠子ちゃんも、
何かを買う時はいつも
「値段」ばかり気にしていた。
安ければ安い方が良いと思っていた。
そうじゃないことを
僕は綾子さんのおかげで
知ることができたけれど、
悠子ちゃんは違ったと思う。
それは引き出した記録が無い
お金が溜まるだけの預金通帳を
見ても、間違っていないと思う。
悠子ちゃんは余暇もなく、
必死で働いて
お金を溜めるばかりで。
僕や施設の弟妹達のことばかり考えて。
そんな悠子ちゃんを僕は
異世界に追いやって
自分は真翔さんと
幸せになろうとしている。
胸に罪悪感が少しだけ芽生えた。
でもそれを見ないようにして
真翔さんに小声で
「綾子さんにプレゼントを
してもらった下着を付けてたら
体付きが変わってきたみたいなんです」
って伝えたら、
真翔さんは
「俺も、あとで確かめて良い?」という。
自分でも確かめたいなんて
子どもみたい、って思って
僕は「はい」って返事をしたけれど。
それって僕の裸を見るってこと?
下着を付けた肌を見たいってこと?
僕は急に恥ずかしくなってしまって、
胸の奥にしまった悠子ちゃんへの
罪悪感が一気に塗りつぶされてしまった。
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