44 / 56
愛は変態を助長させる
43:紅茶1杯1500円
しおりを挟む
店を出てすぐに
僕たちはカフェに向かう。
真翔さんも先輩さんも
店に入るとすぐにわかる場所に座って
コーヒーを飲んでいた。
綾子さんは「一休みよ」と
先輩さんの隣に座る。
僕も真翔さんの隣に座った。
「お腹空いたわね。
あなたたち、お昼ごはんは?」
と綾子さんが僕と真翔さんを見る。
「少し食べてきました」
真翔さんが応えると
「じゃあ、スイーツは別腹よね」
と言う。
「悠子、どれがいい?」
綾子さんが僕にメニューを見せてくるけど
僕はもう胸がいっぱいだ。
だって紅茶が1杯1500円で、
ケーキだって、1カット800円とか。
僕、水しか飲めそうにない。
「な、な、ん、でも、水、とか」
僕が震える声で言うと
「甘いのものは嫌いかしら?」と
綾子さんは言う。
「いえ、好き、です。
チョコレートとか……」
「そう。ミルクは?」
「……好きです」
「そう。じゃあ、いいわ」
いいわ?
何が?
よくわからない。
僕が水を飲むのが
それでいい、ってことなのか。
そう思っていると
綾子さんがウエイターを呼び
何やら注文する。
すると。
すぐに僕の前に
ミルクティーと大きな
チョコレートケーキがやってきた。
「食べなさい。
私が可愛がっている証よ」
……これもまた、
意味が分からない。
困って先輩さんを見たけれど、
やはり先輩さんは
僕を拝むばかりだ。
「あの、いただきます。
ありがとうございます」
僕は素直に食べることにした。
もう、どうとでもなれ!だ。
僕はフォークを持つ。
見るからに大きくて
美味しそうなチョコレートケーキ。
そっと端のクリームを掬って
口に入れると、
濃厚なチョコレートの
味が口の中に広がった。
思わず目を見開いてしまう。
悠子ちゃん!
すごいケーキだよ!
僕は思わず心の中で叫んだ。
僕もだけれど、
悠子ちゃんもきっと
ぺこりんちゃんのケーキしか
食べたことが無かっただろうから。
食べさせてあげたかったな、って
つい思ってしまう。
今度はスポンジを
フォークで切って口に入れる。
凄い!
スポンジも柔らかいし、
スポンジとスポンジの間に
チョコクリームと、
あと別の何かが入ってる!
「美味しそうね」
って綾子さんに言われて
僕は「はい!」って返事をする。
綾子さんま満足そうにうなずいて
自分の前に置かれたコーヒーと
僕と同じケーキを食べる。
「真翔さん、真翔さん」
僕はそっと隣に座る真翔さんの
シャツを引っ張った。
「物凄く美味しいです。
チョコクリームが
沢山入ってて、
食べたことない何かが入ってるんです」
小声で真翔さんに訴えると
真翔さんは首を傾げる。
僕はケーキをフォークに
少し乗せて
「食べてみて下さい」って
真翔さんに差し出した。
真翔さんは驚いた様子だったけど
僕の手からフォークを取って
一口食べてくれた。
「薄い……ラングドシャみたいなのが
入ってるのかな?」
ラングドシャ?
なにそれ?
僕がきょとんとすると、
綾子さんが笑った。
「ほんと、可愛いわね」
そう言われて、
何て返せばいいのかわからない。
「そうだわ。
スマホを出しなさい。
連絡先を交換するわよ」
「え?」
「何かあったら
私を頼るといいわ。
こんなオトウトよりも
私の方が頼りになるわよ」
僕はとまどったけれど
誰も綾子さんの行動を
止めようとはしなかった。
結局僕は綾子さんと
電話番号と、通信アプリの
交換をしてしまう。
「次の旅行では
私と同じ部屋に泊りましょうか」
綾子さんの言葉に
さすがに真翔さんも
僕も「え」と声を出してしまった。
すると綾子さんはまた
コロコロと笑う。
「冗談よ。
さすがに恋人たちの間を
引き割いたりはしないわ」
そう言われて、ほっとする。
「でも、あのホテルは
エステも結構良いスタッフが
揃っているし、
リラクゼーションには
もってこいの場所なのよ。
私との時間もちゃんと
取りなさい。
いいわね?」
「は、はい」
エステ?
僕、そういうの無理そうだけど。
返事はしたものの
僕は戸惑う。
「あの、俺も彼女との
時間が大事なので」
真翔さんが僕を庇うように言ってくれた。
でも綾子さんは笑うだけだ。
「わかってるわよー。
ただオトウトがあなたたち二人に
悪戯しないか心配なのよね。
それで口を挟ませてもらったのよ」
先輩さんが悪戯?
僕も真翔さんも首を傾げる。
先輩さんは
「そんなことするわけがない」
と反論していたが、
綾子さんは、うそばっかり、
なんていう。
最初は喧嘩をしている二人に
焦ったけれど、
よく見ていると
仲の良いきょうだいが
じゃれあっているように
見えて来た。
半分だけど血は繋がってるし
この二人はいつも
こういう感じなのかもしれない。
僕はケーキを堪能しつつ、
ちょっとだけ真翔さんにも
食べさせてあげて。
目の前のきょうだいの
じゃれ合いを見ているうちに、
綾子さんに感じていた
苦手意識がどこかに
行ってしまうのを感じていた。
僕たちはカフェに向かう。
真翔さんも先輩さんも
店に入るとすぐにわかる場所に座って
コーヒーを飲んでいた。
綾子さんは「一休みよ」と
先輩さんの隣に座る。
僕も真翔さんの隣に座った。
「お腹空いたわね。
あなたたち、お昼ごはんは?」
と綾子さんが僕と真翔さんを見る。
「少し食べてきました」
真翔さんが応えると
「じゃあ、スイーツは別腹よね」
と言う。
「悠子、どれがいい?」
綾子さんが僕にメニューを見せてくるけど
僕はもう胸がいっぱいだ。
だって紅茶が1杯1500円で、
ケーキだって、1カット800円とか。
僕、水しか飲めそうにない。
「な、な、ん、でも、水、とか」
僕が震える声で言うと
「甘いのものは嫌いかしら?」と
綾子さんは言う。
「いえ、好き、です。
チョコレートとか……」
「そう。ミルクは?」
「……好きです」
「そう。じゃあ、いいわ」
いいわ?
何が?
よくわからない。
僕が水を飲むのが
それでいい、ってことなのか。
そう思っていると
綾子さんがウエイターを呼び
何やら注文する。
すると。
すぐに僕の前に
ミルクティーと大きな
チョコレートケーキがやってきた。
「食べなさい。
私が可愛がっている証よ」
……これもまた、
意味が分からない。
困って先輩さんを見たけれど、
やはり先輩さんは
僕を拝むばかりだ。
「あの、いただきます。
ありがとうございます」
僕は素直に食べることにした。
もう、どうとでもなれ!だ。
僕はフォークを持つ。
見るからに大きくて
美味しそうなチョコレートケーキ。
そっと端のクリームを掬って
口に入れると、
濃厚なチョコレートの
味が口の中に広がった。
思わず目を見開いてしまう。
悠子ちゃん!
すごいケーキだよ!
僕は思わず心の中で叫んだ。
僕もだけれど、
悠子ちゃんもきっと
ぺこりんちゃんのケーキしか
食べたことが無かっただろうから。
食べさせてあげたかったな、って
つい思ってしまう。
今度はスポンジを
フォークで切って口に入れる。
凄い!
スポンジも柔らかいし、
スポンジとスポンジの間に
チョコクリームと、
あと別の何かが入ってる!
「美味しそうね」
って綾子さんに言われて
僕は「はい!」って返事をする。
綾子さんま満足そうにうなずいて
自分の前に置かれたコーヒーと
僕と同じケーキを食べる。
「真翔さん、真翔さん」
僕はそっと隣に座る真翔さんの
シャツを引っ張った。
「物凄く美味しいです。
チョコクリームが
沢山入ってて、
食べたことない何かが入ってるんです」
小声で真翔さんに訴えると
真翔さんは首を傾げる。
僕はケーキをフォークに
少し乗せて
「食べてみて下さい」って
真翔さんに差し出した。
真翔さんは驚いた様子だったけど
僕の手からフォークを取って
一口食べてくれた。
「薄い……ラングドシャみたいなのが
入ってるのかな?」
ラングドシャ?
なにそれ?
僕がきょとんとすると、
綾子さんが笑った。
「ほんと、可愛いわね」
そう言われて、
何て返せばいいのかわからない。
「そうだわ。
スマホを出しなさい。
連絡先を交換するわよ」
「え?」
「何かあったら
私を頼るといいわ。
こんなオトウトよりも
私の方が頼りになるわよ」
僕はとまどったけれど
誰も綾子さんの行動を
止めようとはしなかった。
結局僕は綾子さんと
電話番号と、通信アプリの
交換をしてしまう。
「次の旅行では
私と同じ部屋に泊りましょうか」
綾子さんの言葉に
さすがに真翔さんも
僕も「え」と声を出してしまった。
すると綾子さんはまた
コロコロと笑う。
「冗談よ。
さすがに恋人たちの間を
引き割いたりはしないわ」
そう言われて、ほっとする。
「でも、あのホテルは
エステも結構良いスタッフが
揃っているし、
リラクゼーションには
もってこいの場所なのよ。
私との時間もちゃんと
取りなさい。
いいわね?」
「は、はい」
エステ?
僕、そういうの無理そうだけど。
返事はしたものの
僕は戸惑う。
「あの、俺も彼女との
時間が大事なので」
真翔さんが僕を庇うように言ってくれた。
でも綾子さんは笑うだけだ。
「わかってるわよー。
ただオトウトがあなたたち二人に
悪戯しないか心配なのよね。
それで口を挟ませてもらったのよ」
先輩さんが悪戯?
僕も真翔さんも首を傾げる。
先輩さんは
「そんなことするわけがない」
と反論していたが、
綾子さんは、うそばっかり、
なんていう。
最初は喧嘩をしている二人に
焦ったけれど、
よく見ていると
仲の良いきょうだいが
じゃれあっているように
見えて来た。
半分だけど血は繋がってるし
この二人はいつも
こういう感じなのかもしれない。
僕はケーキを堪能しつつ、
ちょっとだけ真翔さんにも
食べさせてあげて。
目の前のきょうだいの
じゃれ合いを見ているうちに、
綾子さんに感じていた
苦手意識がどこかに
行ってしまうのを感じていた。
0
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる