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愛は変態を助長させる

39:デートのお誘い

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 真翔さんの家のキッチンで
激しく抱き合った後、
僕はまたお風呂を借りて
体を洗った。

お風呂の鏡で体を見ると
あちこちに、真翔さんが
付けた跡が残っていて
恥ずかしくなる。

でも、嬉しい。

僕はお風呂からあがると
今度こそ、リビングに行って
下着を付けた。

それから真翔さんの
シャツを借りてそれを羽織る。

僕が着替えているうちに
真翔さんもシャワーを
浴びて着替えてきたようだ。

「その、色々ごめん」

ってリビングで
謝られたけれど僕は
嫌じゃなかったから大丈夫と笑う。

キッチンで僕が汚してしまった個所は
ちゃんと掃除したし、
明日のご飯も仕込みもできた。

あとは寝るだけ、だけど。

真翔さんはもうちょっと
一緒にいよう、と言って
今度はグラスに氷を入れて、
僕をリビングのソファーに座らせた。

「ちょっとだけ、ね」

と言われて、
僕はグラスを持たされる。

真翔さんはグラスの
上から炭酸が入ったワイン?

少し甘い匂いがする
お酒を注いで僕の隣に座った。

「スパークリングなんだ。
アルコール度数も低いし、
ちょっとだけ」

そういう真翔さんに促され
僕はピンク色の液体を
一口飲んだ。

「……美味しい」

お酒なんてこの体になるまで
飲んだことなかったけれど。

新しいお酒を飲むたびに
美味しいし、もっと
色んなお酒を飲んでみたいと思うようになった。

現状維持を目標にして
息を殺して生きて来た僕にとって
やってみたい、と意欲的な
感情が生まれるのは
驚きしかない。

でも、こんな自分も嫌じゃない。

ソファーの前にあるテーブルには
さっき見せて貰った
パソコンがそのまま置いてあった。

すでに電源は落ちていると
思ったけれど、
何やら電源ボタンが
チカチカ点滅している。

隣に座る真翔さんも
それに気が付いたようで
「ちょっとごめん」と言って
パソコンを立ち上げた。

「メールが届いてたみたいだ。
……先輩から?」

何故メール?
と真翔さんは呟きながら
パソコンを触る。

「あーっと、悠子ちゃん」

「はい」

「明日……先輩が
デートしたいって」

「先輩さん?」

そう言えば、
彼女さんと一緒に
会いたいとか言ってたっけ。

「明日は一緒に
だらだらしたかったのに。
ごめん、いい?」

「はい」

もちろん、拒否なんてしない。

僕もちょっと残念に思えたけど
きっと真翔さんは
先輩さんの誘いを断りたくないと思うし。

「あー、メールには
気が付かなかった、とか
言えば良かったのか」

なんて言いながら
真翔さんは先輩さんに
メールの返信をしている。

「こんな時間に返信して、
読んでもらえるのでしょうか」

僕が心配して聞くと、
「きっと大丈夫」と真翔さんは言う。

話を聞くと、
真翔さんはそんなことは無いけれど
先輩さんぐらいになると
夜中にも緊急の案件とか
そういうのがメールで連絡が来るらしく、

先輩さんは常に
メールがすぐに読めるように
寝ている時もスマホとパソコンを
常時起動させているらしい。

凄い。
仕事人間だ。

真翔さんにはそんな状態に
なって欲しくないな。

そんな気持ちで真翔さんを見たら
「俺は大丈夫だよ」って
唇が重なる。

自然に唇が重なる度に、
僕は幸せな気分になる。

「先輩の彼女さん。
どんな人なんでしょうね」

僕が言うと、
真翔さんは、うーん、と
考える素振りをした。

「先輩と付き合う女性って
実はよくわからないんだ」

どういう意味?と首を傾げると
「俺は悠子ちゃん以外
好きになった子はいないから」と笑う。

真翔さんの話では
先輩さんはすぐに彼女を作るけど
長続きはしないらしい。

そして彼女と呼ばれる人は
可愛い感じの人だったり
綺麗な人だったり。

話を聞くだけでも
毎回タイプが違っていて、
先輩さんがどういう基準で
女性と付き合うのか、
まったくわからないそうだ。

そんな人、本当にいるんだ、って
僕は純粋に思った。

そんな人、漫画とか、
そういう空想の世界にしか
存在しないと思ってた。

ビックリだ。

それから僕は、
先輩さんの女性歴(?)を
聞きながら少し甘い
スパークリングワインを飲んで
真翔さんのベットで一緒に眠った。

僕のアパートのベットも
小さいから、真翔さんに
抱きしめられて眠るのは
初めてじゃない。

だからいつもみたいに
真翔さんの腕の中で僕は
顔を温かい胸に押し付けて眠った。

真翔さんの部屋で
真翔さんのベットで。

真翔さんの匂いと
ぬくもりに包まれて。

僕は驚くほど安心して
すぐに眠りに落ちた。

「ほんと、起きてても
寝ていても、ユウは無意識に
俺を誘うんだよな」

なんて声が聞こえたような気がしたけれど。

僕は眠りに落ちて、
翌日起きた時はそんなことなど
すっかり忘れていた。



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