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愛は変態を助長させる
32:プロポーズ【真翔SIDE】
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俺は悠子ちゃんを
抱き上げたまま自室のドアを開ける。
そんなに広い部屋でもないが、
ベットとデスク。
パソコンラックと本棚。
あと床に小さなテーブルと座椅子がある。
学生の頃から模様替えをしていないが
片付いていると言うよりは
雑多な部屋と言っていいいだろう。
俺はちょっとだけ迷って
悠子ちゃんを座椅子の上に座らせた。
本当はベットに下して
そのまま押し倒したかったけれど、
ガツガツした余裕のない男に
思われたくなかったからだ。
……今更かもしれないが。
とにかく俺は悠子ちゃんの前では
常に『カッコイイ真翔さん』で在り続けたい。
と、思ったのに。
「この部屋、真翔さんの匂いがします」
なんて可愛い声で言われたら
押し倒すしかないだろう?
可愛い以外の語彙が出てこない。
俺は悠子ちゃんの隣に座り
肩を抱き寄せて唇を重ねる。
「今日は二人とも同じ匂いだね」
俺は優しい口調を心掛けて言った。
なんたって二人とも
同じシャンプーを使ったからな。
その事実に俺はまた興奮したが、
もちろん、必死で隠している。
余裕を持った大人を演出しているつもりだ。
悠子ちゃんは素直だから
本当ですね、と笑う。
ダメだ。
早く悠子ちゃんのナカに入りたい。
でも、焦るな。
ゆっくりだ。
悠子ちゃんはあのアパート以外で
俺に触れられることは無かった。
だから緊張していると言う。
悠子ちゃんが話をした
『女神』のことは俺は信じている。
あのアパートには確かに
『女神の加護』がある。
何故なら俺は、その女神の
声を聞いたことがあるからだ。
そしてはっきり言う。
あの女神はエロの女神だ。
悠子ちゃんを大切に
思ってくれているようだが、
俺にエロいことを推奨してくる
ありがたい女神なのだ。
だから俺はあのアパートでは
悠子ちゃんの身体に……
悠子ちゃんが寝ている時にだが
沢山触れたり、舐めたり、
とにかく、色々してしまった。
でも悠子ちゃんが気づいていないのは
女神のおかげだと思う。
女神の望みは、
悠子ちゃんが身も心も
溺れるぐらいに愛されること、らしい。
そう言うことなら、
その役目は俺にしかできない。
俺は悠子ちゃんが愛しくて
仕方が無いのだから。
ただ、あのアパートで
俺はなし崩しに悠子ちゃんを
抱いてしまったが
悠子ちゃんに不安を打ち明けられ
悠子ちゃんのハジメテは
どうだったのかと、そう思った。
俺は悠子ちゃんに
(寝ている時に)触れすぎて
感覚が麻痺していた。
指摘されて初めて気が付いたのだが
悠子ちゃんは処女だったハズだ。
ハジメテの時は痛いのだと、
俺も漫画とかで読んだことがある。
だけど、アパートでの
悠子ちゃんは、そんな素振りは無かった。
これが女神の加護のおかげだとしたら
今ここで悠子ちゃんを抱いたら、
悠子ちゃんはどうなるのだろう?
もしかして痛がるかも?
あのアパートから離れたら、
悠子ちゃんは処女と同じなんじゃないか?
悠子ちゃんは俺に不安を
打ち明けた時、
「いつも真翔さんといたら
幸せ過ぎて、
頭がぼーっとして」
なんて言ってくれたけれど。
それこそ女神の加護なんじゃないか?
俺もあのアパートでは
夢中で悠子ちゃんを抱いてしまうが、
今は……こうしてちゃんと
理性が働いている。
自制もできている。
うん。
アパートの時とは、
やはり違う。
俺は悠子ちゃんから
体を離した。
悠子ちゃんにはもうプロポーズしている。
もちろん、了承も得ている。
ただ、結婚の時期だけは
待って欲しいと言われていた。
その理由も俺には理解できるから
ちゃんと待っているけれど。
もし、だ。
もし俺と悠子ちゃんの間に
子どもができたら……どうだろう。
強引だけど、すぐにでも
結婚することにならないか?
そんな邪な考えが浮かび、
ダメだ、と俺は首を振る。
俺の欲望ばかり言ったらダメだ。
ちゃんと悠子ちゃんのことも
考えないと。
「真翔さん?」
俺がいきなり首をふったからか
悠子ちゃんが心配そうな顔をする。
「なんでもない。
ユウが俺の部屋にいるなんて
夢みたいだと思って」
誤魔化すように言うと、
悠子ちゃんも、僕もです、という。
「ユウ、悠子さん」
俺は悠子ちゃんを見つめた。
ユウ、というのは、
この目の前の女性の身体の中に入っている
魂?の名前だ。
そして悠子というのは
ユウに体を譲って
別の世界に旅立った女性の名前らしい。
とても強い女性だと思う。
ユウのために、命を投げ出してくれた。
一度会って話がしたいと思うが
それは叶わないだろう。
悠子ちゃんは「ユウ」と呼ぶと
嬉しそうな顔をする。
だから俺は二人だけの時間は
ユウと呼ぶ。
でも、俺は悠子という女性の
体ごと、ユウが好きなんだ。
体と魂と別々に愛しているわけではない。
俺が可愛いと言い過ぎると、
ユウは複雑な顔をする。
まるで顔の造形は自分のものではないからと
そう思っているように。
でも違う。
顔の形なんかんじゃない。
ユウの何気ない仕草や、
思いやりや、
俺を想い行動してくれることすべてが
『可愛い』のだ。
俺が言う『可愛い』は
『愛している』と同じ意味なんだ。
体も心も魂も、すべて、愛している。
だから。
俺は二人の名を呼んだ。
ちゃんと、言いたい。
俺が好きなのは
目の前の大切な人なのだと。
「ユウ、大好きだ。
悠子さん、結婚してください」
わかってくれるだろうか。
以前のプロポーズは、
ユウという魂の存在に伝えた言葉だ。
だが
今回はユウと悠子という女性の
二人ごと愛し、結婚したいと
俺は伝えたのだ。
ユウは唇を振るわせた。
「僕……だけでなく、
悠子ちゃんも愛してくれるの?」
俺は頷く。
「俺にとってはユウも、
悠子さんも大事な存在だから」
そう言うと悠子ちゃんは
俺に抱きついた。
「僕、僕も真翔さんが
大好きです」
嬉しかった。
悠子ちゃんを抱きしめ、
俺は何度も髪にキスをする。
が、ふと思ってしまった。
大好きと言って貰えて、
気持ちが大きくなったのかもしれない。
だが俺は思ってしまったのだ。
そこは「愛している」と
言って欲しかった、と。
そう思うのは贅沢だろうか。
抱き上げたまま自室のドアを開ける。
そんなに広い部屋でもないが、
ベットとデスク。
パソコンラックと本棚。
あと床に小さなテーブルと座椅子がある。
学生の頃から模様替えをしていないが
片付いていると言うよりは
雑多な部屋と言っていいいだろう。
俺はちょっとだけ迷って
悠子ちゃんを座椅子の上に座らせた。
本当はベットに下して
そのまま押し倒したかったけれど、
ガツガツした余裕のない男に
思われたくなかったからだ。
……今更かもしれないが。
とにかく俺は悠子ちゃんの前では
常に『カッコイイ真翔さん』で在り続けたい。
と、思ったのに。
「この部屋、真翔さんの匂いがします」
なんて可愛い声で言われたら
押し倒すしかないだろう?
可愛い以外の語彙が出てこない。
俺は悠子ちゃんの隣に座り
肩を抱き寄せて唇を重ねる。
「今日は二人とも同じ匂いだね」
俺は優しい口調を心掛けて言った。
なんたって二人とも
同じシャンプーを使ったからな。
その事実に俺はまた興奮したが、
もちろん、必死で隠している。
余裕を持った大人を演出しているつもりだ。
悠子ちゃんは素直だから
本当ですね、と笑う。
ダメだ。
早く悠子ちゃんのナカに入りたい。
でも、焦るな。
ゆっくりだ。
悠子ちゃんはあのアパート以外で
俺に触れられることは無かった。
だから緊張していると言う。
悠子ちゃんが話をした
『女神』のことは俺は信じている。
あのアパートには確かに
『女神の加護』がある。
何故なら俺は、その女神の
声を聞いたことがあるからだ。
そしてはっきり言う。
あの女神はエロの女神だ。
悠子ちゃんを大切に
思ってくれているようだが、
俺にエロいことを推奨してくる
ありがたい女神なのだ。
だから俺はあのアパートでは
悠子ちゃんの身体に……
悠子ちゃんが寝ている時にだが
沢山触れたり、舐めたり、
とにかく、色々してしまった。
でも悠子ちゃんが気づいていないのは
女神のおかげだと思う。
女神の望みは、
悠子ちゃんが身も心も
溺れるぐらいに愛されること、らしい。
そう言うことなら、
その役目は俺にしかできない。
俺は悠子ちゃんが愛しくて
仕方が無いのだから。
ただ、あのアパートで
俺はなし崩しに悠子ちゃんを
抱いてしまったが
悠子ちゃんに不安を打ち明けられ
悠子ちゃんのハジメテは
どうだったのかと、そう思った。
俺は悠子ちゃんに
(寝ている時に)触れすぎて
感覚が麻痺していた。
指摘されて初めて気が付いたのだが
悠子ちゃんは処女だったハズだ。
ハジメテの時は痛いのだと、
俺も漫画とかで読んだことがある。
だけど、アパートでの
悠子ちゃんは、そんな素振りは無かった。
これが女神の加護のおかげだとしたら
今ここで悠子ちゃんを抱いたら、
悠子ちゃんはどうなるのだろう?
もしかして痛がるかも?
あのアパートから離れたら、
悠子ちゃんは処女と同じなんじゃないか?
悠子ちゃんは俺に不安を
打ち明けた時、
「いつも真翔さんといたら
幸せ過ぎて、
頭がぼーっとして」
なんて言ってくれたけれど。
それこそ女神の加護なんじゃないか?
俺もあのアパートでは
夢中で悠子ちゃんを抱いてしまうが、
今は……こうしてちゃんと
理性が働いている。
自制もできている。
うん。
アパートの時とは、
やはり違う。
俺は悠子ちゃんから
体を離した。
悠子ちゃんにはもうプロポーズしている。
もちろん、了承も得ている。
ただ、結婚の時期だけは
待って欲しいと言われていた。
その理由も俺には理解できるから
ちゃんと待っているけれど。
もし、だ。
もし俺と悠子ちゃんの間に
子どもができたら……どうだろう。
強引だけど、すぐにでも
結婚することにならないか?
そんな邪な考えが浮かび、
ダメだ、と俺は首を振る。
俺の欲望ばかり言ったらダメだ。
ちゃんと悠子ちゃんのことも
考えないと。
「真翔さん?」
俺がいきなり首をふったからか
悠子ちゃんが心配そうな顔をする。
「なんでもない。
ユウが俺の部屋にいるなんて
夢みたいだと思って」
誤魔化すように言うと、
悠子ちゃんも、僕もです、という。
「ユウ、悠子さん」
俺は悠子ちゃんを見つめた。
ユウ、というのは、
この目の前の女性の身体の中に入っている
魂?の名前だ。
そして悠子というのは
ユウに体を譲って
別の世界に旅立った女性の名前らしい。
とても強い女性だと思う。
ユウのために、命を投げ出してくれた。
一度会って話がしたいと思うが
それは叶わないだろう。
悠子ちゃんは「ユウ」と呼ぶと
嬉しそうな顔をする。
だから俺は二人だけの時間は
ユウと呼ぶ。
でも、俺は悠子という女性の
体ごと、ユウが好きなんだ。
体と魂と別々に愛しているわけではない。
俺が可愛いと言い過ぎると、
ユウは複雑な顔をする。
まるで顔の造形は自分のものではないからと
そう思っているように。
でも違う。
顔の形なんかんじゃない。
ユウの何気ない仕草や、
思いやりや、
俺を想い行動してくれることすべてが
『可愛い』のだ。
俺が言う『可愛い』は
『愛している』と同じ意味なんだ。
体も心も魂も、すべて、愛している。
だから。
俺は二人の名を呼んだ。
ちゃんと、言いたい。
俺が好きなのは
目の前の大切な人なのだと。
「ユウ、大好きだ。
悠子さん、結婚してください」
わかってくれるだろうか。
以前のプロポーズは、
ユウという魂の存在に伝えた言葉だ。
だが
今回はユウと悠子という女性の
二人ごと愛し、結婚したいと
俺は伝えたのだ。
ユウは唇を振るわせた。
「僕……だけでなく、
悠子ちゃんも愛してくれるの?」
俺は頷く。
「俺にとってはユウも、
悠子さんも大事な存在だから」
そう言うと悠子ちゃんは
俺に抱きついた。
「僕、僕も真翔さんが
大好きです」
嬉しかった。
悠子ちゃんを抱きしめ、
俺は何度も髪にキスをする。
が、ふと思ってしまった。
大好きと言って貰えて、
気持ちが大きくなったのかもしれない。
だが俺は思ってしまったのだ。
そこは「愛している」と
言って欲しかった、と。
そう思うのは贅沢だろうか。
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