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愛は変態を助長させる
26: おうちデート
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今日は仕事帰りに真翔さんの家に
お呼ばれをした。
真翔さんのお母さんから誘われたのだ。
なんでも親戚の法事があるとかで
お母さんは仕事が終わった後、
夜行バスで出発するらしい。
そんな日に何故僕を
家に招待してくれるのか
不思議だったけれど、
お母さんは
「真翔は一人だと夕飯も
食べないから
悠子ちゃん、面倒みてやって」
と僕を誘ったのだ。
そう言う理由なら
僕は喜んで! だったし、
明日は土曜日で仕事が休みだったから
僕は居酒屋のバイトをお休み
させてもらって、
真翔さんの家にやってきた。
正直、居酒屋バイトは
金曜日と土曜日はOLさんが
手伝いに来るので、
僕はいてもいなくても
どっちでも良い感じだった。
だからお休みの連絡も
気兼ねなくできたし、
逆に店長さんが
「気を遣って休むとかじゃないよな?」
なんて言ってくれた。
店長さんは、僕の都合で
いつまでもバイトは
続けてくれていいし、
もちろん、いつ辞めても
大丈夫だと言ってくれている。
本当に良い人だと思う。
僕はお母さんと一緒に、
仕事帰りにそのまま家に着いて行った。
夜に帰るのなら
タクシーを呼んだらいいし、
泊まってもいいのよ、
なんてお母さんは言ってくれるけど
ここに泊まるのは、恥ずかしいよね?
でも、一応、
着替えだけは持って来た。
仕事の帰りだったし、
汗をかいて着替えたくなるかも、って
思ったからだ。
ちなみに、今日、この家に来るのは
真翔さんには内緒にしている。
「内緒にして驚かせましょう」
というお母さんの提案があったからだ。
僕は真翔さんの家にあがって、
お母さんと一緒に夕飯を作る。
スープとハンバーグと
サラダにしたけれど、
お母さんは夜行バスで
食べるからとおむすびを作って、
お弁当にした。
「真翔はいつも、
帰ってくる時間がまちまちなのよ」
お母さんはお弁当をカバンに
入れながら言う。
「物凄く遅い時は連絡が来るから
悠子ちゃんも待てなくなったら
真翔に電話でもしてあげて」
なんて言うけれど。
最初から僕が来ることを
言っておけばよかったのでは?
なんて思ってしまった。
お母さんは荷物をまとめて
僕にお風呂の沸かし方を
教えてくれた。
この家のお風呂は
キッチンにあるボタン一つで
お湯が入るらしい。
凄い。
「じゃあ、行ってくるわ」
と、僕が驚いている間もなく
お母さんはあっけなく家を出て行く。
僕は真翔さんの家で
ひとり、ぽつん、と残ってしまった。
え?
僕はこれからどうすれば??
一度家に帰ろうか。
でも帰っている間に
真翔さんがこの家に帰ってきたら?
僕はリビングをうろうろして、
結局、落ち着かないまま
リビングのソファーに座って
テレビを付けた。
大きな画面で、たぶん、
DVDとかが見れるんだと思う。
アパートのテレビには
付いていない機材があって、
テレビの録画とかも
できるんだろうな、って
僕は思った。
リモコンを使って
面白そうな番組を探していると
玄関が開く音がする。
「母さん、玄関の鍵、
空いてたぞ!
不用心だろ」
って真翔さんの不機嫌そうな声がして。
テレビの音が聞こえていたからだろう。
真翔さんはまっすぐに
リビングへと来たようだった。
「おかえりなさい」
って僕がソファーから
立ち上がると、真翔さんは
目を見開いて動かなくなった。
「真翔さん?
ご飯できてますよ。
先に着替えますか?
お風呂をわかしましょうか」
「え?なに?夢?」
真翔さんが焦ったような声を出す。
「真翔さん、大丈夫ですか?」
僕が真翔さんに近づくと、
真翔さんは「ちょっと待って!」と
手を前に出して僕を見た。
「ほんもの?」
言われている意味がわからなくて
僕は首を傾げる。
「本物の悠子ちゃん?
え?
ユウ?」
「はい、そうですけど?」
偽物の僕はいないよね?
「え?
なんで?
母さんは?」
真翔さんは焦ったからか、
鞄を床に落としているのに
気が付かない。
僕はその鞄を拾って
真翔さんの背を押した。
「お母さんは法事で
でかけましたよ?
夜行バスに乗るって
お弁当持って行きました」
お母さん、法事のことも
真翔さんには言ってなかったんだな。
驚く真翔さんの背を押して
僕は真翔さんをキッチンに連れて行く。
「今日は僕とお母さんで
ハンバーグを作ったんです」
ハンバーグのソースは
お母さんから教わった初めての味だ。
「美味しそうだ」
真翔さんがハンバーグを見るなり
そう言ってくれるから嬉しくなる。
「ちょっと待ってて。
着替えてくる」
真翔さんがそう言って
僕が持っていた鞄を受け取り
慌てた様子でキッチンを出て行った。
この家は小さな一軒家だったけれど
ちゃんと二階もある。
真翔さんの部屋は二階にあるようで
真翔さんが階段を駆け上げる音がした。
僕はすぐにハンバーグと
スープを温め直す。
ダイニングテーブルに
二人分の夕飯を並べて、
お母さんのお弁当に入れるために
作った卵焼きの残りも置いた。
それからお風呂を入れるための
ボタンも押す。
真翔さんは疲れているだろうし、
ご飯を食べたらすぐに
お風呂に入って寝るかもしれない。
真翔さんが寝たら僕は
タクシーで帰ろうかな。
一人でタクシーに
乗れるだろうか。
僕はそんなことを考えながら
ハンバーグにソースをかける。
そう、僕はこの時までは
まだそんなことを考える余裕があった。
ちゃんと帰るつもりだったし、
まさかこの状況で
真翔さんが暴走するなんて
思いもよらなかったのだ。
お呼ばれをした。
真翔さんのお母さんから誘われたのだ。
なんでも親戚の法事があるとかで
お母さんは仕事が終わった後、
夜行バスで出発するらしい。
そんな日に何故僕を
家に招待してくれるのか
不思議だったけれど、
お母さんは
「真翔は一人だと夕飯も
食べないから
悠子ちゃん、面倒みてやって」
と僕を誘ったのだ。
そう言う理由なら
僕は喜んで! だったし、
明日は土曜日で仕事が休みだったから
僕は居酒屋のバイトをお休み
させてもらって、
真翔さんの家にやってきた。
正直、居酒屋バイトは
金曜日と土曜日はOLさんが
手伝いに来るので、
僕はいてもいなくても
どっちでも良い感じだった。
だからお休みの連絡も
気兼ねなくできたし、
逆に店長さんが
「気を遣って休むとかじゃないよな?」
なんて言ってくれた。
店長さんは、僕の都合で
いつまでもバイトは
続けてくれていいし、
もちろん、いつ辞めても
大丈夫だと言ってくれている。
本当に良い人だと思う。
僕はお母さんと一緒に、
仕事帰りにそのまま家に着いて行った。
夜に帰るのなら
タクシーを呼んだらいいし、
泊まってもいいのよ、
なんてお母さんは言ってくれるけど
ここに泊まるのは、恥ずかしいよね?
でも、一応、
着替えだけは持って来た。
仕事の帰りだったし、
汗をかいて着替えたくなるかも、って
思ったからだ。
ちなみに、今日、この家に来るのは
真翔さんには内緒にしている。
「内緒にして驚かせましょう」
というお母さんの提案があったからだ。
僕は真翔さんの家にあがって、
お母さんと一緒に夕飯を作る。
スープとハンバーグと
サラダにしたけれど、
お母さんは夜行バスで
食べるからとおむすびを作って、
お弁当にした。
「真翔はいつも、
帰ってくる時間がまちまちなのよ」
お母さんはお弁当をカバンに
入れながら言う。
「物凄く遅い時は連絡が来るから
悠子ちゃんも待てなくなったら
真翔に電話でもしてあげて」
なんて言うけれど。
最初から僕が来ることを
言っておけばよかったのでは?
なんて思ってしまった。
お母さんは荷物をまとめて
僕にお風呂の沸かし方を
教えてくれた。
この家のお風呂は
キッチンにあるボタン一つで
お湯が入るらしい。
凄い。
「じゃあ、行ってくるわ」
と、僕が驚いている間もなく
お母さんはあっけなく家を出て行く。
僕は真翔さんの家で
ひとり、ぽつん、と残ってしまった。
え?
僕はこれからどうすれば??
一度家に帰ろうか。
でも帰っている間に
真翔さんがこの家に帰ってきたら?
僕はリビングをうろうろして、
結局、落ち着かないまま
リビングのソファーに座って
テレビを付けた。
大きな画面で、たぶん、
DVDとかが見れるんだと思う。
アパートのテレビには
付いていない機材があって、
テレビの録画とかも
できるんだろうな、って
僕は思った。
リモコンを使って
面白そうな番組を探していると
玄関が開く音がする。
「母さん、玄関の鍵、
空いてたぞ!
不用心だろ」
って真翔さんの不機嫌そうな声がして。
テレビの音が聞こえていたからだろう。
真翔さんはまっすぐに
リビングへと来たようだった。
「おかえりなさい」
って僕がソファーから
立ち上がると、真翔さんは
目を見開いて動かなくなった。
「真翔さん?
ご飯できてますよ。
先に着替えますか?
お風呂をわかしましょうか」
「え?なに?夢?」
真翔さんが焦ったような声を出す。
「真翔さん、大丈夫ですか?」
僕が真翔さんに近づくと、
真翔さんは「ちょっと待って!」と
手を前に出して僕を見た。
「ほんもの?」
言われている意味がわからなくて
僕は首を傾げる。
「本物の悠子ちゃん?
え?
ユウ?」
「はい、そうですけど?」
偽物の僕はいないよね?
「え?
なんで?
母さんは?」
真翔さんは焦ったからか、
鞄を床に落としているのに
気が付かない。
僕はその鞄を拾って
真翔さんの背を押した。
「お母さんは法事で
でかけましたよ?
夜行バスに乗るって
お弁当持って行きました」
お母さん、法事のことも
真翔さんには言ってなかったんだな。
驚く真翔さんの背を押して
僕は真翔さんをキッチンに連れて行く。
「今日は僕とお母さんで
ハンバーグを作ったんです」
ハンバーグのソースは
お母さんから教わった初めての味だ。
「美味しそうだ」
真翔さんがハンバーグを見るなり
そう言ってくれるから嬉しくなる。
「ちょっと待ってて。
着替えてくる」
真翔さんがそう言って
僕が持っていた鞄を受け取り
慌てた様子でキッチンを出て行った。
この家は小さな一軒家だったけれど
ちゃんと二階もある。
真翔さんの部屋は二階にあるようで
真翔さんが階段を駆け上げる音がした。
僕はすぐにハンバーグと
スープを温め直す。
ダイニングテーブルに
二人分の夕飯を並べて、
お母さんのお弁当に入れるために
作った卵焼きの残りも置いた。
それからお風呂を入れるための
ボタンも押す。
真翔さんは疲れているだろうし、
ご飯を食べたらすぐに
お風呂に入って寝るかもしれない。
真翔さんが寝たら僕は
タクシーで帰ろうかな。
一人でタクシーに
乗れるだろうか。
僕はそんなことを考えながら
ハンバーグにソースをかける。
そう、僕はこの時までは
まだそんなことを考える余裕があった。
ちゃんと帰るつもりだったし、
まさかこの状況で
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