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第二部 3章 手を伸ばして
第16話 ユズハの想い
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「…………彼が、死んだのよ。それを知ってるから……来たんでしょ」
「俺は、噂なんて曖昧なもので済ませたくない。俺はお前を連れ出しに来たんだ。お前の口から、何があったかをしっかり聞いてから、お前を連れ出す」
ユースケがはっきりとした口調でそう答えると、ここに来てユースケの声がようやくその動かなかった心に届いたのか、こらえきれないといったようにユズハの瞳からぽろぽろと涙があふれ始めた。水滴がユズハの手の甲で弾ける。
しばらく時間がかかった。窓からの光も大分傾き始め、部屋が薄暗くなってきた頃に、再びユズハはぽつぽつと話し始めた。部屋は静かでも虫の音がうるさくなり始めるかもと懸念したが、ユズハの声は不思議と響くようにユースケの耳にはっきりと届いた。
「私…………何にも分かってあげられなかったみたい」
ユズハの表情も視線も全く動かないが、記憶を手繰り寄せてその当時の光景を振り返っているのか、瞳がわずかに揺らいだ。
「私……自惚れてたんだ。恋人なんて初めてだったから…………理想描いてたのかも。私、彼のことを、一番、分かって、あげられてるって……」
ユズハが苦しそうに喘ぐ。ユースケは黙って静かにユズハの話の続きを待った。ユズハの告白を一字一句聞き逃すまいと集中していた。
「私、貴方に影響、受けてたみたいね。夢見てたみたい…………私も、彼とこれから先、何かあったらお互い支えていける存在だって…………それが、恋人との関係として、当たり前だって……」
ユースケはふとリュウトとチヒロの関係を思い出す。リュウトは何となくチヒロの本性を見抜いていたが、それでもチヒロの本物の恋心までは理解していなかったようだった。チヒロはリュウトの変化していく心までも見抜いておきながら、それでもリュウトのために別れることを選んだ。結果別れることになってしまったが、それでも互いが互いを想い合っていたことには分かりなかった。ユズハのその話は、決して夢物語ではないと信じたかった。
「でも…………彼は、秘密を抱えて生きて、そのまま……私に何も、言わずに……」
ユズハは最後まで言葉を続けることが出来ず、そこで嗚咽を上げた。その様子があまりにも痛ましくてユースケは胸の辺りを掴んだ。
自分と最も長い時間を共にしてきた相手が傷つくのを見ているのは、想像を遥かに超える苦しさが伴った。その胸の痛みは、これまでのどの悲痛な話を聞いたときよりも上回っていた。我ながら、ナオキに話していたことは本当だったのだと痛感していた。家族のように過ごしてきたユズハが痛む姿だけで、ここまで胸が苦しむことになるなど想像出来ていなかった。
「彼の遺書に、書いてあったの……片親の父が借金を作って夜逃げ……その借金をどうにかしようと、考えて、自分が将来少しずつでも返していこうって……でも、その希望も、叶えられそうにないって悟って……魔が差して金を盗んで……でも最後まで踏み切れなかった彼は……」
ユズハはそこで言葉を溜めた。少しだけ、眉が吊り上がったように見えた。
「私に、迷惑を掛けられないからって! 私にまで借金を負わせるようなことはしたくないって! なんで! なんでそんなことを彼は思ったのよ!」
ユズハの叫びは、ユースケの脳を揺らした。その叫びには、今まできっと誰にも打ち明けられなかったユズハの想いの丈が痛いほどに詰まっていた。
「私は、構わなかった! たとえ苦しい未来が待っていたとしても、私は彼と生きていたかった! だって、彼のことが好きだから! これから支え合っていけるっていう自信の根拠だったのに! なんで! なんで……」
ユズハは、ダムが決壊したように溢れ出る感情を表した。たとえどんなに殴ってもそんな表情にはならないと思えるほど、痛々しい表情だった。
「なんで……彼は、私と生きることを選んでくれなかったの…………」
ユズハは崩れるように項垂れた。その顔が上げられることはなかった。生気の感じられないユズハは、歴史考古学を専攻にする人が興奮する彫刻のようであり、ある種の美しさすら纏っていた。
部屋がすっかり暗くなったのでユースケは部屋の明かりを点けた。白い光で照らされた部屋は無機質な箱を思わせ、ユズハはその箱に入れられている人形のようであった。
ユースケは、努めて平静を保とうとした。ふと気が緩めば自分の胸の痛さに自分も涙を零しそうになるのを必死に堪え、ユズハに掛けてやれる言葉を探すためにもユズハの吐き出してくれた心の叫びを必死に整理しようとした。
どれだけ長い時間が経っただろうか。いつの間にかリビングの方からユースケの好きな懐かしい料理の匂いが仄かに香ってきた。ユースケが幼い頃、ユズハの母にわがままにもせがみまくっていたカレーの匂いであり、その匂いが形になるかのようにその頃の想い出が蘇ってきた。そのどの思い出でもユズハは笑っていた。その笑みを、もう一度見たかった。
「ユズハ、話してくれてありがとう……ユズハがそんな風に傷ついてるの見て、俺もこんなに辛くなるんだって驚いてるぐらい辛い。これって本当にお前が苦しんでるって分かってるってことだからだよな。そんな辛いことを話してくれてありがとう。でもよ……本当にすげー申し訳ねえんだけど、俺やっぱりバカみたいでさ。こんなに慰めてやりたいって思ってるのに、全然そんな言葉が浮かんでこねえ。だから、今の話を聞いて思ったことを素直に話すぜ」
ユースケは、フローラとの別れを思い出す。フローラは、自分の苦しみも想いもすべてを押し殺してユースケを送り出してくれた。チヒロと言いフローラと言い、どうしてこんなに相手のために自分の想いを押し殺すことの出来る人間が多いのだろうか。自分の赴くままに生きてきたユースケには馴染みのない行動であったが、それらの行動はすべからず力強く、理屈では表せぬパワーを確かに持っていた。ユースケは、その力強さは思いの強さに比例しているのだと解釈していた。
そして、ユズハの恋人にも似たような印象を抱いた。
「俺に難しいことは分からねえ。お前の恋人のことは何にも、全然分かんねえけどよ……その恋人がお前に迷惑を掛けたくないって言った気持ちなら……お前と生きることを選ばなかった理由なら、ちょっとだけ分かると思う」
ユズハの瞳孔が激しく揺らいだ。まるでそれは風前の灯火のように激しかった。
ユースケは、ユズハに殴られるかもしれないと思った。それでも、たとえ関係が壊れてしまったとしても、ユズハをここから外に連れ出せるのであれば構わなかった。
そのユースケの言葉が何かのヒントになったのだろうか、ユズハの口がわずかに開く。何かを察したようなその表情は、仮面が剥がれるようにぼろぼろと壊れていき、渇いた涙が再び人形のように滑らかな頬を伝って流れ始めた。
「その恋人は、お前の夢を邪魔したくなかったんじゃねえかな。そりゃお前は借金あろうが関係なく生きていきたいと思っていただろうけど、ユズハがそう考えることもその恋人には分かっていたんだ。だから、悲しい決断だったことに変わりないけど……その恋人は、自分の命と、お前の夢を天秤にかけて、お前の夢を選んだんだ。一緒に生きていたんじゃ、なんとか生きていくことは出来ても、お前の夢を叶えるのは難しいと、きっと重荷になってしまうんじゃないかと思ったんだと、俺は思う」
ユースケは、自分がいま叶えようとしている願いが如何に大きくて、大変なものであるかを、研究生活が忙しくなったこととじりじりとしか進まない研究状況から身をもって痛感している。その忙しさは、望遠大学校に入る前の想像を遥かに上回りユースケ自身の尻を引っ叩き続けていた。
そんな、何かを成し遂げようとする者の忙しさをそのユズハの恋人も知っていたのなら、そんなこともあり得るかもしれないと、ユースケは確信したように感じていた。
「俺は、噂なんて曖昧なもので済ませたくない。俺はお前を連れ出しに来たんだ。お前の口から、何があったかをしっかり聞いてから、お前を連れ出す」
ユースケがはっきりとした口調でそう答えると、ここに来てユースケの声がようやくその動かなかった心に届いたのか、こらえきれないといったようにユズハの瞳からぽろぽろと涙があふれ始めた。水滴がユズハの手の甲で弾ける。
しばらく時間がかかった。窓からの光も大分傾き始め、部屋が薄暗くなってきた頃に、再びユズハはぽつぽつと話し始めた。部屋は静かでも虫の音がうるさくなり始めるかもと懸念したが、ユズハの声は不思議と響くようにユースケの耳にはっきりと届いた。
「私…………何にも分かってあげられなかったみたい」
ユズハの表情も視線も全く動かないが、記憶を手繰り寄せてその当時の光景を振り返っているのか、瞳がわずかに揺らいだ。
「私……自惚れてたんだ。恋人なんて初めてだったから…………理想描いてたのかも。私、彼のことを、一番、分かって、あげられてるって……」
ユズハが苦しそうに喘ぐ。ユースケは黙って静かにユズハの話の続きを待った。ユズハの告白を一字一句聞き逃すまいと集中していた。
「私、貴方に影響、受けてたみたいね。夢見てたみたい…………私も、彼とこれから先、何かあったらお互い支えていける存在だって…………それが、恋人との関係として、当たり前だって……」
ユースケはふとリュウトとチヒロの関係を思い出す。リュウトは何となくチヒロの本性を見抜いていたが、それでもチヒロの本物の恋心までは理解していなかったようだった。チヒロはリュウトの変化していく心までも見抜いておきながら、それでもリュウトのために別れることを選んだ。結果別れることになってしまったが、それでも互いが互いを想い合っていたことには分かりなかった。ユズハのその話は、決して夢物語ではないと信じたかった。
「でも…………彼は、秘密を抱えて生きて、そのまま……私に何も、言わずに……」
ユズハは最後まで言葉を続けることが出来ず、そこで嗚咽を上げた。その様子があまりにも痛ましくてユースケは胸の辺りを掴んだ。
自分と最も長い時間を共にしてきた相手が傷つくのを見ているのは、想像を遥かに超える苦しさが伴った。その胸の痛みは、これまでのどの悲痛な話を聞いたときよりも上回っていた。我ながら、ナオキに話していたことは本当だったのだと痛感していた。家族のように過ごしてきたユズハが痛む姿だけで、ここまで胸が苦しむことになるなど想像出来ていなかった。
「彼の遺書に、書いてあったの……片親の父が借金を作って夜逃げ……その借金をどうにかしようと、考えて、自分が将来少しずつでも返していこうって……でも、その希望も、叶えられそうにないって悟って……魔が差して金を盗んで……でも最後まで踏み切れなかった彼は……」
ユズハはそこで言葉を溜めた。少しだけ、眉が吊り上がったように見えた。
「私に、迷惑を掛けられないからって! 私にまで借金を負わせるようなことはしたくないって! なんで! なんでそんなことを彼は思ったのよ!」
ユズハの叫びは、ユースケの脳を揺らした。その叫びには、今まできっと誰にも打ち明けられなかったユズハの想いの丈が痛いほどに詰まっていた。
「私は、構わなかった! たとえ苦しい未来が待っていたとしても、私は彼と生きていたかった! だって、彼のことが好きだから! これから支え合っていけるっていう自信の根拠だったのに! なんで! なんで……」
ユズハは、ダムが決壊したように溢れ出る感情を表した。たとえどんなに殴ってもそんな表情にはならないと思えるほど、痛々しい表情だった。
「なんで……彼は、私と生きることを選んでくれなかったの…………」
ユズハは崩れるように項垂れた。その顔が上げられることはなかった。生気の感じられないユズハは、歴史考古学を専攻にする人が興奮する彫刻のようであり、ある種の美しさすら纏っていた。
部屋がすっかり暗くなったのでユースケは部屋の明かりを点けた。白い光で照らされた部屋は無機質な箱を思わせ、ユズハはその箱に入れられている人形のようであった。
ユースケは、努めて平静を保とうとした。ふと気が緩めば自分の胸の痛さに自分も涙を零しそうになるのを必死に堪え、ユズハに掛けてやれる言葉を探すためにもユズハの吐き出してくれた心の叫びを必死に整理しようとした。
どれだけ長い時間が経っただろうか。いつの間にかリビングの方からユースケの好きな懐かしい料理の匂いが仄かに香ってきた。ユースケが幼い頃、ユズハの母にわがままにもせがみまくっていたカレーの匂いであり、その匂いが形になるかのようにその頃の想い出が蘇ってきた。そのどの思い出でもユズハは笑っていた。その笑みを、もう一度見たかった。
「ユズハ、話してくれてありがとう……ユズハがそんな風に傷ついてるの見て、俺もこんなに辛くなるんだって驚いてるぐらい辛い。これって本当にお前が苦しんでるって分かってるってことだからだよな。そんな辛いことを話してくれてありがとう。でもよ……本当にすげー申し訳ねえんだけど、俺やっぱりバカみたいでさ。こんなに慰めてやりたいって思ってるのに、全然そんな言葉が浮かんでこねえ。だから、今の話を聞いて思ったことを素直に話すぜ」
ユースケは、フローラとの別れを思い出す。フローラは、自分の苦しみも想いもすべてを押し殺してユースケを送り出してくれた。チヒロと言いフローラと言い、どうしてこんなに相手のために自分の想いを押し殺すことの出来る人間が多いのだろうか。自分の赴くままに生きてきたユースケには馴染みのない行動であったが、それらの行動はすべからず力強く、理屈では表せぬパワーを確かに持っていた。ユースケは、その力強さは思いの強さに比例しているのだと解釈していた。
そして、ユズハの恋人にも似たような印象を抱いた。
「俺に難しいことは分からねえ。お前の恋人のことは何にも、全然分かんねえけどよ……その恋人がお前に迷惑を掛けたくないって言った気持ちなら……お前と生きることを選ばなかった理由なら、ちょっとだけ分かると思う」
ユズハの瞳孔が激しく揺らいだ。まるでそれは風前の灯火のように激しかった。
ユースケは、ユズハに殴られるかもしれないと思った。それでも、たとえ関係が壊れてしまったとしても、ユズハをここから外に連れ出せるのであれば構わなかった。
そのユースケの言葉が何かのヒントになったのだろうか、ユズハの口がわずかに開く。何かを察したようなその表情は、仮面が剥がれるようにぼろぼろと壊れていき、渇いた涙が再び人形のように滑らかな頬を伝って流れ始めた。
「その恋人は、お前の夢を邪魔したくなかったんじゃねえかな。そりゃお前は借金あろうが関係なく生きていきたいと思っていただろうけど、ユズハがそう考えることもその恋人には分かっていたんだ。だから、悲しい決断だったことに変わりないけど……その恋人は、自分の命と、お前の夢を天秤にかけて、お前の夢を選んだんだ。一緒に生きていたんじゃ、なんとか生きていくことは出来ても、お前の夢を叶えるのは難しいと、きっと重荷になってしまうんじゃないかと思ったんだと、俺は思う」
ユースケは、自分がいま叶えようとしている願いが如何に大きくて、大変なものであるかを、研究生活が忙しくなったこととじりじりとしか進まない研究状況から身をもって痛感している。その忙しさは、望遠大学校に入る前の想像を遥かに上回りユースケ自身の尻を引っ叩き続けていた。
そんな、何かを成し遂げようとする者の忙しさをそのユズハの恋人も知っていたのなら、そんなこともあり得るかもしれないと、ユースケは確信したように感じていた。
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