26 / 26
朝食漢三の手記
しおりを挟む
俺がこの恋を初めて自覚したのは妖になって数年経った頃。思えばお前を助けたのは運命だったのかもしれない。
獣の頃からお前のことは弟みたいに思ってた。後ろをちょろちょろとついてまわる小さな狐。狼の俺からしたら獲物だけど、お前だけは違った。狩りをする時も一緒だし、獲った獲物は2匹で分けた。
妖になって人語を理解し話せるようになってからはお前の考え方に感銘を受けた。性格も、思っていた通りで。愛しいな、と。そう思った。そこから自覚までは早くて。
いつか人に化けられるようになったら、人に化けたら、同じ時、同じ場所に集まって一緒に暮らそうと、俺から持ちかけた。
お前は二つ返事で了承してくれて、事実、その時になったら約束の街に居てくれて、再会できた。本当に嬉しかったよ。
でも久しぶりに会ったお前は手に入れたもののかわりに、いろんなもの失ってたな。
誇りが無くなっていた。愛を失っていた。いや、元から無かったのに俺が気付いていなかったのかも。
とにかく、お前は人一倍寂しがりやになっていて、体の関係でそれを埋めようと女を取っ替え引っ替えしてたな。
そしていつのまにか男にまで手を出されていて。俺はブチギレてお前を犯したんだ。鮮明に覚えてる。本当に悪いことをした。反省してるよ。
それからは吹っ切れて体を重ねるようになったけど。お前は俺のこの想いに最後まで応えてはくれなかった。
俺はお前といる時でなきゃ息ができないし、お前は誰かに愛されている実感がないと息ができなくて。お互い都合の良い関係だったよな。それでもいいと俺は思ってたよ。
俺にはお前が全てだった。お前にとっての俺はそうでなかったかも知れないけれど、そうであったらいいなと夢を見てもバチは当たらないだろう?
思えば、信仰のような恋だったなぁ。
獣の頃からお前のことは弟みたいに思ってた。後ろをちょろちょろとついてまわる小さな狐。狼の俺からしたら獲物だけど、お前だけは違った。狩りをする時も一緒だし、獲った獲物は2匹で分けた。
妖になって人語を理解し話せるようになってからはお前の考え方に感銘を受けた。性格も、思っていた通りで。愛しいな、と。そう思った。そこから自覚までは早くて。
いつか人に化けられるようになったら、人に化けたら、同じ時、同じ場所に集まって一緒に暮らそうと、俺から持ちかけた。
お前は二つ返事で了承してくれて、事実、その時になったら約束の街に居てくれて、再会できた。本当に嬉しかったよ。
でも久しぶりに会ったお前は手に入れたもののかわりに、いろんなもの失ってたな。
誇りが無くなっていた。愛を失っていた。いや、元から無かったのに俺が気付いていなかったのかも。
とにかく、お前は人一倍寂しがりやになっていて、体の関係でそれを埋めようと女を取っ替え引っ替えしてたな。
そしていつのまにか男にまで手を出されていて。俺はブチギレてお前を犯したんだ。鮮明に覚えてる。本当に悪いことをした。反省してるよ。
それからは吹っ切れて体を重ねるようになったけど。お前は俺のこの想いに最後まで応えてはくれなかった。
俺はお前といる時でなきゃ息ができないし、お前は誰かに愛されている実感がないと息ができなくて。お互い都合の良い関係だったよな。それでもいいと俺は思ってたよ。
俺にはお前が全てだった。お前にとっての俺はそうでなかったかも知れないけれど、そうであったらいいなと夢を見てもバチは当たらないだろう?
思えば、信仰のような恋だったなぁ。
0
お気に入りに追加
13
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

龍神様の神使
石動なつめ
BL
顔にある花の痣のせいで、忌み子として疎まれて育った雪花は、ある日父から龍神の生贄となるように命じられる。
しかし当の龍神は雪花を喰らおうとせず「うちで働け」と連れ帰ってくれる事となった。
そこで雪花は彼の神使である蛇の妖・立待と出会う。彼から優しく接される内に雪花の心の傷は癒えて行き、お互いにだんだんと惹かれ合うのだが――。
※少々際どいかな、という内容・描写のある話につきましては、タイトルに「*」をつけております。

Endless Summer Night ~終わらない夏~
樹木緑
BL
ボーイズラブ・オメガバース "愛し合ったあの日々は、終わりのない夏の夜の様だった”
長谷川陽向は “お見合い大学” と呼ばれる大学費用を稼ぐために、
ひと夏の契約でリゾートにやってきた。
最初は反りが合わず、すれ違いが多かったはずなのに、
気が付けば同じように東京から来ていた同じ年の矢野光に恋をしていた。
そして彼は自分の事を “ポンコツのα” と呼んだ。
***前作品とは完全に切り離したお話ですが、
世界が被っていますので、所々に前作品の登場人物の名前が出てきます。***
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
【完結】俺はずっと、おまえのお嫁さんになりたかったんだ。
ペガサスサクラ
BL
※あらすじ、後半の内容にやや二章のネタバレを含みます。
幼なじみの悠也に、恋心を抱くことに罪悪感を持ち続ける楓。
逃げるように東京の大学に行き、田舎故郷に二度と帰るつもりもなかったが、大学三年の夏休みに母親からの電話をきっかけに帰省することになる。
見慣れた駅のホームには、悠也が待っていた。あの頃と変わらない無邪気な笑顔のままー。
何年もずっと連絡をとらずにいた自分を笑って許す悠也に、楓は戸惑いながらも、そばにいたい、という気持ちを抑えられず一緒に過ごすようになる。もう少し今だけ、この夏が終わったら今度こそ悠也のもとを去るのだと言い聞かせながら。
しかしある夜、悠也が、「ずっと親友だ」と自分に無邪気に伝えてくることに耐えきれなくなった楓は…。
お互いを大切に思いながらも、「すき」の色が違うこととうまく向き合えない、不器用な少年二人の物語。
主人公楓目線の、片思いBL。
プラトニックラブ。
いいね、感想大変励みになっています!読んでくださって本当にありがとうございます。
2024.11.27 無事本編完結しました。感謝。
最終章投稿後、第四章 3.5話を追記しています。
(この回は箸休めのようなものなので、読まなくても次の章に差し支えはないです。)
番外編は、2人の高校時代のお話。

Pop Step
慰弦
BL
「私のために争うのは止めて!」
と声高々に教室へと登場し、人見知りのシャイボーイ(自称)と自己紹介をかました、そんな転校生から始まるBL学園ヒューマンドラマ。
彼から動き出す数多の想い。
得るものと、失うものとは?
突然やってきた転校生。
恋人を亡くした生徒会長。
インテリ眼鏡君に片想い中の健康男児。
お花と妹大好き無自覚インテリ眼鏡君。
引っ掻き回し要因の俺様わがまま君。
学校に出没する謎に包まれた撫子の君。
子供達の守護神レンタルショップ店員さん。
イケメンハーフのカフェ店員さん。
様々な人々が絡み合い、暗い過去や性への葛藤、家族との確執や各々の想いは何処へと向かうのか?
静創学園に通う学生達とOBが織り成す青春成長ストーリー。
よろしければご一読下さい!

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる