救済委員の休日

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第3話  ある救済委員

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高原の風が秋の気配を運び始めた頃、十数年ぶりに訪れた、この地であった。

学生時代の、今より遙かに若い頃、あまり多くの事柄に囚われなくて済んでいた時代、ふとしたきっかけで、やはりこの地を訪れた。穏やかでいて、強さを持った山並みと、高山性の低灌木、そこに暮らす草花や小さな生き物たち、それら全てを包み込んで渡る風、そして、印象派の画家の絵の様に、時とともに移りゆく、湖面に落ちる光、そんな時間に囚われ、僕は、結構長い時間この地に留まっていた。

 小舎の手伝いをしながら過ごす時間は、下界の人の感覚では。とても退屈なものに思えたかもしれない。それでも、僕にとって、今までには無い、不思議な充実感とわくわくする感覚を与えてくれていた。そんな魅力を 知ってか知らずか解らないが、それなりに旅人がやって来た。小舎での手伝いはそんな旅人達の世話をする、世話と言っても、主に食事の支度であるが、僕の仕事であった。でもそんな表面的な事柄以外に、本当はもっと深い所で仕事をこなしていた人達が居た事を、暫くたってから知る事になる。

「女性の一人旅は、訳ありの事、がある場合があるの。だから、ほんのちょっと気を使ってあげてね。でも深入りしてはだめ。」そんな忠告を、通称「弥生さん」と言われていた、やはり小舎の手伝いをしていた女性から、聞かされたのは、この地の滞在が一ヶ月になろうかとする時期であった。実際、それまで僕は、あまり旅人達に深い興味をもっていなかった。それは、ここに来る旅人達が、みんな、僕の様にこの高原の美しさに惹かれてやって来るのだろうと思っていたからだ。人にはそれぞれの価値観や感性がある中で、僕を含め、この地に何らかの魅力なり、遠い思いへの結びつきがあってやって来る人達。確かに殆どの旅人達は、そうであったのだろうと思う。

  あの忠告の後、少し弥生さんと話す機会が できた時に思い切って聞いてみた。

「ちょっと気を使うって、何に気を使えばいいですか。」と僕はかなりつっけんどんな言い方で質問した。弥生さんは、ちょっとこまった様な顔してから、僕の質問には直接答えないまま、こんな話をしてくれた。

「一年ほど前の話だけれど、まだ、ここには来たばかりで、ケイ君と同じ様な目をしていた時かな。旅の人の中に気になる女性客が居たの。彼女は一見元気そうに振る舞っていて、周りの人達ともよく溶け込んでいたし、笑顔も明るかった。」と弥生さんは視線を湖面にむけてから、

「そう、でもこんな風に遠くを見つめる横顔がとても淋しそうで、それとなく声をかけては短いお話をしていたのだけれど、彼女の心が開く事はなかったの。」

高原にある幾つかの湖や沼の中で、僕の一番好きなこの湖には、午後の光が射し込んでいた。

「彼女が、去ってから、数ヶ月して、私宛に手紙が来て、淋しそうだった訳が解ったわ。あの時、彼女は不倫関係にあった男性との清算を迷っていた。その手紙の中に、そんな事情が細かく書かれていたわ。」柔らかい風がふき抜けて、しばらくしてから

「ケイ君には、大人のどろどろした事情をあまり聞かせたく無いけれど、彼女なりに、あの時、この場所で結論を出していたのね。」と弥生さんは一息おいてから再び話し始めた。

「彼女は、妊娠していたの。その事を相手に伝え、今までの関係を一歩進めようと考えていたらしいのだけれど、旨く行かなかった。結局、その手紙が私宛の遺書になってしまった。」うつむき加減で話す弥生さんに、普段には見られない淋しさが漂っていた。

「あの手紙をもらった後で色々考えたけれど、結局私にはどうする事もできなかったのだ、と思う様にする事にしたの。でも、一つだけ、もし私が女でなくて、ケイ君みたいな男だったら、何か違う事が出来たかもしれないって、だから、ケイ君にあんな忠告をしたのよ。」笑顔を取り戻した弥生さんとの会話はそれで終わった。

それから半月後、僕は、この地を後にした、でも結局弥生さんの忠告を発動する事はなかった。なぜなら、女性の一人旅はその後いなかったからだ。下界に降りて、いつもの慌ただしい生活の中で、ふと弥生さんの存在が不思議に思えて来る時があった。それは単に小舎の手伝いをしているだけではなくて、訪れた人たちの心のカウンセラーやセラピストであるのかもしれない。そんな思いもあって、僕は弥生さんの事を「救済委員」と呼ぶ事にした。

 翌年の夏も、僕は、この地にいた。一通りこの高原の山々を歩いた後、やはりあの小舎に転がりこませてもらった。小舎のメンバー は多少違っていて、弥生さんは居なかった。

 その少女は、秋風と共にやって来た。八月も下旬を過ぎていて、日暮れは少し早くなっていた。突然小舎の入り口に現れた少女の顔は、泣きべそ状態で、何年も人に会っていない人間が、やっと人影を見て、それまでの不安が一挙に吹き飛ばされた様な安堵感と、何とも言えない感動が滲み出ている様な表情だった。

「ここは、雪の小屋ですよね。」少女は溜息とも独り言ともつかない声で訪ねた。

「はい、そうです。お一人ですか。」僕は、突然現れた来客に、ちょっと戸惑いながら対応した。少女を小舎に入れてから、甘めのココアを用意し、彼女に渡しながら訪ねた。

「最終のバスですか?」

「ええ、本当は、明るい内に着く予定だったけど。途中のバスの乗り継ぎを間違えちゃって、大沼から歩いて来たんです。」

「大沼から・・」大沼から、この小舎までは、五から六キロほどある。

「ええエ・・それは大変でしたね。」少女は、ココアを飲んで少し落ちついたのか、少し笑顔を取り戻した。

「本当に、日は暮れかかるし、誰とも出会わないし。この小舎が在るのかどうか、だんだん心配になってきちゃって。もし小舎が無かったらどうしようって。」 

これは、後になって解った事だけれど、この少女が旅に出るのも、当然こんな、山や高原を一人で歩くのも初めての経験であったとの事だった。僕は、来客者を小舎のスタッフに連絡した後、部屋を案内し、夕食と朝食とそれから一通りの小舎での決まりを告げた。少女は、部屋を見て少し戸惑ってはいたが、覚悟を決めた様に梯子を上り始めた。この小舎は、宿泊施設ではあるが、殆ど所謂、山岳系の山小屋と同じで、緊急時には避難小屋と化す。もちろん個室などと言うものは無い。一応男女別々の部屋ではあるが、トムソーヤの秘密基地の様な多段ベットを垂直な梯子がつないでいるだけである。電気は、近くの沢に設置した小型の発電機で細々とまかなっている。それでも、真っ暗な夜に、いちいち石油ランプを灯した頃から比べればありがたい進歩であった。去年、電灯が光った時は「この小舎にもやっと文明の灯火が来た。」とか冗談交じりで話していたくらいだそうだ。小舎は、冬場の雪に耐えられる様、がっしりとした丸木で作られて、立地場所が岩盤を背にしてやや斜めなため、三分一ほど建家が岩にめり込んでいる様に見える。めり込んでいる部分に、僕やスタッフのベットがあり、通称、岩窟王の部屋と呼んでいた。その日の泊まり客は、あの少女を含め4人で、一組の中年夫婦と常連の男性客であった。少女は、多恵子と言う名前で、早速タエちゃんと呼ばれていた。ここでは、殆どが略称かあだ名で呼ばれていた。はっきり言って僕もスタッフもそれぞれの氏名を殆ど知らない状態であった。当然下界で何をやって居るのかも良くは知らない。漠然と学生か?学生ぽいか?社会人か位で済んでいる。特に身元を明かす必要もないし、何の仕事をしているとか問われる事もない。ただこの地に興味を持ち、訪れる。気に入れば、再びやって来る。そんな旅人達が、三々五々やって来ては、去っていく日々が続いている。

そんな中で、あの少女の来訪は、ちょっと異例の事態であったかもしれないぞと、僕の頭の中にある思いが巡った。ただ、小舎の主人の状況からして、それほど珍しい事では無い様なので、少し安心していられた。少女は、旅の雑誌で、この小舎の事を知り、何時か行きたいと、計画を立てていたそうだが、若い女性の一人旅には、旅立つまでに、男には想像も付かないほどの障害があるらしい。夕食が終わった後の雑談の中で、そんな風な事を少女は話していた。秋風が雲を運び、その夜の空には何時になく沢山の星が輝いていた。発電機の状態を確認するため、下の沢まで往復して来た時、少女が外で星を見ているのが目に入った。小さいが、作り付けのベンチとテーブルがあり、みんな良く此処で星を見る。何人か集まると、何故か僕が星座の解説者にされてしまう。そんなベンチに今日は、一人であの少女が座っていた。

「眠れませんか。」と声を掛けると、

「星って、こんなに沢山有るんですね。」と夜空に見入ったまま答えた。

「下界では、こんな状態の空を見る事は無いでしょうね。暫く見ていれば、流れ星の一つや二つ見られますよ。もっとも首が痛くなっちゃうかもしれないけど。」

「流れ星なんて見た事無いわ。私の家は町中なので、家並みも立て込んでいるし、星なんて滅多に見えない。」少女の家は、都心から少し離れた、高層住宅街で有名な町であった。

「今日は月が あるから、随分明るいけど、ほらこんな風に 影が映る。」そう言って僕の手の影を見せた。

「え・本当。」

「あの・ちょっと立ち入った事を聞いても良いかな。」僕は、さっき頭の中で巡っていた思いが気になって、問いかけた。 弥生さんの忠告の、「ちょっと気を使う」と

「深入りしてはだめ」の兼ね合いが今一つ良く解らないまま、実戦状態になってしまっていた。

「え、何ですか」

「何で一人旅に?」

「ああ、それね、さっきも小舎のご主人から聞かれたわ。」と少女は明るく笑った。

「きっかけは、ある旅の雑誌で、この小舎が紹介されていたの。」とこれも、後で知る事になるのだが、その記事は弥生さんが投稿し採用され、その後、雑誌社の記者が取材に来て掲載された紙面であった。

「記事の内容を読んで、まだ見たことも無い場所なのに、とっても癒される気がして。そんな思いが段々重なって行くうちに、どうしても行ってみたいと思う様になっちゃって。」

「ふーん、僕は旅先で、ある人から話しを聞かされる内に、何となく足が向いたと言うか。来てみたら、すっかりハマってしまってと言うか。落ち着くと言うか。今では暇さえあれば、ここに来てる。」僕のそんな心境に、興味を引かれたのか、少女は

「そんなに良い所ですか。」

「うん、でも人それぞれだからね。自分で感じるままで良いじゃないかなあ。ところで、何時まで居る予定ですか。」

「一応、帰りの切符の期限までかな。」そんな会話の直後に、幾つかの流れ星が流れた。小舎の主人の消灯の合図で、少女は部屋に戻り、僕は小舎の中で夜の支度の作業をした。電気が来ていると言っても、精々数百ワットなので、電灯を数個灯すのがやっとなのだ。そのため最低限の避難用の明かりと、特に暗くて、何かにぶつかったり、足を滑らしたりしないように所々の電灯を灯しておく。自分の仕事が終わり、岩窟王の部屋に戻り横になってから、少女が読んだと言う雑誌の記事が気になったが、そのまま寝入っていた。

 翌日は、昨夜の星空が予言していたかのような、素晴らしい快晴の天気となった。秋の始めの頃のごく希な時期に、とんでもなく空気が澄み渡る日があり、空は青いと言うより、まるで宇宙が見える様なやや黒みがかった青色となる。コバルトブルーと言うのか、深い青である。この空を見た途端、僕はある衝動に駆り立てられた。

「今日こそは、彼処に行ってみよう。」それは、弥生さんから聞かされていた「伝説の場所」と言うのは少し大げさだが、空気の良く澄んだ日にその場所に行くと、「虹の柱」が見えると言う。弥生さんが話していた「虹の柱」の意味が良く解らず、機会があれば、確かめて見ようと思っていたが、そのチャンスが訪れた様な気がした。朝食が済んで、手伝いの仕事を終え、例の常連客と昨日の少女とで、付近の山の散策に出かけた。朝食の残りを小舎の主人が、むすび弁当にしてくれ、僕はお茶に小型のコンロを持ち出かけた。少女はすっかり打ち解けていて、

「ハイジになった気分ですね。昨日は、薄暗い中、とっても怖い思いをしながら歩っていたけど、こんなに綺麗だったなんて。」少女は明るい調子で言った。

「もう少し早い時期なら、一面にキスゲや綿スゲの花畑が見られたのだけれど、もうみんな枯れちゃって。」僕は、一面の枯れ野を見ながら呟く様に話かけた。

「ははは、でも秋は秋で別な楽しみもあるよ。」と例の常連客が口を挟んだ。この 常連客は、地元の人間でも無いのに妙にこの辺に詳しく、何かと便利ではあるが未だに正体が掴めない 。小舎のスタッフでも無ければ、僕の様な半ば居候でもない。客であるが、ふっと来てふっと居無くなったと思うと、リュック一杯のイワナを担いで帰って来たり、幻と言われるきのこをとって来たりする。

草原を抜け、バスの終点地点の待合い所で、小舎宛の手紙やら荷物を受け取り、あの場所に向かった。長沼までは、小さな沢と岩場を抜けて行くが、途中に無人の温泉があり、かなり解放的な露天風呂がある。今回は、少女が居たので足湯だけにし、小舎への帰りがけに何時もお世話になっている湯治場へ立ち寄る事にした。

長沼は、この一体に点在している幾つかある湖沼と違って、やや深いカルデラ地形の底にあった。以前小舎のスタッフ達と山菜を採りに来て以来であったが、その時期から比べ、だいぶ季節が進んだ光が射し込んでいた。 上空から見れば、その湖の紺碧の水面は一目瞭然の姿を見せてくれるのだろうが、小さなカルデラ地形とあって、外輪山にあたる溶岩質の崖を、裂け目を頼りに登らねばならない最後の行程を過ぎた後に、それは見えた。

湖面から立ち昇る、蒸気と周りの崖の隙間から差し込む日の光が、幾つかの小さな虹を作り出し、所何処に映し出された虹が、時として階段の様に、また、本当の柱の様に姿を変えていた。少女は言葉に成らない、感激の声を上げて

「この世の物とは思えない・・・・あそこから女神様でもでてきそう!」と暫く呆然とその光景を見つめていた。その情景は、三十分程続いてから、日が高くなるに従い消滅し、崖の上へと登って来た太陽が、やがて湖面を深い青に変えていった。
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