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冒険者パーティーイレヴンズ

これはハーレムパーティー結成なのか?

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 お姫様の発言から話は進み何故か俺達、勇者賢者聖女のそれぞれ予備No.11はお姫様の部屋について行く事になっていた。

「手早く準備を整えて城を出ましょう。お父様の気持ちが変わってしまったら困りますからね!」

 早歩きで先頭を進むお姫様のワクワク顔が止まらない、彼女はいったい何が目的なのか。

「いやー、ナイスだったよ、勇者君! まさかこんなに早く自由の身になれるとは思わなかった、便乗させてもらって助かった」

 小さな賢者予備が俺の肩をポンポンと叩く。
 やっぱり皆自由を求めるものなのか、自分が団体行動から逃れる為とはいえ褒められるのは悪い気はしないな。 ましてや褒めてくれるのが可愛い女の子だしな。

「俺は勇者じゃないけどな」

 なんだか気恥ずかしさもあって俺はこんな事しか言えない。

「僕も聖女って呼ばれるのは嫌かも、予備の予備のずーっと予備だからね。僕も君には感謝かな、気楽に食べ歩きとかしたいし」

 背の高い聖女が楽しそうに笑う、いや、一応俺の方が背は高いけど175はある訳だし、でも彼女も170近くありそうだ、スラッとしてて女子にモテそう。
 そしてそんな俺達を見ながらうんうんと頷くお姫様。 もしかしてお姫様も自由になりたかった?

「ここが私の部屋です、どうぞお入りください」

 お姫様に招かれたのは広い部屋だ、廊下もそうだったが白い壁に高そうなベッドに高そうなテーブル他にも高そうな・・・うん、俺には説明は無理だ。
 ただいい匂いがする、あと背筋のピンとしたメイドがいる。 俺達を見て頭を下げた。

「お帰りなさいませ、ナナナ様。勇者様達の歓待の宴の予定ではなかったのですか?そちらの方々は?」

「ただいま、ラズ。予定は変更よ、私はこの勇者候補の皆様と旅に出る事になったの!急いで準備をするわよ!」

「はえ!? なんでそんな事に?そもそも勇者候補の方々もしばらくは城に滞在して戦い方を学ぶという話では」

「説明は後でするから!ラズはそうね、私の名前で集められるだけのお金と皆様の武器を見繕って来てほしいわ」

「ええ、ラズにそんなに重いものを!いえ、まあ言われればやりますけど。勇者候補の皆様はどんな武器を使われますか?」

 結構ころころ表情の変わるメイドさんだな、お姫様付きのメイドはなんとなく無表情系のイメージだったけど。
 そして武器か、なんかその言葉だけで一気にファンタジーな気持ちになるな。
 やっぱり俺は剣? 剣なのか? 剣だよな? ロングソード・・・だな!

「武器か、私は弓がいい。力がなくても使えるような、そうだねボーガンってある?」

 賢者の子は弓か、遠距離攻撃は大事だよな。 ただ賢者とは・・・

「ボーガンありますよ。一般兵士の使う武器なのでどうしても威力はそこまで出ないですけど」

「それで構わないからお願いするよ。あと護身用に短剣も何本か欲しいかも」

「かしこまりました。他の皆様は?」

「僕はそうだな、あっ、君は何にするの?」
 
 メイドさんに答えようとした聖女の子が突然振り返ってビックリしたが平静を装う俺。

「俺は普通の剣、ロングソードみたいなのがいいかな」

「そっか、よし僕は大剣にしてみようかな! 大型のモンスターにも効きそうな感じで! あと解体用のナイフもおねしゃす」

 なんで聖女が大剣!? パーティーのバランスを考えた選択なら俺が大剣に変わった方がいいのか? いや、でもこの人凄い楽しそうなんだよな。
 モンスターを狩るゲームとかやってたんだろうか?

「大剣ですかー、重いんですよね。ラズ1人で運ぶのは・・・」

 言いながらチラチラお姫様の方を見るメイドさん、確かに3人分の武器を運ぶのは辛いよな。

「ラズなら平気でしょうに、私のマジックバッグを持って行っていいから、お願い」

「あざっす!いってきます!」

 お姫様の言葉に素早く頭を下げたメイドさんは何か部屋の奥の方からお洒落な肩掛け鞄を掴むと駆け足で部屋を飛び出して行った。

「趣きのないメイドね」

 メイドを見送った賢者候補の言葉にお姫様が笑う。

「あれでラズは優秀なんですよ、私にはラズのああいう所が丁度いいんです。座ってください、お茶をいれますね」

「では、失礼するわ」

「僕は異世界のお菓子も食べてみたいかなー」

「・・・」

 最初に賢者が座り順番に俺も座った、俺だけ無言で。いや、俺だって他に喋る人がいないなら喋るけど他にいるなら俺は喋らなくていいだろ、だから団体行動は苦手。

「お待たせしました。紅茶で良かったですか? お菓子はクッキーしかなかったですがどうぞ」

「ありがとう、いただくわ」

「わーい、ありがとー」

「・・・」

 俺だけ会釈。いや、だって、いや何も言い訳はすまい。

「ようやく落ち着いた所ですし簡単に自己紹介をしましょうか。わたくしはこのシャーマイン王国の第七王女ナナナ・シャーマインです、改めてよろしくお願いします」

「ぶふっ!」

 賢者候補の小柄ガールが口に含もうとした紅茶を小さく吹き出した。
 分かる、第七王女で名前がナナナってモブキャラ感ハンパないよな。

 両手で1枚のクッキーを持って観察に夢中の聖女候補はなんなんだろう、口を閉じてればクール系の見た目なのに、ポカンと開いてる。

「失礼。ナナナ姫ね、ナが3つだと多いからナナ姫と呼んでもいいかしら?」

 ハンカチで口元を拭くとすぐに状況を立て直す賢者さん、流石賢者だな小さいのにこっちがクール。
 ナが3つだと多いって凄い言葉、確かにその通りではあるんだが。

「これから一緒に旅をするんですから姫はいりません、私のことはナナと呼んでください」

「そう、ならナナと呼ばせてもらうわ」

「僕はナナちゃんって呼ぼうかな! ナナちゃんこのクッキー美味しいよ!かたくてなんか濃ゆい!」

「そうですか、お口に合って良かったです。この国では過去に来ていただいた勇者様方から料理の知識も学んでいるので料理もお口に合う筈ですよ」

「おーー!」

「それは安心ね。確かにこのクッキー美味しいわ」

「・・・」

 はい、この間無言です。静かに紅茶を飲んでいます、紅茶もなんか濃ゆい気がする、分からんけど。

「次は私でいいかしら? 私は黒鷹くろたかはる私の事もハルと呼んで」

「ハルさんですね、よろしくお願いします」

「ハルちゃんだね。僕の名前は珍しいんだけど姫に狼に煙で姫狼煙ひめのろし柚に空で柚空ゆらだよ。僕もユラでよろしく」

「ユラさん、よろしくお願いします」

「よろしくね、ユラ」

「・・・」

 またも無言を貫いてしまった俺に視線が集まる。俺の自己紹介の番か、というか本当にこの4人で旅に出るのか?
 美少女と言っていい3人と俺1人、嬉しい気もするが居場所はないだろ、色んな所で睨まれそうだし。

「なー、本当にこの4人で行くのか? 邪魔になりそうなら俺は全然1人でいいんだけど・・・」

「何言ってるの、女3人旅なんて危ないし、あなただってこの世界の事何も知らないんだから、少なくともお互いに安全を確保できるまでは行動を共にするべきでしょ。そもそも私達はあなたについてきたのよ。どうしても嫌なら止めないけど」

「そうだよ、リーダー。僕達はリーダーについてきたんだからさ、早く名前教えてよ」

 ジトーっとした瞳と明るい瞳に見つめられて俺は肩を落とす、まさかの俺がリーダーなのか? 確かに言い出しっぺは俺なんだが
 ただ賢者候補のハルの言葉は正しいんだよな、安全の為には一緒に行動するべきた。

「・・・俺は川鱗かわうろこあきよろしく頼む」

 リーダー云々には触れずに頭を下げる。

「よろしくね、アキ」

「アキ君、よろしく!」

「アキさんよろしくお願いします」

 三者三様の笑顔を向けられて俺の冒険者パーティーはこうして決まったらしい。

 

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