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邪気消滅
しおりを挟む佐藤さんの家に戻ってみると、事態は思ったよりも深刻だった。
慌てて二階に上げてもらうと、快がぐったりと部屋の壁によりかかっていた。
「快っ! ちょっ……大丈夫?!」
「ぁーほっ、遅いんじゃぼけぇ。早よ気布渡さんかい」
邪気を吸収する為の邪気布が何枚も真っ黒になって散らばっている。
快が、よく戦った証拠だ。
「ごめん、遅くなって」
集めてきた気布を快に渡すと、快はよろけながらも立ち上がった。
「これで終わりにしたる。覚悟、せぇよ、邪気……」
佐藤さんから立ち上っている邪気。
それは、入道雲の様に大きく、部屋いっぱいに満ちあふれている。
こんな大きくて真っ黒い邪気は……私も初めて、見る。
「眠りし全ての気よ、今こそ目覚めよ……我に力を貸したまえ──」
四枚の気布を握りしめている快の手から、邪気に負けない光がどんどんと広がっていく。
「邪気、消滅!!」
強い光が部屋全体を飲み込んでいく。
眩しくて目を閉じていると、柔らかく、暖かい風が頬をかすった。
自然の気が、邪気を飲み込み、浄化した証。
ほっとして、へたれこんだ私に、快が倒れ込んできた。
「……ぁかん。疲れた」
「お疲れさま」
膝枕状態になっている快の髪を、私は優しく撫でてあげた。
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