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情事の決め事

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「あぁ…それ…それ…や…やぁ…。」

カテリーナのあられもない声が室内に響いた。

もう身体も思考もドロドロに溶かされて、どれだけ時間が経ったのか、何度達してしまったのかもカテリーナはわかっていなかった。

ただ、ただ、フィリップから与えられる刺激に翻弄されていた。

フィリップはそんなカテリーナをどれだけ鳴かしても足りないとばかりに、今は彼女の秘所に直接舌を寄せて、愛液を堪能していた。

「嫌じゃないでしょ?何て言うか教えたはずだよ。」

「いい…ですっ。気持ちぃい。いいのぉ…。あぁ、ダメ…また…また、イッちゃ…


「いいよ、気持ちよくイってごらん。」

「あぁ…あぁーんっ!」

カテリーナは大きく身体をビクつかせて達した。

媚薬によってカテリーナの感度が最大限まで高められた事により、フィリップは正に自在にカテリーナの絶頂をコントロールしていた。

達しても、達しても、次々と与えられる快楽から逃れる事が出来ないという、ある種の地獄のような状況で、カテリーナはフィリップから躾の様にいくつかのルールを教え込まれていた。

フィリップによって与えられる刺激…彼の言うところの快楽を感じた時は、気持ちいいとちゃんと口に出す事。

絶頂を迎えそうな時は、フィリップにその事を報告する事。

そして、フィリップの許可が下りるまでは絶頂を迎えないように我慢する事。

時に暴力的なまでに激しい快楽を与えられながら、時にもどかしい程に焦らされながら、何度も何度も言い聞かされたそれらのルールは、カテリーナの中にしっかりと根付き始めていた。

「どう?カテリーナ、気持ちよかった?」

「フィリップ…殿下。ありがとう…ございます…。」

カテリーナは朧げな意識の中で、フィリップにそう伝えた。

絶頂を迎えた後は、快楽を与えてくれたフィリップに感謝を伝える事。

優等生のカテリーナはそのルールも忘れては居なかった。

ちゃんとお礼を言えたご褒美だろうか、フィリップがカテリーナの頭を撫でてくれる。

カテリーナは嬉しくなり、自らの頭を彼の手に押し付ける様に擦り寄った。

「どう?もう身体は熱くない?」

自分で媚薬を盛ったくせに、フィリップは心配そうに尋ねた。

「はい…フィリップ殿下のお陰です。ご迷惑をお掛けしました。」

意識は朦朧としているし、身体は思うように動かないが、そんな状況でもフィリップに対してお詫びを述べた。

それは行為中に「カテリーナが特別淫乱だから、媚薬が効きすぎているんだよ。」と、何度となく、カテリーナが淫乱なせいだと強調された為だ。

思考の回らないカテリーナは、自分のせいで、すっかりフィリップに迷惑を掛けたと信じ込んでいた。

「謝らなくていいんだよ、愛するカテリーナの為だからね。でもお礼はちゃんと伝えないとね。そうだな…フィリップ殿下のお陰で、淫乱なカテリーナは何度も気持ちよく達する事が出来ました。ありがとうございます。とか、どうだろ?一回言ってみて。」

もちろん、気に入れば今後毎回言わせようと思っているフィリップだが、そんな事は少しも感じさせずに、あっけらかんと言った。

「それは…。」

あまりにも疲れ果ててると言っても、媚薬の効果も落ち着き、少しながら思考を取り戻したカテリーナには、流石にその台詞が、口にするのをはばかられるような、はしたない言葉だとわかった。

「僕はカテリーナが触れって言うから、その通りに何度も胸を揉んだり、胸の蕾を弄ったり、舐めたりさ…君の大切な場所だって沢山可愛がってあげたのに…お礼も言えないのかな?」

わざと具体的な内容を並べられれば、カテリーナは先程までの狂おしい程の行為を生々しく思い出さざるをえない。

確かに、フィリップは行為の間何度もカテリーナに「何して欲しい?ちゃんとお願いして。」と尋ねたし、先程までの食事ですっかりフィリップに何かを強請ねだる事への抵抗が無くなっていたカテリーナは、その快楽のままに、自分の知り得る限り沢山の事をフィリップにお願いしていた。

もちろん、下の熱い所に触れて欲しいとお願いしただけなのに、そこを舌で舐められたり…と、カテリーナの思い通りなっていた事などほとんど無いのだが、彼女はその事には気付いていない。

「ふーん、我が儘ばかり言って、お礼も言えないなんて…それじゃ聖女どころか、皇太子妃だってまともに務まるか…。」

フィリップが残念そうに言った。

もちろん淫らな行為にお礼を言えるかどうかで、聖女の資質も、皇太子妃の資質も問われる物ではないが、それに気付かないカテリーナは泣きそうになった。

聖女はともかくとして、皇太子妃になる事は、幼い頃から決められた自身の目標であり、使命だった。
皇太子妃として、フィリップの隣に並び立ち、支える事…それをフィリップ本人から難しいと告げられたのだ。

「も…申し訳…ございません。」

気付いた時には涙が溢れていた。

「あぁ、泣かないでよ、カテリーナ。僕は君が立派な聖女や皇太子妃に慣れるようにって…そう思って言った事なんだ。」

「わかっております。フィリップ殿下はいつも私を気遣って下さって…。」

はたから聞けば、おかしい事この上ない会話だが、カテリーナは至って本気だ。
いや、カテリーナを教育するという面においては、フィリップだって大真面目で言っていた。

「じゃあ言えるね?」

「あ…えっと…フィリップ殿下の…お陰で、い…淫乱な…カテリーナは、何度も…き、気持ちよく達する事が…出来ました。…ありがとうございます。」

途切れ、途切れでも、フィリップに言われた事を一字一句違えずに覚えているところが、カテリーナが優秀と言われる所以ゆえんであるが…カテリーナはその優秀さを違う方向へ発揮してしまっているとしか言いようがない。

「本当に可愛すぎる。危うく我慢出来なくなる所だったよ。」

フィリップはギュッとカテリーナを抱きしめ、何度も何度も頭を撫でてくれる。

優秀なカテリーナは、フィリップから与えられるご褒美の様な甘い時間の中で、行為の後にお礼を述べれば、フィリップがとても喜んでくれるという新しいルールをしっかりと記憶していた。
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