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本編
4-11 ウォルター side
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「それとも、他に気になる奴でもいるの?この前の男とか。」
これで素直に頷かれたら、どうするつもりだったんだろう。
俺の質問にキョトンとした表情を浮かべてるサラサに、ホッと安心する。
この表情は、何故このタイミングで彼の名前が出るのか全くわかっていない顔だ。
サラサは彼の気持ちに気付いていないんだ。
「えっと…この前の…幼馴染のカイルの事ですよね?その節はウォルター様に大変失礼をしました。」
気付いていないどころか、そのサラサの保護者のような口振りに心底安心する。
「いや、仲のいい幼馴染なんだね。あんなに心配してくれるなんて。」
「そうなんです!カイルは幼い頃から本当に優しくて…いつも助けてくれるんです。前回は私の説明が足らずに、ウォルター様に失礼な事を言ってしまいましたが…お許し頂けると嬉しいです。」
恋愛感情がある訳ではないとわかっても、パッと花が咲いたような笑顔で言われると面白くはない。
「いつも助けてくれるなんて、ヒーローみたいな幼馴染だね。好きになったりはしなかったの?」
今は何とも思ってなくても、身分を気にしない幼い頃の初恋の相手が幼馴染だ…なんて、よくある話だ。
それをサラサの口から聞き出したって、苦い思いしかしないのに…。
「カイルを…ですか?それはないです!それに、カイルは…」
そこで何故か言い淀むサラサ。
否定したんだから、最後までキッチリ否定して欲しい。
「カイルは?」
「内緒です。」
これが今日一番イラっとした。
サラサとカイル ブルーエンの間に、踏み入れない領域がある事を見せつけられた気がした。
「…サラサ?サラサじゃないか?こんな所で何をしてるんだ?」
思わず嫌味が口をつきそうになり、押さえ込んだ所に、背後から声が上がった。
サラサの知り合いかと彼女の表情を伺えば、驚く程青白い顔で、カタカタと小刻みに震えている。
慌てて声の主を確かめる為に振り向くと、そこにはよく知った人物が立っていた。
レオナード ビルグリン。
よく知っていると言っても、カイル ブルーエン同様、従者に調べさせたから知っているだけで、別に面識がある訳ではない。
破談騒ぎの真っ只中と言えど、現行の婚約者に、他の男と居るところを見られたのだ。
家に及ぶ被害などを考えると、サラサが青くなるのも頷ける。
「はじめまして。レオナード ビルグリン殿ですね。」
サラサに掴みかかりそうな勢いで近付いてくるレオナード ビルグリンと彼女の間に割って入った。
「どこの誰かは知らないが、サラサが私の婚約者と知っているのか?」
礼儀も何もあったもんじゃない。
その上、俺の顔も知らないとは…家督を継ぐ嫡男が聞いて呆れるよ。
「爵位を継いでから2年、この王都でまだ私から名乗らなくてはいけない事があるとは思っていなくて、失礼したね。フィールズ公爵だ。」
そんな慇懃に名乗る事も普段はないけど、こいつの態度には腹が立つし、折角の夕食を邪魔された責任くらいは取らせたい。
あと、幼馴染騒動での苛立ちもついでに発散しようと思っているのは内緒だ。
「…は?フィールズ公爵?ウォルター フィールズ公爵?」
「わざわざ、フルネームで確認してくれてありがとう。」
いくつか年上のはずだけど、そんな威厳は皆無だな。
レオナード ビルグリンのマヌケ面に、こんな奴と婚約していたサラサが不憫に思えた。
「そのフィールズ公爵殿が、私の婚約者に何の用ですか?」
態度こそ少し改まったものの、彼の怒りが治まった様子はない。
俺へ…と言うより、俺を通り越してサラサを睨み据えている。
チラリと後ろを見れば、先程より更に顔を青くしたサラサが居る。
サラサをこんなに怖がらせるなんて…早く退場して欲しいな。
この店からも、彼女の人生からも。
「婚約者?婚約を破談されるって聞いたけど。確か…妹君に乗り換えたとか?テレサ嬢だっけ?こんな所で俺達に文句を言ってないで妹君の方へ行かれては?妹君にまで愛想を尽かされる前に。俺はあんな馬鹿な女はお断りですけど…馬鹿な子ほど可愛いとも言うしね。いいんじゃない?趣味は疑うけど。」
サラサの婚約破談騒ぎの原因についても、従者が詳しく調べてくれた。
サラサだけでは飽き足らず、妹まで一緒に嫁ぐように言ったとか。
サラサが知ってるかは知らないが、2人で頻繁に会っていた事や、妹にだけ沢山の贈り物がされている記録も掴んでいる。
サラサは婚約という縛りから逃げられないのだから放置して、何とか妹を口説き落とそうとしていた事は集まった資料の数々が雄弁に語ってくれている。
「なっ…、そんな話を信じているのですか?全てサラサが醜い嫉妬に駆られて言ったデタラメでしょう。」
デタラメも、何も…証拠付きの書面が俺の屋敷のデスクの中に眠っている。
「サラサが貴殿に嫉妬したと…?」
思わず鼻で笑ってしまう。
こんな男、婚約破棄されて当然だ。
サラサの価値も全くわかっていない。
「何がおかしい!公爵殿こそ、人の婚約者に手を出すとはどうかしてますよ。サラサがどうしても和解したいと泣いて詫びるので、私達の婚約はそのままです。いや、サラサの純潔を散らした責任を思えば、一刻も早く婚姻を結ぶべきか…。」
勝ち残ったようにニヤリと笑うレオナード ビルグリンに思わず掴みかかりそうになった。
そんな俺を止めたのは、サラサから上がった悲鳴のような小さな声だった。
慌てて後ろを振り向けば、真っ白な顔をしたサラサが、耳を塞いで震えている。
どう見ても通常より呼吸が浅く、過呼吸を起こしている。
思わず彼女に駆け寄ると、彼女が震える手で俺の服を掴み、苦しそうな呼吸の間に短く違う、違うと告げている。
「大丈夫。わかってるから。落ち着いて。大丈夫だよ。」
何度かそう繰り返して言うと、サラサの呼吸が幾分落ち着いたようだが、代わりにその瞳には涙が溢れている。
この様な人前で、純潔を散らしたなどと言われたのだ。
淑女にとっては耐えられない羞恥だろう。
それに、彼女の反応を見れば、それが同意の上の行為とは到底思えない。
腹が立ち過ぎて、かえって冷静だ。
ゆっくりレオナード ビルグリンに近付けば、ニタニタと嬉しそうな顔で口を開く。
「穢れた身のくせにフィールズ公爵に近付くなんて恐れ多い。本当、何を考えているのか。サラサは私がしっかり教育しますので、どうぞお許し下さい。」
最後まで聞いてから、我慢に我慢を重ねた右の拳をレオナード ビルグリンの顔面目掛けてぶち込んだ。
皿の割れる音や周りの悲鳴は気にならない。
いや、むしろ今からする話を聞かれる心配が減ったので感謝すら覚える。
頬を押さえて倒れているレオナード ビルグリンに跨り、襟元を掴んで無理矢理こちらを向かせる。
「サラサが気に病むと嫌だから、もうちょっと穏便な方法で退場してもらおうと思ってたんだけど、気が変わった。君の父上の脱税の証拠を掴んでいる。サラサと速やかに婚約破談するなら黙っているつもりだったけど…すぐにでも国王に報告させてもらうよ。」
何の話か全くわからない様子のマヌケ面でこちらを見るレオナード ビルグリン。
「手口が悪質だから、俺からは取潰しを進言しておくけど…まぁ、良ければ男爵家へ降爵かな?貴族として残れても、社交界では生きていけないから、それは覚えててよ。サラサはいずれ公爵夫人になる。お前はその公爵夫人を辱めたんだから。」
やっと自分の立ち位置を理解したレオナード ビルグリンが徐々に顔色が青く変えて行く。
「う…嘘です。嘘!やってません。未遂でした!」
彼の慌てた弁明は、俺の心をいくらか穏やかにしたけど、過呼吸を起こすほど怯えていたサラサを思い出せば、許せるはずもない。
泣いて謝るだけの相手には早々に興味が失せた。
一刻も早く、サラサをここから連れ出したい。
彼女をこれ以上、好奇の目に晒すわけにはいかない。
入り口に控えていたはずの従者が、この騒ぎで思いの外近くまで来ていたので、店と周りの客へのフォローを任せた。
「行こう、サラサ。俺のせいで騒ぎになってしまった。」
絶対に自分のせいだと思っている彼女に、俺のせいだと伝えると、まだ震える身体で小さく頷いた。
これで素直に頷かれたら、どうするつもりだったんだろう。
俺の質問にキョトンとした表情を浮かべてるサラサに、ホッと安心する。
この表情は、何故このタイミングで彼の名前が出るのか全くわかっていない顔だ。
サラサは彼の気持ちに気付いていないんだ。
「えっと…この前の…幼馴染のカイルの事ですよね?その節はウォルター様に大変失礼をしました。」
気付いていないどころか、そのサラサの保護者のような口振りに心底安心する。
「いや、仲のいい幼馴染なんだね。あんなに心配してくれるなんて。」
「そうなんです!カイルは幼い頃から本当に優しくて…いつも助けてくれるんです。前回は私の説明が足らずに、ウォルター様に失礼な事を言ってしまいましたが…お許し頂けると嬉しいです。」
恋愛感情がある訳ではないとわかっても、パッと花が咲いたような笑顔で言われると面白くはない。
「いつも助けてくれるなんて、ヒーローみたいな幼馴染だね。好きになったりはしなかったの?」
今は何とも思ってなくても、身分を気にしない幼い頃の初恋の相手が幼馴染だ…なんて、よくある話だ。
それをサラサの口から聞き出したって、苦い思いしかしないのに…。
「カイルを…ですか?それはないです!それに、カイルは…」
そこで何故か言い淀むサラサ。
否定したんだから、最後までキッチリ否定して欲しい。
「カイルは?」
「内緒です。」
これが今日一番イラっとした。
サラサとカイル ブルーエンの間に、踏み入れない領域がある事を見せつけられた気がした。
「…サラサ?サラサじゃないか?こんな所で何をしてるんだ?」
思わず嫌味が口をつきそうになり、押さえ込んだ所に、背後から声が上がった。
サラサの知り合いかと彼女の表情を伺えば、驚く程青白い顔で、カタカタと小刻みに震えている。
慌てて声の主を確かめる為に振り向くと、そこにはよく知った人物が立っていた。
レオナード ビルグリン。
よく知っていると言っても、カイル ブルーエン同様、従者に調べさせたから知っているだけで、別に面識がある訳ではない。
破談騒ぎの真っ只中と言えど、現行の婚約者に、他の男と居るところを見られたのだ。
家に及ぶ被害などを考えると、サラサが青くなるのも頷ける。
「はじめまして。レオナード ビルグリン殿ですね。」
サラサに掴みかかりそうな勢いで近付いてくるレオナード ビルグリンと彼女の間に割って入った。
「どこの誰かは知らないが、サラサが私の婚約者と知っているのか?」
礼儀も何もあったもんじゃない。
その上、俺の顔も知らないとは…家督を継ぐ嫡男が聞いて呆れるよ。
「爵位を継いでから2年、この王都でまだ私から名乗らなくてはいけない事があるとは思っていなくて、失礼したね。フィールズ公爵だ。」
そんな慇懃に名乗る事も普段はないけど、こいつの態度には腹が立つし、折角の夕食を邪魔された責任くらいは取らせたい。
あと、幼馴染騒動での苛立ちもついでに発散しようと思っているのは内緒だ。
「…は?フィールズ公爵?ウォルター フィールズ公爵?」
「わざわざ、フルネームで確認してくれてありがとう。」
いくつか年上のはずだけど、そんな威厳は皆無だな。
レオナード ビルグリンのマヌケ面に、こんな奴と婚約していたサラサが不憫に思えた。
「そのフィールズ公爵殿が、私の婚約者に何の用ですか?」
態度こそ少し改まったものの、彼の怒りが治まった様子はない。
俺へ…と言うより、俺を通り越してサラサを睨み据えている。
チラリと後ろを見れば、先程より更に顔を青くしたサラサが居る。
サラサをこんなに怖がらせるなんて…早く退場して欲しいな。
この店からも、彼女の人生からも。
「婚約者?婚約を破談されるって聞いたけど。確か…妹君に乗り換えたとか?テレサ嬢だっけ?こんな所で俺達に文句を言ってないで妹君の方へ行かれては?妹君にまで愛想を尽かされる前に。俺はあんな馬鹿な女はお断りですけど…馬鹿な子ほど可愛いとも言うしね。いいんじゃない?趣味は疑うけど。」
サラサの婚約破談騒ぎの原因についても、従者が詳しく調べてくれた。
サラサだけでは飽き足らず、妹まで一緒に嫁ぐように言ったとか。
サラサが知ってるかは知らないが、2人で頻繁に会っていた事や、妹にだけ沢山の贈り物がされている記録も掴んでいる。
サラサは婚約という縛りから逃げられないのだから放置して、何とか妹を口説き落とそうとしていた事は集まった資料の数々が雄弁に語ってくれている。
「なっ…、そんな話を信じているのですか?全てサラサが醜い嫉妬に駆られて言ったデタラメでしょう。」
デタラメも、何も…証拠付きの書面が俺の屋敷のデスクの中に眠っている。
「サラサが貴殿に嫉妬したと…?」
思わず鼻で笑ってしまう。
こんな男、婚約破棄されて当然だ。
サラサの価値も全くわかっていない。
「何がおかしい!公爵殿こそ、人の婚約者に手を出すとはどうかしてますよ。サラサがどうしても和解したいと泣いて詫びるので、私達の婚約はそのままです。いや、サラサの純潔を散らした責任を思えば、一刻も早く婚姻を結ぶべきか…。」
勝ち残ったようにニヤリと笑うレオナード ビルグリンに思わず掴みかかりそうになった。
そんな俺を止めたのは、サラサから上がった悲鳴のような小さな声だった。
慌てて後ろを振り向けば、真っ白な顔をしたサラサが、耳を塞いで震えている。
どう見ても通常より呼吸が浅く、過呼吸を起こしている。
思わず彼女に駆け寄ると、彼女が震える手で俺の服を掴み、苦しそうな呼吸の間に短く違う、違うと告げている。
「大丈夫。わかってるから。落ち着いて。大丈夫だよ。」
何度かそう繰り返して言うと、サラサの呼吸が幾分落ち着いたようだが、代わりにその瞳には涙が溢れている。
この様な人前で、純潔を散らしたなどと言われたのだ。
淑女にとっては耐えられない羞恥だろう。
それに、彼女の反応を見れば、それが同意の上の行為とは到底思えない。
腹が立ち過ぎて、かえって冷静だ。
ゆっくりレオナード ビルグリンに近付けば、ニタニタと嬉しそうな顔で口を開く。
「穢れた身のくせにフィールズ公爵に近付くなんて恐れ多い。本当、何を考えているのか。サラサは私がしっかり教育しますので、どうぞお許し下さい。」
最後まで聞いてから、我慢に我慢を重ねた右の拳をレオナード ビルグリンの顔面目掛けてぶち込んだ。
皿の割れる音や周りの悲鳴は気にならない。
いや、むしろ今からする話を聞かれる心配が減ったので感謝すら覚える。
頬を押さえて倒れているレオナード ビルグリンに跨り、襟元を掴んで無理矢理こちらを向かせる。
「サラサが気に病むと嫌だから、もうちょっと穏便な方法で退場してもらおうと思ってたんだけど、気が変わった。君の父上の脱税の証拠を掴んでいる。サラサと速やかに婚約破談するなら黙っているつもりだったけど…すぐにでも国王に報告させてもらうよ。」
何の話か全くわからない様子のマヌケ面でこちらを見るレオナード ビルグリン。
「手口が悪質だから、俺からは取潰しを進言しておくけど…まぁ、良ければ男爵家へ降爵かな?貴族として残れても、社交界では生きていけないから、それは覚えててよ。サラサはいずれ公爵夫人になる。お前はその公爵夫人を辱めたんだから。」
やっと自分の立ち位置を理解したレオナード ビルグリンが徐々に顔色が青く変えて行く。
「う…嘘です。嘘!やってません。未遂でした!」
彼の慌てた弁明は、俺の心をいくらか穏やかにしたけど、過呼吸を起こすほど怯えていたサラサを思い出せば、許せるはずもない。
泣いて謝るだけの相手には早々に興味が失せた。
一刻も早く、サラサをここから連れ出したい。
彼女をこれ以上、好奇の目に晒すわけにはいかない。
入り口に控えていたはずの従者が、この騒ぎで思いの外近くまで来ていたので、店と周りの客へのフォローを任せた。
「行こう、サラサ。俺のせいで騒ぎになってしまった。」
絶対に自分のせいだと思っている彼女に、俺のせいだと伝えると、まだ震える身体で小さく頷いた。
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