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第3章 惑星マーカス編
閑話-3 女神代行官アレッサ視点
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私は惑星ルーテシアの女神代行官をしているアレッサ。確か女神代行官は私で第3,624代目だ。よくもまあこの役職がこれだけの長期間継続して来たものだと思う。女神代行官は名前の通り女神からの教えを人々に伝えることが役目だ。この惑星でもっとも地位が高い役職である。頻繁に女神様にお会いしそのお言葉を賜る役目、当然女神様に会うだけの心の清い者でなければなることはできない。どんなに外見を取り繕っても女神様の前に出れば心の中を隠すことは不可能であり、心の濁った者は女神様に会った途端にその心にあった見にくいモンスターに身体を変えられ追放されると信じられている。女神代行官は世襲制ではなく、候補者の中から現職の女神代行官が次代を選ぶと言う方法で引き継がれてきた。私も先代の女神代行官に選んでいただいたわけだ。
だが、女神代行官に就任して驚愕の事実を知ることになる。なんと女神様はおられないと言うのだ。先代の女神代行官も先々代の女神代行官も女神様にお会いしたことは無いらしい。これは本人に直接聞いたのだから間違いない(さらに先々々代となるとすでにお亡くなりになっているので確かめようがないが...)。 それでは女神様のお言葉として私達が聞かされていたことは何だったのかと言うと、代々の女神代行官の創作であるという。すなわち世界全体に対しての詐欺である。もちろん私利私欲の為でなく、女神様の教えにあるような平和で豊で優しい世界に導くための嘘ではあるが、それでも嘘には違いない。女神代行官になると言うことは私も世界に対してその様な嘘をつくと言うことだ。おまけにあれだけあこがれていた女神様にお会いすることも出来ないのだ。なんという悲劇! 私の子供の頃からの夢が一瞬で散ってしまった。だが、一度秘密を知ってしまった以上断ることはできなかった。
昔はそうではなかったらしい。初代女神代行官はアレフという人だったらしいが、この惑星の女神様と頻繁に言葉を交わし各国の王に対して神の意向を伝えると共にさまざまな指導を行い。まさにこの世界の指導者、王の中の王として振る舞ったと記録にある。アレフさんに続く女神代行官達も同じである。あくまで記録上は...。でも私は思うんだ、記録なんて後からいくらでも作ることができる。後の女神代行官の誰かが過去の記録を創作したのに決まっている。本当に女神様がいるのなら女神代行官である私の前に現れるはずじゃないか。
文句ばっかり言ったが、私だって愚痴りたいときはある。女神代行官の実態を知らずに小さい頃から女神様にあこがれ努力してこの地位に就いた。一応小さい頃から天才と言われてきたのだ。その努力の結果がこれでは愚痴りたくもなるというものだ。女神代行官になれば女神様にお会いできると思っていたのに....。
そんなある日、私は女神様のお部屋のソファ―で昼寝をしていた。この部屋は女神様がお住まいになられる様にと中央神殿に用意された超豪華な部屋だ。毎日清掃され清潔に保たれているし、厨房ではいつ女神様が来られても問題ない様に常に女神様用の新鮮な食材が準備されている(古くなった食材は職員用に回されるので無駄にはなっていないのが救いだ)。調度品類も衣装も最高の品質のものが用意されている。衣装なんかは毎年流行のデザインのものに入れ替えられる。これらに掛かる費用はまったくの無駄である。いや、この部屋の維持に携わる仕事を生活の糧にしている人達にとっては無駄ではないのだが....。とにかく使わないともったいないのだ。私がソファーで昼寝することは無駄をなくすための方策のひとつなのである。決して仕事をさぼっているわけではない。心の中でそんな言い訳を考えていると、
「あの~~~。」
とすぐ傍で声がした。この部屋の入口は厳重に警備されており、私の許可がなくては誰も入室できないはずだ! あわてて目を開けると、目の前に12~13歳くらいの小柄な少女が立っていた。
「あの~~、ここは私の部屋なんですけど。どなたですか?」
自分の部屋だと? なにを馬鹿げたことを。
「馬鹿なことを言わないで、ここは女神様のお部屋よ。あなたの部屋じゃない! 何処から入り込んだの?」
「ですから、私がその女神なんです。」
女神? この少女が? 私にとっての女神様って上品で、気高く、美しいイメージだ。年齢は20歳半ばくらいの落ち着いた美人だ。こんな貧相で小太りの女の子じゃない。
「何を馬鹿なことを! そんな不遜なことを口にすると神罰が下りますよ。とっとと出てお行きなさい。」
昼寝を見られたこともあって私は強めに言う。まあ警備の職員に捕まってはかわいそうだからそこは何とかしてあげよう。しかし、この部屋にたどり着くには警備職員だけでなく沢山の警備魔道具を突破しなければならないはず。こんな子供に出来るとは思えないが....。
「あの~、あなたは? 女神の部屋でお昼寝なんてして良いのですか?」
まずい! もちろん女神の部屋で昼寝など不敬も良いところ。そんなことを他の者に吹聴されたら、こんな子供の言うこと信じるかどうかは別として今後の昼寝環境に悪影響を与えるのは間違いない。
「私は昼寝なんかしてないわよ。私は女神代行官のアレッサよ。女神様がいつ来られても大丈夫なようにソファーの具合を確かめていただけよ。」
「まあ、女神代行官の方でしたか。初めまして、トモミです。ずいぶん長い間留守にしてごめんなさいね。」
留守って、まさか本当に女神様? まさか!? いやだまされるなアレッサ、どこかの国の陰謀かもしれない。そろそろいくつかの国では本当は神なんていないんじゃないかと勘繰っている節がある。それに加え最近獣人の国とエルフ族の国の関係がうまく行っていない。もしかしたらどちらかが相手国に都合の悪い信託を流そうとして準備した工作員かも。
「申し訳ないけど私はあなたが女神だとは信じられないの。女神だというなら証拠を見せてもらえるかしら。」
「いいですよ。何が良いですかね。一緒に宇宙にでも行ってみましょうか?」
宇宙? と疑問に思った次の瞬間、私は宇宙空間にいて惑星ルーテシアを眺めていた。
「空気も一緒に持って来てますから呼吸もできますので安心して下さい。」
と少女が言う。確かに最近打ち上げられた人工衛星から送られてきた写真と同じ風景が広がっていた。馬鹿な...。でも、こんなことが出来るのは神様しかいないよな....
「これで信じて頂けましたか? 本当は魔力遮断結界を解除した私を見て頂くのが手っ取り早いのですけど、昔それをしたらアレフさんに気絶されたことがあったので止めたんです。」
「アレフって、ま、まさか初代女神代理官のアレフ様のことですか?」
私は震えながら少女に尋ねた。この少女が本物の女神トモミ様だとしたらとんでもない不敬を働いたことになる。どの様な神罰を下されても文句は言えない。誰か助けてくれ~~~。
「ええ、良く分かりましたね。さすがは女神代行官です。」
「ご、ご無礼を働き申し訳ありませんでした。どの様な罰でもお受けいたします...。」
「罰なんてないですよ。私こそ長い間留守にしてしまってごめんなさいね。」
と少女が言うと、周りの景色が一瞬で元の女神様の部屋に戻る。私は土下座して再度無礼を詫び部屋から急いで退出しょうとした。その時女神様が再度口を開いた。
「アレッサさんでしたね。申し訳ないのですが食事の準備をお願いしてよいかしら。そうだ、食事をしながら最近のこの惑星の状況を教えて欲しいのでアレッサさんとふたり分をお願いします。」
「畏まりました...。」
とお応えして退出したものの、どうすれば良いのか分からない。厨房の職員に連絡すれば女神様が部屋に来られたとなって大騒ぎになるだろう。それだけなら良いが私が嘘をついていると思われるかもしれない。料理人達だって女神様がいないのは薄々感づいている。だって100年以上一度も女神様に食事が提供されたことが無いのだ。でも、だからといって食事を用意しない訳にはいかない。それこそ神罰が下る。厨房に行って女神様が食事を所望されていることを伝えると案の定大騒ぎになった。まあ気持ちは分かる、当たり前だが神殿に勤めている人は女神様を信仰している人が多い。自分達が作る料理を女神様に食べて頂けるなど料理人冥利に尽きるだろう。料理長が感激に涙を流しながら他の料理人達の指揮をし始める。一方の私は嘘をついていると疑われなかったのでほっとしていた。この神殿の人達は人を疑うことを知らない様だ。
「料理に何か注文はあったか?」
と料理長が聞いてくる。実は料理長と私は仲が良い。同郷ということもあってまるで娘の様に可愛がってくれ、仕事で遅くなるときはよく夜食を差し入れてくれる。
「いえ、特にはおっしゃっておられませんでした。あっ、私から最近の状況を聞きたいので私の分も合わせてふたり分用意するようにと。」
「おまえ、女神様と食事をするのか!?」
「えっと、そうなりますね....。」
言われて初めて気付いた。私女神様と食事をするんだ...。冷や汗が背中を流れる。そんでもってこの惑星の近況について報告しなければならない。とんでもない大役だ。
「料理長さんどうしよう?」
「どうしようって、やるしかないだろう。大丈夫だお前ならやれる。女神様にお会いするために女神代行官に成ったんだろう?」
そうだった! すっかり忘れていたけれど、私は女神様にお会いしたくて猛勉強したんだ。ようしアレッサ、やるしかない。女は度胸だ!
そんなことを考えている間に神官長が早足でやって来た。早足というより駆け足だ。焦っているのが分かる。
「アレッサ様、女神様が神殿をご訪問になっているというのは本当ですしょうか?
」
「はい、女神様のお部屋におられます。夕食をご所望されたので現在準備をしているところです。」
「本当なのですね。それで女神様は食事以外のことは何かおっしゃっておられませんか?」
「いえ、特に何も。ただ、しばらく留守にしていたことへのお詫びを口にされ、近況を聞きたいので私に一緒に食事をとる様にと。」
「なんと! 我らに詫びを口にされるなど何とお優しいお方でしょう。アレッサ様、お願いです。私が女神様にひとことご挨拶を申し上げたいといっていたとお伝え願えませんか。」
「分かりました。女神様にお伝えします。」
気が付くと周りの皆が私と神官長のやり取りに注目していた。気持ちは分かる、だれもが女神様にお目にかかりたいのだ。
しばらくして料理が出来たので私が女神様のお部屋へお持ちすることになった。身分の高い方の食事となれば給仕かメイドが傍に付くのが普通であるが、トモミ様は食事中誰かに付かれるのを苦手とされると記録にあったのを思い出したのだ。記録が間違いだったらどうしようという不安はあるが、女神様は記録にあるとおり本当に居たのだ。だったら他に書かれていることも正しいだろう。
ノックして許可をいただいてから、料理の乗ったワゴンを押して部屋に入る。トモミ様は満面の笑顔で私を迎えて下さった。いや、ひょっとしたら私ではなく料理を待っておられただけかもしれないが...。
「お口に合えばよろしいのですが....。」
と言いながらテーブルの上に料理を並べる。料理長を初めとする神殿の料理人達が腕に撚りを掛けて作った料理の数々だ。不味いはずがないのだが、トモミ様の好みが分からないので不安ではある。
「まあ、美味しそう...。」
とおっしゃるトモミ様の口元に光るものが...。まさか涎? まさかね...。私はトモミ様の口元を見ない様にして料理の皿を並べ終わるとトモミ様の前の席に着席した。
「トモミ様、よろしければこの惑星の近況を申し上げますので食べながらお聞きいただければ...。」
と私が言うと、「何いってるのよ」という感じで却下された。
「そんなの食べた後にしましょう。早く食べないとせっかくの料理が冷めてしまうわよ。」
と言われて食べ始められた。仕方なく私もご相伴に預かる。この後のプレゼンのことが気になって料理の味が分からない。料理長、申し訳ない。
「美味しい!」
突然トモミ様が大きな声でおっしゃられた。
「こんなに美味しい料理は久しぶりよ。腕の良い料理長が居るのね、後で会ってみたいわ。」
「本当ですか? その、きっと喜ぶと思います。」
間違いない。料理長はトモミ様の今のお言葉だけで感動して涙を流すだろう。
「ええ、このコカトリスの肉の野菜あんかけなんて最高! 柔らかいのに味がしっかりしていて野菜との組み合わせ方も素敵だわ。」
「料理長の得意料理なんです。私も大好きです。」
仲の良い料理長の料理を褒められ、私も嬉しくなった。少しずつ緊張がほぐれていくのが分かる。なんかイメージしていた女神様と違うが、とても気さくでお優しそうな方だと伝わってくる。それからは食事をしながら私の生い立ちやなぜ女神代行官になったかなど聞かれるままにお話しした。
「それじゃ、私と話をしたいから女神代行官になったのね。今まで留守にして悪いことをしたわね...。」
「とんでもありません。今は女神代行官になって良かったと思っています。トモミ様と一緒に食事が出来るなんて夢の様です。」
それからトモミ様のことも少しお話を聞くことが出来た。「ここだけの話にしてね」で始まったトモミ様の近況は驚くことばかりだ。特に亡くなったと思っていたトモミ様の夫ハルト様がもうすぐ蘇られると聞いて自分のことの様に嬉しくなった。だってそれまでの言葉の端々にハルト様に対する愛情がにじみ出ていたのだ。それにしても超越者とか他の銀河とか私の想像を超える話ばかりである。なんだかこの惑星の国と国とのいざこざなんて小さなことに思えてくる。
食事の後はカルミのワインを飲みながらいよいよ私のこの惑星の近況についてのプレゼンが始まった。我ながら緊張が解けてうまく話せたと思う。
「そうか、獣人の国とエルフの国が対立しているわけね...。」
「はい、きっかけは些細なことなんですけど、どちらも感情的になっているので和解出来ないんです。どういたしましょうか?」
「当面私は何もしないわ。できるだけ人族の自主性と女神代行官の指導に任せたいの。もちろん本当に戦争に成りそうになったら止めるけどね。それと女神代行官の判断でどんなことでも私が言ったことにしても良いからね。代々の女神代行官にはそう伝えていたのよ。でも、そうね一度各国から代表の方にこの神殿に来てもらって私が直接挨拶しましょうか。アレッサさんの話では長い間不在にしていたから女神代行官が軽く見られつつある様だものね。そこは私の責任でもあるから是正しておかないとね。」
あらま、とんでもないことになるかもしれない。各国の代表にこの神殿に来てもらうのか。私が女神代行官として招集を掛けることになるのだろうな。それにしても代々の女神代行官が嘘をついてきたのが女神様公認だったとは....。
それから女神様は自ら厨房に出向かれ、料理長を初めとする料理人達に美味しい食事のお礼を述べられた。料理長は男泣きに泣いていた。人生最高の瞬間であろう。良かったね。それから女神様は私の願いを聞いて神官長の部屋も挨拶に訪れられた。神官長は女神様に足を運んで頂いたことに恐縮しながらも嬉しそうであった。
それから1ヶ月後、私の招集した女神様への拝謁の時が来た。女神様が各国の代表に挨拶をしたいとおっしゃっていると私が連絡したのだ。各国の代表への挨拶の後には神殿のベランダから一般市民へ顔をお見せになる予定だ。神殿を通じて連絡を受けた各国の信者達がこぞってこの神殿に集まりつつあるらしい。各国の代表者も到着したが顔ぶれには差があり、ドワーフの国の様に首相みずから来た国もあれば、エルフ族の国の様に元々この国に駐在している大使館員を代表者として寄越しただけの国もある。それぞれの国の女神様に対する信仰具合が分かるというものだ。
拝謁のための部屋に各国代表が揃う中、私はトモミ様に付き添って部屋の中に入った。前もって「部屋に入ったら魔力遮断結界を解除するので覚悟しておいてね」と言われていたのだが、私は正しく意味を理解していなかった。単にトモミ様の強力な魔力が感じられる様に成るのだろう程度に考えていたのだ。その真の意味を悟った時、私は気絶したと言う初代女神代理官のアレフさんのことを思い出した。無理もない、私もあやうく気絶しそうだった。トモミ様の後にいて直接お顔を見ることが無かったから耐えることが出来たが、その超大な魔力とそれに伴う威圧感にただただ圧倒されるだけだった。トモミ様の正面に立つ各国の代表者がかわいそうになる。皆蒼白な顔で震えながらトモミ様に跪いていた。
「皆さん、お顔を上げてください。今日は私の招集に応じ遠路お越し下さり有難うございました。今年は私がこの惑星の女神として赴任してから1万年目になります。普段は皆様との接触を避けている私ですが、このめでたい年を是非皆様と共に祝いたいと考えたのです。皆さんのおかげでこの惑星はまずまずの進歩を遂げることができました。これからも平和で豊で優しい社会を目指して皆様のご助力を期待しております。明日より再び皆様の前に姿を現すことは無くなりますが、ここに居る女神代行官のアレッサさんは別です。彼女には引き続き私と皆様の仲介役として私の意向を皆様に届ける役目を担ってもらいます。アレッサさんの声は私の声と思って下さい。そして彼女を中心に纏まり、より素晴らしい惑星にするために協力をお願いします。」
とトモミ様は各国の代表全員に声を掛けられた。その後は各国の代表が順番にトモミ様に挨拶をしていった。皆顔面蒼白でしどろもどろである。ドワーフの国の首相だけが歓喜であふれた顔をしているのが印象的だった。そういえばドワーフ族はトモミ様の似姿として作られたという伝説があった。ドワーフ族はそれを信じ誇りとしているらしい。
その後トモミ様はベランダに出られ、集まった各国の信徒達に手を振って挨拶をされた。皆一応にトモミ様に向かって跪き祈りをささげている。遠くからでもトモミ様の偉大なお力を感じることが出来る様だ。私はトモミ様と初めてお会いした時に「貧相で小太りな女の子」と考えたことを思い出し赤面した。何と不敬なことを考えたのだろう。あの時の自分を蹴飛ばしてやりたい。
それからは世界が一変したと言っても良い。噂は噂を呼び、トモミ様は今一番ホットな話題である。世界中でトモミ様の話がされない場所は無いだろう。女神の信者数も一気に増えた。それに伴い、女神代行官はどの国にとっても神に次ぐ最高職として認識を改められた。私の言葉に皆が注目している。なにせ私だけが女神様とお会いすることが出来るのだ。獣人族の国とエルフ族の国の諍いもいつの間にか消えてしまった。これから惑星ルーテシアの新たな1万年がスタートするのだ。女神代行官の名を汚さぬためにも頑張らねば。
だが、女神代行官に就任して驚愕の事実を知ることになる。なんと女神様はおられないと言うのだ。先代の女神代行官も先々代の女神代行官も女神様にお会いしたことは無いらしい。これは本人に直接聞いたのだから間違いない(さらに先々々代となるとすでにお亡くなりになっているので確かめようがないが...)。 それでは女神様のお言葉として私達が聞かされていたことは何だったのかと言うと、代々の女神代行官の創作であるという。すなわち世界全体に対しての詐欺である。もちろん私利私欲の為でなく、女神様の教えにあるような平和で豊で優しい世界に導くための嘘ではあるが、それでも嘘には違いない。女神代行官になると言うことは私も世界に対してその様な嘘をつくと言うことだ。おまけにあれだけあこがれていた女神様にお会いすることも出来ないのだ。なんという悲劇! 私の子供の頃からの夢が一瞬で散ってしまった。だが、一度秘密を知ってしまった以上断ることはできなかった。
昔はそうではなかったらしい。初代女神代行官はアレフという人だったらしいが、この惑星の女神様と頻繁に言葉を交わし各国の王に対して神の意向を伝えると共にさまざまな指導を行い。まさにこの世界の指導者、王の中の王として振る舞ったと記録にある。アレフさんに続く女神代行官達も同じである。あくまで記録上は...。でも私は思うんだ、記録なんて後からいくらでも作ることができる。後の女神代行官の誰かが過去の記録を創作したのに決まっている。本当に女神様がいるのなら女神代行官である私の前に現れるはずじゃないか。
文句ばっかり言ったが、私だって愚痴りたいときはある。女神代行官の実態を知らずに小さい頃から女神様にあこがれ努力してこの地位に就いた。一応小さい頃から天才と言われてきたのだ。その努力の結果がこれでは愚痴りたくもなるというものだ。女神代行官になれば女神様にお会いできると思っていたのに....。
そんなある日、私は女神様のお部屋のソファ―で昼寝をしていた。この部屋は女神様がお住まいになられる様にと中央神殿に用意された超豪華な部屋だ。毎日清掃され清潔に保たれているし、厨房ではいつ女神様が来られても問題ない様に常に女神様用の新鮮な食材が準備されている(古くなった食材は職員用に回されるので無駄にはなっていないのが救いだ)。調度品類も衣装も最高の品質のものが用意されている。衣装なんかは毎年流行のデザインのものに入れ替えられる。これらに掛かる費用はまったくの無駄である。いや、この部屋の維持に携わる仕事を生活の糧にしている人達にとっては無駄ではないのだが....。とにかく使わないともったいないのだ。私がソファーで昼寝することは無駄をなくすための方策のひとつなのである。決して仕事をさぼっているわけではない。心の中でそんな言い訳を考えていると、
「あの~~~。」
とすぐ傍で声がした。この部屋の入口は厳重に警備されており、私の許可がなくては誰も入室できないはずだ! あわてて目を開けると、目の前に12~13歳くらいの小柄な少女が立っていた。
「あの~~、ここは私の部屋なんですけど。どなたですか?」
自分の部屋だと? なにを馬鹿げたことを。
「馬鹿なことを言わないで、ここは女神様のお部屋よ。あなたの部屋じゃない! 何処から入り込んだの?」
「ですから、私がその女神なんです。」
女神? この少女が? 私にとっての女神様って上品で、気高く、美しいイメージだ。年齢は20歳半ばくらいの落ち着いた美人だ。こんな貧相で小太りの女の子じゃない。
「何を馬鹿なことを! そんな不遜なことを口にすると神罰が下りますよ。とっとと出てお行きなさい。」
昼寝を見られたこともあって私は強めに言う。まあ警備の職員に捕まってはかわいそうだからそこは何とかしてあげよう。しかし、この部屋にたどり着くには警備職員だけでなく沢山の警備魔道具を突破しなければならないはず。こんな子供に出来るとは思えないが....。
「あの~、あなたは? 女神の部屋でお昼寝なんてして良いのですか?」
まずい! もちろん女神の部屋で昼寝など不敬も良いところ。そんなことを他の者に吹聴されたら、こんな子供の言うこと信じるかどうかは別として今後の昼寝環境に悪影響を与えるのは間違いない。
「私は昼寝なんかしてないわよ。私は女神代行官のアレッサよ。女神様がいつ来られても大丈夫なようにソファーの具合を確かめていただけよ。」
「まあ、女神代行官の方でしたか。初めまして、トモミです。ずいぶん長い間留守にしてごめんなさいね。」
留守って、まさか本当に女神様? まさか!? いやだまされるなアレッサ、どこかの国の陰謀かもしれない。そろそろいくつかの国では本当は神なんていないんじゃないかと勘繰っている節がある。それに加え最近獣人の国とエルフ族の国の関係がうまく行っていない。もしかしたらどちらかが相手国に都合の悪い信託を流そうとして準備した工作員かも。
「申し訳ないけど私はあなたが女神だとは信じられないの。女神だというなら証拠を見せてもらえるかしら。」
「いいですよ。何が良いですかね。一緒に宇宙にでも行ってみましょうか?」
宇宙? と疑問に思った次の瞬間、私は宇宙空間にいて惑星ルーテシアを眺めていた。
「空気も一緒に持って来てますから呼吸もできますので安心して下さい。」
と少女が言う。確かに最近打ち上げられた人工衛星から送られてきた写真と同じ風景が広がっていた。馬鹿な...。でも、こんなことが出来るのは神様しかいないよな....
「これで信じて頂けましたか? 本当は魔力遮断結界を解除した私を見て頂くのが手っ取り早いのですけど、昔それをしたらアレフさんに気絶されたことがあったので止めたんです。」
「アレフって、ま、まさか初代女神代理官のアレフ様のことですか?」
私は震えながら少女に尋ねた。この少女が本物の女神トモミ様だとしたらとんでもない不敬を働いたことになる。どの様な神罰を下されても文句は言えない。誰か助けてくれ~~~。
「ええ、良く分かりましたね。さすがは女神代行官です。」
「ご、ご無礼を働き申し訳ありませんでした。どの様な罰でもお受けいたします...。」
「罰なんてないですよ。私こそ長い間留守にしてしまってごめんなさいね。」
と少女が言うと、周りの景色が一瞬で元の女神様の部屋に戻る。私は土下座して再度無礼を詫び部屋から急いで退出しょうとした。その時女神様が再度口を開いた。
「アレッサさんでしたね。申し訳ないのですが食事の準備をお願いしてよいかしら。そうだ、食事をしながら最近のこの惑星の状況を教えて欲しいのでアレッサさんとふたり分をお願いします。」
「畏まりました...。」
とお応えして退出したものの、どうすれば良いのか分からない。厨房の職員に連絡すれば女神様が部屋に来られたとなって大騒ぎになるだろう。それだけなら良いが私が嘘をついていると思われるかもしれない。料理人達だって女神様がいないのは薄々感づいている。だって100年以上一度も女神様に食事が提供されたことが無いのだ。でも、だからといって食事を用意しない訳にはいかない。それこそ神罰が下る。厨房に行って女神様が食事を所望されていることを伝えると案の定大騒ぎになった。まあ気持ちは分かる、当たり前だが神殿に勤めている人は女神様を信仰している人が多い。自分達が作る料理を女神様に食べて頂けるなど料理人冥利に尽きるだろう。料理長が感激に涙を流しながら他の料理人達の指揮をし始める。一方の私は嘘をついていると疑われなかったのでほっとしていた。この神殿の人達は人を疑うことを知らない様だ。
「料理に何か注文はあったか?」
と料理長が聞いてくる。実は料理長と私は仲が良い。同郷ということもあってまるで娘の様に可愛がってくれ、仕事で遅くなるときはよく夜食を差し入れてくれる。
「いえ、特にはおっしゃっておられませんでした。あっ、私から最近の状況を聞きたいので私の分も合わせてふたり分用意するようにと。」
「おまえ、女神様と食事をするのか!?」
「えっと、そうなりますね....。」
言われて初めて気付いた。私女神様と食事をするんだ...。冷や汗が背中を流れる。そんでもってこの惑星の近況について報告しなければならない。とんでもない大役だ。
「料理長さんどうしよう?」
「どうしようって、やるしかないだろう。大丈夫だお前ならやれる。女神様にお会いするために女神代行官に成ったんだろう?」
そうだった! すっかり忘れていたけれど、私は女神様にお会いしたくて猛勉強したんだ。ようしアレッサ、やるしかない。女は度胸だ!
そんなことを考えている間に神官長が早足でやって来た。早足というより駆け足だ。焦っているのが分かる。
「アレッサ様、女神様が神殿をご訪問になっているというのは本当ですしょうか?
」
「はい、女神様のお部屋におられます。夕食をご所望されたので現在準備をしているところです。」
「本当なのですね。それで女神様は食事以外のことは何かおっしゃっておられませんか?」
「いえ、特に何も。ただ、しばらく留守にしていたことへのお詫びを口にされ、近況を聞きたいので私に一緒に食事をとる様にと。」
「なんと! 我らに詫びを口にされるなど何とお優しいお方でしょう。アレッサ様、お願いです。私が女神様にひとことご挨拶を申し上げたいといっていたとお伝え願えませんか。」
「分かりました。女神様にお伝えします。」
気が付くと周りの皆が私と神官長のやり取りに注目していた。気持ちは分かる、だれもが女神様にお目にかかりたいのだ。
しばらくして料理が出来たので私が女神様のお部屋へお持ちすることになった。身分の高い方の食事となれば給仕かメイドが傍に付くのが普通であるが、トモミ様は食事中誰かに付かれるのを苦手とされると記録にあったのを思い出したのだ。記録が間違いだったらどうしようという不安はあるが、女神様は記録にあるとおり本当に居たのだ。だったら他に書かれていることも正しいだろう。
ノックして許可をいただいてから、料理の乗ったワゴンを押して部屋に入る。トモミ様は満面の笑顔で私を迎えて下さった。いや、ひょっとしたら私ではなく料理を待っておられただけかもしれないが...。
「お口に合えばよろしいのですが....。」
と言いながらテーブルの上に料理を並べる。料理長を初めとする神殿の料理人達が腕に撚りを掛けて作った料理の数々だ。不味いはずがないのだが、トモミ様の好みが分からないので不安ではある。
「まあ、美味しそう...。」
とおっしゃるトモミ様の口元に光るものが...。まさか涎? まさかね...。私はトモミ様の口元を見ない様にして料理の皿を並べ終わるとトモミ様の前の席に着席した。
「トモミ様、よろしければこの惑星の近況を申し上げますので食べながらお聞きいただければ...。」
と私が言うと、「何いってるのよ」という感じで却下された。
「そんなの食べた後にしましょう。早く食べないとせっかくの料理が冷めてしまうわよ。」
と言われて食べ始められた。仕方なく私もご相伴に預かる。この後のプレゼンのことが気になって料理の味が分からない。料理長、申し訳ない。
「美味しい!」
突然トモミ様が大きな声でおっしゃられた。
「こんなに美味しい料理は久しぶりよ。腕の良い料理長が居るのね、後で会ってみたいわ。」
「本当ですか? その、きっと喜ぶと思います。」
間違いない。料理長はトモミ様の今のお言葉だけで感動して涙を流すだろう。
「ええ、このコカトリスの肉の野菜あんかけなんて最高! 柔らかいのに味がしっかりしていて野菜との組み合わせ方も素敵だわ。」
「料理長の得意料理なんです。私も大好きです。」
仲の良い料理長の料理を褒められ、私も嬉しくなった。少しずつ緊張がほぐれていくのが分かる。なんかイメージしていた女神様と違うが、とても気さくでお優しそうな方だと伝わってくる。それからは食事をしながら私の生い立ちやなぜ女神代行官になったかなど聞かれるままにお話しした。
「それじゃ、私と話をしたいから女神代行官になったのね。今まで留守にして悪いことをしたわね...。」
「とんでもありません。今は女神代行官になって良かったと思っています。トモミ様と一緒に食事が出来るなんて夢の様です。」
それからトモミ様のことも少しお話を聞くことが出来た。「ここだけの話にしてね」で始まったトモミ様の近況は驚くことばかりだ。特に亡くなったと思っていたトモミ様の夫ハルト様がもうすぐ蘇られると聞いて自分のことの様に嬉しくなった。だってそれまでの言葉の端々にハルト様に対する愛情がにじみ出ていたのだ。それにしても超越者とか他の銀河とか私の想像を超える話ばかりである。なんだかこの惑星の国と国とのいざこざなんて小さなことに思えてくる。
食事の後はカルミのワインを飲みながらいよいよ私のこの惑星の近況についてのプレゼンが始まった。我ながら緊張が解けてうまく話せたと思う。
「そうか、獣人の国とエルフの国が対立しているわけね...。」
「はい、きっかけは些細なことなんですけど、どちらも感情的になっているので和解出来ないんです。どういたしましょうか?」
「当面私は何もしないわ。できるだけ人族の自主性と女神代行官の指導に任せたいの。もちろん本当に戦争に成りそうになったら止めるけどね。それと女神代行官の判断でどんなことでも私が言ったことにしても良いからね。代々の女神代行官にはそう伝えていたのよ。でも、そうね一度各国から代表の方にこの神殿に来てもらって私が直接挨拶しましょうか。アレッサさんの話では長い間不在にしていたから女神代行官が軽く見られつつある様だものね。そこは私の責任でもあるから是正しておかないとね。」
あらま、とんでもないことになるかもしれない。各国の代表にこの神殿に来てもらうのか。私が女神代行官として招集を掛けることになるのだろうな。それにしても代々の女神代行官が嘘をついてきたのが女神様公認だったとは....。
それから女神様は自ら厨房に出向かれ、料理長を初めとする料理人達に美味しい食事のお礼を述べられた。料理長は男泣きに泣いていた。人生最高の瞬間であろう。良かったね。それから女神様は私の願いを聞いて神官長の部屋も挨拶に訪れられた。神官長は女神様に足を運んで頂いたことに恐縮しながらも嬉しそうであった。
それから1ヶ月後、私の招集した女神様への拝謁の時が来た。女神様が各国の代表に挨拶をしたいとおっしゃっていると私が連絡したのだ。各国の代表への挨拶の後には神殿のベランダから一般市民へ顔をお見せになる予定だ。神殿を通じて連絡を受けた各国の信者達がこぞってこの神殿に集まりつつあるらしい。各国の代表者も到着したが顔ぶれには差があり、ドワーフの国の様に首相みずから来た国もあれば、エルフ族の国の様に元々この国に駐在している大使館員を代表者として寄越しただけの国もある。それぞれの国の女神様に対する信仰具合が分かるというものだ。
拝謁のための部屋に各国代表が揃う中、私はトモミ様に付き添って部屋の中に入った。前もって「部屋に入ったら魔力遮断結界を解除するので覚悟しておいてね」と言われていたのだが、私は正しく意味を理解していなかった。単にトモミ様の強力な魔力が感じられる様に成るのだろう程度に考えていたのだ。その真の意味を悟った時、私は気絶したと言う初代女神代理官のアレフさんのことを思い出した。無理もない、私もあやうく気絶しそうだった。トモミ様の後にいて直接お顔を見ることが無かったから耐えることが出来たが、その超大な魔力とそれに伴う威圧感にただただ圧倒されるだけだった。トモミ様の正面に立つ各国の代表者がかわいそうになる。皆蒼白な顔で震えながらトモミ様に跪いていた。
「皆さん、お顔を上げてください。今日は私の招集に応じ遠路お越し下さり有難うございました。今年は私がこの惑星の女神として赴任してから1万年目になります。普段は皆様との接触を避けている私ですが、このめでたい年を是非皆様と共に祝いたいと考えたのです。皆さんのおかげでこの惑星はまずまずの進歩を遂げることができました。これからも平和で豊で優しい社会を目指して皆様のご助力を期待しております。明日より再び皆様の前に姿を現すことは無くなりますが、ここに居る女神代行官のアレッサさんは別です。彼女には引き続き私と皆様の仲介役として私の意向を皆様に届ける役目を担ってもらいます。アレッサさんの声は私の声と思って下さい。そして彼女を中心に纏まり、より素晴らしい惑星にするために協力をお願いします。」
とトモミ様は各国の代表全員に声を掛けられた。その後は各国の代表が順番にトモミ様に挨拶をしていった。皆顔面蒼白でしどろもどろである。ドワーフの国の首相だけが歓喜であふれた顔をしているのが印象的だった。そういえばドワーフ族はトモミ様の似姿として作られたという伝説があった。ドワーフ族はそれを信じ誇りとしているらしい。
その後トモミ様はベランダに出られ、集まった各国の信徒達に手を振って挨拶をされた。皆一応にトモミ様に向かって跪き祈りをささげている。遠くからでもトモミ様の偉大なお力を感じることが出来る様だ。私はトモミ様と初めてお会いした時に「貧相で小太りな女の子」と考えたことを思い出し赤面した。何と不敬なことを考えたのだろう。あの時の自分を蹴飛ばしてやりたい。
それからは世界が一変したと言っても良い。噂は噂を呼び、トモミ様は今一番ホットな話題である。世界中でトモミ様の話がされない場所は無いだろう。女神の信者数も一気に増えた。それに伴い、女神代行官はどの国にとっても神に次ぐ最高職として認識を改められた。私の言葉に皆が注目している。なにせ私だけが女神様とお会いすることが出来るのだ。獣人族の国とエルフ族の国の諍いもいつの間にか消えてしまった。これから惑星ルーテシアの新たな1万年がスタートするのだ。女神代行官の名を汚さぬためにも頑張らねば。
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